アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

Letter From S9 真冬の瀬に突入せよ!の巻

2025-01-25 | レターフロムS

Letter From S9 真冬の瀬に突入せよ!の巻  再掲です。

 年始は、おだやかでぬくかった四万十も、

1月半ばを過ぎると大気の冷え込みがグンときびしくなった。

大寒の日には、この冬2回目の積雪に。

雪化粧をした四万十川を、冷たく激しい北西風が雪煙を巻きあげて吹きぬけてゆく。

朝、夕の気温は氷点下になりました。

 

 スキマだらけの我が家は、うすら寒い。

部屋の中に2人用の小さなテントを張った僕は、テントにもぐり、羽毛のシュラフにくるまった。

そしてキャンプ用のガスストーブで湯をわかし、お茶を飲みながらマンガを読んだ。

テント内の小さな空間はすぐにぬくもるし、部屋の中でキャンプ気分も味わえる。

ただ、テントから抜けだすのが非常におっくうになりますが・・・。

 

10何年も前。

初めて自分のテントと羽毛のシュラフ(冬用)を手に入れたときも、

うれしくて部屋の中でテント生活をして、母親にあきられたことがある。

テントは代替わりしたけど、羽毛のシュラフはまだ現役だ。

コテンパンに使いこんだシュラフの生地は、色褪せゴワゴワで羽毛もだいぶ抜けて、

へたってしまっているけど、冬の夜の星空の下でも、このシュラフで充分に寝られる。

買った当時は値段がメチャ高かったけど、「やはり野外道具はタフでなければ」と思うのでした。

 

        

   家中キャンプ              南国土佐にも雪がふるのだ

 

 寒さが一段落した1月末のある日。真冬の四万十川上流をカヤックで下る。

ヌクヌクした家を出て、ヒリヒリした時間を過ごし、生きてる手ごたえを感じたくなったのだ。

 

 我が家から車で1時間ほど上流へ(約45キロほど上流)。そこは、十和村上流、通称三島の瀬があるところ。

カヤックで下る7~8キロの間に、2~3級(水量により3~3、5級)の瀬が8~9ヵ所ある。

(以前この区間では、カャックのフリースタイル(ロデオ)の大会が行われたコトも)。

僕は、水があたたかい季節に何度か下ったコトがあるが、真冬に下るのは初めてだ。

最もこんな時期に、ソロでここを下る物好きはまずいないだろう(良い子は真似しないでね)。

もっと下流の、瀬が少ないコースも考えたが、ヒリヒリするような時間を感じたかった。

ゴール地点に自転車を置き、川の下見をしながら、スタート地点の三島の沈下橋へ。

 

 しょっぱなの200メータ区間に、2級、2、5級、2、5級の瀬が白波を立てている。

水量は少なめで瀬にパワーはなさそうだが「沈」はしたくないなぁ。*沈:転覆すること

気温13~14度。水温8度。西風。

水に手を着けると15秒ほどで指先がしびれ、痛く、ガマンが出来なくなる。

「ロールに失敗したらどうしよう・・・」

沈脱したら5分以内に水から上がらないと、体が動かなくなりそうだ。

「ヤバイよ!やめとけば・・・」もう1人の自分がささやく。

ココロの中で弱気の虫がザワザワと騒いだ。

 

 ドライスーツはない・・・。下着は、カヌー用の長袖シャツ&パンツ。

その上に、半そでのウエットスーツ、フリース。アウターは、上下のレインウェア。

レインウェアの足首、袖口、胴回り、首周りを布テープで巻いて水の浸入を防ぐようにした。

なんともカッコ悪いが仕方ない。じっくりとストレッチをした後、カャックに乗りこんだ。

 

        

 よい子は真似しないでね            初っ端の瀬 うーむ・・・

 

 久しぶりのパドリング。沈をおそれドキドキするココロ。

緊張と、ぎゅうぎゅうに締めつけたライフジャケット(PFD)のおかげで、

漕ぎはじめてしばらくたっても、体がスムースに動かない、呼吸も妙にくるしい。

「えーいっ、ままよ!いくぞ!」

覚悟をきめ、速く流れる水流にカヤックを滑らせ、JR予土線鉄橋下の瀬に突入した。

 

 「どおりゃーっ!」2級左カーブの瀬。

瀬の中で梶がきくようにしっかり漕いだつもりが、思ったよりも強い流れに艇をもってかれてしまった。

「ゴツン」艇の横腹が、岩にヒットしてバランスを崩す「オットット・・・」。

「落ちついて、水をつかまえろ!」と自分に声をかけ、次の2、5級の瀬に突っこむ。

ドドドッ!白波がデッキに落ちてくる。水飛沫をカラダいっぱいに浴びる。

「よっ!よっ!よっ!」リズムをとり、波頭をブレードでしっかり捕まえながら下ってゆく。

水の冷たさはまったく感じない。全神経を瀬に集中してるからだろう。アドレナリン、全開!

水温が高いときであれば、カヤックを瀬の巻き返しの波にのせたり

流れから出たり入ったりして、瀬で遊んで行くのだけど、本日はその余裕はナシ。ひたすら真面目に漕ぐ。

 

 「ふぇー」瀬の終わりのとろばにカヤックを入れ一息ついた。

カラダが軽い。先程までの緊張がうそのように。

呼吸が苦しかったのは、布のテープで首周りをきつく締めていたからだった。

「バカだねぇー」僕はテープをはがした。

 

        

   ほっと一息                空も水も青いのだ

 

 コース中盤の2、5級の瀬をブジ漕ぎ抜けると川の流れはおだやかになった。

川の流れの中に突き出している無数の岩。どの岩も先端が侵食されなめらかに丸みを帯びている。

岩を縫うようにカャックは進む。水の中をのぞくが、魚のスガタは見えず。

この低い水温では、魚はほとんど動かず、深いところでじっとしてるのだろう。

少し先でカモたちがさわいでる。ウが目の前を横切っていった。

 

