漁師町・境港で海の幸を堪能し、
いったんJR境港駅に戻ってきました。
境港駅は、水木しげるロードのスタート地点。
すなわち、妖怪の国の玄関口。
人間どもは鳴りを潜め、妖怪どもが動き出す夜に、水木ロードの「真の姿」を見て回ろうではありませんか。
駅出入口のすぐ脇に、最初のブロンズ像があります。
「水木しげる先生 執筆中」というこの像では、水木しげる先生の執筆姿を、左右で鬼太郎さんとねずみ男さんが見守っている、なかなか微笑ましい画です。
ちなみに、ねずみ男さんのいる左側が米子方面。
ねずみ男=米子駅、鬼太郎=境港駅という配置になっているのもおもしろいですね。
そのお隣には、鬼太郎ポストが立っています。
ここでは、鬼太郎さんは一反木綿ではなくハガキにまたがっていますね。
「ゲゲゲの鬼太郎」では、「霊界ポスト」に投函して鬼太郎宛てに手紙を送ることになっていますが、こちらは日本郵政のいたって普通のポスト。
これに投函しても、普通に信書が届きます。
境線の線路に沿って置かれている、妖怪の暮らしぶりを描いたレリーフ。
その中の1枚、「妖怪学校」。
「妖怪のかきかた」・・・つまりは読み書きを講義しているのでしょうか。
「世わたりの講義」・・・妖怪さんだけでなく、私にもぜひ教えていただきたいですなぁ。
駅前広場は、世界妖怪会議の議場となっています。
妖怪会議の石碑から時計回りに、日本代表、ヨーロッパ代表、南方代表、アメリカ代表、そして中国代表が着席しております。
わが国代表は、ご存知鬼太郎氏と目玉の親父氏。
ヨーロッパ代表は吸血鬼エリート氏、おそらくはドラキュラ伯爵と同じくルーマニア出身でしょうか。
南方代表はアササボンサン氏、西アフリカの吸血鬼です。
アメリカ代表はバックベアード氏、目玉の親父氏と同じく眼球の妖怪です。
中国代表は女夜叉氏、男をだまし鬼より怖いといわれています。
おやおや、会議が紛糾しているのでしょうか。
日本代表がいたくエキサイトしておられます。
・・・おかげで、会議は静粛と取り戻したようです。
駅前広場の街灯は、もちろんあのお方。
こちらの画像を柏にいる女王様に送ったら、「夢に出そう」とおっしゃっていました。
トイレの標識も鬼太郎仕様です。
でも夜の公衆トイレって、入るのに勇気が要りますよね。
ましてや、ここは妖怪の国ですから・・・。
駅ロータリーから、水木しげるロードはスタート。
河童の三平と、河童のカン平とタヌキ。
水木先生の第3作・「河童の三平」のキャラクターが続きます。
ひょうきんな顔をしていますが、この方はなんと死神。
「河童の三平」で登場し、「ゲゲゲの鬼太郎」にもゲスト出演しています。
人間の魂を運ぶのがお仕事なのですが、成績はよろしくなくリストラ寸前なのだとか。
ホウキを持ったねこ娘にも見えますが、こちらは魔女の花子さん。
河童の三平たちを助けてくれる、頼れるお姉さんみたいな存在だそうです。
水木ロードを進んでいきますよぉ。
「道路は右側を歩きましょう」という道路交通法に従い、水木ロードの右側を歩いていきます。
ということで往路は、水木ロードの南側を歩くことになりますね。
ちなみに「右側を歩く」必要があるのは、歩道のない道路を歩く場合に限られます。(道路交通法第10条)
街路樹は異形の姿・・・さすがは妖怪の国です。
丸っこい妖怪・丸毛さんです。
真ん中の丸毛さんに刺さっているのは、オノ? クワ?
なんかエグイ構図だなぁと旅行当時は思いましたが、そうではなく小銭なのだとか。
そして口は真上にあり、中央の丸毛は小銭を口に入れています。
普段は貯金箱に化けて小銭を貯めこみ、いっぱいになるととんずらしていくのだそうです。
また人間が貯めた小銭を取り出そうとすると、丸毛は小銭を取られまいと人間の指に噛みつくのだとか。
見た目のまんま、ダルマさん。
「ゲゲゲの鬼太郎」では妖怪として登場し、お腹から子ダルマを出して戦います。
この子ダルマ、じつは本体の内臓が変化したものなのだそうです。
そのため、心臓を変化させた子ダルマが攻撃を受けてしまうと、ダルマさんは全体が弱体化してしまうのだとか。
水木ロードを歩き、最初の信号交差点にて。
こちらのねずみ男さん、なんと等身大のものだそうな。
・・・顔、でけぇな~。
ねずみ男さんと信号を挟んで向かいにあるお店は、「三平茶屋」。
ここは夜も開いていたので・・・
オヤジ水! 普通の水。
ペットボトルがとっても印象的なオヤジ水は、410円。
当時40手前のオヤジが、オヤジの水をガブ呑みして、妖怪の国探検を続けていきます。
ねずみ男さんの隣りに設置されている水木しげるロードガイドマップ。
この地図にずら~っと表記されている、妖怪さんのお歴々。
長さ約650メートルの通りに、約180体の妖怪さんがいらっしゃるということです。
こちらのお歴々の全員をカメラに収めることは、時間の関係で叶いませんでした。
ここでは、私の興味を惹いた妖怪さんのみご紹介していきますね。
