前々回のブログで日本の宅配便の異常な便利さの問題点を指摘したが、今回は先進国が享受する衣類の安さについて触れてみたい。国際労働財団のメルマガで何回か発信しているが、H&M,ベネトン、ZARA、GAP、ウォルマートやカルフール等国際有名ブランドは中国、バングラデシュ、カンボジャ等で低賃金を利用してサプライチェーンを形成し、低価格の衣類を先進国で販売している。
この実態が明るみにでたのは、2013年の4月24日、バングラデシュ郊外の繊維工場ラナプラザビルが倒壊し1134人の労働者が犠牲となり、負傷者を含めると被害者は3600人に達した悲劇からだった。崩壊したビルの労働者の賃金は、月37ドル(約3591円)から50ドル(約4852円)で、北京の約8分の1、ニューデリーの4分の1程度だった。このビルにはイタリアのベネトンの下請けやH&M、ZARA、GAPなど、世界の有名ブランドが最低水準の賃金を利用していた。同ビルは普段から壁にひび割れがあり、倒壊の危険を指摘されていた。当時、日本のユニクロもバングラで生産していたがその実態は明らかにされてなかった。
2月28日、ファストリテーリングは「ユニクロ」ブランドの衣料品の生産を委託している主要工場のリストを公開した。中国、ベトナム、インドネシア、バングラデシュ、カンボジア、タイ、日本の合計7カ国、146の縫製工場の名称と住所が判明した。合計の生産規模は、ユニクロ製品の発注額の8割を超えてる。ユニクロを含め国際ブランドは中国の生産を賃金のより低いバングラ、カンボジャに生産を移している。カンボジャでは衣料産業の最低賃金月額の水準が、2013年の80ドルから2014年は100ドルとなり、2015年は128ドルとなった。
先進国の消費者は安さの裏の事情を認識し、毎年途上国の賃金が上昇し、自分たちの買うものもそれだけ価格が上がることを容認する度量が必要だ。
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