アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

レターフロムS・2012 ヒカリの春の川へ

2024-01-21 | レターフロムS

2012年冬のおわりに書いた「レターフロムS ヒカリの春の川へ」です。 期間限定公開中

時々 最高気温8度。

 皆さん、この真冬をカラダ健やかに、ココロ穏やかに過ごせてますか?

巷ではインフルエンザが流行っているようです、くれぐれもお気をつけて。

 

 1月23日に雪山を下りた僕は、24日、無事四万十に戻りました(スキー場バイト終了~)。

マイカーを乗せたフェリーは、広島から、波間に陽光きらめく瀬戸内海をぬけ、松山へ。

海沿いのルート56をダラダラと南下してゆくと、

青空からチラチラと小雪が舞いはじめ、雪は宇和島の手前で本降りに。

やがて辺りの景色は、すっぽりと白いベールにおおわれてしまいました。

「わおっ、雪国じゃん!!宇和島から四万十への峠越え、やばくね・・・」

しかし雪は、峠をぬけるころには小休止。ラッキー!

四万十川のゆったりとした流れを眼下に、ゆっくりと車を南に走らせました。

 昼過ぎに帰宅。

ちょっとカビ臭くなっちまった部屋の雨戸と窓を開け、荷物を片付け、一息つきました。

と、なんだか喉が痛くカラダがだるい・・・むむっ、14年ぶりに風邪をひいたか?

ホットショーチューをぐいぐい飲んで、上半身を毛布にくるみ、コタツに潜りこみました。

 

 翌日。 陽が高く昇ったころ寝床をぬけだした僕は(風邪気はぬけたようだ、ほっ!)

陽だまりのベランダのイスに座り(久しぶりだ)、コーヒー片手にぼおっと景色をながめました。

冬の深く澄んだ青空。キンと冷えた空気。うっすら白く染まった庭と山肌。

聞こえてくるのは、鳥たちの鳴き声、パサパサと雪が落ちる音。

「ああ、四万十に帰ってきた!」

しかし、留守にしてた我が家には、ナニモアリマセン・・・

からっぽの冷蔵庫、からっぽの食料棚。コーヒー豆もきれそうです。

あるのは、つかの間の自由。でもそれは、ナニヨリモホシカッタモノなのでした。

「買い出しにいかなくては・・・」

 のーんびりと午前中の太陽を楽しんだ後は、ジョギングにGO!

走るのは、実に一ヶ月以上振りです。わくわく。

まずは、ゆっくりと路上を歩き、ひさしぶりのアスファルトに足をならし、

そのあとは、注意深くカラダの声を聞きながら、超スローペースで走りました。

カーフェリーが湾内を航行するときのように。

ふかく透きとおった青い空の下、冬の終りの大気が、頬にヒリヒリとちべたい・・・

でも、「2月はヒカリの春」陽ざしの明るさに、強さに、カクジツに近づく春も感じられます。

 雨が少ない冬を過ごした四万十川は、痩せ、広くなった川原を細い流れがぬっています。

川面の水温は、まだ10度前後くらいでしょう。

「春近し、でもまだ、寒さが続くよなぁ~部屋にテントでも張ろうか・・・インドアキャンプだ」

そんなことを考えながらのんびり走ったので、

クワをかついだほっかむり婆さんの自転車にも、あっさり抜かれてしまったのでした。

では。


Letter From S9 真冬の瀬に突入せよ!の巻

2024-01-20 | レターフロムS

Letter From S9 真冬の瀬に突入せよ!の巻  再掲です。

 

 年始は、おだやかでぬくかった四万十も、

1月半ばを過ぎると大気の冷え込みがグンときびしくなった。

大寒の日には、この冬2回目の積雪に。

雪化粧をした四万十川を、冷たく激しい北西風が雪煙を巻きあげて吹きぬけてゆく。

朝、夕の気温は氷点下になりました。

 

 スキマだらけの我が家は、うすら寒い。

部屋の中に2人用の小さなテントを張った僕は、テントにもぐり、羽毛のシュラフにくるまった。

そしてキャンプ用のガスストーブで湯をわかし、お茶を飲みながらマンガを読んだ。

テント内の小さな空間はすぐにぬくもるし、部屋の中でキャンプ気分も味わえる。

ただ、テントから抜けだすのが非常におっくうになりますが・・・。

 

10何年も前。

初めて自分のテントと羽毛のシュラフ(冬用)を手に入れたときも、

うれしくて部屋の中でテント生活をして、母親にあきられたことがある。

テントは代替わりしたけど、羽毛のシュラフはまだ現役だ。

コテンパンに使いこんだシュラフの生地は、色褪せゴワゴワで羽毛もだいぶ抜けて、

へたってしまっているけど、冬の夜の星空の下でも、このシュラフで充分に寝られる。

買った当時は値段がメチャ高かったけど、「やはり野外道具はタフでなければ」と思うのでした。

 