 周囲の山々の日陰は、まだうっすらと雪化粧をしている。

岸辺の落葉樹は、すっぴんで(すっかり葉を落として冬芽で)春を待っている。

冬の深く澄んだ空、浅く澄んだ川は、どちらもキッパリと青が濃い。風はキッチリと冷たい。

トロ場のスローな流れに身をまかせた僕は、カヤックの上でのけぞって冬ブルーの空をながめた。

ヤッホーッ!!今、このイカシタ時間はジブンだけのもの。

なんとも言えない充足と開放感!!胸の奥まで清々しくなってゆくようだ。

そして思う。ああ、そうか、ビールを積んでくればよかった、と。

 

        

    大材の瀬                ジュージツのひととき

 

 瀬は真面目に漕ぎ、それ以外は景色を愛でながらのんびりと下る。

流れが狭まり、「ゴーッ」前方からイチダンと大きな瀬音が聞こえてきた。

大材の瀬だ。流れの真ん中、やや右側に大きな岩がある。しっかり漕いで、大岩の左側を通過。

 

 下り始めて約1時間、もうすぐゴールだ。空を見あげて、ほっと安堵の息をついた。

真冬の瀬に突入した今回の川下り。

水も風もひやい冬の川は、カラダをすっかり凍えさせたけど、

手ごたえのあるヒリヒリした時間に —豊穣な孤独に― ココロは、じわじわとぬくもっていった。

 

        

  大正町 無手無冠             栗焼酎 ダバタ火振りが有名です

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レターフロムS・2012 ヒカリの春の川へ

2025-01-25 | ・最新のお知らせ・イベントなど

2012年冬のおわりに書いた「レターフロムS ヒカリの春の川へ」です。 

時々 最高気温8度。

 皆さん、この真冬をカラダ健やかに、ココロ穏やかに過ごせてますか?

巷ではインフルエンザが流行っているようです、くれぐれもお気をつけて。

 

 1月23日に雪山を下りた僕は、24日、無事四万十に戻りました(スキー場バイト終了~)。

マイカーを乗せたフェリーは、広島から、波間に陽光きらめく瀬戸内海をぬけ、松山へ。

海沿いのルート56をダラダラと南下してゆくと、

青空からチラチラと小雪が舞いはじめ、雪は宇和島の手前で本降りに。

やがて辺りの景色は、すっぽりと白いベールにおおわれてしまいました。

「わおっ、雪国じゃん!!宇和島から四万十への峠越え、やばくね・・・」

しかし雪は、峠をぬけるころには小休止。ラッキー!

四万十川のゆったりとした流れを眼下に、ゆっくりと車を南に走らせました。

 昼過ぎに帰宅。

ちょっとカビ臭くなっちまった部屋の雨戸と窓を開け、荷物を片付け、一息つきました。

と、なんだか喉が痛くカラダがだるい・・・むむっ、14年ぶりに風邪をひいたか?

ホットショーチューをぐいぐい飲んで、上半身を毛布にくるみ、コタツに潜りこみました。

 

 翌日。 陽が高く昇ったころ寝床をぬけだした僕は(風邪気はぬけたようだ、ほっ!)

陽だまりのベランダのイスに座り(久しぶりだ)、コーヒー片手にぼおっと景色をながめました。

冬の深く澄んだ青空。キンと冷えた空気。うっすら白く染まった庭と山肌。

聞こえてくるのは、鳥たちの鳴き声、パサパサと雪が落ちる音。

「ああ、四万十に帰ってきた!」

しかし、留守にしてた我が家には、ナニモアリマセン・・・

からっぽの冷蔵庫、からっぽの食料棚。コーヒー豆もきれそうです。

あるのは、つかの間の自由。でもそれは、ナニヨリモホシカッタモノなのでした。

「買い出しにいかなくては・・・」

 のーんびりと午前中の太陽を楽しんだ後は、ジョギングにGO!

走るのは、実に一ヶ月以上振りです。わくわく。

まずは、ゆっくりと路上を歩き、ひさしぶりのアスファルトに足をならし、

そのあとは、注意深くカラダの声を聞きながら、超スローペースで走りました。

カーフェリーが湾内を航行するときのように。

ふかく透きとおった青い空の下、冬の終りの大気が、頬にヒリヒリとちべたい・・・

でも、「2月はヒカリの春」陽ざしの明るさに、強さに、カクジツに近づく春も感じられます。

 雨が少ない冬を過ごした四万十川は、痩せ、広くなった川原を細い流れがぬっています。

川面の水温は、まだ10度前後くらいでしょう。

「春近し、でもまだ、寒さが続くよなぁ~部屋にテントでも張ろうか・・・インドアキャンプだ」

そんなことを考えながらのんびり走ったので、

クワをかついだほっかむり婆さんの自転車にも、あっさり抜かれてしまったのでした。

では。

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サクラ流れる川で

2025-01-19 | ・最新のお知らせ・イベントなど

「サクラ流れる川で」 2010年春に書いた記事を再掲です。

 最高気温16度。

 「オシドリだろうか・・・」

流れに乗った水鳥が、カヤック前方の小さな瀬を上手に下ってゆきます。

瀬脇の小さな渦では、ピンクの花びらがクルクルと舞ってます。軽やかに。

川から見あげる山や道沿いのサクラは満開!

川岸では、芽吹きたてのエノキ、ヤナギの若葉が春の光に輝いてます。

 

 3月27日。今日の四万十川は、いつもより水量が豊かで、水の流れが速い。

パドルを漕がなくても、僕らの艇は、ゆっくりと自転車を漕ぐ程度の速さで下ってゆきます。

スイスイ!カイテキ!ラクチン!春濁りの水が、たっぷたっぷとお尻の下を流れてゆく。

頭のうしろで両手を組んだ僕は、春霞の青空を見ながら流されていきました。

 春の嵐がやんだ川は、やさしい風の中、陽がぬくい。

でも、花冷えてぐっと低い朝の気温は、0度。川原に置いたカヤックには霜が降りてました。

「おおっ、ひやいねぇ・・・」*ひやい:寒いとか冷たい(幡多弁)。

手を浸けるとピリッといたい川の水温は、10度、まだ冬の水温です。

沈して泳ぐには、「まだ、ちっくと早いぜよ」。

ゴールデンウィークの頃の川の水温は、20度前後、真夏は、30度前後。

これから1ヶ月で、川は10度も水温が上がってくるのです。

「水ぬるむ春かな」

 今日のゲストは2人、1人はドイツの青年です。

ツアー中、連れの女性(日本人)が僕のハナシを英語で通訳してくれます(2人の会話は英語)。

僕は、この西日本を代表する川が、

ドイツ青年の目と心に、どんなふうに写ったのか直接ドイツ語で聞いてみたかった。

「ドイツには、四万十川のような細やかな自然の中で、カヌー&川遊びが楽しめる川はあるかい?」

「うーん、ナイン(ないね)」「そうか、ナインだ・・・」なぁ~んてね、じゃんじゃん。

 

