前回の続きです。
満州から二人が持ち帰った機密文書を、憲兵の泰治に渡した聡子。
中味が関東軍の機密文書と知った泰治。
ドラマは、この後、同展開するのか?
場面は優作が経営する貿易会社の社内シーン。
書類をとりに倉庫に向かう。そこで、金庫の脇にある、チェス盤の駒の位置の変化に気付く。
聡子が優作の留守に、金庫から機密書類とフィルムを持ち出した際、誤って駒を倒していた。
それにしても、暗い倉庫の奥でチェスなど打ちますかね。それに勝負途中の駒の位置を記憶して、その変化に気付いて、もしや、誰かが金庫の中機密書類を? 何て、推測しますかね?
それで、金庫の扉を開け確認する優作。やはり、書類、そして、フィルムは消えていた。
ここでこのシーンは終わり。
次は、叫び声が響く、憲兵隊内部のシーン。
椅子に縛り付けられた文雄。周りを取り囲む三人の憲兵隊員。遠くから叫び声が聞こえて来ます。
文雄を押さえつけた憲兵隊員が、代わる代わるペンチを手にして、文雄の手の爪を剥がしとります。叫び声を上げる文雄。
逮捕されたのは文雄だけ?
次は、優作の経営する貿易会社の事務所シーン。
隊列を組み事務所に入って来る4人の憲兵隊員。
『福原優作どの。ご同行願えますか』
『理由は』
『先ほど、竹下文雄を逮捕しました。参考人として、あなたにもお伺いしたい事があります』
『わかった』
金庫から機密文書が消えていた事で、それなりに覚悟をしていた優作。持ち去ったのは間違いなく聡子。何故?どうして?総子は裏切った?
泰治から取り調べを受ける優作。
『福原優作、あなたは連合国側のスパイですか?』
『違う』
『では、竹下文雄は?』
『違う』
『なぜ、違うと云えるのですか?』
『違うものは違う。僕は文雄という人間を信じている。理由はそれ以外にない』
『しかし、残念ながら竹下文雄は、自分がスパイだと認めました。その上、彼が満州から持ち込んだ物品の中に、重要な国家機密に関するものが含まれていたと、何だか分かりますか?』
『さあ』
『尋問にずいぶん時間がかかりましたが、やっと自白しました。彼はその秘密を満州で草壁弘子と行動を共にしている時に、手に入れたと云っていました。全て、自分一人の判断であり、あなたの関与はなかったと。なるほど、信じるしかない。他に証拠はないのだから』
『君は拷問による自白を鵜呑みにするのか?』
『いいえ』
『ではどうして』
『通報があった』
『通報?誰から?』
『おかげで国家の機密は守られました。善良な市民の力です』
そして、文雄の手の指から剥がした爪を、優作の手の中に握らせる泰治。事と次第によっては、あなたも・・・、との脅し。
『誰が通報した』
『あなたもよくご存じの方だ。私は、その人を不幸にしたくない。未だ間に合います。心を入れ替えて、お国のために励みなさい。それでこの件は終わりだ』
ここまで云えば、通報者は聡子で、そのとき「文雄から頼まれて預かった、優作は知らない」と、証言したのでしょう。それなりに恭順の意を込めた和服姿で。
優作も、当然、共犯として疑はれますが、文雄は拷問されても、優作の関与を否定。でも、ふつうであれば状況証拠から、優作も拷問され自白を強制された筈。
でも、しかし、ふつうでない泰治は、聡子を不幸にしたくない為に、温情的、愛情的に、優作へ寛大な処置。
まあ、泰治にとっては、国家機密を取り戻し、犯人をも検挙したのですから、それだけで大手柄、憲兵隊内での評価は上がります。うん。これで、大尉から少佐に昇進?
それと、文雄が拷問されても、優作の関与を否定したのは、尋問内容から、
①翻訳文とフィルムは、憲兵の手に渡っていない
②優作は文雄が口を割らなければ逮捕されない
③優作を共犯と認めてしまえば、非人道的行為の記録は、この世界から葬られてしまう。
と、云うようなことを察し、翻訳文と、フィルムと、優作に、一縷の望みを託し、単独犯と言い張ったのだと、私は推測します。
でも、文雄が拷問され、優作の事を共犯と証言する可能性、また、優作も逮捕され自供を迫られる可能性。最悪、二人は死刑。
それでも通報した聡子。何を考えているのでしょう? 裏切ったの?裏切っていないの?
この後、どう展開して聡子は「スパイの妻」になるの?
本日は、ここまで。
それでは、また。