アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

レターフロムS4 1泊2日カヌーキャンプツアー・秋

2024-10-06 | レターフロムS

「レターフロムS4 1泊2日カヌーキャンプツアー・秋」再掲です。

 おだやかな秋晴れの日、3名のゲストと、川下りキャンプにでかけました。*オリジナルツアー

コースは、江川崎~約20キロ(ゲストの皆、27-28キロと言ったけど20キロ位だった、訂正します)。

最初に、出発地点のとろ場で、カンタンにカヌー(カナディアン)の漕ぎ方の講習&練習。

その後、2艇のカヌーに キャンプ道具などの荷物を積みこみ、さぁ出発!

 

 ここしばらく晴天が続いている四万十川は、水量が少ない。

春から夏にかけての平均的な水位よりも、1メーター程水位が下がり、川原も広くなっている。

やせた川は、浅瀬が多く、カヌーはところどころで船底をこすってしまうけど、

秋の川は水も澄んで、水深3ー4メータの川底がはっきり見えるのがステキだ。

 

 高く澄んだ空の下、秋の川岸を彩るのは、ヒガンバナの赤、

セイタカアワダチソウの黄、コスモスの赤い花、オギの白銀。

遠くから、コンバインの軽快なエンジン音が聞こえ、風には、籾殻を焼く匂いが混じっている。

日差しはまだ強く、長袖のジャケットを着て漕いでると汗ばむくらい。

気温は、24~25度くらいだろうか。水温は、川の表面で23、5度。

流れがゆるいところでは、時々川に足をつけながら、のんびりと下ってゆく。

 

  

 

 今回のゲストのうち2人は、動植物の調査のプロ。3人とも野外生活には慣れている。

「あ、ヤマセミが飛んでった!まだ、カジカ蛙がいるよ!」

目線の低いカヌーから、それぞれの視点で、四万十川の自然を楽しんでいる。

出発地から約7キロ地点の川原、そこでキャンプ。

山に日が入り、気温がグンと下がってきた。テントを張り火を起こした。

 

 ゲストがそれぞれの黄昏時を楽しんでる間に、僕は夕食の仕度をする。

今夜のメニューは ・カツオのペッパーステーキ・大根おろしをたっぷり使った鍋・焼きりんご

おだやかな夕刻の川原は、雨、風の心配がなく、虫もほとんどおらず、カイテキ。

焚き火をかこんだ僕らは、ワインや栗焼酎(地酒)を飲みながら、食べ、話し、頭上の星をながめた。

とても贅沢な秋の夜長。

 

 翌朝は、栗ごはんの朝食(我が家の庭先でとれた栗を使った)。

ゆっくりと朝の時間を過ごした後、キャンプを撤収。10:30分出発。

とろ場→小さな瀬→とろ場を漕いで、お昼。

昼食は、狭い国道沿い、川にせりだして建っている小さなうどん屋さん。

店下の川岸にカヌーをつけ、斜面を登り、あたたかなうどんをすすった(現在は廃業)。

 

 昼食後、さらに川を下り、勝間の沈下橋でお茶を飲み、15:00頃ゴール地点の川原に到着。

(スタート&ゴール地点は、季節、水量などにより変更もあり)

「ゲストのみんな、ツアーへの参加どうもありがとう!」

次回は、「焼きリンゴ」もっとおいしく焼きますね。

 

  

 


レターフロムS13 ホタルの川とトホホな海

2024-05-20 | レターフロムS

「レターフロムS13 ホタルの川とトホホな海」再掲です。

 5月の第3週。

日本の南海上を北上する台風の進路がとても気になります。

週末には、ツアーが入っているのです。

こまめに気象サイトとにらめっこをする僕は、その予想進路に一喜一憂。

参加者とフィールドの状況についてメールでやりとりしながら、

当日の四万十川の状態を予想し、ツアー可否の最終判断をしなくてはいけない。

去年、この時期に台風に直撃された川は、

沈下橋が泥水にもぐるほど増水し、まだ小ぶりなアユやホタルのさなぎは流されてしまいました。

 

 台風は、当初の予想進路よりも大きく南の海上にそれそうです。

でも、前線が四国にかかっているため、大雨(雨量)がシンパイ。

ダダッ!ダダッ!

屋根をたたく雨音が強くなる度に、チッ!と舌打ちをしてる自分に気づき、思わず苦笑いです。

いつもは恵みの雨とか言ってるくせに・・・・。

「ドント ウオーリ マイト!」 「ティキリィジィ!take it easy」ですね。

 週末は天気が回復しました。

シンパイした川の水位は、少し高くなったていどですみました(水は笹濁り)。

予想よりもいい状況のフィールドに、ホッとしました。

土曜日のツアーは、空が曇りがちで少しザンネンだったけれど、日曜日のツアーは、バッチリ晴れてラッキー。

最高気温27度。増水した水が残る川の水温は(平水時よりも低く)、19度。

初夏のまぶしい光、すきとおった風、ヒンヤリした水が、心地よいツアーでした。

カヤックから沈脱し川を流れたTさんは、水の冷たさと太陽のぬくさが身に染みる1日となったようですが。


 某日。

四国西南部、大月町柏島の海は、足摺宇和海洋国立公園の一画。

魚の種類も珊瑚も豊かな南国の海は、エメラルドグリーン。西日本人気ナンバーワン、ダイビングスポットです。

今日はこの美しい海で、関西からの修学旅行生達が、釣り、シュノーケル、シーカャックを体験。

僕は、シーカャックのインストラクターとして参加です。

準備段階の昨日は、夏を思わせる晴天だったのに、今日は曇天。おまけに風も吹きはじめました。あらら。

 

 もう1人のインストラクターとして連れてきた友人のテルミちゃんは、

今日がイントラとしてのデビュー戦。な、の、に2日酔い・・・。

青い顔をしてうつむきかげんのテルミちゃん、トホホなのでした。海にエサまかないでね。

240人を6クラスに分け、1クラス40人、各組40分のカヌー体験。

僕は、6~7分でチョー簡単に漕ぎかた、

乗りかた、漕げるエリアを教えたあと、子どもたちをカヌーに乗りこませ、海で遊ばせました。

 

 強い向い風に子どもたちは、すぐに風下に流されてしまう・・・。

わっせわっせと風上に漕いでもどり、ちょっと海とたわむれて、ハイ時間終了~。短っ!!

「主催者は、なんでこんなやりかたするのかな?生徒は楽しいのかな?」

これまたトホホ・・・なのでした。

まあ、大人数の修学旅行生の体験カヌーは、どこもこんなものでしょうけど・・・。

それにしてもここの海はキレイだ。 

今度はプライベートで、カヌーを漕いだり、シュノーケリングをしてのんびり遊ぼう、と思いました。


 5月29日。気象庁は、四国地方の梅雨入りを宣言。

いつもの年よりも、一週間早く四万十に雨の季節がやってきました。

その日の夕刻。友人に用事をたのまれ、上流の大正町まででかけた僕は、

用事をすませた後、帰路、ところどころでホタルの光りをながめました。

今頃がピークなのだろう。本流でも沢山の「ゲンジボタル」の光が舞っています。

水のきれいな支流は、さらに数がおおい。幻想的なホタルの命の点滅に、しばし時を忘れ見入ってしまいました。

 

 それから1週間後。

2人の素敵なゲストが、忙しい都会の日常をちょっと抜け出し、ホタルを見るため四万十へやってきました。

僕らが、黒尊川(四万十川の支流)上流、黒尊渓谷に着くころには雨がやみ、

やがて雲の切れ間から、青空も見えるように。ラッキー!ハッピー!

渓谷の新緑の森のなか、渓流の瀬音をききながら、夕食を食べ、お酒を飲み、夜の闇を待つ。

そして、あたりがしっかりと暗くなると、淡い光りを点滅させながら、ホタルがふわふわ飛びはじめました。

「うわっっ、キレイ!すごい!こんなに光るとは思わなかった」

と、ゲストの2人は、ほとんど初めて見るホタルの幻想的な光りにカンゲキ!

