日銀が13日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はゼロとなり、9月の前回調査から5ポイント悪化した。米中貿易戦争で外需の低迷が続き、4四半期連続の悪化となる。大企業非製造業も個人消費の落ち込みで2期連続で悪化した。
下図で見ると、中小企業の製造業は既にマイナスになっていたがここへ来て大企業の製造業がゼロになった。希望退職募集も富士通2850人、ルネサスエレクトロニクス約1500人、東芝1410人、経営再建中のジャパンディスプレイ1200人など希望退職者を募集した上場企業は延べ36社、対象人数は1万1351人に達し、昨年の年間実績(12社、4126人)と比べ、企業数も人数もすでに3倍増となっている。(東京商工リサーチの調査)日本経済を何とか支えているのは非製造業だが、10月の消費税増税で景況感は大企業も中小企業も落ち始めている。来年の希望退職実施を発表しているのは「セブン&アイHD」「ファミリーマート」「LIXILグループ」「ノーリツ」「味の素」「みずほFG(みずほ証券)」で頼みの非製造業も入っている。
更に倒産件数も増えつつある。調査会社帝国データバンクによれば、1,000万円以上の負債を抱えて倒産した企業の数は、10月で785件、前の年の同じ月より5%増え、1か月の件数としては今年に入って最も多くなっている。10月に関しては、消費税率引き上げ後の売り上げの落ち込みや台風による被害の影響があった。業種別には、アメリカと中国の貿易摩擦や日韓関係の悪化で輸出が減ったことなどが影響して、製造業の倒産が前の年より30%増えたほか、小売業も12%増えた。11月は724件で、2.5%増え3か月連続で前年同月を上回った。
アベノミクス3本の矢は①2%の物価上昇②財政再建③構造改革など、最長内閣というだけで、何も達成できてない。唯一失業率が低くなったが上記の通り、リストラ、倒産が増えあやしくなってきた。専門家は今が底と見る人とこれから悪化するという人に分かれている。政府は更に13兆円の景気対策で底割れを防ぐ対策に出たが、税収入が2兆円も不足することが明らかになり、財政はますます悪化する。景気対策の大部分は企業や農業への減税や台風災害の復旧に当てられ、肝心の個人消費を刺激する対策は消費税対策のポイントのみというお粗末さだ。
これからの景気は世界でも珍しい10年以上も実質賃金が下がり続けている現状をどうするのか、所得格差をなくす累進課税強化の方策もないまま、GDPの6割を占める個人消費をどう喚起するのか、この辺が解決しないと景気は悪化するだろう。政府よりの専門家の中には低位で安定するとし、悪化という言葉を使わない。証券業界では株価が好調なので、今が底と見る人が多く来年には株価は日経平均27000円にと囃している。
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