        

   家中キャンプ              南国土佐にも雪がふるのだ

 

 寒さが一段落した1月末のある日。真冬の四万十川上流をカヤックで下る。

ヌクヌクした家を出て、ヒリヒリした時間を過ごし、生きてる手ごたえを感じたくなったのだ。

 

 我が家から車で1時間ほど上流へ(約45キロほど上流)。そこは、十和村上流、通称三島の瀬があるところ。

カヤックで下る7~8キロの間に、2~3級(水量により3~3、5級)の瀬が8~9ヵ所ある。

(以前この区間では、カャックのフリースタイル(ロデオ)の大会が行われたコトも)。

僕は、水があたたかい季節に何度か下ったコトがあるが、真冬に下るのは初めてだ。

最もこんな時期に、ソロでここを下る物好きはまずいないだろう(良い子は真似しないでね)。

もっと下流の、瀬が少ないコースも考えたが、ヒリヒリするような時間を感じたかった。

ゴール地点に自転車を置き、川の下見をしながら、スタート地点の三島の沈下橋へ。

 

 しょっぱなの200メータ区間に、2級、2、5級、2、5級の瀬が白波を立てている。

水量は少なめで瀬にパワーはなさそうだが「沈」はしたくないなぁ。*沈:転覆すること

気温13~14度。水温8度。西風。

水に手を着けると15秒ほどで指先がしびれ、痛く、ガマンが出来なくなる。

「ロールに失敗したらどうしよう・・・」

沈脱したら5分以内に水から上がらないと、体が動かなくなりそうだ。

「ヤバイよ!やめとけば・・・」もう1人の自分がささやく。

ココロの中で弱気の虫がザワザワと騒いだ。

 

 ドライスーツはない・・・。下着は、カヌー用の長袖シャツ&パンツ。

その上に、半そでのウエットスーツ、フリース。アウターは、上下のレインウェア。

レインウェアの足首、袖口、胴回り、首周りを布テープで巻いて水の浸入を防ぐようにした。

なんともカッコ悪いが仕方ない。じっくりとストレッチをした後、カャックに乗りこんだ。

 

        

 よい子は真似しないでね            初っ端の瀬 うーむ・・・

 

 久しぶりのパドリング。沈をおそれドキドキするココロ。

緊張と、ぎゅうぎゅうに締めつけたライフジャケット(PFD)のおかげで、

漕ぎはじめてしばらくたっても、体がスムースに動かない、呼吸も妙にくるしい。

「えーいっ、ままよ!いくぞ!」

覚悟をきめ、速く流れる水流にカヤックを滑らせ、JR予土線鉄橋下の瀬に突入した。

 

 「どおりゃーっ!」2級左カーブの瀬。

瀬の中で梶がきくようにしっかり漕いだつもりが、思ったよりも強い流れに艇をもってかれてしまった。

「ゴツン」艇の横腹が、岩にヒットしてバランスを崩す「オットット・・・」。

「落ちついて、水をつかまえろ!」と自分に声をかけ、次の2、5級の瀬に突っこむ。

ドドドッ!白波がデッキに落ちてくる。水飛沫をカラダいっぱいに浴びる。

「よっ!よっ!よっ!」リズムをとり、波頭をブレードでしっかり捕まえながら下ってゆく。

水の冷たさはまったく感じない。全神経を瀬に集中してるからだろう。アドレナリン、全開!

水温が高いときであれば、カヤックを瀬の巻き返しの波にのせたり

流れから出たり入ったりして、瀬で遊んで行くのだけど、本日はその余裕はナシ。ひたすら真面目に漕ぐ。

 

 「ふぇー」瀬の終わりのとろばにカヤックを入れ一息ついた。

カラダが軽い。先程までの緊張がうそのように。

呼吸が苦しかったのは、布のテープで首周りをきつく締めていたからだった。

「バカだねぇー」僕はテープをはがした。

 

        

   ほっと一息                空も水も青いのだ

 

 コース中盤の2、5級の瀬をブジ漕ぎ抜けると川の流れはおだやかになった。

川の流れの中に突き出している無数の岩。どの岩も先端が侵食されなめらかに丸みを帯びている。

岩を縫うようにカャックは進む。水の中をのぞくが、魚の姿スガタは見えず。

この低い水温では、魚はほとんど動かず、深いところでじっとしてるのだろう。

少し先でカモたちがさわいでる。ウが目の前を横切っていった。

 

 周囲の山々の日陰は、まだうっすらと雪化粧をしている。

岸辺の落葉樹は、すっぴんで(すっかり葉を落として冬芽で)春を待っている。

冬の深く澄んだ空、浅く澄んだ川は、どちらもキッパリと青が濃い。風はキッチリと冷たい。

トロ場のスローな流れに身をまかせた僕は、カヤックの上でのけぞって冬ブルーの空をながめた。

ヤッホーッ!!今、このイカシタ時間はジブンだけのもの。

なんとも言えない充足と開放感!!胸の奥まで清々しくなってゆくようだ。

そして思う。ああ、そうか、ビールを積んでくればよかった、と。

 