最低でも、鬼太郎、ねずみ男、目玉の親父、ねこ娘、砂かけ婆、こなき爺、一反木綿、ぬりかべの「鬼太郎軍団」くらいは収めたいですね。
水木ロードを照らす街灯。
妖怪の影絵になっていて、電灯は一定間隔で強弱を繰り返します。
この影絵は、当然のことながら夜しか見ることができません。
こちらの幽霊のようなお方は、
女の束ねた髪をくしゃくしゃに乱すなど、臆病な人間にいたずらを仕掛けるのだそうです。
「後ろ髪を引かれる」という言葉がありますが、この言葉に引っかけた創作の妖怪ともいわれています。
下駄1足がぽつんと置かれているブロンズ像。
鬼太郎さんが履いているリモコン下駄です。
日本神話にもドラクエⅢにも登場する
このとき私は妖怪の国にいますが、翌日には神話の国にいるのだなぁと思うと感慨深くて・・・撮っちゃいました。
通りの向かい側に鎮座しているのは、妖怪神社です。
後ほど参拝することとしましょう。
台座の陰に隠れるようにたたずんでいる田の神さん。
妖怪のブロンズ像は、ねずみ男のように大きなものもあれば、田の神のように小さなものもあります。
田の神さんは、文字通り田んぼの神様。
稲を司り、豊かな実りをもたらすのだそうです。
こちらもかわいい川赤子。
九州地方の妖怪で、池や沼で赤子のように泣くのだそうです。
赤子がおぼれていると思って泣き声の方へ行くと、また別の場所から赤子の泣き声・・・こうして探し回るうちに慌てて足を滑らせて水中に落ちてしまうと、赤子の泣き声は止むのだそうです。
おお、鬼太郎さんと目玉の親父さんではありませんか。
蟹坊主さん。
エンディングに出てくる不気味な蟹と云えば、思い出す方は多いのではないでしょうか。
アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」(第3期)のエンディングで最初に登場し、この後に流れる吉幾三御大の歌うエンディングテーマもあいまって、子供の時分の私に軽いトラウマを植え付けた妖怪です。
鬼太郎軍団の一員でもある一反木綿さんにお会いしました。
一反木綿さんは鹿児島県大隅半島の妖怪だそうで、「ゲゲゲの鬼太郎」の作中でも九州弁をしゃべります。
豆腐を運んでいる豆腐小僧さん。
道すがら豆腐を食べさせてくれるありがたい妖怪・・・と思いきや、その豆腐を食べてしまうと体にカビが生えてしまうのだそうです。
やまびこさん。
山から「ヤッホー」と叫ぶと「ヤッホー」と返ってくる山彦現象は、この妖怪が引き起こしているのだそうです。
なんとなく可愛らしいたたずまいをしていますが、彼にまつわるエピソードはなかなかにエグいです。
ここでは割愛しますね。
ねこ娘さんです。
昨今の彼女はだいぶ美形に描かれているようですが、ねこ娘といえばやっぱりこのお姿ですよね。
ぬりかべさん。
鬼太郎軍団で随一の巨体を誇る彼ですが、ブロンズ像はなかなかにかわいらしい大きさです。
台座にちょこんと腰を下ろすぬらりひょんさん。
一見するとただのお爺さんですが、夕方の忙しい時に、どこからともなくやって来て勝手に家に上がり込み、お茶を飲んだりキセルでたばこをふかしてくつろぐのだそうです。
家人は忙しいため、ぬらりひょんの存在に気が付かないのだそうです。
・・・と、気のいい近所のじいさんのような妖怪ですが、「ゲゲゲ」では鬼太郎軍団に敵対する「妖怪の総大将」として描かれています。
近年では孫までいるのだそうな。
ぬらりひょんさんが座っている場所まで到達したので、水木ロードはそろそろ終点です。
「目玉おやじまんじゅう」は、すでに店じまい。
「あたし・・・きれい?」
「ほんとうに?」
以上、口裂け女さんでした。
境港駅から約600メートル。
この日は日曜日の夜ということもあり、観光客はまったく歩いていませんでした。
ここは妖怪の国ですから、人間の姿は少ないほうが様になっていますよね。
お歯黒べったりさん。
顔には口だけしかなく、お歯黒を塗っています。
ニタっと笑ってその顔と黒い歯を見せ、声をかけた人間を驚かせるのだそうです。
二口女さん。
口が顔と後頭部にあり、食べるときは長い髪が蛇となって後ろの口に物を運ぶのだそうです。
私が住む千葉県に伝わる妖怪話だそうです。
水木しげる記念館が見えてきました。
水木ロードはもうすぐ終点です。
なんだか首が簡単に折れてしまいそうな、ろくろ首さん。
ゲームの始めの方で出てくる虫のモンスターのような、
ジメジメした日当たりの悪い場所に出没するそうです。
彼が家に棲みつくと、家の人が病気がちになるのだそうです。
毛羽毛現が、往路最後の妖怪となります。
水木ロードの終点。
時刻は夜の8時34分。
妖怪さんは盛り上げってくる時間ですが、観光客はほとんどいません。
日曜の夜で、駅から離れたこの場所まで、観光客は足を運ばないのかもしれませんが、おかげでゆったりと妖怪の国を探検することができました。
なお今宵の宿泊地は、境港ではなく松江。
いつまでも水木ロードを歩いているわけにはいかないので、これより駅に向かって戻っていくことにします。