4月18日、名護市で開かれた辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会の学習・交流会では、「辺野古のケーソンをつくらせない三重県民の会」からも報告があった。大浦湾の深場に護岸を造成するための大型ケーソンは、三重県津市で製造されるのではないかと言われている。そのことを知った三重県民らが、「沖縄を苦しめるな!」と反対運動に立ち上がられた。西日本各地での辺野古への土砂搬出反対の住民運動とともに、心強い限りだ。学習会以来、私からも工事の設計図書を送るなど、連絡を取り合っている。
ただ、三重県の方からは設計図書等を見るのは難しいという声も寄せられているので、以下、ケーソンについて簡単に説明したい。
辺野古新基地建設事業では、大浦湾の深場には大型ケーソン(ハイブリッドケーソン)が設置される。ケーソンとは鉄筋コンクリート製の巨大な箱を沈め、中に土砂・砂等を詰めて護岸とするものだ(工事設計図書の標準断面図を下に添付する)。
下図の大浦湾側の、C-1、C-2、C-3護岸、遇角部護岸、係船機能付護岸の総延長1,406mが38個のケーソンを使った護岸となっている。このうち、深場のC-1護岸、C-3護岸のほとんど(13ケ)が大型ケーソンで、1個当たり、長さ:52m、高さ:24m、幅:22mというとてつもなく巨大なものだ。三重の市民グループの方は琉球新報の記事(2015.2.1)をもとに、三重で製造される大型ケーソンは6個と考えておられたようだが、実際には13個もの大型ケーソンが製造されると思われる。
防衛局がすでに発注した「シュワブ(H26)ケーソン新設工事(1工区)」、「同(2工区」の設計図書では、上図のC-1護岸、C-2護岸の工事のみで全容は不明だったが、埋立承認申請当時の審査資料の中にケーソン工事の全容を示す図書が見つかった(下図参照)。全38個のケーソンの制作、運搬、据付等の工程が示されている。
それによれば、大型ケーソンの制作期間は5~10ケ月、海上運搬が1ケ月半、据付が1ケ月と想定されている。また、据付の1年半前には制作に着手することとなっている。今回も、あるいはすでにケーソンの制作が始まっていたのかもしれない。海上運搬距離は773海里(1432m)とされているから、やはり三重県での制作を想定しているようだ。
また、深場ではない中水深のところでは、鉄筋コンクリートによる中型ケーソンが25個設置される。その標準寸法は、長さ:29.8m、高さ:12.5~14m、幅:11.3~14mとなっている。前述の図の遇角部護岸、C-2護岸、係船機能付護岸はこのタイプのケーソンである。
工事の特記仕様書では、このタイプのケーソンの海上運搬距離は150海里(278km)と想定されている。これは沖縄から奄美大島程度の距離だ。インターネットで検索すると奄美大島でもケーソンを制作できるようだが、この点についてはもう少し調べたい。