最高気温16度。
「オシドリだろうか・・・」
流れに乗った水鳥が、カヤック前方の小さな瀬を上手に下ってゆきます。
瀬脇の小さな渦では、ピンクの花びらがクルクルと舞ってます。軽やかに。
川から見あげる山や道沿いのサクラは満開!
川岸では、芽吹きたてのエノキ、ヤナギの若葉が春の光に輝いてます。
3月27日。今日の四万十川は、いつもより水量が豊かで、水の流れが速い。
パドルを漕がなくても、僕らの艇は、ゆっくりと自転車を漕ぐ程度の速さで下ってゆきます。
スイスイ!カイテキ!ラクチン!
春濁りの水が、たっぷたっぷとお尻の下を流れてゆく。
頭のうしろで両手を組んだ僕は、春霞の青空を見ながら流されていきました。
春の嵐がやんだ川は、やさしい風の中、陽がぬくい。
でも、花冷えてぐっと低い朝の気温は、0度。川原に置いたカヤックには霜が降りてました。
「おおっ、ひやいねぇ・・・」*ひやい:寒いとか冷たい(幡多弁)。
手を浸けるとピリッといたい川の水温は、10度、まだ冬の水温です。
沈して泳ぐには、「まだ、ちっくと早いぜよ」。
ゴールデンウィークの頃の川の水温は、20度前後、真夏は、30度前後。
これから1ヶ月で、川は10度も水温が上がってくるのです。
「水ぬるむ春かな」
今日のゲストは2人、1人はドイツの青年です。
ツアー中、連れの女性(日本人)が僕のハナシを英語で通訳してくれます(2人の会話は英語)。
僕は、この西日本を代表する川が、
ドイツ青年の目と心に、どんなふうに写ったのか直接ドイツ語で聞いてみたかった。
「ドイツには、四万十川のような細やかな自然の中で、カヌー&川遊びが楽しめる川はあるかい?」
「うーん、ナイン(ないね)」「そうか、ナインだ・・・」なぁ~んてね、じゃんじゃん。
しかし、悲しいかな・・・・。
ドイツ語はおろか、すっかりサビ付いちまった僕の英語力、カンタンな言葉もまともにでてきません。
うーん、これでも昔1年程オーストラリアを旅してたことがあったんだけどなぁ・・・悲。
やはり、語学は出来ないより、出来た方がより楽しめますね。
漕ぎはじめは、少しかたかった二人の表情も、
とろ場をながれ瀬をぬけるたびに、ゆるんでいきました。凍緩む大地ように。
僕らは、山めざめ、水ぬるみ、鳥うたう春の川を、のんびりとくだってゆきました。