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日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「反日デモと第2代農民工」 2012年10月3日(水)No.462

2012-10-03 13:19:21 | 中国事情
福島香織という中国ウッチャーの記事
「『デモで暴れたやつは中国人の面汚し』と北京人は吐き捨てた」(日経ビジネスオンライン)に目を止めた。
今までも何回か彼女の記事を読んだが、
1967年という日本経済が破竹の進撃をしていた頃生まれたせいか、
大阪大学出身で「頭イイ子」意識があるためか、
あるいは産経新聞記者だったときの発想が染み付いているからか、
とにかく私の立ち位置ではない人だが、
今回の記事からは「第2代農民工」という言葉を教えてもらった。

〈以下記事引用〉

 「第2代農民工」というのは、百度百科という中国版のウィキペディアみたいなネット百科事典を参考にすると、次のように説明されている。
 「18歳から25歳までの年齢で、学歴、希望職種、物質的・精神的欲求は高いが、忍耐力は低い“三高一低”が特徴。製造業、紡績業、電子産業などへの就職希望が多い。彼らが働くのは生活維持のためだけでなく、農民出身の父親世代の境遇を抜け出し、都市民になること中国産業の基礎労働力をすでに形成している。2010年の党中央一号文献で初めてこの言葉が使われた。出稼ぎ農民の60%を占める。…」
 農民工と言う言葉は中国語で農民出身の労働者、つまり出稼ぎ労働者を指す言葉だが、若干の侮蔑のニュアンスがある。農民でありながら都市で肉体労働に従事する人たち。都市戸籍はなく、都市民が医療・福祉や義務教育や受ける恩恵にあずかれない。(略)

彼らは農民の子供でありながら、ほとんどが農業を知らない。一人っ子政策(中国の産児抑制政策)のため農民も子供を原則一人しかもうけられないからだ。出稼ぎに出た親たちは都市の豊かな生活を目の当たりにし、農村戸籍ゆえの差別に耐え、せめて自分のたった一人の子供には、この農村出身の悲哀を味あわせまいとして、高い教育を与えようと最善の努力をする。子供に期待するあまり、彼らがほしいものをできるだけ与え、甘やかせる。その結果、都市の若者と同様の指向、たとえばインターネットやファッションや趣味・娯楽への個人消費欲求が高いなどの特徴を備えている。欲望を我慢できず、苦労や侮辱に耐えられない。しかし、頭はけっこういい。(略)

いくら高学歴を得ても出稼ぎ者は北京戸籍と対等に口をきけない。恋愛や結婚なんてありえない。
ネットのオフ会の場で、相手の背景を知らずに若い男女が出会う機会は増えたが、相手の男性が農村戸籍であることを知ると、彼が北京市戸籍の女の子よりもあか抜けていたとしても、彼女の目に冷やかな光が宿る。同じように消費し娯楽を楽しむ若者であっても、彼らの間には越えられない壁がある
 そういう第2世代農民工が、今回の反日デモが荒れた背景にあるのだ、と言う声を北京にいる間にけっこう聞いた。
(太字;ブルーはーと責)

我が教え子で北京の大学院に進学した範さん、黄さん、
そして激しいデモが繰り広げられた上海の王さん、広州の劉さん、
深センで働く陳さんなどに感想を聞いて、
記事が中国人の若者にどう受け止められるかを確かめようと思うが、
しかしながら、彼女・彼達とて、周囲に第2代農民工の知り合いがいるとはあまり思えない。
いわゆる「勝ち組」と、どうしようもない状況でもがく「負け組」に
思いっきり派手に分けられている状況がここ中国にはあるようだ。
日本の比ではなく・・・。
コメント
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