その声をとなりで聞いた僕は、「良かったぁー」とココロからうれしく思いました。

 

 渓谷付近ではホタルの数が少なかったため、さらに下流のポイントに移動。

下流では、数多くのホタルがその美しい舞を見せてくれました(先週のピーク時より数は少ないけど)。

黒尊から本流に向かう狭い道では、たくさんの鹿たちが車の前を駈けてゆく姿も見られました。

黒尊山塊:熊のコル 初夏

熊のコルには、ブナ林が残されてます。

 今宵の川は、ムーンリバーならぬスターリバー。

黒尊川から四万十川に移動した僕らは、星降る川にカヌーで漕ぎだしました。

黒々とした山の稜線にかこまれた夜の川。頭上には、無数の星がまたたいています(ホタル光も)。

ゆらゆらとワイン片手に、ゆるゆると夜の川を下ってゆけば、聞こえて来るのは風の声、パドルの音、野生の息吹。

なんだか別の惑星にまぎれ込んでしまったみたい・・・あまりに幻想的すぎて。

 

 翌日は、黒尊川の清らかな流れとたわむれて、のんびりと過ごした後、昼過ぎに解散です。

短い時間だったけれど(何度か昼間のカヌーツアーに参加しているゲストが)

四万十の夜の自然も堪能できたアレンジツアーでした。Mさん&Yさん、サンキュー!

 

*通常のツアーではナイトカヌーは行ってません(ホタルの季節、満月時などにツアーを提案することはありますが)。

もちろん僕は熟知したフィールドですし、シラフです(念のため。)


レターフロムS12・はじまりはカンガルー大陸・GWツアー・轟沈の初夏

2024-04-10 | レターフロムS

レターフロムS12・はじまりはカンガルー大陸・GWツアー・轟沈の初夏  再掲です。

 谷を吹きぬけるぬくい風が、シイやカシの濃緑の葉を、パラパラと風に散らしてゆく。

常緑広葉樹のうまれたての葉が、春の山肌を赤紫色にいろどっている。

川原の新緑も目にあざやかな4月の半ば、南国土佐の短い春は終わり、季節は長い夏へ。

 

 雨の日は、まだうすら寒いが、晴天時の日中は、夏を思わせるような太陽が照る。

寒暖の差が激しい日々の朝夕は涼しく、虫や蛾も少なく、

焚き火を囲んでキャンプをするには、とても気持ちの良い季節だ。

 

 初夏の甘く薫る風に吹かれながら僕は、ベランダでビールを飲んだ。

CDではスティービーが♪5月初頭にはバラの蕾が開くよ♪と愛の歌を歌っている。

平和なフィールドで遊べる幸せ。でも、もうすぐそこまで「暗雲」がきているのかもしれないけど・・・。

 

 某日。知り合いとその友人2人を連れて、江川崎からカャックで下る。

午前中は雨が残り寒かったが、午後からは晴れてきた。水温19度。

ロールをして水に濡れた僕は、吹く風に体温を奪うばわれ、寒さにブルブルと震えた。

夜は、我が家のベランダで七輪を囲み酒を飲んだ。

面白いコトに、ここにいる全員がオーストラリアのワーホリ(ワーキングホリデー)経験者だった。

僕らは、熱風カンガルー大陸の話で盛り上がった。

 

            

   24000キロの旅

 

             

   川原の石が暖かい

 

 僕が「ガイドツアー」のオモシロ楽しさを知ったのは、

オーストラリア大陸北西部にある国立公園ハマスレーゴージ(峡谷)。

そこで、デイブという親父オージーが行っている「デイブツアー」だ。

その頃の僕は、オフロードバイクにキャンプ道具を積み、

バイトをしながら、シドニーから反時計回りで大陸を旅していた。

ある場所で会った日本人ライダーに「ハマスレーに面白いツアーがあるよ」と教えてもらった。

その話に興味を持った僕は、道中、ハマスレーに寄ることにしたのだった。

 

 ハマスレーの小さな村で、デイブが経営している「ぼろいユース」に泊まり翌日のツアーに参加。

ツアーは、1ディとキャンプコースがある、1ディに参加。

参加者は、同じユースに泊まっていた、イギリス人の男女6人のグループと日本人2人の計8名。

ユースでは、イギリスの女の子達と同室だった。

目の前で堂々と着替えをする彼女たち。僕は大変うれしい反面、目のやり場に困った。

1人の女の子と親しくなった、が、小さな僕は、そのふくよかなボディに押しつぶされそうだった。

うーむ・・・先方の申し出はつつしんで辞退したのであった。

 

           

 鳥に話かけるミスター蜘蛛男

            

  ゴージを進みプールへ

 

 一行はまず、乾いた赤土獏の大地のさけ目にそって、ゴージの底まで歩いて下りた。

底には冷たくきれいな水の川が流れている。流れの脇の岩々をぬうように、そろそろと進んで行く。

ゴージの中は、自然が創ったふくざつな地形の岩場だ。

大きな岩をトラバースしたり、ロープを伝って岩場を登ったり降りたり、

時には、荷物を浮き輪や頭の上に乗せ、流れを泳いで対岸に渡った。

なかなかスリルに満ちているだ、このツアーは。

底の水の流れがプール状になっている場所では、岩場を4~5メーター登り、そこからプールにダイブして遊んだ。

そんな時デイブは、皆が苦労してこわごわ登ってる脇をスルスルとあっという間に登って行く。

そして、皆が来れないような高さの所でひとり嬉しそうに笑っていた。

 

           

 キレイな水とたわむれながらいこう

           

  サイコーに楽しかった一日

 

 「スパイダーマン」というデイブのあだなに一同納得。

ツアーの最後は、天然の岩の滑り台から天然プールへの飛び込み。

地上は乾いた熱風だけど、このゴージの中は涼しく、

底を流れるキレイな水とたわむれるのは、なんともソーカイでユカイだった。

参加者の笑顔が、ピカピカと楽しげに輝いている。

英語のヒヤリングが、イマサンの僕には、このフィールドの自然を解説する

デイブの話は、正直、よく理解できない部分も多かった。

それでもデイブが、ここの自然を「こよなく愛している」コトはよく伝わってきた。

そしてこのオモシロ楽しい体験が、今の僕の元(種)となったのだと思う。

 

「ゴールデンウィーク・ARKツアー」

 ゴールデンウィークも間近となった4月25日~26日。

台風のような激しい雨と風が、四万十を駆けぬけて行きました。

四万十川は、平水時よりも約3メータの増水となる。

うーむ。1日からのツアーは大丈夫であろうか?

「もうこれ以上降らないでくれ!」

天にも祈る気持ちで、僕はテルテル坊主を部屋の中につるした。

その後、雨は降らず順調に増水は引いたが、GW連休の川は、まだ水量多く笹濁りに。

 

             

  また遊びにきてね!

             

   朝食はリゾットです

 

 連休に入ると、いつもは静かな四万十川の川原も、カヌーイストやキャンパー達のテントでにぎやかだ。

川沿いを走る国道(酷道)441号も、県外ナンバーの車がどっと増えた。

こうなると、狭い道(酷道)での対向車とのすれ違いが、なかなかタイヘン。

面白いのは、僕らから見ると

「にぎやかで混んでるなぁー」との印象もゲストの皆に言わせると、

「えっ!これで混んでるんですか?こんなに人が少なくのんびりしてるのに!」となる。

 

 山肌には、黄土色のシイの樹の花が目立つ。

川岸には、四万十に初夏を告げる、トサシモツケの小さな白い花が可憐に咲いている。

 

 1日、空には雲が多く、水に濡れると風がやや肌寒い。

翌2日も天候はさえず、3日~4日のキャンプツアーは、終始雨模様となる。

そして皆が帰った5日には、素晴らしい青空となるのだから、「イヤんなっちゃうね・・・」。

 

            

  雨でちょっとザンネン

             

   今夜はシュハスコ

 

 この数年、GWは増水してたり、天気に恵まれなかったりしている。

ゲストの皆に、初夏の光溢れる四万十川の素晴らしさを、存分に味わって欲しかったのに・・・。

泣く娘と天気にはいつも負けてしまうのでした。

それでも、ツアーに参加してくれたゲストの皆さん、どうもありがとうございました。

これに懲りずに、ゼヒまた四万十に遊びに来て下さいね。

次回は晴れたピカピカに輝く、四万十川を楽しんでいってもらいたいなぁ。

それと、今回のツアーを手伝って下さったスタッフの皆さん。

協力してくださった関係者の方に心よりお礼を申し上げます。

 