 しかし、悲しいかな・・・・。

ドイツ語はおろか、すっかりサビ付いちまった僕の英語力、カンタンな言葉もまともにでてきません。

うーん、これでも昔1年程オーストラリアを旅してたことがあったんだけどなぁ・・・悲。

やはり、語学は出来ないより、出来た方がより楽しめますね。

 漕ぎはじめは、少しかたかった二人の表情も、

とろ場をながれ瀬をぬけるたびに、ゆるんでいきました。凍緩む大地ように。

僕らは、山めざめ、水ぬるみ、鳥うたう春の川を、のんびりとくだってゆきました。

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サンキュー・ブラザー ( Heart of Gold )

2025-01-18 | ・最新のお知らせ・イベントなど

サンキュー・ブラザー ( Heart of Gold )

2021年冬に書いた「旅雑文:追悼文」再掲です。あれからもう4年・・・。期間限定公開中。

銀座で托鉢 震災犠牲者を弔い続けた僧侶 新型コロナで突然の死 <あの日から・東日本大震災10年>:東京新聞 TOKYO Web

東京・銀座で托鉢(たくはつ)を続け、東日本大震災の被災地で死者を弔い続けた一人の僧侶が、新型コロナウイルス感染症で亡くなった。66歳。...

東京新聞 TOKYO Web

 

 

訃報。2021年1月18日。僧侶 望月崇英さんが(望月英夫:アントニオ)逝去しました。

アントニオは、ARK(アーク)の名付け親です。

僕は彼と、毎日のように一緒にすごしていた時期があります(自然学校時代に。四万十移住時に)。

愛犬ふうと共に、海、山、川で沢山遊んでもらいました。

いつも飄々としてるアントニオは、いろいろな遊び方やユニークな物の見方を教えてくれました。

ラブリーなクシャクシャ笑顔を浮かべながら、出来の悪い弟のような僕にもやさしく。

 

『一昨年の夏。

アントニオは、愛犬「ふう」と荷物を我が家にあずけ、1ヵ月半かけてお遍路さんルートを歩いた。

僕は、1ヵ月半も大好きな「ふう」と暮らし、遊べ、とても楽しかったし、

お遍路さんを終えたアントニオの話は、めちゃめちゃオモシロイものであった。

・ものすごい大金持ちの、会社社長お遍路さんと知り合った話。

・会社をリストラされ、借金に悩み、死のうと思って四国に来たが、

でも、ふと気づくと、もう4周もお遍路ルートを歩いてるお遍路さんの話。

・お遍路さんを接待してくれる、やさしい人々の好意を悪用する、悪徳お遍路の話など・・・

 

 アントニオは、ARK(アーク)の名付け親でもある。

屋号を決めかねていた僕は、彼に相談した。

すると、当時、米軍基地で働きながら坊さんになるために修行中だった彼は言った。

「ARKがいいんじゃないのー!佐野さん。サンスクリット語で、まあカンタンに言うと、

すべての生命の始まりを意味する言葉だよ。ちなみに、ノアの箱舟の名前がNoah of arkだったと思うよ」

鼓膜にビンビンと響くでっかい声で 教えてくれた。

 

 「ARKかぁー」。僕には、大き過ぎ立派すぎる屋号だ、と戸惑うが、

「佐野さーん。名前は育てて行くものだからダイジョーブだよ!」といわれARKに決定した。

なにがダイジョーブなのか、いまいちよくわからないけど・・・

でも、なんか困ったことや、つらくて落ちこんでいるときは、

アントニオの「ダイジョーブだよ!佐野さん」の一言で元気になってしまう。

ホント不思議な人だ。

 

 話が脱線してますが・・・脱線ついでにもう少しアントニオ(一応日本人)の事を書いちゃいます。

僕が彼に初めてあったのは、四万十に移住する前に勤めていたフィールドワーカーを養成する専門学校。

その実習場がある長野県黒姫だった。

 

 夏の盛り、実習場のミーティングルームで彼を紹介された(ふうも一緒に)。

日に焼けたシワだらけの顔は、彫りが深くまるでネイティブアメリカン。

その顔をクシャクシャとさせて、ニカニカ笑いながら「よろしくー!」と挨拶された。

僕はその時、直感で「この人はなんだか絶対、オモシロアヤシイぞ!」と思った。

いつもひょうひょうとしジョークばかり言ってる彼は、自分の事はあまり喋らない。

けど、仕事&プライベートで付き合っているうちに、そのユニークな経歴がだんだんわかってきた。

 

           

    ふうとアントニオ                サンキュー!ブラザー

 

 ブラックミュージックをこよなく愛する彼は、

本場アメリカでミュージシャンになろうと、大学をやめ、まずはハワイにわたる。

その後、ニューヨークへ。音楽活動&いろいろな仕事をしながら約20年NYで暮らす。

その間に、オートバイの冒険家と知り合い、冒険家の北極、南極、ヒマラヤ、パリダカールなどの遠征に同行する。

僕が彼に出遭った時は、もうニューヨークを 引き上げようか?という時期であった。

 

 アントニオはなにかの専門家ではない。

けれど、冒険家はいろいろな制約(予算や人選など)があるにもかかわらず、

チームの一員として(専門外の)彼を極地に連れて行く。

その理由は、(肩書きなんかじゃわからない)彼に触れた人にだけわかる、不思議な魅力のせいだろうと思う。

 

 アントニオ&ふうと山や渓流釣りに行き、キャンプをするのは最高に楽しかった。

釣った魚を焼き、焚き火をかこみながら彼が話す、NY時代や極地遠征した時の楽しかった話や悲惨な話の数々。

それは、一冊のオモシロ本が書けそうなくらい魅力的なものだった。

「若きの日に旅をせずば、老いての日になにをか語る」。僕は、ゲーテ(だったかな)の言葉を思い出す』

*レターフロムS11「春の海脱線バナシに花が咲き」より抜粋

 

