千姫のたたずむ化粧櫓を出て、天守方面へと向かいます。
西の丸から見た天守群は、当時はりきって大修復中!
中には入れないうえに、「白鷺」と称される姿をも見せてはくれません。
しかし、姫路城の素晴らしさは天守のみにあらず!
天守へと向かえどもなかなか行けない、複雑な縄張りもまた、大きな魅力なのです!
通称・「将軍坂」。
時代劇でよくでる登城シーンは、ここで撮影されるそうです。
なだらかな坂ながら、白漆喰の塀で囲まれており、大軍が一挙に進めない構造になっています。
これら「将軍坂」を取り囲む塀も【国指定重要文化財】です。。
先には、はの門【国指定重要文化財】が構えています。
はの門の右柱には、灯ろうの台座が使われています。
築城のおりに石材不足をまかなうため、とにかく石製の物を用意する。
このような転用石は各地の城郭でも見られ、ここ姫路城も例外ではありません。
はの門を入って正面に見えるロの隅櫓【国指定重要文化財】。
城門は「い・ろ・は・に・ほ・・・」とひらがなの付番であるのに対し、隅櫓は「イ・ロ・ハ・ニ・・・」とカタカナ表記になっているようです。
それだけ城門も櫓もよく残っているという証でもあります。
天守へ向かうには、はの門の正面であるロの隅櫓・・・
ではなく、門を出てすぐ右に曲がらなければなりません。
まさに迷路、そして行軍の勢いは大きく削がれるでしょう。
そして・・・
いかにも怪しげなにの門【国指定重要文化財】。
天井が低いので、長槍をもつ足軽は通過に苦労しそうです。
そして門をくぐると、伏兵のスペースがあります。
「白鷺城」なんてみやびな名前で呼ばれる姫路城。
しかしその実は、攻められるものなら、かかって来い!!
と言わんばかりの、戦に対する備えが満載の城塞なのです。
いよいよ天守は目の前。
左が乾小天守【国宝】、右が西小天守【国宝】。
中央の櫓はニの隅櫓【国指定重要文化財】。
そして巨大な「鳥籠」の中には、修復中の大天守【国宝】が鎮座している。
天守に向かうには・・・
ほの門【国指定重要文化財】を通らねばなりません。
この低さ。当然一兵ずつでないと通ることはできません。
さらにくぐった先は上り坂。
攻めてくる兵を多人数で取り囲めるようになっています。
守兵はくぐってきた敵兵をひとりずつ長槍で串刺しにする・・・こんな門、絶対先頭でくぐりたくはありませんなぁ。
画像左側、つまりほの門をくぐって転回すると見える水一門【国指定重要文化財】は、天守への近道になります。
白漆喰の塀の中で、ほの門付近だけにある壁は油壁と呼ばれます。
粘土に豆砂利を混ぜ、米のとぎ汁で固めたものといわれ、羽柴秀吉の築城の名残だといいます。
水一門の向かいにある「姥が石」も秀吉ゆかりのものだといいます。
羽柴秀吉が軍師・黒田官兵衛のすすめで姫路城を改修した際、石不足に見舞われました。
このとき、貧しい老女がなけなしの石臼を差し出したといいます。
この話が領民に広まり、皆がすすんで石材を差し出し、石垣が完成したのだといいます。
天守はすぐ目の前なのに、天守への入口がなかなか見当たりません。
というのも、天守の周囲を回らなければ、入口にたどり着かない縄張りになっているのです。
次の門、への門【国指定重要文化財】。
への門から先は入れず。
水一門も封鎖されているので、ここで登城断念・・・。
姫路城は、播磨守護・赤松則村が1333年にとりでを築き、その子・貞範が1346年に城を構えたことに始まります。
その後、家臣の小寺氏、黒田氏が守っていた。
小寺氏の家臣であった黒田官兵衛孝高は、主家ともども羽柴秀吉に帰順しました。
秀吉は、姫路を西国攻略の本拠地とし、1581年に改修、天守を完成させました。
その後、秀吉の弟・秀長、秀吉の一族・木下家定が城主を務め、関ヶ原の戦いの後は池田輝政が入封しました。
輝政は、8年の歳月を費やして改修、拡張し、現在の天守を築きました。
池田氏3代の後は、本多忠政が入封し、長男・忠刻とその室・千姫のために西の丸を整備し、現在の姫路城の姿となりました。
その後、城主は松平氏、榊原氏、酒井氏と変わり、明治維新を迎えました。
1993年12月、姫路城は法隆寺地域の仏教建造物とともに、ユネスコの世界遺産委員会で、わが国で初めて世界文化遺産に登録されました。
一方、私は二の丸まで戻り、裏ルートにも回ってみました。
二の丸からぬの門【国指定重要文化財】をくぐって振り返ってみました。
この「上山里」という曲輪には、「お菊井戸」という井戸があります。
「いちま~~い・・・にま~~い・・・」の怪談で有名な、お菊にまつわると井戸といいます。
「お菊井戸」の先にあるりの門【国指定重要文化財】。
・・・無念の退却。
退却には、目立たない
敵が攻めてきたときは、ここに土を埋めて入れないようにするものです。
最後に、三国濠越しの化粧櫓を仰ぎ見る。
入口近くの売店で絵葉書を買います。
石垣に上がって、係のおじさんに注意されながらも小ネタを挟み、
入口に戻っていきました。
100名城スタンプは、入口付近の管理事務所にありました。
59番、姫路城!
11時20分ごろ、姫路城を後にしました。
姫路城・再訪編へ。