今回は、現在までその後継機が作り続けられている名機中の名機をご紹介いたします。
今から25年ほど前は、どの機体も性能を追い求めて、重量もコントロールも重くなり、ハンググライダーが扱いにくいものとなっていました。
そんな風潮の中、その反対に、軽くて扱いやすいグライダーを目指して開発されたのが、このSPORTだったのです。
SPORTは軽量化のために、7075アルミを採用し、他のグライダーよりも10Kg近く軽く仕上げ、しかも、コントロール性も軽く、飛ぶことにストレスを感じさせないグライダーでした。
その割には性能もそこそこ良く、日本で初めて100Km以上のクロカンを成功させたのもこの機体で、一度ですが全米のチャンピオンに輝いたこともある名機です。
それまでのグライダーは性能本位でコントロールが難しくなりすぎていたのですが、このSPORTは軽いコントロール性を生かし、小さなサーマルでもうまく上げられ、そして、「浮き」の性能自体も良かったため、大会ではガーグルの一番上に立つことが容易であったことなどから、このような成績に結び付いたのです。
SPORTが発表されて以後、明らかにその後のコンペ機の流れが「性能本位」から、「コントロール性を生かしながらも高性能」という流れに変わってしまったように思えます。
SPORTは全世界で爆発的な人気を誇り、ウイルスウイング社はこの機体の成功で、大きな企業へと成長することになりました。
ちなみに‥。
当時のSPORTは性能は良いものの、日本人にとってはフレアーが効きづらく、スターティックバランスもテールヘビーであったことが欠点でしたが、これらはすべて、このSPORTがアメリカ人を主体に開発されたためで、フレアーが効きづらかったのは、アメリカ人の体のサイズに合わせたから、テールヘビーもアメリカ式のテイクオフ方法(後日、ご紹介する予定です。)に合わせたためのものでした。
現在は、ウイルスウイング社もその辺を改良し、日本人にも扱いやすいグライダーを作るようになりました。