また、ある年の夏は、山形の里山の藁ぶき家(築400年!)で、

何名かの仲間と渓流釣り合宿をし、囲炉裏で釣った岩魚を焼き、酒を飲み、バカ話をした。

そして何故か?全裸ピラミッドも・・・(飲み助の集いでもあった。アントニオは下戸だけど)。

それはなんとも、馬鹿馬鹿しくユカイな夏休みだった。

 

そんな、アントニオとすごした時間は、我がココロの中の大切な宝(アーク)です。

何かキツイ事があって仏頂面になった時も、思い出すと思わずニコニコしちゃいます(苦笑いも混じるけど)。

 

「おーい佐野さん!ナニやってんの?」

ふと、空を見上げると、あのナツカシイ声が聞こえてくるようです。

あちらで、ふうに会えたかな?アントニオ、最高にステキな時間をありがとうございました。

どうそやすらかに眠ってください。合掌。

 

PS:「SNSに掲載していいのか?」。

ずいぶん迷いながらこの文章を書きました。まだ気持ちの整理もついてないのに。

でも、生前あちこちのフィールドで、彼と一緒に遊んだ方にも訃報を伝えなければ、と思いました。

あのステキな笑顔を知っている皆さん。

いつかどこかで会えた時には、アントニオとの思い出バナシをきかせてくださいね。

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南の川から(気まぐれダイアリー)1月18日

2025-01-18 | 南の川から(気まぐれダイアリー)2024&2025

 おはようございます。四万十は、快晴。

川のうえから見あげる空は、冷たく冴えた冬ブルー。一欠けらの雲も見えません。

無風。キリリと冷えた大気の川は、薄闇のなかでシンと静まり返っています。

やがて、東の山に朝日がのぼると、西の山に楕円の月がおちてゆく。

月しずむ谷。今日も地球はじっくり動いているのだ!とほざきつつ、

朝日まぶしい橋の上で、大きく深呼吸し、ゆっくりとカラダをほぐし、さぁ、今日をスタートです。

 

などと、コタツのうえのPCに向かいブログを書いていたら、背後から焦げた匂いが。

ん?あっ、そうだ鮭をグリルで焼いていたのだ。焦げ焦げ塩鮭の完成です・・・。

ガーン。久しぶりにフンパツして買った鮭なのに。ああっ、小不幸・・・。

(このところの物価高には、マイッチングですね)

今日の最低気温は、-0、3度(江川崎)。-2、9度(中村)。

こちらは一昨日朝の川。

 

 最高気温14、4度(今年最高)。午後も晴れ。

ひさしぶりに、ひねもすおだやかに晴れた四万十です。風もなく、雲もなく。

チャリンコ日和!!昼どき。のんびりペダルを漕いで、2つの沈下橋をめぐってきました。

細道(旧道)の日陰の空気は、ヒンヤリ冷たいけど、日向の陽ざしは、背中にホカホカとぬくい。

少雨の冬の四万十川は、とても水量が少なく、痩せ細ってます。冬枯れの沢は、水が流れず。

あるトロ場では、平水時は水中の川底があらわになり、流れがいくつかに別れてしまっています。

ザァザァと流れる瀬は、入り口が狭く浅く、ウェーブが短めに。

透明度よい水中に見えるのは、ユラユラおよぐ鯉のスガタだけ。

水のなかも真冬。川面の水温は、6~8度かな、と(水温計を持ってくればよかった)。

 

陽あたりがよい涸れ色の道端には、菜の花の黄がチラホラ見えます。

晴天つづきのひどく乾いた空気に、ノドが乾けば

ちょろちょろと岩肌からこぼれる水を飲む。ん~・・・冷たい清水が、歯にしみます、しみます。

2つ目の勝間沈下橋へ。

チャリを押して橋をわたると、ベリッ!と音がした。靴底が、イキナリおおきく剥がれた。

それは、昨秋、リサイクルショップで購入した有名メーカーのトレッキングシューズ。

ほぼ新品なのに、1600円という破格の値段は、

メンズ用にしてはサイズが小さく(僕にはジャストサイズだけど)売れないからだろう、と勝手に決めつけた。

わおっ、ラッキー!掘り出し物じゃん!とヨロコビ購入したのであった(新品は10000円ほど)。

 

もしかしてと思い、もう片方の靴の足底をひっぱってみると、やはり、あっさりと剥がれた・・・。

オノレ、オノレ。めっちゃ安いのには、それなりの理由(わけ)があったのだ。トホホ・・・。

そして、冬空を見あげて思う。でもまぁ、これが山歩きの最中ではなくてよかったのだ、と。

皆さんも、リサイクルショップやアウトレットでシューズを買うときは、経年劣化にご注意を!

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旅立ちの春に

2025-01-15 | ・最新のお知らせ・イベントなど

 *2008年春に書いた旅雑文です。ちよっと長めです。おヒマな人はどぞ。期間限定公開中。

 もうすぐ卯月、野山は春のいぶきでいっぱいです。

咲きはじめた花を、芽吹きはじめた葉を、今日はやさしい雨が濡らしています。

湿った空気にほのかに混じるのは、春の甘い香り。

さえずり始めたばかりで、まだへたくそなウグイスの歌も、雨天中止に。

そして、春がくれば、僕の出稼ぎの冬も、もうすぐオワリ。あと数日後には、四万十に発てそうです。

 

 この冬の間の休日は、よく図書館に足をはこびました。借りた本の中に(好きな作家だ)

普段、ぼくがモヤモヤ思っていることを、スパっと書いてある箇所があった。

「うんうん、そういうコトかもなぁー」と何度も大きくうなずきながら読んだのは、こんな文章。

 

開高 健がいた。(平凡社)より抜粋 

~ほら吹き男爵よ悠々として急げ~ 夢枕 獏

 

旅の警告

 警句とは違うが僕はひとつ理論を持っている。旅の力学についての理論である。

この理論は主観的であるかもしれないが、原理であり、鉄の公理であるから、

ビッグバン以来、この宇宙消滅の時まで変わる事はない。

どのような理論か。

 

