行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

10~12月決算に見る日米経営力の差

2009-02-03 23:39:40 | Weblog
ほぼ日米の最近の決算が出そろった。米国主要500社の10~12月期決算は過去最大の35%減益だという、しかし日本は上場企業の同期決算は70%の減益だと日経は予想している。世界恐慌の発生地米国より日本の企業の落ち込みは倍である。簡単に言えば、日米企業の経営力の差だがそう単純ではなさそうだ。マスコミは強調しないが日本の企業でも200社は増益を達成しそうである。しかし自動車や電機といった国際競争力が抜群のはずの企業群がそろって赤字決算という情況、あまりにも海外依存が高すぎソニーなどは8割が海外売り上げだ。円安バブルで利益が膨らみ海外への投資を加速させたことが世界恐慌と円高転換のダブルパンチで赤字転落となった。経営者は国内の雇用などなりふり構わない場当たり的な対策に追われている。派遣労働者など非正規労働の規制強化に反対して経営者は規制をしたら海外に工場を移し、国内雇用がなくなるという無定見なことを言う人もいるが、海外投資を加速させた結果が今回の決算に現れていることの反省が全くない。
家電などは中国の安い賃金をよりどころに1989年ぐらいから工場を新設し投資を拡大したが、ほとんどが中国の家電メーカーに負けてしまった。単に労働コストが安いから工場をといった発想では絶えず労働コストの安い国に移動しなければならず価値ある製品などできるわけはない。
私の使っている3台のPCの内、最新型のものは「メイドイン東京」のラベルが貼ってあり、何と近所にその工場がある。残念ながら日本の企業でなく米国企業ヒューレットパッカードの関連会社だが、中国で作るより市場のど真ん中で製造しているので物流費や開発費を考えると安く作れると言っている。もちろんダイレクト注文システムなど米国本土とのITシステムは優れたものがあるのだろうが、前段での決算の差の中に経営力の差もあるのではないだろうか
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労働者派遣事業法(以下派遣法)は原点に戻るべし

2009-02-01 16:14:42 | Weblog
本日、サンデープロジェクト(テレビ朝日)派遣法の特集で、1985年の同法ができた経緯を取り上げ、現在問題となっている登録型派遣を同法に加えた犯人は誰かというところに焦点を当てていた。私も当時電機労連の責任者として関わったので取材を受け、一部が放映された。
改めて、派遣法の原点を知ってもらいたい。
労働基準法第5条は強制労働の禁止、第6条は「業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」と中間搾取の排除を定め、職業安定法第44条は、労働の強制、中間搾取、使用者責任の不明確化などの弊害を伴いがちであることから、労働者供給事業を禁止している。
そもそも民法においては、雇用は二当事者間の有償双務契約であり、労働者の承諾なく第三者にその権利を譲渡できないとし、直接雇用が雇用の基本原則であるとしている。
それにも拘わらず派遣法が1985年に労働法例外規定としてできたのはあくまでも規制の強化で派遣労働者の雇用の安定、福祉の向上、教育の充実を目的とするものであった。その背景は石油危機から企業は減量経営、少数精鋭主義を取り、外部人材の活用を志向したこと、特にME機器による新産業革命は新技術者の急激な需要拡大を生み出し、情報処理技術者、事務処理労働者における違法派遣の横行が目に余るようになったことにあった。
従って派遣労働を専門的な知識、技術または経験を必要とする業務13業務に制限した。こうした制限は人材派遣業があらゆる業務に拡大し、常用雇用の代替を促し、ひいては雇用の安定、労使関係の安定に影響を及ぼす危険性を防ぐためであった。しかも国会の付帯決議では「特に製造業の直接生産工程に従事する業務については労働者派遣法の対象にしない」とまで歯止めを掛けてた。
その後派遣法の対象業務が拡大しだしただけでなく、大きな転換点は1999年の改定で派遣法の性格が規制法でなく自由化法になってしまい業務はポジティブリストからこれだけはやってはいけないが他は自由というネガティブリストになってしまった。雇用の安定が目的の派遣法がいまやいつでも派遣切りで雇用の調整ができる法になってしまったのだ。特に登録型の一般派遣労働者は社会保険の適用が困難であり、大変な目に遭っていることは周知で派遣法は原点に戻るかその目的である雇用の安定、労働者福祉の向上ができないのであれば廃止すべきだ。
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