行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

トランプの関税攻勢早くも壁に

2018-06-26 21:11:54 | 経済
貿易赤字を減らし、国内雇用を増やすために25%の関税を掛けてるというが、今の世界経済はグローバル化が進み、1970年代の日米貿易摩擦と違う。「サプライチェーン」というシステムが世界中張りめぐらされている。不動産ディールとは違うことにトランプは戸惑うだろう。
代表例がiPhoneだろう。主な各種部品は日米韓から調達し、中国で組み立てている。これに関税を掛けたら最大の負担者は米国の消費者だ。ブーメランのように跳ね返ってくる。米国生産品で競争力のあるのは農産物と石油・ガスで、工業製品では唯一ハーレー・ダビッドソンぐらいだ。
 
日経の報じるところだと、ハーレーダビッドソンは欧州連合(EU)が米国への報復関税として22日に発動した輸入関税を回避するため欧州向け二輪車の生産を米国外に移転すると表明した。トランプ米政権の関税政策で、米国の雇用が減少するという皮肉な結果だ。EUの関税が報復分25%加えると31%になり一台当たり24万円増となるから止む得ないと同社は言ってる。
米国工業製品のもう一つの希望の星ボーイングにしても主要機種の主翼は日本で作っている。米国はこれに追加関税を掛けられるだろうか?そんなことしたらエアバスとの競争力はなくなる。中国も自国生産に踏みきるかもしれない。キャタピラーも中国から21%の関税を上乗せされたら小松や日立建機との競争に負ける。
 
ダウ30種から外され、ここのところ落ち目のGEは、稼ぎ頭の磁気共鳴画像装置(MRI)の関連機器のサプライは中国自社工場からで、25%の追加関税を掛けられると日本やドイツとの国際競争に負ける。
一方、独BMWのようにサウスカロライナ州にグループで世界最大規模の工場を造り、17年には同工場から中国に10万台超の多目的スポーツ車(SUV)を輸出するなど、米南部の雇用創出に一役買ってきたが、中国が米国産車に対し25%の報復関税を表明したことで目算は狂い、今後の計画の見直しを迫られる恐れもある。

ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターなどの米国車メーカーへの影響も大きい。米国が7月6日に発動予定の対中関税の対象には、産業用ロボットなど自動車生産に不可欠な設備や部品が含まれる。米ビッグスリーが使う半導体や抵抗器などの電子部品の3割は中国からの輸入とされる。自国産業保護どころか自国産業を危機に陥れる。
 
中国が急激に発展したのは米国や日韓、欧州の企業が投資し、生産品を世界中に輸出したため、外貨も貯まり世界第二の経済規模となったことは明白で、トランプは中国からの製品に関税を掛ければ自国製品のコスト増になるという単純な事実に気がつかなかったのか?知的財産を中国へ移転することを規制する政策の方が正しい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 昭和記念公園紫陽花だけではない | トップ | ロシアの松方コレクション、... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事