 その前に、筆者の個人的なことに触れたい。

筆者は20代初めの頃から、国内や世界のあちらこちらをうろつきまわってきた。

それは、信州の山だったり、高原であったり、あるいは北海道の雪原であったり、東北の森であったりした。

山小屋で働き、居候をし、釣りをし、放浪をした。

ヒマラヤの氷河の上を歩いたり、極北の荒野を流れる川をカヌーで下ったり、

玄奘三蔵という人物の足跡を追って砂漠の中を歩いたり、天山の氷河古道をうろついたり、

チベット奥地の聖山カイラスを訪ねたりした。そして、何度か死にそこなった。

それで、多少なりとも、わかった事がある。

-中略-

 そのわかったこととはなにか。

それは、「満たされている人間は旅には出ない」というものである。

これが、万物創成以来の、宇宙の不変原理なのである。

「幸福な人間は旅には出ない」 このように置き換えてもよい。

ちょっと待った。「獏ちゃん、そんなことはないよ。幸福な人間だって旅にはいくよ」

そう言われる方もおられるであろう。

ごもっとも。わかる。あなたの言われてること、よくわかります。

わかりますが、筆者はそういわれるあなたとお酒を飲みたくない。

「いや、なるほど。ワタクシもかねがねそう思ってました」

「なんと、これこそ宇宙の統一原理。ホーキングの人間原理もかくなるものでしょうか」

こういう方がたとこそ、私はお酒を飲みたい。

 この原理、筆者個人については、女の子にふられるたびに北へ出かけてゆくという、

はなはだナサケナイ現れ方をしたが、そもそもかのヒンズー教の最高神である

ブィシュヌ神も、その存在形式はインド的な宇宙原理であり、魚、カルキン、

仏陀など、十余りの存在形態を持っており、そのおりおりで別の現れ方をするのである。

大日如来という宇宙の根本原理が諸菩薩の姿となり、

役割分担を持って、この世にたち現れてくるのと同じである。

 おっと、これは筆のすべりすぎだ。

ともあれ、満たされて、幸福な人間は旅には出ない。

では、何故に人は旅に出るのか。

旅に出るのは、満たされていない人間である。

哀しみをその胸に抱えている人間である。

魂が飢えている人間が旅に出る。

その人が抱えている、どうしようもない魂の飢えが、果てしない砂漠の道へと、一歩を踏み出させるのである。

その魂が抱えている哀しみ、飢え、その量に応じて、人は旅に出る。

旅によって、その哀しみの距離を埋めようとする。その空虚を満たそうとする。

 

 玄奘が、そういう人物であった。

ある年、玄奘の歩いた砂漠を歩き、玄奘の越えた氷河を、筆者も越えようとした。

そこは、玄奘が「大唐西域記」に記しているがごとくに

゛十人のうち、三人から四人が雪のため死んだ゛ 道であった。

何故、このような道に玄奘は足を踏み出したのか。

何故、帰ってくるまでに十九年もかかる旅にでたのか。

荒野のただ中で、玄奘が吹かれたのと同じ風に吹かれ、同じ危険を身に受けてる時、

ぼくは、ふいに、理解できたのであった。

玄奘が抱えていたのは、途方もなく巨大な魂の飢えであったのだなと。

その飢えが玄奘を旅に向かわせたのだと。

唐中の経典を読み漁り、唐中の坊主に問答を挑み、それでも玄奘は満たされなかった。

わからぬことばかりであった。

そしてついに・・自らいくしかないと、玄奘は決心したのであろう。

それが、ぼくの、玄奘の旅の皮膚感覚であり、手触りだった。

それと同じものが、一人の小説家を、原稿用紙に向かわせるのである。

そうでなくてはならない。それが、僕にはわかっている。こんなに明らかなことはない。

-中略-

 

フックする一瞬

 同じものが、人を旅に向かわせ、人に物語を書かせ、人を釣りにゆかせる。

しかし、それは彼に何をもたらしたのであろうか。

彼は、それで、満たされたであろうか。

満たされなかったであろう。

旅でそれは、満たされない。

書くことで、それは満たされない。

釣ることで、それは満たされない。

しかし、旅にあって、生命の危険の迫ったほんの数秒、人は飢えを忘れたであろう。

原稿用紙にむんむんと歯をくいしばってたちむかっている間は、小説家はそれを忘れたであろう。

 

 旅から帰れば、また同じ空虚がある。

書き上げてみれば、また、別の空虚がある。

その空虚が、彼を旅人たらしめ、小説家たらしめてゆく。

期間限定公開終了。続きは、カテゴリー「レター&旅雑文」でご覧になれます。

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南の川から(気まぐれダイアリー)1月13日

2025-01-13 | 南の川から(気まぐれダイアリー)2024&2025

 おはようございます。四万十は、晴れ。

淡く白みがかった青空、やわらかな陽ざし、じっと動かない木々の枝葉。

おだやかで静かな真冬の朝は、川原でコーヒータイム。

風のない水辺に、ゴロリ寝転んで、目をとじれば、

あたたかく明るさを増した陽ざしに、「光りの春」は近し、と感じます。

 

ツキ―(月)ヒー(日)ホーシー(星)! 

岸辺から、かろやかな歌声が聞こえてきました。口笛のような。

「イカルもね 春まちきれず フライング」。

今日の最低気温は、1、9度。

 

イカル – BIRD FAN (日本野鳥の会)

黒い頭部と大きな黄色いくちばしが特徴。 全長:23cm 九州以北の低山の林。 小群になることが多く、飛ぶと翼の白斑が帯になって見える。 「キョッ、キョッ」と鳴く。 さえず...

BIRD FAN

 

 

 最高気温11、1度。晴れ。風さわがしい午後です。

冬の谷を吹きぬける北風が、緑葉をザワザワと冬芽の枝をカタカタと鳴らしていきます。

日だまりに、あざやかに赤いサザンカの花も、小さくふるえてます。

小寒(1月5日)から立春(2月4日)にかけては、1年でもっとも風が冷たい季節。

でも、山に入るのが少しおそくなった太陽に、のびた日暮れに、春の足音もわずかに感じられます。

 

♪きれいな月だよ出ておいでよ 今夜も二人で歩かないか♪

明日1月14日は、満月です。ウルフ・ムーン。

人少なく、灯り少ない四万十川の川原は、月を見るにもよいところ。

焚き火にあたり、お酒でも飲みながら、凍夜のまあるい月をのんびりながめてみては?