「テルミちゃんスペシャルコースに突入す!」

 それは1本の電話から始まった。

「もしもし佐野さん?明日、休みが取れたんで川下りに行きたいのだけど・・・」

電話の主は、時々このレターに登場している四万十の写真屋テルミちゃん。

去年の夏の終わり、それまでのゆるーい流れが多いコースのカヤッキングに物足りなった彼は、

僕と一緒に少し速い流れ(瀬)も多くなる江川崎の上流を漕ぎ、途中の瀬で「轟沈」。

そして、ニガ笑いを浮かべながら川を流れていった。

愛用の高級一眼レフカメラとともに。(閉じ方がゆるかった防水バックは、浸水。カメラはフリーズ・・・)。

*レター3もしくはテルミちゃんのHPをみてね。

今年も懲りずに・・というか、なんとマイカヤックを買う気になったらしい(やったー!パチパチ)。

その計画に1枚かんでる僕が、協力しない訳にはいくまい。

まして、仕事が忙しいテルミちゃんの今シーズン初川下りなのである。

「オッケー牧場!!じゃ明日、9時には家に来てね」僕はさむいギャグを交えた返事をした。

 

 翌日。天気は快晴。車2台で江川崎へ。

江川崎のスーパーで昼食を買い、ここで僕は本日のコースを発表した。

「えー今回は前回よりも上流に行こう。

前回のスタート地点に車を置いてそこが今日のゴール。このコース、

前回よりも瀬が多いけど・・まあ、大丈夫でしょう、なんとか下って来よう」

テルミちゃんの顔が、一瞬ひきつったように見えた。

 

 江川崎カヌー館より約5キロ上流の中半家の沈下橋。

ここにテルミちゃんの車を置く。ここが本日のゴール。

そこから僕の車でさらに上流へ。

川の流れを下見しながら、カャックを積んだ車で上流に向かう。

江川崎より上流は、「川相」も変わる。下流にくらべ川幅、川原もせまくなり山肌を近くに感じる。

川の中に岩が乱立し、水は(瀬は)その間を縫って流れて行く箇所が多くなる。

 

 車を走らせながら今日のコースの説明をテルミちゃんにした。

「今日のコースは瀬が多いからね。1~2級の瀬が多いけど、2、5級の瀬も1ヶ所有るよ。

ゴール近く、奥半家沈下橋直下の瀬には、

瀬の真ん中に沈下橋の橋脚があって、張りつかないように充分な注意が必要だよ」

テルミちゃんは、ぎこちない表情で、僕の話を聞いている。

「迷いは禁物よん。橋脚と橋脚の間のながれをしっかり漕ぎぬけるコト。

以前、ここでファルト(折り畳みカヤック)が、橋脚に張りついてっからね。

僕は何度かこのコースを下ってるけど、細かいところは忘れている。

ヤバそうなところは瀬の手前で止めて、 下見をしてから突入しよう!」

 

 陸路で約15キロ上流に走り、十和村十和温泉の対岸の川原からスタート。

僕らは装備をつけて、カヤックの狭いスペースに荷物を押しこんだ。

テルミチャンは前回、一眼の高級カメラを駄目にしてしまった経験を生かし、

防滴仕様の中古デジカメを用意してきた。

準備をしながら僕はテルミちゃんに聞いた。

「どきどきしてる?」 

「今サイコーに緊張してます。まさか・・前回と同じコースだと思ってたので・・・・」とテルミちゃん。

「Oh!! It's Too Late!!なんとか、がんばって下ろう!」とお気楽な僕。

 

 今日、このコースに、テルミちゃんを連れてきたのには、とても深ーい理由が・・・ない。

ただ単純に、僕がこのコースを下りたかっただけである。

もちろん、僕はかれを連れて下る自信があるからだけど。

しかし、そのおかげで、自分が思いっきり瀬を攻めて楽しむことはできなかったけど。

 

 出発したばかりのテルミちゃんは体の動きがぎこちない。

半年ぶりのカヤック。初めて下るコースだムリもない。ミラーニューロン?思わずこちらも緊張してしまう。

下り始めてすぐに小さな波、1級の瀬。初っ端でまだ体がなれないので慎重に行く。

ストップのサインでテルミちゃんを待たせた僕が、先に瀬に突入!!

そして、瀬の下流でゴーサインを出すとテルミちゃんが下りはじめる。

テルミちゃんは、まだイマイチ真っ直ぐ漕げない

カャック(回転性が良い)にふりまわされながら、必死の形相で下ってきた。

 

 水がゆるやかに流れる区間では、瀬の中でのターン、流れの横切り方、

バランスを崩した時の対処の仕方、などを練習しながら行く。

でも、まずは今乗ってるカヤックをちゃんと真っ直ぐ漕げるコトが大前提なんだけどね。

 

 天気は快晴。気温は25~27度ありそうだ。水温19度。

やや風があり、体が水に濡れると風に体温をうばわれ、さぶい。

川は平水時よりも若干水量多く、透明度は3メータ位か。

沈しそうなんだけど、なんとかふんばって、なかなか沈しないテルミちゃん。

いくつもの瀬をこなした僕らは、コースを半分以上くだり終えた川原に上陸&ランチタイム。

 

 周囲からは人目の届かない川原。

濡れたシャツをぬいだ僕は、パンツも脱ぎすて真っ裸になった。

濡れた物を着てるより、よっぽどあたたかくカイテキだ。

僕は、誰もいない大自然の中で、生まれたままの姿でいることの気持ちよさを知っている。

それを教えてくれたのは、オーストラリア、小笠原、西表島のでっかい自然。

 

 「さあ、コース後半は本日最大の瀬が待っている。気合を入れて行こう」

1~1、5級の瀬をいくつかこなすと、奥半家の沈下橋が遠くに見えてきた。

そこは、白く波立つ瀬の真ん中に橋脚があり、漕がずに流れにのると橋脚にぶつかって沈をする。

そして、へたに横からぶつかると、カャックが橋脚に張り付くおそれもある・・・。

瀬の真ん中の橋脚、その右の橋脚か左の橋脚、どちらかの間に

スバヤク狙いをさだめ、しっかり漕いでクリヤーしなければならない。

(流れを下る時は、艇が水流よりも速ければ、艇がコントロールできる)

 

 僕より少し遅れのテルミちゃんは、流れの右端にいた。

僕は、「右っ!真ん中から右っコース!」と振り向き指をさして叫んだが、瀬音で聞こえないらしい。

必死のパッチのテルミちゃんは、先に真ん中から左を通過してゆく僕と、同じコースをとろうとしている。

「あっちゃー」

流れの速さに負けた彼のカヤックは、左側の流れによせきれず、真ん中の橋脚にバウが激突!

次の瞬間、カャックがゆっくりと横倒しになった。沈!

僕は、カヤックと一緒に流れてくるテルミちゃんをレスキュー。

寒さと恐怖心の両方だろう。陸に上がってからもしばらく、テルミちゃんは震えていた。

 

            

  おおっ、かっこいいぞ!

            

   流されるテルミちゃん

 

 そこからすぐ下流には、本日最大の瀬、通称「茶壷の瀬」がある。

テルミチャンをとろばで待たせた僕は、瀬に近い川原にカヤックをおき、下見をした。

ここは、水路が3つに分かれている、2、5級の瀬。

川が増水すると、瀬の流れが変わったりする事もあるので下見は不可欠だ。

真ん中の水路を行く。

テルミちゃんも必死に漕いで、ここは無事クリアー。

しかし、油断したのか、そのすぐ下流の小さな瀬で、隠れ岩にひっかかり本日2回目の沈。

ひきつり笑いを浮かべ、なすすべもなく流されて行くテルミちゃんを僕はデジカメで撮る。

 

 沈脱すると体力をひどく消耗する。

久し振りに漕ぎ、2回も沈脱したテルミちゃん。

ゴールにたどり着いた頃には、もうヘロヘロで、ノックダウン寸前であった。

「テルミちゃんマイカヌーの進水式は、もう少し下流の(流れがゆるい)ゴールデンコースでやろうね」

これが、今年の初夏のデキゴトなのでした。


レターフロムS11 春の海脱線バナシに花が咲き

2024-03-09 | レターフロムS

「春の海脱線バナシに花が咲き」レターフロムS11(2004年) 期間限定公開中

 早春の陽光きらめく3月半ば。

今シーズンの「アーク・シーカヤックツアー」。その下見で、足摺の海を漕いできました。

車にタンデムのシーカヤックを積み、我が家を出発!

