小さな旅、大きな旅の写真物語(Virtual trips/travels)

京都や東京を本拠地として、自然の中や町を歩きながら、撮った写真をどんどん掲載します。いっしょに歩いているように。

5月連休、京都・奈良 <真春物語> その7

2011-04-29 20:55:01 | 旅行
5月連休、京都・奈良 <真春物語> その7

5月2日
京都、西陣の散歩
連日ハードだったので、今日は、半ばお休み。部屋の掃除をして、お昼近くから、のったりと動き始めました。一番、探検したことの少ない西陣に行ってみることにしました。まずは堀川通りの西陣織会館へ。着物ショーの撮影が目的です。


Zeiss 50mmx1.4 (rear converter)


Zeiss 50mmx1.4 (rear converter)


Zeiss 50mmx1.4 (rear converter)


Zeiss 50mmx1.4 (rear converter)


Zeiss 50mmx1.4 (rear converter)


Zeiss 50mmx1.4 (rear converter)


Zeiss 50mmx1.4 (rear converter)

チャンスがあれば人物を撮る練習をしています。Zeiss 50mmにリアコンバーターをつけて70mmにして撮影しています。オートフォーカスが使えません。人物を撮る場合は、結構細かい早い動きや表情があるので、やはりオートフォーカスが必要だと痛感しているしだいです。50mmから70mmあたりを強化しないと人物撮影は難しいことを悟りました。それと、人物も仏像も石像も結局はライティング技術につきることも気が付きました。
西陣織会館はこの着物ショー以外には見るべきものもなく(このショーが無料で見られるのですから文句をいう筋合いではないのですが、あえていわせてもらうと)、とても西陣を代表する会館という場所ではなくなっていました。訪れる人は、中国や韓国の団体さんで、観光ルートとしてバスでやってきて、着物ショーを見て、日本土産を買う場所という設定になっています。会館は完全に日本人を対象にしていないで、海外からの、特に中国系の観光客を対象とする商品がおいてあります。売り場の着物もみるに耐えない品物です。会館を維持するためにいつのまにかそうなったのでしょうが、これではますます日本人はおとずれなくなり、みっともない商品を売る国辱的会館に堕落の一途をたどっています。後で、たずねた西陣の美術館の方も、西陣織会館の存在すら忘れているようでした。西陣の方々、なんとかしなさい。自分だけよければいいというものではないでしょ。西陣織会館を立て直す、資金も気力もないというのでしょうか。お金だけが問題じゃないでしょ。お金がなくたって、やれることはあるはずです。だめなら、国辱的会館はつぶしてしまいなさい。和風建築のもっと小さな建物で、着物ショー中心のお店をやったら、受けますよ(着物ショーが有料になってしまうのは残念だけれど)。
堀川通りを北に上がって、寺之内通りに左折します。去年、暑い中死にそうになりながら、芙蓉を撮影した(京都夏の花をご覧ください)妙蓮寺を過ぎて松翆閣に出会います。


15mm limited

西陣織工芸美術館<松翆閣>(ショースイカク)
詳細をしらなかったので、入り口ではいろうかやめようかあれこれ議論していたら、後で、美術館の人に、ずいぶん迷っておられましたねと言われてしまいました。入場料が安いだの高いだのいっていたのをみんな聞かれていたようです。赤面のいたりです。


15mm limited


15mm limited


15mm limited
商品を撮影していいといわれました。めずらしいことです。どんどん宣伝してくださいともいわれました。すなわち、他の追従を許さない技術をもっているという自信からきているに違いありません。