ごろごろ石の川原では、コットを使うとカイテキですよ。

 

「新年最初の満月の光りを、沈下橋で浴びると、1年の願いごとが叶う」とこのあたりでは言われます。

ウソです。これは今、僕がかってに思いつきました。

でも、—緑のなかを青くながれる昼間の川とは、ちがう表情を見せる —

神秘的なムーンリバーは、あなたの運気を、きっとグッと高めてくれますよ。ぜひ。

 

そんな、ムーンリバーをカヌーでゆくのもまたオツなもの、です。

「秋のムーンリバーで」

秋の満月の夜。月明りながれる川をカヌー(カナディアン)で下る。

ムーンライトマジック。月光の川は、ほの白い光りのなかで、蒼く幻想的な姿をみせている。

聞こえるのは、風、水の音、鳥の声。感じるのは、野生の息吹。

神秘的な夜の自然に、ノーテンキな乱入者は、畏怖の念をだく。

 

♪Moon river, wider than a mile♪

などと口ずさみながら下れば、月影の小さな瀬でバランスをくずして、おっとっと・・・。

アブナイ、アブナイ。暗い水の世界に、ひきずりこまれるのはゴメンだ、ぜよ。

 

淡い月灯りが照らす川原に上陸し、小さな火をおこす。

アルミフォイルに包み焼いた肉、チーズ、まあるい月を肴に、ウイスキーを飲む。

コットに寝袋をひろげ、もぐりこむ。そして、月の下で眠りにつきながらおもう。

水面から見た今宵の月は、ちょっとレアな体験として、記憶の夜にも昇るのだろう、と。

 

「あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。1月14日(火)。

おつきみかぬーしますから、おいでんなさい。とびどぐもたないでくなさい」 さのねこ 拝

画像は、5月の月。

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ヒカリと風の冬の四万十へ

2025-01-13 | ・最新のお知らせ・イベントなど

2015年冬に書いた「ヒカリと風の冬の四万十へ」。再掲です。

最高気温12、9度。

 「灰白色の雪国を出て、夜を抜けると、そこはヒカリと風の四万十だった」

1月13日。早朝。

高速バスで中村駅に着いた僕は、駅のロータリーに差し込む強い陽光に目を細めました。

 

 午後。家にもどると荷物の片付けもそこそこに、日当たりとながめの良いベランダの椅子に

どっかと腰を下ろし、プシューと缶ビールを開け、ぼんやりと空と景色をながめました。

・深く澄んだ青空・明るい初春の陽ざし・少しやわらくなった北風・冬枯れの庭

「ああっ、サンシャイン・カントリーに帰ってきた・・・」としみじみ思う。

*高知県の年間日照量は、全国トップクラス。

 

*それにしても、バスの接続が悪すぎるよなぁ・・・。

四万十ブルーライナー(京都大阪~高知西南部を結ぶ高速バス)が早朝の中村駅に到着する。

しかし、中村~江川崎間の始発のバスは、ほんの少し前に出発してしまっている。

次のバスは、昼過ぎ・・・うーむ(一日に3便。日曜、祝日は運休)。

接続がよければ、夜、京都や大阪を出発した旅人は、

次の日の午前中には、四万十川中下流域で遊んでられるのに・・・。もったいない。

 

 皆さん、お久しぶりです。お元気でしたか?

アーク佐野は、3週間ぶりに冬の四万十に帰ってきました(出稼ぎを終えて)。

「2015年・アークツアー」スタートです。

今年も「四万十川で一番楽しいカヌーツアー」をゲストの皆さんに提供したいと考えています。

なにとぞよろしくお願いいたします。

今日の四万十は、雨上がりの大風がゴウゴウと吹いています。

沈下橋でマントを広げれば、橋から空の彼方に飛んでいけそうなほど。

昨夜のザァザァ雨で、四万十川の水位は微増。カヌーで下るには良い水量です。

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9月11日に考えたコト(成人の日に)

2025-01-13 | ・最新のお知らせ・イベントなど

今日は、「成人の日」ですね

若き日に旅をしておいた方がいいんじゃね!との思いから。老婆心ながら。

「9月11日に考えたコト」2009年に書いた旅雑文です。期間限定公開終了

  最高気温29度。

「最近は、昔にくらべて、若い人の一人旅がずいぶんとへりましたねぇ・・・」

先日、ある地方で、若者むけの宿を経営するかたとそんなハナシをしました。

僕やその人が若かったころにくらべ、世の中不況で仕事や収入もへったし、遊びかたも多様化し、

わざわざ孤独な(お金もかかるし)一人旅にでかける若い人は少なくなったようです。

でも、世間の景気が良かったころだって、長い期間一人旅をしようと思ったら、

一大決心、会社をやめ、社会から転げおちたような悲壮な気持ちで、旅に出た人もおおかったと思います。

(まぁ、景気のよいときは、次の仕事はすぐに見つかったけど)

人生を長い目でみれば、たかだか1年とか2年のハナシなのですが・・・。

 

 僕が海外の旅先で出会った欧米系の連中は、肩のちからをぬいて、

それぞれが自分のペースで、キラクに旅を楽しんでいるように見えました。

彼らは、学校を卒業したあと長い旅をし、見聞をひろめたのち就職する。

就職してからも、長期休暇がとれるのも、なんともスバラシイ。

それがごくあたり前の社会が、僕にはなんともうらやましく思えたものです。

 

 おおざっぱな意見ですが・・・。

期間限定公開終了。続きはカテゴリー「レター&旅雑文」でご覧になれます。

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南の川から(気まぐれダイアリー)1月10日

2025-01-10 | 南の川から(気まぐれダイアリー)2024&2025

 晴れ。最高気温5、3度(最低気温-3、5度 今季最低)

「初雪や ああ初雪や 初雪や」

ジワっと床板から背中につたわる朝の冷気、シンと張りつめた静かな空気、それは、雪の予感。

おっ、ついに!と起きしなに、カーテンを開ければ、庭はうっすら白くそまってます。

積雪は、2センチほど。

いそいで布団をたたみ、着替え、それっ!と取るものもとりあえず家を飛びだす。雪にコーフンした犬みたいに。

が、カメラを忘れたコトに気付き、あわてて家にもどる。マヌケなのだ。わんわん。

 

沈下橋へ。冷たく透きとおった冬ブルーの空と川。

陽があたる前の山と川原は、薄く雪化粧して、凍てついた冷気に薄暗く沈んでいます。

ピリリと頬をさす空気。でも、風がないのがありがたし、などと思っていると、

山に陽がのぼるのを合図に、凍えをはらんだ北風がヒュウ―と吹きはじめました。おお、ひやい!

