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愛を全うなさるお方

2025-01-19 13:47:44 | メッセージ
主日礼拝宣教  マタイ5章43~48節

阪神淡路大震災から30年となり、様々なかたちで震災の報道が伝えられていました。その中で震災に遭われたある遺族の方が、「当たり前にいつも居る家族を突然亡くした経験を通して、いつも側に居てくれていることは当たり前のことではないと改めて思った。自分はそうした家族、周囲の人たちによって支えられて来て今がある。そのことを伝え続け、生きていきたい」と語られていたことが強く心に響いてきました。
震災に遭われた遺族の中には、あの辛い体験を思い出したくないという方も多くいらっしゃいますが。同時に「震災の出来事を風化させてはならない」という複雑な思いがあるという回答も伝えられていました。
関西地方教会連合でも午後から「1.17祈念礼拝」の時を持ち、御言葉から「教会は目覚めたかい?」とのメッセージを受けて、祈りを共にいたしました。
阪神淡路大震災後、東日本大震災、昨年の能登半島地震と次々に大きな震災が起っていますが。この1.17から、私たちは「震災と震災の間を如何に生きるか」又、「私たちの教会が地域に建つ教会としてどうなのか」「教会とは何か」が問いかけられています。

さて、本日はイエスさまの山上の説教の中で語られたお言葉からお話をさせていただきますが。
その5章17節以降に「律法について」イエスさまが、「わたしが来たのは律法や預言者を廃止するためだ、と思ってはなたない。廃止するためでなく、完成するためである。」と言われております。そして、「あなたがたの義が律法学者やファリサイ派の人々の義にまさっていなければ、あなたがたは決して天の国に入ることはできない。」とも言われま
す。

イエスさまは、律法をないがしろにしていると言う批判を受けていましたが、決してそうではなく、むしろ旧約の預言者や律法を完成する「新しい義」をもたらすためにおいでになったのです。
律法学者やファリサイ派の人々は厳密に律法や戒めを守るけれど、そのことで律法を行って生きることが困難な人たちを見下し、差別していました。
いわば律法が形骸化してしまい、本来の人を生かすその精神が損われていたのです。
たとえば、21節『殺すな。人を殺した者は、裁きを受ける』と古くから命じられている律法に関して、イエスさまは「兄弟に腹をたてる者はだれでも裁きを受ける。」『ばか』という者は最高法院に引き渡され、『愚か者』という者は、火の地獄投げ込まれる。」とおっしゃいます。これは一見、律法に記されたことよりも厳しいように思えます。
「私は最近、腹を立てたことなどない」という方いらっしゃいますか。もしそうなら素晴らしいことでありますが。
しかし、たとえ言葉に出さなくても心にふつふつとした怒りが燃えあがってくることはあったかもしれません。
不平や不満、やっかみや恨みつらみ。実際手を上げていないから殺意がなかったと言えるでしょうか?言葉にしなかったから憎悪がなかったと言えるでしょうか?
隠れているそうした心の奥底にある悪意が知らず知らずに滲み出て人を傷つけ、関係を損ねてしまうこともあるでしょう。
イエスさまは表面に現れることばかりでなく、人の心の奥底にある思いに自分自身が気づくように導かれるのです。

また33節の『偽りの誓いを立てるな。主に対して誓ったことは、必ず果たせ』と命じられている事に関しては、「一切誓いを立ててはならない。天にかけて誓ってはならない」と言われます。人が神に誓うことでかえって自分を縛り、又、人をも縛ってしまうことになりかねません。
肝心なのは、神のみ心を求めて、「然りは然り、否は否」とその都度主に聞き従っていく。それこそ神を畏れ敬う人にふさわしい態度であることを主は教えておられます。

そして38節以降では、古くから『目には目を、歯には歯を』と語り伝えられてきた戒めに関して語られていますが。
イエスさまは、「しかし言っておく。悪人に手向かってはならない」と言われます。
この「目には目、歯には歯」とは、その失ったものと同じ者で償なわせるという掟でありますが。
イエスさまはここで、なんと「悪人に手向かうな」と仰せになるのです。
これは被害を受けた者にとっては、厳しい言葉であるでしょう。しかし主は、人の憎悪の連鎖による新たな悲劇に対して、これを戒めておられるのです。