30分ほど南へ走り、中村市内を抜け、R321サニーロードでさらに南へ。土佐清水足摺港を目指す。

 

 左は土佐湾の蒼い海。

明るい春の陽射しとぬくい風が心地イイ、窓を全開にしてのんびりと走る。

海辺の景色がよく、信号も交通量も少ないサニーロードは、気持ちの良いドライブ&ツーリングが楽しめる。

カーステレオから流れるのは、イーグルスの「Take It Easy」。ゴキゲンだね。

 

 道沿いのヤシャブシが、もう芽吹き始めてる。

四万十川沿いでは、やっとヤナギが芽吹き始めたというのに。

冬の土佐清水は、中村よりも気温が2度程高くぬくいのだ、ということに納得。

チャリに荷物を積んだ学生達を何組も追いぬいてゆく。

足摺の岬の先端には、四国八十八ヶ所巡りの金剛福寺があり、国道沿いを歩くお遍路さんの姿も多い。

歩いてゆくお遍路さんに僕は、年上の友人アントニオとふう(大型犬:ロットワイラー)のコトを思い出す。


2021年1月18日。アントニオ(僧侶 望月崇英)は、逝去いたしました。

 

銀座で托鉢 震災犠牲者を弔い続けた僧侶 新型コロナで突然の死 <あの日から・東日本大震災10年>:東京新聞 TOKYO Web

東京・銀座で托鉢(たくはつ)を続け、東日本大震災の被災地で死者を弔い続けた一人の僧侶が、新型コロナウイルス感染症で亡くなった。66歳。...

東京新聞 TOKYO Web

 

 一昨年の夏。

アントニオは、「ふう」と荷物を我が家にあずけ、1ヵ月半かけてお遍路さんルートを歩いた。

僕は、1ヵ月半も大好きな「ふう」と暮らし、遊べ、とても楽しかったし、

お遍路さんを終えたアントニオの話は、めちゃめちゃオモシロイものであった。

・ものすごい大金持ちの、会社社長お遍路さんと知り合った話。

・会社をリストラされ、借金に悩み、死のうと思って四国に来たが、

でも、ふと気づくと、もう4周もお遍路ルートを歩いてるお遍路さんの話。

・お遍路さんを接待してくれる、やさしい人々の好意を悪用する、悪徳お遍路の話など・・・

 

 アントニオは、ARK(アーク)の名付け親でもある。

屋号を決めかねていた僕は、彼に相談した。

すると、当時、米軍基地で働きながら坊さんになるために修行中だった彼は言った。

「ARKがいいんじゃないのー!佐野さん。サンスクリット語で、まあカンタンに言うと、

すべての生命の始まりを意味する言葉だよ。ちなみに、ノアの箱舟の名前がNoah of arkだったと思うよ」

鼓膜にビンビンと響くでっかい声で 教えてくれた。

「ARKかぁー」

僕には、大き過ぎ立派すぎる屋号だ、と戸惑うが、

「佐野さーん。名前は育てて行くものだからダイジョーブだよ!」といわれARKに決定した。

なにがダイジョーブなのか、いまいちよくわからないけど・・・

でも、なんか困ったことや、つらくて落ちこんでいるときは、

アントニオの「ダイジョーブだよ!佐野さん」の一言で元気になってしまう。

ホント不思議な人だ。

 

 話が脱線してますが・・・脱線ついでにもう少しアントニオ(一応日本人)の事を書いちゃいます。

僕が彼に初めてあったのは、四万十に移住する前に勤めていたフィールドワーカーを養成する専門学校。

その実習場がある長野県黒姫だった。

夏の盛り、実習場のミーティングルームで彼を紹介された(ふうも一緒に)。

日に焼けたシワだらけの顔は、彫りが深くまるでネイティブアメリカン。

その顔をクシャクシャとさせて、ニカニカ笑いながら「よろしくー!」と挨拶された。

僕はその時、直感で「この人はなんだか絶対、オモシロアヤシイぞ!」と思った。

いつもひょうひょうとしジョークばかり言ってる彼は、自分の事はあまり喋らない。

けど、仕事&プライベートで付き合っているうちに、そのユニークな経歴がだんだんわかってきた。

 

           

    ふうとアントニオ                サンキュー!ブラザー

 

 ブラックミュージックをこよなく愛する彼は、

本場アメリカでミュージシャンになろうと、大学をやめ、まずはハワイにわたる。

その後、ニューヨークへ。音楽活動&いろいろな仕事をしながら約20年NYで暮らす。

その間に、オートバイの冒険家と知り合い、冒険家の北極、南極、ヒマラヤ、パリダカールなどの遠征に同行する。

僕が彼に出遭った時は、もうニューヨークを 引き上げようか?という時期であった。

 

 アントニオ&ふうと山や渓流釣りに行き、キャンプをするのは最高に楽しかった。

釣った魚を焼き、焚き火をかこみながら彼が話す、NY時代や極地遠征した時の楽しかった話や悲惨な話の数々。

それは、一冊のオモシロ本が書けそうなくらい魅力的なものだった。

アントニオはなにかの専門家ではない。

けれど、冒険家はいろいろな制約(予算や人選など)があるにもかかわらず、

チームの一員として(専門外の)彼を極地に連れて行く。

その理由は、(肩書きなんかじゃわからない)彼に触れた人にだけわかる、不思議な魅力のせいだろうと思う。

「若きの日に旅をせずば、老いての日になにをか語る」。僕は、ゲーテ(だったかな)の言葉を思い出す。

 
 

        

       海の駅

 

 さて、この辺で話をぐぃーんと元に戻してと・・・

土佐清水足摺港にある海の駅で僕は、「マリンショップ・シーサークル」の三谷さんと落ち合った。

三谷さんには、シーカャックのインストラクターとしてお世話になったり、

アークの「シーカヤックツアー」に協力してもらっている。

 

 今年の4月8日で、足摺~高知のフェリーが休止(先だって、佐伯~宿毛フェリーが休止になったというのに!)。

しかし、足摺~高知のフェリーが休止になったおかげで、

今までフェリーの発着場とし使用してきた海の駅の建物の

一角をシーサークルが、ダイビング&シーカャックの施設として使用出来るコトに。

海の駅ベースで・シーカヤックを使った湾内の体験コース・湾外コースなどのメニューが行えるようになった。

今回は、「湾外・キャンプ1泊ツアー」のコースを2人で漕ぐ。

*その後、佐伯~宿毛フェリーは、04年12月15日~再開が決定。パチパチ!

         

    ひさしぶりの海にわくわく          春の海をゆく

 

 海の駅を見学し終えた僕らは、駅の少し西にある港からタンデムカヤックで出発!

水と簡単な食料をつんだ2人艇、前を三谷さん、僕が後ろを漕ぐ。

出発すると、おだやかだった波が、やや高くなってきた。

海の水の透明度はよく、浅いところでは珊瑚がクッキリと見える。

水温19度。西の風。

 

 晴れわたる春の空、みわたす限りの大海原、まるみをおびた水平線。

でっかい空と海の景色をゆけば、気持ちもノビノビとしてくる。

いつもは、山に囲まれ、空がちいさい川を漕いでいる身には。

「そういえば、あのジョン万次郎の数奇な冒険人生は、この海からはじまったんだよなー」

 

 潮やコースタイムを確認しながら西へすすみ、千尋崎の先端をまわりこんだ。

高くなってきた波、複雑な潮の流れに注意し、岬の先端をまわる時は少しだけ気合を入れて漕いだ。

岬をまわり込むと波はおだやかになり、風や波によって浸食された奇岩が見えてきた。

休憩のため千尋崎のビーチに上陸。森に囲まれた小さな湾、小さな砂浜。

海の水は透明で、珊瑚の間をあざやかなブルーの小さな魚が泳ぎまわっている。

夢のように美しい場所に、おんちゃんが2人・・・似合わないのだ。

 

