アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

ざぶりざぶりと春の瀬をゆくのだ

2000-12-26 | よく読まれている記事(レター&雑文以外で)

ざぶりざぶりと春の瀬をゆくのだ

 『春は、地上の空気中にも、またモグラのまわりの土のなかにも動きだしていました。

そして、いまでは、暗くてみすぼらしいモグラの家のなかまではいりこんで、

なんともいえないそわそわした、じっとしていられない気もちで、

そこらじゅうをいっぱいにしてしまったのです。

とすれば、モグラが、きゅうに、はけを床の上に投げすてて、

「え、めんどくさい!」とか、「なんだこんなもの!」とか、

「春の大そうじなんてやめっちまえ!」などといいながら、

上着をひっかけもしないで、家からとびだしてしまったとしても、ふしぎはありません』

たのしい川べ:ケネス・グレーアム

寒くて暗い冬の日のために、おひさまのひかりを集めるのに良い春が、四万十にもやってきました。

 

 

3月25日 最高気14、4度。

 川を大地を目覚めさせた、春のまぶしい光とあたたかな風は、

部屋の中も春でみたし「外に行こう!旅にでよう!」と誘ってきます。

そんな春のユーワクに「若き旅人君」は、ひょいと都会を抜け出し、ふらり四万十へ。

花冷えて風が冷たい春の朝、僕らはカヤックに乗り込み、リバーピクニックへ出かけました。

 

 朝の最低気温は-1、3度、車のフロントガラスは凍りついてました。

陸上での講習の後、カヤックに乗り込んでスィーと水の上に滑りだす。

川を渡る西北西の風はピリッと冷たいけど、

空はスッキリと晴れているし、水量もまずまず。川下りには、なかなか良いコンデションです。
 
 

 じっくりとトロ場で練習したあと、ざぁざぁと白い波が立つ瀬に突入。

春の瀬の冷たい水が、カヤックのデッキをざぶりざぶりと洗う、水飛沫が顔にかかる。

ジャケットの首元のスキマから背中に水が!「うっひょー!!」僕は思わず声を上げたのでした。

*トロ場:流れがゆるいところ
 
 

 若き旅人君は、今日がカヤック初乗りです。

「カヤック、面白いっす、景色もイイっす・・・」というその笑顔は、

漕ぎはじめはぎこちなかったけど、川を下るにつれやわらかに。

隣で僕は、「若き日に旅をせずば、老いての日に何をか語る 」そんな言葉を思い出しました。

 

 ランチに上陸した川原は、陽ざしがポカポカ。

シチューとコーヒは、ホカホカ。うーん、温もるねぇ。

 

 グングンとぬくさを増した午後の川は、水上での日なたぼっこも心地よい。

ふぁぁ・・・。黄、萌黄、薄紅、春色にそまりゆく風景の中、僕らは夢うつつで春の川をながれてゆきました。

 

漕行11キロ。最高気温14、4度。

四万十川の水位は、平水+60㎝。川面の水温は、11度。



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