さて、本日の「敵を愛しなさい」との戒めでありますが。これこそイエスさまがこれまで語られてきた「新しい義」の根幹となるものです。
イエスさまはここで、『隣人を愛し、敵を憎め』との皆が当然とみなしてきた戒めを引き合いに出して語られるのでありますが。
新約の時代、以前のユダヤ人たちは厳しい迫害を経験しました。
そこで彼らは自分たちを守り結束を強めるために、異邦人を敵や悪魔のように見なし、排斥していきました。公然と「隣人を愛し、敵を憎め」との戒めを守っていたのです。
自分たちのコミュニティーを守るためなら隣人、同胞、同信の者、身近な家族や友人知人を愛し、敵は憎めという考え方は、わかりやすく、そして力を持っています。しかし実際身近なところで、また世界の歴史において、そういったあり方によって、どれほど悲劇が繰り返されてきたことでしょうか。現在も痛ましい紛争や戦争が繰り返されています。
人間の世界は、あらゆる世の中にある不安や恐れを解消するかのような仮想の敵や悪を作って安心安全を得ようと画策するのが事実です。
敵や悪とし立てて、それをやっつけることが正義なのだということで不安や恐れが解消するような錯覚に陥るのです。
いわゆる敵や悪というものを叩く風潮に社会や国が向かうと、戦争というのが起きます。又、私たちの身近においても、自分の価値観と相容れない者を排除、排斥する。その危うさが私たち自身のうちにも生じ得る可能性があるということを知っていなければならないでしょう。

そうした働きに足をすくわれていかないためにも「目を覚まして」いないといけません。
だから、イエスさまはこう言われます。「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。あなたがたの天の父の子となるために。」
「敵を愛するなんて」と思わず反発したくなる私たちに、イエスさまはおっしゃいます。「天の父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる。」
そうです。神の愛を知る人は、すべての人に注がれる、この変わることのない天の恵みを知っています。
天の神は全ての人に等しく太陽を昇らせ、雨を降らせてくださっておられるのです。
それにも拘わらず私たち人間はどうでしょうか。このイエスさまのこのお言葉をどう聞いているでしょうか。
地球の資源は天の神のものです。人間が争い合い、搾取によって力やお金で独占することなど許されることではありません。それはすべての地球上の人類がともに生きるために天の神から預かった賜物であります。神のことばであります聖書は、神への畏れをもって生きるよう私たちを招いています。

またイエスさまは、「自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたにどんな報いがあろうか。徴税人でも、同じことをしているではないか。自分の兄弟だけに挨拶したところで、どんな優れたことをしたことになろうか。異邦人でさえ、同じことをしているではないか。」と問いかけられます。
そして本日の締めくくの言葉として、イエスさまは48節、「あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい。」と言われます。
この「完全」というのは、普通は完全無欠、一点のミスも無い(英語ではパーフェクト)、完璧(英語ではコンプリート)と思われますが。もとの原語では、「終わりまで全うする、満たす」「目的を果たす」という意味であります。
つまり、「だからあなたがたの天の父が全うされるように、あなたがたも全うするようにありなさい。」ということです。それは「天の父のように完全無欠、誤りのない者のようになりなさい」ということではありません。
神はご自身に対し背を向け、敵対するような私ども人間に対し、最後の最後まで見捨てることなく、御子イエス・キリストを通してその愛を顕し、その愛を満たし全うしてくださったのです。その主御自身に私たち人間は心の底から信頼をもって生き続けていくように、全うしていくよう、満たしていくようにと、招かれているのであります。

イエスさまはお語りになった言葉が真実であることを、あのゴルゴダの丘において自らお示になられたのです。
十字架にかかり、その最期まで、敵対する者たちのためにもとりなし、祈られる主イエス。御父の慈愛をこのイエスさまは全うなさったのです。
「愛を満たし、全うされるこのお方」に信頼して生き続ける。これこそ、「完全な者となりなさい」というお言葉への私どもの応答であります。イエスさまがいのちを賭けて、私たちに「新しい義」、よき知らせ、真の解放と救いの福音を与えてくださっておられるのです。
主なる神さまは、私たちがどんなに欠け多き者、罪深き者、失敗ばかりする者、弱き者であったとしても、私たちを愛しぬいてくださるお方です。いかに大きな支えでしょう。「愛を全うなさるお方」を仰ぎ見つつ、私たちも主の愛に生かされている者として、主の愛に生き続けてまいりましょう。
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