 そこからさらにもう1漕ぎし、弁天島の右側の砂浜に上陸。

砂浜を上がったところが、爪白キャンプ場(竜串)。ツアーはここでキャンプ泊。

芝生のキャンプ場を囲むのは、小さな岬をめぐる遊歩道。シュノーケリングに適したキレイな海。

訪れる人も少なく、静かだ(なにしろ遠いからねぇ)。料金も1泊350円と安い(シャワー有り)。

この爪白キャンプ場は、僕のお気に入りのキャンプ場。

竜串の海が気に入った僕は、ひと夏テントを張って過ごしたことも(四万十川のほとりに移住する前)。

 

 この春イチバン静かで美しい海。

ツアーのゲストにも、気にいってもらえる海とコースだ、と思えた春の海の下見なのでした。

 

       

   キレイやねぇ・・・            静かで美しい海辺         

 

*arkのシーカャックキャンプツアーは、ツアー初日の朝、海の駅に集合。

基本的には千尋崎を回るコースを漕ぎ、途中で休憩&シューケリング。

爪白キャンプ場にテントを張りキャンプ(漕行約7~8キロ)。

夕食は近くの竜串荘で、「飲み放題食べほーだい」を利用。

翌日は弁天島上陸、もしくは近くでシュノーケリングか海遊びで過ごし、昼過ぎに解散(予定)です。

 

*荒天の時、千尋崎の先端の海の状況が悪いときには若干のコースの変更があります。

*料金は 大人1人 22000円(保険 ガイド料 カャック&キャンプ道具込み)

*シュノーケル3点セットは別料金でレンタルできます。

このツアーは5月半ば以降~利用できます(要予約)。

*現在(2023年)このツアーはおこなっていません(リクエストがあれば検討しますが)。


レターフロムS10「春待ちノロマライフ」

2024-02-17 | レターフロムS

書き直しレターフロムS 10 「春待ちノロマライフ」 期間限定公開中

 2月中旬。

激しい南風が、うなりながら四万十を駆けぬけて行きます(春一番)。

冬のひやい北西風にウンザリしていた身には、なんとも嬉しいぬくい南風だけど、

大風は、我が家のベランダの庇(波板)も、吹き飛ばして行ったのでした。あらら。

 

 風の威力は、これまであちこちのフィールドで体験してきましたが、

この四万十川でも、「風のパワーってスゲー!」と驚いたことが何度かあります。

そのひとつは、以前あるカヌー施設でバイトしてた時のデキゴト。

大風の日に、川原にカヌー(カナディアン)&カヤック数艇を置きっ放しにしていたら、

激しい突風が、一瞬にして艇を空に舞いあげた。まるで木の葉でも吹き飛ばすかのように軽々と。

「うわっ、スゲー!空飛ぶカヌーだ・・・」

そして空を舞った艇は、川原のあちこちに、ガシャ、ドスン!と落ち、ガラゴロと転がったのでした。

散らばった艇を集める。一艇のカヌーが行方不明・・・。いくら周囲を捜しても見当たらない。あれれ?

捜索の結果、川まで吹きとばされたカヌーは、速い水(増水してた)に乗り、下流に流された、と判明。

川で遊ぶときは、水かさだけでなく、風の強さにも注意が必要ですね。

 2月18日。

朝の庭は、ピラカンサの赤い実をついばみにやってくる、

・ジョウビタキ・ヒヨドリ・メジロ・シジュウカラで、ぴーちくぱーちくとにぎやかです。

「ホーホケキョ!ケキョ・ケキョ!」。そこにウグイスのさえずりが。おおっ、初聞き!です。

少し離れた電線の上では、一羽のモズが「オイラにはカンケーないけんね」と高鳴いてます。クールですね。         

 

 2月末。

陽ざしたっぷり、ポカポカ陽気の日。最高気温は19度。

今年初、Tシャツ姿で近所を散策しました。

重い冬服を脱ぎすて身軽になると、なんだか気持ちも軽くなるような気がします。

「はやいとこ、Tシャツ&短パン&ビーサンの季節にならないかな・・・」

夏は、短パンいっちょうで外をうろうろしてても特に問題はナッシング。

都会(マチ)で暮らしてると、こうはいきませんね。田舎暮らしの気楽さです。

 

・ウメの薄紅・サクラのピンク(早咲き)

・菜の花の黄色・フグリの青紫・ホトケノザの赤紫・タンポポの白。

じゅんじゅんに咲く春の花が、早春の里山にじこじこと色をつけてます。

樹木の冬芽も大きくふくらんで、本格的な春近し、です。

*じこじこ(土佐弁):少しずつ、ゆっくり

 

 冬のあいだは、カラカラに乾いてたフィールドに、あたたかな雨が降る日も増えてきました。

ひと足はやい春の訪れを感じさせる、恵みの雨。冬から春へ、空もうつりかわっています。

少し水量が回復した四万十川の水温は、15~16度。

1月末の水温は8度なので、ひと月で8度も水温が上がったコトになります。

 

 明日から3月。いよいよ「カヌー&キャンプ」が楽しいシーズンの到来です。

アークでは、昨年度以上に皆さんが楽しめる個性的なツアーをご用意してお待ちしています。

少し足をのばして、四万十に遊びにいらして下さいね。   

 3月初旬

3月第1週は、寒のもどりでひやい(寒い)日が続きました。

7日(日曜日)は、今シーズン3度目の積雪に。

毎年のように雪が降る3月のはじめ。それはまるで、春を迎える儀式のようです。

 3月14日。

春は、ネコの目天気。空は、クルクルとよく変わります。

風向きもかわりやすく、あたたかな南風が吹く日も増えてきました。

13日、14日は、日差しポカポカのぬくい週末。南風。

13日は、春の足摺の海を漕ぎ、翌14日は、春の四万十川を漕ぎました。

13日の足摺の海の様子は(シーカヤックツアーの下見)、次回のレターに、書きます、書きます。

 

 14日朝。カーテンの隙間から差し込む光に、良い天気の予感を感じました。

ポカポカ陽差しのベランダで、のそのそと遅い朝メシを食べ、

だらだらと日光浴をした後、車にカヌーを積み、ようやく出発!

時計を見ると、あらら、もうすぐお昼ではないですか。遅くとも10時には出発する予定だったんだけど。

「また、やっちゃった・・・」どうにかならないかな、このノロマライフ。

 

 江川崎に向かう車中、川べに、モクレンの白い花が見えました。

「ほおっ・・・」

その花の鮮やかさに、思わず車を止めて見とれていると、フイに胸を衝かれてしまいました。

めぐる季節にもう2度と逢えない人を思い出して。

 今回は、カヌー(カナディアンタイプ)を1人で漕いでくだります。

江川崎カヌー館上流の川原からスタート。岩間の沈下橋まで。約8キロ。

 

 スタート地点に到着すると雲は、

今日も出遅れた僕をあざ笑うかのように、空を灰いろに閉ざしまいました。

「しょーがねえべ・・・」。荷物を積んでGO!

気温18度。水温14度。水の透明度は、3~4メーターほど。

3月に入り雨量は増えたけど、川の水量は少なめです。

 

 空は雲っているけれど、寒くはありません。ぬくい南風が心地良い。

芽吹きたてのヤナギの萌黄が、岸べを鮮やかに彩っています。

春告げ木でもあるヤナギ(僕が勝手にそう呼んでいるだけですが・・・)。

今年は、例年よりもすこし芽吹きが早いかな?

このぶんだと、20日開花予想のソメイヨシノも、17~18日頃には咲きはじめそうです。

画像はイメージです。

 大きなウグイや鯉が、カヌーの下をゆうぜんと泳いで行く。

「フィ、フィ、フィ、フィー」

目黒川との合流地点で、カジカ蛙が美しい声で鳴きました。

「もう川の中にも春が来ているのだ。アユの子ものぼってきてるかな?」

 

 菜の花に見送られながら、カヌーはゆっくりと下って行きます。

とろ場(流れのゆるやかな箇所)で、キャンプ用のストーブに点火し、コーヒーをいれる。

「春色の川を愛でながら飲むコーシー。うーん、いいではないか・・・」

水ぬくむ春。あたたかなコーヒー、南風、春景色に、

冬にこわばった「春待ちノロマライフな男」のカラダとココロもじこじことぬくんでゆきました。


レターフロムS・2012 ヒカリの春の川へ

2024-01-21 | レターフロムS

2012年冬のおわりに書いた「レターフロムS ヒカリの春の川へ」です。 期間限定公開中

時々 最高気温8度。

 皆さん、この真冬をカラダ健やかに、ココロ穏やかに過ごせてますか?