15mm limited

これもその技術をあらわしたものです。織り物で、有名な絵を再現しています。さらに光線によって光る糸を使っています。


15mm limited


15mm limited

モネの睡蓮です。
尾形光琳、俵谷宗達、モネ、ゴッホ、ルノワール等々、有名な絵が織り物で再現されています。墨の文字とか掛軸とかなんでも再現してしまいます。この技術が<再現>に終わってしまってはもったいない。新しいアートへ展開できないか、当然考えます。着物は伝統の上に、多くの人が現在もとりくんでいるので、当方の入りこむ余地なぞ微塵もないけれど、この技術をアートへ展開することならお手伝い出来る余地があるかもしれない。この美術館を案内してくれた方と、少しそういう話をしました。とっても、間口の広い方で、楽しくお話させていただきました。将来、そんなことも考えていきたいと希望がわいてきました。








美術館の廊下です。




俵谷宗達の風神雷神図屏風



入るのを迷って、結局はいらなかったら、こんな楽しい思いはできなかったでしょう。

さらに寺之内通りを少し行くと、石畳のきれいな道に出会いました。浄福寺通り(石畳の道というらしい)を左に曲がります。西陣らしい建物が並んでいます。


15mm limited


15mm limited

次に、織成館(オリナスカン)にはいりました。


15mm limited

織り物をジャガード織機というやつで織っているのをみせてもらいました。糸巻きの順序は模様によって紙の穴としてパターン化されており、それをみながら殆ど手作業で織りあげてゆくのです。現在はこの紙パターンはコンピューターによる数字の列で表わされていますが、結局手作業であることにはかわりありません。この織機はもう生産されていませんから、これが壊れて動かなくなると、本当の西陣織は消滅するということです。


15mm limited


15mm limited
ここには結構な台数の織機がならび、職人さんも十数人いるようです。まだまだ西陣織の需要は継続されて、ビジネスとして成り立っているようですが、先が見えない状況にあることは間違いありません。(ここは撮影禁止ですが、案内の方に許可をもらって撮影しています。)


15mm limited

織り方をみせてくれた織工さんは、とても熱心に、説明してくれました。


15mm limited


15mm limited


15mm limited
この糸は、光をあてると色が変化します。天皇だけが用いることのできる超特別な色で、黄櫨染<コウロゼン>というのです。家内がその色の名前と意味を知っていたので、織工さんはますます、元気に説明してくれました。



当方が、アリャこれは伊藤若冲ではないかといったら、ぞろぞろと伊藤若冲のパターンをつかった反物がでてきました。伊藤若冲は末裔がいないもので、そのパターンをつかっても問題ないのだそうです。いいことを聞きました。


15mm limited

これも伊藤若冲パターンです。


15mm limited

伊藤若冲のパターンをつかった色々なグッズが売っていました。当然買いです。これは当方が買ったふろしきです。テーブルクロスに使うつもりです。家内は伊藤若冲パターンの手提げバックにしろとしきりに主張して、風呂敷とバックで相当もめましたが、当方がおしきりました。いずれも5000円もするのです。女性はバックの方が使う頻度が高いので、当然の主張ですが、飽きたらおしまいですから、テーブルクロスの方がしゃれています。


15mm limited

これも若冲パターン。まさに、当方の考えていた、織物からアートへという動きが静かに進行していることを知りました。


15mm limited

風呂敷の若冲パターンも数種あって、どれにするか結構まよいました。


15mm limited


15mm limited


15mm limited

ここは須佐命舎(スサメイシャ)といって、出雲地方の小学校が廃校になった時の廃材でつくったそうです。さらに興味深いことには、日本に来て宮大工になったマイケル・アンダーソン(米)さんという方が設計したそうです。とてもいい建物だと思います。しかし、小学校の廃校と聞くと、出雲に行った時の、若い人がいない、どころでない、西出雲の人のいないゴーストタウンのような雰囲気を思い出して、建物の中に出雲の苦しみが見えてしまいます。


15mm limited

織成館はとてもいいところでしょう。推薦です。お店の方は皆親切で、楽しい時間をすごしました。
今出川通りまで下って、右におれ、上七軒までゆきます。昼ごはんを食べてから、上七軒の道をあるきます。結構な数のお茶屋がならんでいます。行き先は北野天満宮です。なんで昔は、お寺のそばに遊郭があったのでしょう。祇園も建仁寺や八坂神社のそばですし。


