1970年代後半コンピューターがようやく大型から小型(オフコン)へそしてパーソナルへと身近になってきた時代、シャープをはじめ家電、通信各社がPCを競って売り出した。会社ではもっぱらNECの98シリーズ、互換性のない時代で、80年代に入り、マイクロソフトのOS、MS-DOSが支配しだした1990年代、95年だったかウインドウズの登場で、スタンドアロンから通信とPCの結合で情報化の波が押し寄せてきた。
電機産業の産業政策に拘わっていたので、全国で情報化シンポジウムを開催し、大阪での講演に、MITのメディア・ラボ所長 ネグロポンテ博士を招聘して話を聞いた。博士から、1人1人がPCを持つユビキタス時代が来ると断言され、どういう時代なのかその時点では理解できなかった。ユビキタスとはいつでも、どこでも、だれでもが情報を受けることができるインタフェース、環境、技術のことで、夢のような話だった。
当時20歳後半のスティーブ・ジョブズが開発したアップルのマッキントッシュは初めてマウスを装備し、極めてユーザーフレンドリーで誰でもほしがる夢のようなPCを売り出した。ジョブズはユビキタスをひたすら目指し、iphoneやipadで見事にそれらを実現した。しかもPCだけでなくソニーが手がけたウオークマンの機能も取り込み、さらにCDを駆逐するiTunesまで発展させた。
スマホは人類の夢を実現させ、おそらく今年は良くも悪くも大きな転換期となるのではないか、日本で始まったスイカやパスモの機能をスマホが取り込み、中国では全ての決済をスマホで済ませる社会ができつつある。上海では乞食までスマホを差し出し「お恵みを」と、冗談とも取れない小話を聞いた。通勤電車では新聞雑誌が消え、スマホを見ている、聞いている光景が当たり前となった。ポケットに入れておけば全ての用事が済む時代になった。私のブログも最近ではほとんどスマホで見られている。
以上が光の部分だが、SNSを利用した猟奇事件が起きて、高校生を含む女性が犠牲となった。見ず知らずの人と簡単に24時間繋がるという恐ろしさだ。アップした写真が原因の事件も社会問題だ。スマホはその便利さ故に凶器になる事もある。ネグロポンテ博士もそこまでは予想できなかった。中国ではSNSの全てをチェックするというが、13億の内半分の6億人のチェックが可能なのだろうか。米国では大統領選挙にロシアがSNSを利用して干渉したことが問題となっている。スマホの陰の部分をどうするか来年の大きな課題だ。
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