巷ではインフルエンザが流行っているようです、くれぐれもお気をつけて。

 

 1月23日に雪山を下りた僕は、24日、無事四万十に戻りました(スキー場バイト終了~)。

マイカーを乗せたフェリーは、広島から、波間に陽光きらめく瀬戸内海をぬけ、松山へ。

海沿いのルート56をダラダラと南下してゆくと、

青空からチラチラと小雪が舞いはじめ、雪は宇和島の手前で本降りに。

やがて辺りの景色は、すっぽりと白いベールにおおわれてしまいました。

「わおっ、雪国じゃん!!宇和島から四万十への峠越え、やばくね・・・」

しかし雪は、峠をぬけるころには小休止。ラッキー!

四万十川のゆったりとした流れを眼下に、ゆっくりと車を南に走らせました。

 昼過ぎに帰宅。

ちょっとカビ臭くなっちまった部屋の雨戸と窓を開け、荷物を片付け、一息つきました。

と、なんだか喉が痛くカラダがだるい・・・むむっ、14年ぶりに風邪をひいたか?

ホットショーチューをぐいぐい飲んで、上半身を毛布にくるみ、コタツに潜りこみました。

 

 翌日。 陽が高く昇ったころ寝床をぬけだした僕は(風邪気はぬけたようだ、ほっ!)

陽だまりのベランダのイスに座り(久しぶりだ)、コーヒー片手にぼおっと景色をながめました。

冬の深く澄んだ青空。キンと冷えた空気。うっすら白く染まった庭と山肌。

聞こえてくるのは、鳥たちの鳴き声、パサパサと雪が落ちる音。

「ああ、四万十に帰ってきた!」

しかし、留守にしてた我が家には、ナニモアリマセン・・・

からっぽの冷蔵庫、からっぽの食料棚。コーヒー豆もきれそうです。

あるのは、つかの間の自由。でもそれは、ナニヨリモホシカッタモノなのでした。

「買い出しにいかなくては・・・」

 のーんびりと午前中の太陽を楽しんだ後は、ジョギングにGO!

走るのは、実に一ヶ月以上振りです。わくわく。

まずは、ゆっくりと路上を歩き、ひさしぶりのアスファルトに足をならし、

そのあとは、注意深くカラダの声を聞きながら、超スローペースで走りました。

カーフェリーが湾内を航行するときのように。

ふかく透きとおった青い空の下、冬の終りの大気が、頬にヒリヒリとちべたい・・・

でも、「2月はヒカリの春」陽ざしの明るさに、強さに、カクジツに近づく春も感じられます。

 雨が少ない冬を過ごした四万十川は、痩せ、広くなった川原を細い流れがぬっています。

川面の水温は、まだ10度前後くらいでしょう。

「春近し、でもまだ、寒さが続くよなぁ~部屋にテントでも張ろうか・・・インドアキャンプだ」

そんなことを考えながらのんびり走ったので、

クワをかついだほっかむり婆さんの自転車にも、あっさり抜かれてしまったのでした。

では。


Letter From S9 真冬の瀬に突入せよ!の巻

2024-01-20 | レターフロムS

Letter From S9 真冬の瀬に突入せよ!の巻  再掲です。

 

 年始は、おだやかでぬくかった四万十も、

1月半ばを過ぎると大気の冷え込みがグンときびしくなった。

大寒の日には、この冬2回目の積雪に。

雪化粧をした四万十川を、冷たく激しい北西風が雪煙を巻きあげて吹きぬけてゆく。

朝、夕の気温は氷点下になりました。

 

 スキマだらけの我が家は、うすら寒い。

部屋の中に2人用の小さなテントを張った僕は、テントにもぐり、羽毛のシュラフにくるまった。

そしてキャンプ用のガスストーブで湯をわかし、お茶を飲みながらマンガを読んだ。

テント内の小さな空間はすぐにぬくもるし、部屋の中でキャンプ気分も味わえる。

ただ、テントから抜けだすのが非常におっくうになりますが・・・。

 

10何年も前。

初めて自分のテントと羽毛のシュラフ(冬用)を手に入れたときも、

うれしくて部屋の中でテント生活をして、母親にあきられたことがある。

テントは代替わりしたけど、羽毛のシュラフはまだ現役だ。

コテンパンに使いこんだシュラフの生地は、色褪せゴワゴワで羽毛もだいぶ抜けて、

へたってしまっているけど、冬の夜の星空の下でも、このシュラフで充分に寝られる。

買った当時は値段がメチャ高かったけど、「やはり野外道具はタフでなければ」と思うのでした。

 

        

   家中キャンプ              南国土佐にも雪がふるのだ

 

 寒さが一段落した1月末のある日。真冬の四万十川上流をカヤックで下る。

ヌクヌクした家を出て、ヒリヒリした時間を過ごし、生きてる手ごたえを感じたくなったのだ。

 

 我が家から車で1時間ほど上流へ(約45キロほど上流)。そこは、十和村上流、通称三島の瀬があるところ。

カヤックで下る7~8キロの間に、2~3級(水量により3~3、5級)の瀬が8~9ヵ所ある。

(以前この区間では、カャックのフリースタイル(ロデオ)の大会が行われたコトも)。

僕は、水があたたかい季節に何度か下ったコトがあるが、真冬に下るのは初めてだ。

最もこんな時期に、ソロでここを下る物好きはまずいないだろう(良い子は真似しないでね)。

もっと下流の、瀬が少ないコースも考えたが、ヒリヒリするような時間を感じたかった。

ゴール地点に自転車を置き、川の下見をしながら、スタート地点の三島の沈下橋へ。

 

 しょっぱなの200メータ区間に、2級、2、5級、2、5級の瀬が白波を立てている。

水量は少なめで瀬にパワーはなさそうだが「沈」はしたくないなぁ。*沈:転覆すること

気温13~14度。水温8度。西風。

水に手を着けると15秒ほどで指先がしびれ、痛く、ガマンが出来なくなる。

「ロールに失敗したらどうしよう・・・」

沈脱したら5分以内に水から上がらないと、体が動かなくなりそうだ。

「ヤバイよ!やめとけば・・・」もう1人の自分がささやく。

ココロの中で弱気の虫がザワザワと騒いだ。

 

 ドライスーツはない・・・。下着は、カヌー用の長袖シャツ&パンツ。

その上に、半そでのウエットスーツ、フリース。アウターは、上下のレインウェア。

レインウェアの足首、袖口、胴回り、首周りを布テープで巻いて水の浸入を防ぐようにした。

なんともカッコ悪いが仕方ない。じっくりとストレッチをした後、カャックに乗りこんだ。

 

        

 よい子は真似しないでね            初っ端の瀬 うーむ・・・

 

 久しぶりのパドリング。沈をおそれドキドキするココロ。

緊張と、ぎゅうぎゅうに締めつけたライフジャケット(PFD)のおかげで、

漕ぎはじめてしばらくたっても、体がスムースに動かない、呼吸も妙にくるしい。

「えーいっ、ままよ!いくぞ!」

覚悟をきめ、速く流れる水流にカヤックを滑らせ、JR予土線鉄橋下の瀬に突入した。

 

 「どおりゃーっ!」2級左カーブの瀬。

瀬の中で梶がきくようにしっかり漕いだつもりが、思ったよりも強い流れに艇をもってかれてしまった。

「ゴツン」艇の横腹が、岩にヒットしてバランスを崩す「オットット・・・」。

「落ちついて、水をつかまえろ!」と自分に声をかけ、次の2、5級の瀬に突っこむ。

ドドドッ!白波がデッキに落ちてくる。水飛沫をカラダいっぱいに浴びる。

「よっ!よっ!よっ!」リズムをとり、波頭をブレードでしっかり捕まえながら下ってゆく。

水の冷たさはまったく感じない。全神経を瀬に集中してるからだろう。アドレナリン、全開!