15mm limited


15mm limited

お茶屋がならびます。


15mm limited

紅梅庵では以前、紅梅弁当を食べたことがあります。いいところですよ。


15mm limited
<北野天満宮>


15mm limited
菅原道真を祭った神社で、学問の神様です。当方も一生懸命、お線香の煙を頭につけたり、牛の像の頭をなぜたりして、知恵がでるようにお祈りします。


15mm limited

北野天満宮をでたところのお店のエクステリアを参考に撮影。

京都道シリーズ3、一条通りで出会った美味しい豆腐屋さん<とようけ屋山本>の出店が、北野天満宮の入り口にありました。あいかわらずお客さんを集めていました。家内が豆腐はもういいというのを押し切って、豆腐と厚揚げをかいました。京都は豆腐が一番。今日は早い帰宅です。楽しい西陣でした。


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5月連休、京都・奈良 <真春物語> その6

2011-04-29 11:23:19 | 旅行
5月連休、京都・奈良 <真春物語> その6

室生寺
長谷寺の参道に室生寺へのシャトルバスがありますという立て札がありました。バス停まで結構な道のりがありましたが、バス自体は30分程度だったか。室生寺の前までバスが行きます。


K20D 10-17mm Fish Eye

室生寺はシャクナゲでうずめつくされています。


K20D 15mm limited


K7 100mmマクロ


K7 100mm マクロ


K7 100mm マクロ


K7 100mm マクロ


K20D 15mm limited

本堂の中の仏像達は大変魅力的です。


<十一面観音立像、国宝、平安時代、室生寺の佛たちより、撮影小川光三>


<十一面観音立像、国宝、平安時代、室生寺の佛たちより、撮影小川光三>


<釈迦如来立像、国宝、平安時代、室生寺の佛たちより、撮影小川光三>


<釈迦如来坐像、国宝、平安時代、室生寺の佛たちより、撮影小川光三>

いずれもきれいな木造で彩色も部分的に残っており、見事な作です。


<十二神将立像、重文、鎌倉時代、室生寺の佛たちより、撮影小川光三>

鎌倉時代の作ということで、国宝になっていませんが、この十二神将像は、とっても優れていると思います。特に足の表情がはっきりと打ち出されています。古い仏像はとかく足の表情がないがしろにされます。顔の表情も、ほとんど現代彫刻と同じ意図で作られています。重文でなく国宝にしなさい。


<十二神将立像、重文、鎌倉時代、室生寺の佛たちより、撮影小川光三>


<十二神将立像、重文、鎌倉時代、室生寺の佛たちより、撮影小川光三>


<十二神将立像、重文、鎌倉時代、室生寺の佛たちより、撮影小川光三>


<十二神将立像、重文、鎌倉時代、室生寺の佛たちより、撮影小川光三>


あとでまたゆっくり書きますが、先日、白洲正子生誕100年記念記念展(2011-4)にゆきました。この時、白洲さんの意見ですが、この手の神将立像は一般に、上半身の動きは激しいのに、下半身の動きは少ない。三十三間堂の国宝の立像も見事であるのに、下半身の動きが止まっている。なぜだ?ずっと疑問でした。正子さんはこう言っています。<動きを出す技術は十分あるのに、そうしないのは、立像とは地面から生える木が神であるから、木に回帰して、地面から生えていなければならないという思想があったのではないか> なるほど、ものすごく合点がいきました。しかし、この鎌倉時代の立像は下半身が十分動いています。どこかで、仏師の考え方が変化していったのでしょうか?