        

    大材の瀬                ジュージツのひととき

 

 瀬は真面目に漕ぎ、それ以外は景色を愛でながらのんびりと下る。

流れが狭まり、「ゴーッ」前方からイチダンと大きな瀬音が聞こえてきた。

大材の瀬だ。流れの真ん中、やや右側に大きな岩がある。しっかり漕いで、大岩の左側を通過。

 

 下り始めて約1時間、もうすぐゴールだ。空を見あげて、ほっと安堵の息をついた。

真冬の瀬に突入した今回の川下り。

水も風もひやい冬の川は、カラダをすっかり凍えさせたけど、

手ごたえのあるヒリヒリした時間に —豊穣な孤独に― ココロは、じわじわとぬくもっていった。

 

        

  大正町 無手無冠             栗焼酎 ダバタ火振りが有名です


ヒカリと風の冬の四万十へ

2024-01-10 | ・最新のお知らせ・イベントなど

2015年冬に書いた「ヒカリと風の冬の四万十へ」。再掲です。

最高気温12、9度。

 

 「灰白色の雪国を出て、夜を抜けると、そこはヒカリと風の四万十だった」

1月13日。早朝。

高速バスで中村駅に着いた僕は、駅のロータリーに差し込む強い陽光に目を細めました。

 

 午後。家に戻ると荷物の片付けもそこそこに、日当たりとながめの良いベランダの椅子に

どっかと腰を下ろし、プシューと缶ビールを開け、ぼんやりと空と景色をながめました。

・深く澄んだ青空・明るい初春の陽ざし・少しやわらくなった北風・冬枯れの庭

「ああっ、サンシャイン・カントリーに帰ってきた・・・」としみじみ思う。

*高知県の年間日照量は、全国トップクラス。

 

*それにしても、バスの接続が悪すぎるよなぁ・・・。

四万十ブルーライナー(京都大阪~高知西南部を結ぶ高速バス)が早朝の中村駅に到着する。

しかし、中村~江川崎間の始発のバスは、ほんの少し前に出発してしまっている。

次のバスは、昼過ぎ・・・うーむ(一日に3便。日曜、祝日は運休)。

接続がよければ、夜、京都や大阪を出発した旅人は、

次の日の午前中には、四万十川中下流域で遊んでられるのに・・・。もったいない。

 

 皆さん、お久しぶりです。お元気でしたか?

アーク佐野は、3週間ぶりに冬の四万十に帰ってきました(出稼ぎを終えて)。

「2015年・アークツアー」スタートです。

今年も「四万十川で一番楽しいカヌーツアー」をゲストの皆さんに提供したいと考えています。

なにとぞよろしくお願いいたします。

今日の四万十は、雨上がりの大風がゴウゴウと吹いています。

沈下橋でマントを広げれば、橋から空の彼方に飛んでいけそうなほど。

昨夜のザァザァ雨で、四万十川の水位は微増。カヌーで下るには良い水量です。


お見舞いもうしあげます

2024-01-02 | ・最新のお知らせ・イベントなど

お見舞いもうしあげます

このたびの能登半島地震により、被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

お亡くなりになられました方々に対し、謹んでご冥福をお祈り申しあげます。

被害があった地域には、アークツアー参加者の方もいます。どうかご無事であられますように。

皆様に、少しでもはやく平穏な日常と笑顔がもどりますように願っています。

*今シーズンのツアー収益の一部は、能登半島地震災害義援金として寄付いたします。

 

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)代表 佐野 英


HAPPY NEW YEAR!!2024

2024-01-01 | ・最新のお知らせ・イベントなど

新年明けましておめでとうございます!!

新しい年が皆様にとって佳き年になりますようお祈り申し上げます。

 

ゲストの皆さん、2023年のアーク・ツアーご利用ありがとうございました。

関係者の皆さん、旧年中はお世話になりました。御礼申し上げます。

アークは、2024年シーズンもオリジナリティ溢れる楽しいツアーを行います。

「四万十川&アークツアー」に、ゼヒ遊びにいらしてくださいね。

四万十フィールドガイド・ARK 代表 佐野 英 

「恐れることなく、ここオークパークにはない人生のすべてを味わうこと。

ここの人生も悪くはないが、外にはもっと大きな世界があって、いろんな感情をもった大勢の人間がいる。

彼らはさまざまな思いを抱いて生き、愛し、死んでゆく。すべてを味わうんだ、シス」

アーネストから姉のマーセリーンへ送った言葉 1919年

「たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日君はリンゴの木を植える」開高健