水温が高いときであれば、カヤックを瀬の巻き返しの波にのせたり

流れから出たり入ったりして、瀬で遊んで行くのだけど、本日はその余裕はナシ。ひたすら真面目に漕ぐ。

 

 「ふぇー」瀬の終わりのとろばにカヤックを入れ一息ついた。

カラダが軽い。先程までの緊張がうそのように。

呼吸が苦しかったのは、布のテープで首周りをきつく締めていたからだった。

「バカだねぇー」僕はテープをはがした。

 

        

   ほっと一息                空も水も青いのだ

 

 コース中盤の2、5級の瀬をブジ漕ぎ抜けると川の流れはおだやかになった。

川の流れの中に突き出している無数の岩。どの岩も先端が侵食されなめらかに丸みを帯びている。

岩を縫うようにカャックは進む。水の中をのぞくが、魚の姿スガタは見えず。

この低い水温では、魚はほとんど動かず、深いところでじっとしてるのだろう。

少し先でカモたちがさわいでる。ウが目の前を横切っていった。

 

 周囲の山々の日陰は、まだうっすらと雪化粧をしている。

岸辺の落葉樹は、すっぴんで(すっかり葉を落として冬芽で)春を待っている。

冬の深く澄んだ空、浅く澄んだ川は、どちらもキッパリと青が濃い。風はキッチリと冷たい。

トロ場のスローな流れに身をまかせた僕は、カヤックの上でのけぞって冬ブルーの空をながめた。

ヤッホーッ!!今、このイカシタ時間はジブンだけのもの。

なんとも言えない充足と開放感!!胸の奥まで清々しくなってゆくようだ。

そして思う。ああ、そうか、ビールを積んでくればよかった、と。

 

        

    大材の瀬                ジュージツのひととき

 

 瀬は真面目に漕ぎ、それ以外は景色を愛でながらのんびりと下る。

流れが狭まり、「ゴーッ」前方からイチダンと大きな瀬音が聞こえてきた。

大材の瀬だ。流れの真ん中、やや右側に大きな岩がある。しっかり漕いで、大岩の左側を通過。

 

 下り始めて約1時間、もうすぐゴールだ。空を見あげて、ほっと安堵の息をついた。

真冬の瀬に突入した今回の川下り。

水も風もひやい冬の川は、カラダをすっかり凍えさせたけど、

手ごたえのあるヒリヒリした時間に —豊穣な孤独に― ココロは、じわじわとぬくもっていった。

 

        

  大正町 無手無冠             栗焼酎 ダバタ火振りが有名です


レターフロムS19 初冬の山から晩秋の川まで

2023-11-27 | レターフロムS

レターフロムS19 初冬の山から晩秋の川まで 再掲です

 

 「ハァッ、ハァッ・・・フゥーッ」

荒い息を吐きながら、高度差約150メーターの急な斜面をゆっくりと登っていく。

三本杭山の頂上は、もうすぐそこ。

急斜を登りきると、それまで頭上をおおっていた木々がなくなり、ゆるやかな起伏の広々とした場所に出た。

そこは、三本のたるみと呼ばれる鞍部。登山道の分岐。

左手にちょこんと三本杭の頂上が見える。あと5分ほどか。

もう一方の道は、御祝山を経て、滑床渓谷へ抜けるルート(所要2時間30分)。

クマザサとアセビの間を歩き 、三本杭の頂上へ到着。標高1226メーター。

突き抜けるような青空の下、ヒュウ―、鋭く冷たい北風が僕を迎えてくれた。

 

 おだやかに晴れた11月20日。

紅葉の黒尊渓谷&冬芽の黒尊山塊、三本杭山(滑床山)を歩いてきました。

黒尊スーパー林道(全面舗装)八面山登山口に車をおき、入山。

大久保山、八面山(1165メーター)、熊のコルを経て三本杭の頂上へ。所要、約1時間30分。

三本杭山が遠くに見える

熊のコル 冬芽の尾根をゆく

 分岐 もうすぐ頂上

              

三本杭山頂上

 

 西の海で鈍く光っている宇和海。南と東に土佐の山並み。北側には伊予の山並み。

頂上からぐるり360度開けた眺めがスバラシイ。うーん、いい気分。

 
 冷たい北風をさけ、南東の斜面に腰をおろし、黒尊川源流の水で茶を入れ、おにぎりをほうばった。

頂上には僕の他に5~6組の登山者の姿があった。

尾根のブナ、カエデ、ミズナラの落葉樹達は、すでにその葉を落とし冬芽で遠い春を待っている。

時折、ビューと突風が吹きぬけてゆく。ほほや耳に染みる風の冷たさに冬の到来を感じた。

 

 ♪フン、フン、フン♪
 
頂上をあとにした僕は、鼻歌を歌いながら冬枯れの尾根を歩く。

歌は「もりのくまさん」。今年は、日本のあちこちで熊が里に出没し問題になっている。

でも、この辺りの山には、もう熊(ツキノワグマ)はいない。ザンネン!

鯨は、豊かな海のシンボル。熊は、豊かな森のシンボル。
 
 
 下山し黒尊渓谷へ。渓谷には紅葉を見に来た人達の姿がチラホラとあった。

今年は例年に比べて、色付いた葉が少なくイマイチ派手さがない(台風で散った)。

木の実などの堅果類も全体的に少ないようだ(これも台風で落ちた)。

ぼんやりと紅葉を眺めてたら、何故かおばちゃんにつかまってしまった。

僕はおばちゃんに、ブナの木やこの辺の自然について話す。それは、なかなか楽しいヒトトキでした。

 黒尊渓谷

 

 カヌーの船首を白波に突っ込んだ。

「ザブン、ザブン」船体が大きく上下に揺れ、船内に水飛沫が飛んでくる。

汗をかいた体が一気に冷えてゆくようだ。イヤッホー!気持ちよさに思わず声がでる。

岩などの障害物にぶつからぬよう、パドルでしっかり舵をとり、瀬を下ってゆく。

流れのゆるやかなとろ場に出た。缶ビールを取り出した。ムフフ・・・。

「プシュー。ウメーッ!」

カヌーの上で仰向けになった僕は、蒼い空と地味な紅葉に染まる山を眺めながらビールを飲んだ。

ザブンザブン

透明度高し

 

 11月の終りの四万十川。晴天。北西のゆるい風。気温17度。

あまり服を着込んでいないけど、陽のあたる水面を漕いでるとカラダが汗ばんでくる。

日陰に入る、とヒンヤリした風が心地良い。川面の水温14度。あまり沈はしたくない水温だ。

 

 減水期の川の水量は少なく、水位は、春~夏の平均的な水位よりも約1メーター程下がっている。

浅瀬が増え、ところどころでゴツゴツとカヌーの底をこすってしまう。

水の透明度は高く、約5メーター下の川底が見える。

水温が下がる秋~冬の川は、微生物の活動がにぶくなる。それが水の透明度が高くなる要因のひとつ。

 

 瀬に突入、入り口の浅いところは、水がないように錯覚してしまうほど透きとおっている。

まるでカヌーで空を飛んでるかのよう・・・わおっ、空飛ぶカヌーだ!(ちょっとおおげさですね)。

冬は苦手です

 

 「キャラ キャラ」ヤマセミが水面すれすれを滑るように飛んでいった。

警戒心が強い彼らを本流で見るのは3回目。

カメラを構えて、そーっと近づいてみるが、もう少しで撮れそうなところで前方に逃げられた。

再び、そーっと寄っていくが、また前方に。晩秋の川でヤマセミとおいかけっこだ。

カワガラスが尾っぽを、ブルブルふるわせた後、水の中に潜っていった。

 昼間でもヤカン

 

 秋の早い日暮れの川原で、焚き火を起こした。

先日の大水のおかげで、川原には流木が沢山ある。

川原に腰をおろした僕は、焚き火料理をつまみに、栗焼酎のお湯割りを飲んだ。

やがて、東の空から大きな丸い月が昇ってきた。月昇る谷。

まるで今、流域で熟れているブンタンのような色と形の月。この月を「ざぼんの月」と呼ぶのかな?