この撮影者はとてもうまく仏像達を捉えています。この写真を見てから、本物を見ると、遠くに並んでいるので、どうも写真のような迫力が伝わってきません。仏像は見世物ではないでしょうが、遠路ここまで来る参拝者のために、もっと演出して見せるのが、お寺の役目ではないでしょうか。仏像一つを見て、救われる方々がいっぱいいるのです。このお寺は、何かを忘れているのではないでしょうか。


K20D 15mm limited

有名な五重の塔です。最近、台風で木が倒れて、この五重の塔が破壊されてしまいました。その後、全国から寄付があつまって修理されたのです。室生寺を愛する人が大勢いるのです。


K7 100mm マクロ


K7 100mm マクロ


K7 100mm マクロ


K20D 10-17mm Fish Eye

桃の花ですか、これは?


K20D 15mm limited


K7 100mm マクロ


K20D 10-17mm Fish Eye


K20D 15mm limited

室生寺では、シャクナゲの撮影がとても難しく、投げやりになってきました。もう夕方で、強い横からの日差しが、花をみな影の中に埋没させてしまいます。花は日陰で撮れといっても、これだけコントラストが強いと色が出ない。
帰り際にまとまってシャクナゲが咲いているところがありました。この強い日差しを逆手にとって、逆光で花を浮かびあがらせてみました。場所が狭くて、さがれず、100mmマクロが使いにくい時には、35mm limited マクロをつかいます。素直できれいな絵が撮れます。


K20D 35mm limited マクロ


K20D 35mm limited マクロ


K20D 35mm limited マクロ


K20D 35mm limited マクロ


K20D 35mm limited マクロ


K20D 35mm limited マクロ


K20D 35mm limited マクロ


K20D 35mm limited マクロ


K20D 35mm limited マクロ

実を言うと、室生寺は、記憶にあるイメージとだいぶ違っていました。昔々、35年近く前、当方が大阪、堺に住んでいたころ、そのころは会社から大阪府立大学に出向していたのですが、母がたずねてきて、この室生寺と有馬温泉に泊まった記憶があるのです。母と二人だけで旅をした最初で最後の旅でした。山の中のお寺で、穴場中の穴場に母を案内したかったのです。今の室生寺は、なにか、山奥の秘めたるお寺と観光がうまく融合していない。沢山くるお参りの人達をうまくもてなしている長谷寺の次に室生寺にくると、比較するものではないと思いながら、いろいろ気になるところがあるのです。たとえば、なんで大きな声で構内放送してるんだ、ここには合いません、おねがいだからやめてくれ、と思ってしまうのです。観光客がバスで大勢くるから、いろいろトラブルがあって、構内放送しなければならないのだという主張はわかるのですが、ここほど構内放送が気になったところはありません。スピーカーを多くして、音を小さくするとか、やりようがあるでしょう。もともと構内放送しているお寺なぞ、そうは無いのです。仏像は魅力的でも、なんであんなに遠くから見なければならないのだ。あれではよくわからない、とか、いろいろあります。お参りはお参り、観光は観光と別物とおもっているのでしょうか。別物かもしれませんが、お寺はそう思ってはいけないとおもいます。観光に訪れたって、仏さんを見て救われる人はいっぱいいるのです。また、一人で来ようと決心する人だっていっぱいいるのです。

そんな、わだかまりを救ったのが、帰りによった食事所。もう夕方なので、他の客がだれもいない、広い座敷に足をなげだして、アユの甘露煮とにゅう麺で日本酒をちびちびやります。山の中の小さな門前町の静かな、のどかな、流れのなかに、何か幸せな時が過ぎてゆくのです。目の前の苔玉というよりは苔土手には色々な小さな植物が、意図的か自然にか知らないけれど、生き生きした小宇宙を作っており、遠くの山々では夕日の中に青葉が光っている。

K20D 35mm limited マクロ


K20D 35mm limitedマクロ

終点、室生寺前からバスにのって、夕暮れの中を近鉄室生寺へ、そして京都へ帰ったのです。竹の子3本をかかえて。

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