連日、国会での審議が続き、大きく報道されている大浦湾の軟弱地盤問題。今日(5日・火)も参議院予算委員会で福山哲郎さん(立憲)や小池晃さん(共)らが政府を追及した。
大浦湾には海面下90mの深さまで軟弱地盤が続いていることが明かになっている。ところが、この軟弱地盤問題について、政府の答弁は当初の説明から大きく変ってきているのだ。
*当初、政府は、「作業船の能力等から改良可能な最大深度は-70m」としていたはず。
1月に出された政府の『検討結果報告書』では、「地盤改良深度等については、専門工事業者へのヒヤリングから現有作業船の能力等を考慮し、改良可能な最大深度は海面下70m程度とする」とされていた。国内には、-70mまで地盤改良できる作業船が2隻あるだけなので、大浦湾の-90mまでの軟弱地盤の改良工事はできず、やむをえず、-70mまでの地盤改良をするとしていたのである。
*ところが、その後、政府は「-70m以深は地盤改良の必要がない」と主張
ところが国会審議の中で政府の言い分は大きく変ってくる。2月28日には、「サンドコンパクションパイル工法による地盤改良の深さは、必ずしも十分に固く安定した土層に達するまで施工しなくても、構造物等の安定性を確保し得る」(2月25日 衆議院予算委員会)と説明するようになった。作業船の能力など関係はなく、そもそも固い地盤に達するまで全て地盤改良する必要はないというのである。
-70mから-90mの地層も、「谷埋堆積物(粘土質)」であるから、その下の固く安定した土層まで改良工事をしなければ、地盤の支持力の不安もあるし、長期的には圧密沈下する可能性が高い。
*今では、「-70mより下の地盤は固いので地盤改良の必要はない」と主張
そして政府は、今では次のように主張している。
・「最も深い深度で、水面下90m程度まで分布をしている部分がございますけれども、水面下70mを超える深度では非常にかたい粘土層に分類される強度を有していることから、70mの施工であっても十分に安定性を確保できるというふうに確認している」(2月28日 衆議院予算委員会)
・ 「当初は(軟弱地盤は)90mなのではないかという見込みだったが、詳しく調査すると70mを超えた下にはかなり固い層があることが確認された」(3月4日 参議院予算委員会)
・「-70mを超える下には、非常に固い粘土層がある」(3月5日 参議院予算委員会)
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こうした政府答弁の変遷について、今日(5日)、小池晃さんが予算委員会で追求した。
小池さんの、「政府報告書には作業船の能力等から改良可能な最大深度は-70mとされていたではないか」という指摘に対して、岩屋防衛大臣は慌てて、「違います、-70mを超えるところには固い層があるのです」と答えた。小池さんが、「報告書に書いてあるではないか」と反論すると、岩屋防衛大臣は、「報告書については、審査請求中なのでお答えできない」と逃げてしまった。これでは議論にならない。
また2月28日に、「必ずしも安定した地層まで改良しなくてもよい」と答弁したではないかとただすと、「それはあくまでも一般論。今回の場合は-70m以下は非常に固いのです」と開きなおった。「圧密沈下するではないか」という追求に対しては、「沈下量をあらかじめ考慮した工法をとる」と答えた。軍事基地がどんどん沈下することを前提とするというのだ。
ともかく政府のコロコロと変る言い訳はあまりに目にあまる。
(注)なお、先日のブログでも説明したように、「-70mより下に固い地層」があるのではない。正確には、-70mではなく、-74mである。そもそも、-90mまでは、同じ「谷埋堆積物(粘土質)」の地層であり、当然、地盤改良が必要だと思われる。防衛局は詳細な地質データを出さなければならない。