 

 そろそろ(秋の透明度よい川と自然を楽しめる)カヌー&焚き火キャンプのベストシーズンも終了~。

12月に入ると、川は冷たい北風が(木枯らしが)ビュウビュウと吹きはじめます。

冬でも、カヌーで下れば、冬の川にしかない風、水、景色が楽しめますが。

では。


レターフロムS5 秋の黒尊川をカヤックで下る 

2023-10-07 | レターフロムS

レターフロムS 5  「秋の黒尊川をカヤックで下る」  期間限定公開中

 

 ♪季節はずれの台風顔負けの低気圧が、窓や屋根に雨をたたきつけて荒れ狂っている♪

10月13日。平水より2、5メータほど水位が上がった四万十川は、

コーヒー牛乳色の水が、グングンと速く流れている。

14日も小雨が降り続いたが、川の水位は下がりはじめている。

15日。晴れ。四万十川は、平水よりも1、5メータの増水。水の色は、モスグリーン。

 

 15日。朝。今日は、「黒尊川を下ってみよう」と思い立つ。

平水時の黒尊川は、カヌーで下れる程の水量はない。

しかし、「増水した時には、スリルのある面白い流れになる」と、以前知り合いから聞いていたのだ。

まずは、たまった洗濯物を2回戦、部屋の掃除をすませた。

そして、ボンヤリと空をながめ、ベランダでお茶を飲み、

弁当を作り、カャックを車につみ、11:20分、よーやく出発。

9:30には出たかったのだけど・・・「うーん、また遅くなっちまった。まあ いいか!」

 

 黒尊川は、四万十川中下流域の口屋内村で本流に合流している、水の透明度がよい支流。

黒尊川沿いのせまい道路を上流に向かい、小1時間程走ると黒尊渓谷に着く。

このあたりにはまだ自然林が残されている。秋には落葉樹の紅葉がなかなかキレイなところだ。

その中流域5~6キロの区間をカャツクで下る。

 

 スタート地点の川原にカヤックと装備をドロップ。

その後、ゴール地点に車を置き、チャリでカャックを置いたスタート地点へ戻る。

(道路上から見える範囲内で)川をチェックをしながら、チャリを走らせた。

下る区間には、狭い流れの岩と岩の間を縫うように、白波が激しく流れる瀬が多い。

「うーん、思っていたよりも水量が少ないなぁ。でもまぁ、やってみっか」

気持ちの級数は、ドキドキ度「6」ワクワク度「4」といったところか(10点満点として)。

 

 天気は快晴だけど、狭い川(幅4メ-ター位)の脇には、山がせまり、

木々におおわれた頭上の空は小さく、川面を照らす日差しは少ない。

水温17、5度。薄手のウエットを着たけど、「沈脱はしたくないなぁー」。

増水で濁っている四万十川本流、でも支流の黒尊川は、水深3メータの川底が見えた。

 

             

    どこを通るかな?

               

    どどどっ

 

 狭い川を下り始めると、ほぼ50メータの間隔で瀬があらわれた。

岩と岩のあいだを縫うようにスバヤク走る、白波。

岩に張り付いたり、落ち込みに吸い込まれぬよう瞬時に方向をきめ、流れよりも速く漕ぐ。

瀬の中では、流れよりも速く漕がないと、艇のコントロールが出来ないのだ(舵がきかない)。

やばそうだと思った瀬の手前では、カヤックをとめ、下見をして突入!

右に左にするどくターンを入れ、落差のおおきい落ち込みでは、頭から波をかぶり通過。

「ふぃーっ、忙しいっ!」

 

               

     連続する瀬

 

 ある落ち込みで、右側にせり出した、デカ岩に右肩をしたたかにぶつけ、

こらえきれず「沈!」何とか、ロールで起きあがる。

全体の流れが浅く速い所では、カヤックの底をゴツゴツとこすってしまう。

すこし弱い流れに気をゆるめ、ボンヤリと他のことを考えていて、「あっ」と気がつけば、時すでにおそし・・・。

イヤラシイ流れに吸い込まれた艇は、岩を避けきれず、またまた「沈!」ひっくり返ったまま流される。

天地がさかさま、だ。

「コツ・コツ・コツ」水底の石にあたって鳴るヘルメット。

水中で目を開けると、頭上スレスレを川底が流れていくのが見えた。

浅い水中でロールをすれば、ガツン!起きあがる時にパドルが川底をたたく。

なんとか起き上がり、一息ついていると、「キャラ・キャラ」ヤマセミが前方の水面を飛んで行った。

 

      透明度はグッド

 

 約1時間漕ぎ、車を置いたゴール地点着。濡れた体に秋風が冷たくしみる。ぷるぷる。

短い距離だったけれど、よい体験ができた今回の川下り。それは、秋の川のグッドタイム。

僕のココロの地図に、新たな黒尊川の時と流れが刻まれた(うわっ、さぶっ!!)。                           


レターフロムS 番外 仁淀川純情? 後編

2022-08-26 | レターフロムS

レターフロムS 番外 仁淀川純情? 後編 期間限定公開終了

 

後編

(前置きが長くなったけど)ようやくパドルを仁淀川の水の流れに入れる。

川面の水温25、5度。

気持ちが高ぶっているのだろう。漕ぎ方がなんとなく、ぎくしゃくしている。

おおきく深呼吸をし、あらためて周囲の景色を見わたす。川からは越知の家並み、学校などが見えた。

周囲の山々より頭ひとつ抜けだしているのは横倉山。

学校の体育の時間かな?橋の上をジャージ姿の高校生が駆けてゆく。

川のうえから「ヤッホー」と声を掛けると、ちよっと驚いた様子で、でも手をふって応えてくれた。

スタートしてしばらくは、川幅がせまく水深が浅い区間が続いた。

水の透明度は高くとてもキレイだ。

「カンゲキ!!」

 

  あまり漕がず、川に手をつけたりロールを繰り返してキレイな水と戯れる。

(ロール:ひっくり返って起き上がって来ること)

残念なのは、水中眼鏡をカヌーに積むのを忘れたこと。 ビールとつまみを忘れたこと。

 上流にダムがあり、周囲に小さいとはいえ町があるのに、なんでこんなに川の水がキレイなのか?

あれこれ考えながら下ってゆく。

 

            

     下ってしまうのがもったいない?      

      

        鮎をしゃくるおんちゃん

 

  川は越知町を抜けると、山々の間を縫うように流れて行った。

 周囲を山に囲まれた家々が、山肌にへばりつく様に点在している。

山には、ヒノキやスギの植林の濃い緑。シイやカシなど広葉樹の枯れたような緑が混在している。

町のざわめきを離れれば、川は自然のにおいが濃厚になってきた。

 

 瀬があるところには、ポツリ、ポツリと鮎釣り師の姿があった。

下り始めの頃は、川幅も狭く、釣り師に声を掛けたり、話をしたりした。

しかし川幅が広くなってきてからは、大きく流れを迂回したり、

続きは、カテゴリー「レター&旅雑文」でご覧になれます。


レターフロムS 番外仁淀川純情?  前編

2022-08-24 | レターフロムS

 

 

 

レターフロムS 番外仁淀川純情?  前編 期間限定公開終了

今回のレターは、番外「仁淀川純情?編」です。*データーなどは2004年当時のものです。

 

 仁淀川は、四国山地を蛇行して流れ、高知市の西で土佐湾にそそぐ142キロの川だ。

源流は、愛媛県にある四国の最高峰、石鎚山(1982m)。

この川の中流部にはダムが多い。しかしダムから下流でも水質がよく、景色もよいということで

最近では、カヌーツーリングを楽しむ人達もふえているそうだ。

(四万十川よりも水の透明度がよい、という話はよくききますが・・・)

ちょっと前に僕は、この川でキャンプして、川遊びをしたことがある。

その後、「カヌーで下って遊んでみたい」と思って再度出掛けたのだが

「天候不良&増水」によって2回程断念していた。

今回は、まだ日差し強く、水温が高い時期に下ろうと、車にカヤック、キャンプ道具、自転車を積んだ。

 

 8月31日。午前11時、家を出発!

空は霞がかかった晩夏の青空。気温30度。

土佐湾を右手に、気もちのイイ海風を感じながらルート56を東へ向かう。

車中、初めてパドルを入れる仁淀川の事を想像しワクワクするが、

同時に、今回ソロで下るので、ここち良い緊張感もある。

まるで初めてつきあった女の娘と、初めてデートする前の時のような気分。

ちなみに、初デートは2人で映画を観に行った。

けれど、緊張のあまり僕はまるで覚えちゃいない、映画の内容や、なにを話したかを。

「ウブだったんだねー」

 

 四万十から東へ110キロ走り、仁淀川中流の越知町へ。

越知町よりやや上流に、四国電力の筏津ダムがある。ここから下流にはダム及び堰堤はない。

今回は、2日かけて越知町~伊野町仁淀橋までの約30キロを下る予定。

続きは、カテゴリー「レター&旅雑文」でご覧になれます。