新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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誤った放蝶

2008-04-06 18:11:55 | アウトドア
カメラを抱えて一人で歩いていると、色々な人に会います。元来ハイキングや登山も混雑を嫌う私は、同じ頂上に行くにも裏道とか脇道からのコースになります。

それほど人に会わないのですから、おかしな変な人以外は当然挨拶して口を利く事になります。

先日も早朝林道を歩いていますと、網を持った中年の男性がいました。シジミ蝶を採ったところでした。十年位前、数年に亘って蝶の採集に凝ったことがあり親しくなりました。

蝶の調査をしている人らしく丁寧に説明をしてくれます。それで私も、どの程度蝶に凝っていたかを説明をしました。早春のこの頃まず最初に出てくるのはテングチョウで、それが始めて捕まえた蝶だとか、一科で1種類の蝶であることに感激したとか話しました。

なんとなく私は鳥を、その人は蝶に目をやりながら林道を歩くことになりました。

ギフチョウの話になりました。5月のまだ寒い山の中でセーターでギフチョウを捕まえたと話したときにこんな話を聴きました。

『善意からでしょうか、ギフチョウを飼育して放蝶している人がいるのですが、他府県で採取したギフチョウを育てて、この県で放蝶している。遺伝子が混在してしまって困っています。』

解説いたしますと。ギフチョウには2種類いまして、ギフチョウとヒメギフチョウです。大変よく似ているのですが、それぞれが住み分けをしています。その境目をギフチョウの学名をとって、ルドルフィア・ラインと読んでいます。

ですから異なる地域のチョウを移動されると当然、種の混在が発生されるわけです。遺伝子に混乱が発生します。このような問題は以前から他のチョウでも言われており、例えばオオムラサキがが突然従来はいなかった都市部に現れたりすることがあります。

ブラックバスを自宅に近くの池や湖に放流してしてしまう人がいますが。同じ様な問題を抱えています。

チョウの採取から、ステップアップとしてチョウの飼育に入る場合があり、子供の自由研究でチョウの飼育もあります。

でも、種の遺伝子に影響を与えるような飼育はやめて欲しいものです。少し考えればわかることですが、自分の感情の要求するまま誤った趣味に走る人が多いのも事実です。

ですから山の中で、一人で歩いているときに、出会った人と話すときは気をつけねばなりません。見て見ぬ振りをしないと怖いときがあります。

でも最近は、立て続けにいい人に二人お会いしたことを報告しておきます。
コメント
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