ビール飲みオヤジの日々雑感

ビール飲みオヤジが日々感じる雑感を徒然なるままに。

至福の時

2019年11月09日 | 音楽
マーラーの交響曲第4番は静かに終わります。

コントラバス以外は既に楽器の演奏は終えています。オヤジが今回弾いたセカンドバイオリンは最後から16小節前で既に弾き終えています。

コントラバスだけで一番低い「ミ」の長い伸ばし、3小節にわたる全音符のタイに最後の音符にはフェルマータまで付いています。

そして「morendo」と表情記号が記載されていています。「だんだん遅くしながら弱く、消え入るように」という意味です。

コントラバスも弓が無くなれば物理的に弾き終わります。

でも、弾いている構えは解きません。

物理的に音は鳴っていないのに、何かが聞こえるような気がする数秒間が過ぎ、マエストロの腕がゆっくりと下がり弛緩した時にようやくこの曲は終わります。

今日のお客様はとてもよく解っていてくださいました。
マエストロもそして我々も弛緩した後もしばしの静寂、そして穏やかに拍手が沸き起こってきました。

この静寂もまた大事な音楽であり、マーラーが作りたかった音楽でもあると思います。

静寂は決して静かな曲に限りません。
派手に盛り上がって終わる曲の最後を弾き切った瞬間、間髪入れずに叫ぶ無粋なブラボー野郎が出現しない限り、拍手が起きるまでにほんの一瞬ですが静寂があります。

オヤジにとってオーケストラをやっている中で最も至福の時です。

今日も音楽の神様は不遜なオヤジに優しく微笑んでくれました。

ご来場いただいたお客様、本当にありがとうございました。

この画像も今日が使い納めです。(笑)

コメント
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