生き物好き気象予報士&理科教員、公認心理師・金子大輔(金兵衛)のブログ~通り雨の旅路~

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「ありがとう」という言葉を見せた水の結晶の話

2023-03-28 | 自然科学

ホメオパシーやマイナスイオン等々……
「疑似科学」の事例は枚挙に遑がないが、
江本勝氏らが行った水の結晶の実験もよく挙げられる。

簡単に言うと、
「ありがとう」という字を見せた水はきれいな結晶を作り、
「ばかやろう」という字を見せた水はいびつな結晶になった、
というもので、なんとも人間にウケそうな展開と言える。

江本氏の著書も、江本氏を批判する意見も共に読んできて、
私もどちらかといえば江本氏に否定的だったのだが、ここにきて
そんなこと(江本氏の言うこと)もありうるのではないか、
という気もしてきたのである。

それは、江本氏に否定的な意見の根拠が
ものすごく脆弱に感じてきたからだ。

江本氏に否定的な意見を見ていると、
「水分子が意思を持つなんてことはあり得ない」
という命題が、当たり前のように真と扱われているのが気になる。

古典力学(ニュートン力学)のみから考えると、真とみなしてよいだろうが、
『量子もつれ』や『二重スリット実験』を考慮すると、
「水分子が意思を持たない」とはとても断言できないと思うのだが……。


とはいえ、江本氏の実験はあまりに杜撰である。
水の結晶を作るのであれば、
同じ温度・同じ湿度で行わなければならない。

気温や湿度により、水の結晶の形が変わることは、
中谷宇吉郎氏の研究以来、ほぼ定説となっているからだ。

また「いい言葉」と「悪い言葉」をどう区別するのか、
についてももう少し検証が必要だと思う。
たとえば「shine」という言葉。

「死ね」と読めば当然悪い言葉になるし、
英語の「シャイン」と読めば
「輝く」となり、おそらく「いい言葉」になる。

仮に江本氏の説を真とするのであれば、
書いた人が「死ね」と思って書いたか、
「輝く」と思って書いたかに依存するのであろう。


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