秋日傘

木曾駒のカール廻るや秋日傘



　



「日傘」は夏の季語だが、秋に用いる日傘をいう。

手元の歳時記、季寄せには載っていないが、ネットで検索

すると例句が多くあり、句会でもよく使われるので、掲げた。

木曾駒ヶ岳の千畳敷カールに行ったとき、よく晴れて日差

しが強かったので、秋日傘をさしてカールを廻っている人も

いた。






高倉を見上げてゐたり秋日傘



　

女郎花

速足を緩めてゐたり女郎花



　



オミナエシ科の多年草。

秋の七草の一つ。

日当たりのよい山野に自生する。

八～十月、茎の上部が分枝して、その先に黄色い小花を散

房状に多数つける。

葉には細かい切れ込みがある。







山道を速足で歩いていると、女郎花が咲いていた。

足は自ずとゆっくりになった。






藁屋根に煙出しあり女郎花



　

竜胆

竜胆に午後の日差しの遍しや



　



リンドウ科の多年草。







本州以西の山野に自生し、観賞用に栽培もされる。







八～十一月、茎の先または茎の上部の葉腋に、上向きに鐘

形で先が五裂した花をつける。







花色は青紫から紫紅色、まれに白色のものもある。







竜胆が群生して咲いていた。

その竜胆に午後の山の日が遍く降り注いでいた。






りんだうにたたずみてひとこひにけり



　

男郎花

水飲んで一息つきぬ男郎花



　



オミナエシ科の多年草。

日当たりのよい山野に自生する。







八～十月、茎の上部が分枝し、先端に白く小さな五弁花を

多数つける。

女郎花によく似るが、全体に毛が多く、丈がやや高く、茎も

太い。







山の中に男郎花が咲いていた。

よく歩いたので、この辺りで水筒の水を飲んで一息ついた。






男郎花ひとを信じてみたくなり



　

反魂草（はんごんそう）

反魂草人声遠くなりにけり



　


キク科の大形多年草。

中部地方以北の深山で多湿の草地や湿地に自生する。

七～九月頃、茎の頂に黄色の頭状花を多数散房状につけ

る。

山に反魂草が咲いていた。

歩いていた人たちが遠ざかると、その声も小さくなっていっ

た。






反魂草ザックに鈴の鳴つてをり