沈下橋を、ゆきつもどりつカラダをぬくめながら、陽が川原にとどくのを待つ。

すると、橋のむこうから、顔見知りのおんちゃんが歩いてきました。

「オハヨウゴザイマス」

「おおっ、オハヨー!こりゃ、なんともいい雪景色じゃのう。カヌーで下ったら最高じゃろ」

「たしかに・・・じゃぁ、これから僕とカヌーくだりにいきますか?カナディアンカヌーだったら濡れないし」

「いや、ワシは遠慮しておく・・・」

風さわがしい午後の川。

スローランをするために、着替えてベランダにでると、聞いたコトがない甲高い鳥の鳴き声が。

ん?双眼鏡でのぞく。冬芽の枝にとまっている鳥は、

オレンジ色の嘴と足、青い羽毛、長い尾羽には白い斑点がめだちます。

おおっ、サンジャク(外来種)!招かれざる鳥ではないか!初見です。噂にはきいていたけど。

この冬、メジロやカラ類などの小鳥のスガタを、あまり見かけないのは、コヤツのせいか?

 

招かれざる鳥は生息域拡大、絶滅危惧の県鳥は激減 関係者ら危機感:朝日新聞デジタル

 5月の早朝、高知県西部の黒潮町沖にある無人島にチャーター船で渡った。中国大陸原産のカラスの仲間「サンジャク」の目撃情報があり、専門家の調査に同行していた。 標高...

朝日新聞デジタル

 

サンジャク、ブラックバス、ブルーギルなどは、四万十の在来の生物や自然に、悪影響を及ぼす侵略的外来種。

うーん、どうしたものか?などと思いつながらノロノロ走り、川の上にでれば、

ゴウゴウと吹きわたる初体験の北風の冷たさに震えあがり、道半ばで早々と家に駆けもどったのでした。

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南の川から(気まぐれダイアリー)1月4日

2025-01-04 | 南の川から(気まぐれダイアリー)2024&2025

 おはようございます。四万十は、快晴。

キリッと冷えた空気の朝は、枯れ庭が白く薄化粧しています(最低気温は、-2、3度)。

川へ。薄暗い大橋のうえで、遅くのぼる冬の太陽を待つ(最も遅いのは、1月7日8日)。

ひやいけど、風がないのがありがたい。

「おおっ、オハヨー!きちょったか。今日は風がないけんカヌーにはいいやろ」

「おはようございます。いいけど、ゲストもおらんし・・・」

「カヌー屋は、冬の仕事が課題じゃのう」

「まったくっす。郷里(くに)に帰ればよかったかなぁ。にしても、川の水が少ないっすねぇ」

「おお。まったく。まともに雨が降らんからなぁ・・・」

そんなハナシを、橋ムコウから歩いてきた顔みしりのおんちゃんとしたあと、

ポケっと川をみていると、陽が水面を照らしはじめました。

「見つけたぞ。何を? 永遠を。太陽にとける川」*ランボーの詩は海ですが。

明るくあたたかい太陽に、こわばったカラダをゆるめながら思うのでした太陽はエライ!ありがとSUN!と。

 

 最高気温11、3度。午後も晴れ。

年始の四万十は、おだやかに晴れる日がつづきました。少し強い北風が吹く午後もあったけど。

暇暮らしガイドは、日中、風裏の日だまりのベランダのコットに寝転がり、本を読んだり、

ボンヤリと空をながめたり、夜は、お酒を片手に流れ星をさがしたり、ダラダラウダウダと新年を過ごす。

正月に読もうと思っていた本のなかに、「旅をする木」星野道夫著があった。

それは、年末に中村の街のアーケードにひっそりとオープンした小さな古本屋で購入。

この本は、持っていたのだけど、当時付き合っていた人に貸したまま、帰ってこず・・・。

ても、お気入りの一冊だったので、古本屋で見つけたときは、迷わずレジに。

 

「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。

たとえば、こんな星空や泣けるような夕陽をひとりで見ていたとするだろ。

もし愛する人がいたら、その美しさやその時のに気持ちをどんなふうに伝えるかって?」

「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」

「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって・・・

その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」 旅をする木より 

 

本を読むのをやめて、実に25年ぶりにAさんから届いた年賀状を手にとる。

絵柄だけのハガキには、年始の挨拶以外に、

子育ても終わって、またオートバイに乗りはじめました(小型だけど)。

いつか四国西南も旅してみたいです。その時はよろしく!」と記してあった。

空をながめながら、Aさんの顔をナツカシイ記憶のなかに探す。

 

Aさんとは、長く沈没(滞在)していた南国の島の年末に、

海辺のキャンプ場で出会い、長逗留している他の旅人とともに、一緒の食卓を囲み、海や山で遊んだ。

その時の旅で僕は、ほとんど写真を撮らなかった。

 

「このところの旅では、写真を撮らなくなったよ。

写真を撮るコトばかりに気にとられていると、大事な瞬間を、自分の目で見れないし、感じられなくなる。

印象的な風景やデキゴト、人とのであいは、できるだけ記憶のなかに鮮明に焼きつけておきたいと思ったから。

まぁ、例外はあるから一応カメラはもっていくけどね」

年上の旅の達人のそんな言葉に、それもいいかも?と思い実践してみたからだ。

ファインダーごしではなく、五感をとぎすませて、ジブンの目で旅を見て、ココロで感じてみようと。

 

あの島の元日、Aさんと2人でトレッキングし、山頂から見た海からのぼる朝日。泣けるような初日の出。

あれから、ずいぶん長い時間がたったが、

果たして自分は変わったのか、どうか?自分ではよくわからない(もちろん外見は変わったけど)。

追憶のなかの彼女は、海を見わたす山頂で、

真夏の太陽のような輝く笑顔を見せている。思い出補正もかかった記憶のなかで。

やっぱり、凡人は、写真撮っておけばよかったかな・・・。

年賀状をくれた方、ありがとうございます。

そのうち、返事をだしますね。ご当地ハガキでだせたらいいなぁ。

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カンガルー大陸でキジ撃ちを

2025-01-03 | ・最新のお知らせ・イベントなど

新年あけましておめでとうございます。沢山の幸ウンが、皆さまに訪れるますように!

