歴史に残るパンデミック、史上最短時間で開発されたワクチン、数千万人の死亡を回避し、世界がここ100年で最悪のパンデミックから立ち直るのを助けた。その二人の先駆者、カタリン・カリコ氏とドリュー・ワイズマン氏にノーベル生理学・医学賞が授与された。
カタリン・カリコ氏はハンガリーでの大学で資金不足に陥り、米国に移民、1990年代後半からmRNAワクチンの開発に取り組むも、米国大学でも補助金をもらえず、ドリュー・ワイズマン氏と共同の2005年発表の論文もネイチャー誌やサイエンス誌にも拒否されるという苦難の連続だった。そこへ慧眼のドイツバイオンテック社のシャヒンCEOが手を差し伸べ、カリコ氏を招請、mRNA研究をバックアップした。このバイオンテック社は2008年にトルコから科学者ウール・シャヒンと妻のオズレム・テュレジによって設立された。シャヒン氏は2018年にはmRNAベースのインフルエンザ予防ワクチンを開発するために、アメリカの企業であるファイザー社と複数年にわたる研究開発協力を開始している。この下地があったからこそ、カタリン・カリコ氏を副社長に迎え入れ、ファイザー社との連携でCOVID-19ワクチンの開発が短時間で完成した。
偶然とはいえ、ハンガリー、トルコの移民科学者の力がパンデミックを克服したことになる。
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