新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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内田康夫「風の中の櫻香」

2010-12-08 18:02:22 | 読書
今年の春の内田康夫の3連続出版から、久し振りの新刊です。
発売日に気が付いていたのですが、尼寺が舞台という事ですぐには飛びつかなかったのです。優しいミステリーかと思いまして。

物語
奈良の由緒ある尼寺に5歳で養女に迎えられた少女・櫻香。彼女が中学生になった頃から、周りでつぎつぎに不審な出来事が起きます。尼僧からの依頼で例の通り浅見光彦が謎を追っていきます。

まず最初に驚いたのは、あの有名な「如意輪観世音菩薩(半跏思惟像)」の門跡尼寺・中宮寺が舞台になっていることです。もちろんお寺の名前は変えてありますが、御本尊が実名で書いてありますし、日野西光尊門跡が実名で登場されます。

特別な世界である尼寺を舞台にして、門跡も実名で登場され、内容のチェックや取材協力まで受けられるとは、作者の今までの作品の質と実績を評価されたからではないでしょうか。

内容についてはその事情からそれ程複雑なストーリーでもなく、極悪非道な犯人も出てきませんが、読了感はすがすがしいいい気持ちにさせてくれる作品です。「明日香の皇子」もそうですが、この作家のこの種の作品は好きです。
コメント
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