「カンガルー大陸でキジ撃ちを」いつかの冬に書いた旅雑文、期間限定公開終了。

 最高気温14、5度。午後も晴れ。

最近ちまたでは、冬キャンプも流行っていると聞きます。

冬の四万十川は、ゴウゴウと強い北風が吹くコトが多い(時に沈下橋からカラダごと吹き落とされそうなほどの)。

川沿いでキャンプする時は、強い風が吹くことを想定し、

テントやタープは、ペグだけでなく、ロープや石なども使ってがっちり固定しましょう。

(川は風のハイウェイ。冬以外でも強い風が吹くコトは多いです)。

遊んでBCに帰ってきたら、テントやタープ、イスが川まで飛ばされて水に浸かってた。

なんてコトにならぬように(かつて僕もやらかしたコトが・・・)。

できればテントは、ファミリーテントではなく、山でも使えるような風に強いテントがベターか、と。

 

 さて。川沿いでキャンプする時は、強い風に注意が必要だ、

と書いた僕は、これまでのキャンプ旅でも、何度も大風に翻弄されたコトがあります。

その中でも、大風とセットで記憶に残っている出来事が、以下に書いた「カンガルー大陸でキジ撃ちを」です。

くだらない旅バナシなので、キョーミのない方は飛ばしてくださいね。

 

「カンガルー大陸でキジ撃ちを」

 クソ、まじかよ!まさかヤツがいきなり飛び出てくるなんて・・・。

これは、ウンの尽きか、それとも、ウンが付いた、のか?

土獏にあおむけにひっくり返った僕は、でっかい青空をボーゼンとながめながらそう思った。

 

 それは、カンガルー大陸(豪州)を、オフロードバイクで旅していたときのコト。

1月初旬の夕刻、360度地平線の赤茶けた荒野には、ビュウビュウと強い風が吹いていた。

止めたバイクが風で倒れてしまうほどの。

 

 「まいったなぁー、この風ではテントが張れないぞ・・・」。

一日中(ゴツゴツ小岩の硬い路面とサラサラ赤砂の柔い路面が入れかわりあらわれる)

フクザツな悪路を、長時間神経をつかって走り、カラダもココロもくたくたに疲れていた。

しょがねぇなーと、

期間限定公開終了。続きは、カテゴリー「レター&旅雑文」でご覧ください。

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Happy New Year From 四万十(冬のアークツアー)

2025-01-01 | ・最新のお知らせ・イベントなど

 Happy New Year  From  四万十(冬のアークツアー) 再編集して再掲です。

時たま   2007年元日。

 「新年あけましておめでとうございます」

本年も「四万十フィールドガイドark」をご愛顧のほどよろしくお願いします。

元日の四万十は、晴れ。風が無く、気温も高く、おだやかな年始です。

 

 昨日大晦日は、笑顔がキュートなゲスト2名と四万十川をカヤックで下りました。

大晦日は、僕は(今年の)漕ぎおさめ、でも、ゲストの2人は(初体験の)漕ぎはじめ。

はじめてのカヤックではじめての四万十川を下る(しかも冬に)。それは、なかなかレアな体験です。

 よく晴れた大晦日。早朝の川は冷たい北風が吹きました。

でも、昼前には風が止み、ポカポカ陽気に。

この季節では、ベストコンディションの一日になりました。

「フィールドの神様ありがとう!!」 

 

 減水期の四万十川は、水量がとても少なく、流れがグンと細くなってます。

でも、水の透明度はグッド(秋~冬の川は、一年の中で最も水の透明度がよい)。

水に手を浸ける、と20秒ほどで指先がジンジン痛くなりました。

最高気温15度。川面の水温10度。

冬枯れの景色の中、やわらかな光りがキラキラ踊る水面を、カヤックはゆっくりと下ってゆきます。

 

 今回僕らが下ったのは、下流のコース。

川登~佐田沈下橋下流までの約9キロ(中流域に比べればまだ水量が多く、浅瀬で座礁する可能性も低い)。

*近年の冬のアークツアーは、Bコース(口屋内沈下橋スタート)を下る事が多いです。

 

 漕ぎはじめは緊張で笑顔もぎこちなかった二人ですが、

カヤックに、川に慣れてくれば、その笑顔はやわらかさを増してゆきました。

一風変わった大晦日の過ごしかたですね。

2人の素敵なゲストに感謝!!

今日はニューイヤーズイブ。スパークリングワインで乾杯!!



三里沈下橋。

僕ら以外にもカヌーで下ってるグループがいました。



今日は屋形船も盛況ですね。



小さな瀬もあります。



冬の澄んだ空と水

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HAPPY NEW YEAR!!2025

2025-01-01 | ・最新のお知らせ・イベントなど

新年明けましておめでとうございます!!

新しい年が皆様にとって佳き年になりますようお祈り申し上げます。

 

ゲストの皆さん、2024年のアーク・ツアーご利用ありがとうございました。

関係者の皆さん、旧年中はお世話になりました。御礼申し上げます。

アークは、2025年シーズンもオリジナリティ溢れる楽しいツアーを行います。

「四万十川&アークツアー」に、ゼヒ遊びにいらしてくださいね。

四万十フィールドガイド・ARK 代表 佐野 英 

「恐れることなく、ここオークパークにはない人生のすべてを味わうこと。

ここの人生も悪くはないが、外にはもっと大きな世界があって、いろんな感情をもった大勢の人間がいる。

彼らはさまざまな思いを抱いて生き、愛し、死んでゆく。すべてを味わうんだ、シス」

アーネストから姉のマーセリーンへ送った言葉 1919年

「たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日君はリンゴの木を植える」開高健

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