時々 最高気温34度。
美しき川は流れたり そのほとりに我はすみぬ
春は春、なつはなつの 花つける堤に坐りて
こまやけき本の情けと愛とを知りぬ
いまもその川のながれ 美しき微風ととも
蒼き波たたへたり
室生犀星「犀川」より
「まるで、サウナのようじゃないか・・・」
湿って重い空気の午後、風も生あたたかい川べを、スローなペースで走ってました。
Tシャツをぐっしょりと濡らしながら。
走る僕の頭のなかは、ぼおっとしている。時差ボケなのです。
帰国前から寝る時間を少しづつ調整してはみたのですが・・・。
時差ボケのアタマ。それはなんだか、水のないバケツみたいだな、と思う。
週末、北緯40度の摩天楼の都会から、北緯33度の僻地の川に帰ってきました。
うす暗い林道を走りぬけると、そこはまぶしく明るい沈下橋でした。
ギラギラ太陽とモクモク入道雲の空の下、沈下橋をわたり、川にザブーン!!
ずぶ濡れのまま川風に吹かれる耳に聞こえてくるのは、セミの大合唱。
岸べで小さく風にゆれているのは、オニユリ、ヒメヒオウギズイセン、ヤマユリの花。
細やかな自然に恵まれたアジアの小さな島国、日本。
その中のさらに小さな島、四国。その中のさらにさらに小さな、四万十村に戻ってきた。
僕は川の中で実感したのでした。
カギもかけず網戸だけ閉めた家にもどり(ノラねこが入るのだ)、水道水を頭からかぶる。
そして真っ裸でベランダに出て、ガチガチに氷をつめたグラスの水をごくごくと飲む。はぁー。
「ここにある・シンプルな夏の風景・のどかさ・静けさ・水、はナカナカ悪くないなぁ。
でもそれは、はなれてみて初めてわかるコトであろう。
見えている、というコトと、見る、というコトはやはりチガウのだ・・・」
グラス片手の僕は、夏空と庭をながめながら、そんなことをボンヤリと考えていました。
四万十は梅雨明け後も、にわか雨がよく降っています。
そんな四万十川の水量は、ほぼ平水。透明度は、良。
台風6号の影響をうければ、週明けから荒れた天候になりそうです。