おはようございます。
四万十は晴れてますが、氷雨ぱらつき凍風吹く川のうえはとても寒く、
岸辺のスイセンの花も小さくふるえています。プルプル。
空と川を見ながら一杯の熱いコーヒーを飲む。それは、ささやかで贅沢なヒトトキです。
都会のような便利さはない、過疎の川のほとりの暮らし。
でも、真冬の四万十川流域では、自然が奏でる音や生き物の声、
澄んだ空と川、美しい星空、月空、スローにながれる川と時間、そして、静けさを味わえます。
(物理的に)人と人との距離がとおいのも、またよろし、です。
今日の最低気温は、1、7度。
最高気温5、6度。午後の空も不安定。晴れた空から雨がパラパラ。
♪I wanna know Have you ever seen the rain? Comin' down on a sunny day♪
晴れたときを見計らって、散歩にでようとシューズをはけば、
サァーっと頭上にながれこんできた黒い雲が、パラパラと氷雨をまきちらしていきます。
その繰りかえし、うーむ、外にでれませんのだ。
(昨日と今日の雨は)カラカラに乾いた山、川、生き物たちには、恵みの雨ですが。
冷蔵庫のなかのように冷えた部屋で(南国の古い家は、スキマ風だらけ。おまけに微妙に傾いている)、
暇ぐらしガイドは、山用のダウンジャケットを着て、コタツ虫・アウトドアズマン、と化して読書です。
「江川崎を過ぎると、四万十川はおだやかになり、大河の風貌を帯びる。
しかし、流れは早く、深い流れにのって滑るように下っていくのは気持良かった。
山また山が折り重なり、そのすそを縫って川は流れた。人間の音が全くない。耳に入るのは山の音だけである。
今日は一日、漕がず、フネの中であぐらをかいて流されるままに下った。
黒尊川の流れこみで上陸。早々にテントを張る」
『川にかかった橋を渡って対岸の部落の小さな食堂に入った。
「アイスクリン50円」と張紙のある戸を開けて入ると、一人の酔漢が抱きついて来た。
良く来た、と僕の手をしっかり握る。酔っぱらうとやたらと人恋しくなる人らしい。
いっかな手を離さないので、片手でウドンを食っていると、奥さんが迎えに来た。
酒が入るととても楽しくなる人で、それはいいのだが、この間は部落の葬式で失敗した。
初めはシンミリ飲んでいたのだが、酒が回るにつれて幸福になり、つい酔った時の口癖がでた。
彼はいったのである。「今日は実にユカイである。こんなに楽しいことはない」
おまけに「ヨサコイ、ヨサコイ」と踊ってしまった。「ヨサコイ」とは今夜飲みに来い、という意味だ』。
『四万十川の美しさは日本随一であろう。
水質、魚の多さ、川をとりまく自然、川から見た眺めの美しさ、いずれも日本の川では最高だ。
日本人が汚し始める前の自然が、川がどんなものであったか知りたければ、四万十川を見に来るといい。
部落の人はいう。「山や川が好きな人にゃここは天国じゃ」
しかし、天国には若者は住めないのだろう。
彼等をより強く惹きつけるのは美しい自然より、ゴミゴミした都会の汚濁の巷だ』
「日本の川を旅する」四万十川編より 野田知佑著 1985年発行
落ちかなかった午後の空も、夕方になるとバッチリと晴れてきました。
今夜は、空高く吹きぬける北風が、冬の星たちをあざやかにゆらすコトでしょう(明日は、新月)。