前回の続きです。
優作との豊かで平穏な暮らしを守ろうとする聡子。
忠誠を誓うのは国ではなく、万国共通の正義だとする優作。
このままでは、二人の関係は破局に向かいます。
聡子は悩みます。
優作への愛を、優作からの愛を、失わない方法は?
夫の行動を思い止まらせるのは可能か?
危険を冒しても、夫と供に、万国共通の正義に協力する?
聡子は、それなりの答えを見つけたのか、優作の出張中に、会社の倉庫から機密書類と、中にあったフィルムを持ち出し、家に帰ってフィルムを映写機に掛け見てしまうのです。
このときは、映し出された映像を見る、聡子の表情だけが描かれます。聡子の表情から、当然、フィルムの中味は、731部隊の残虐行為が記録されていた筈。
『知ったような口をきく。当然だ、君は何も見ていない、何も知らない。僕も君にそれを見せたはくはない。だがそれは起こっている。僕たちの同胞が、その悪魔のような所業を、彼の地で今も繰り返している。僕は見た』
もう、見てしまい、知ってしまった聡子。これで「スパイの妻」として、優作と供に、万国共通の正義に協力する、と、私は思ったのです。
しかし、翌日か、数日後か、何故か憲兵隊に向かう聡子。
えっ!どうして?何しに?と思いました。
このとき聡子は、はじめて和服姿で出掛けます。
以前に、「どうしてこのご時世に、洋装ばかりなのか、世間からはいろいろな眼でみられますよ」と、泰治から忠告を受けているのです。
このときの和服姿は泰治への、愛国者としての、覚悟のサイン?
聡子が話し始めるより先に泰治から、草壁弘子殺しの犯人は、旅館の主人だったことを告げられます。
そして、『それと、もう一つ、これこそお耳に入れておきたかった。優作さんは、草壁弘子が看護婦の勉強をする留学先として、アメリカ渡航の旅券を申請しました。ご自分のを含めて2人分。ご存じでしたか』
たぶん、知らないだろうと思いつつ。これは、事件の背景に重大な機密が隠されている、と、言うよりも、二人には、それなりの男女関係が、と、匂わし嫉妬心を煽る問い掛け。
『存じません』
『何か商売の目的があってアメリカに行くのは自由ですが、どうして、わざわざこの時期に・・・しかも、草壁弘子をつれて。僕はひとえに、あなたのことが心配なんです』
泰治は、聡子が自分へ向いてくれる期待よりも、兎に角、聡子と優作夫婦の関係を悪化させたいだけ?
『それだけですか』
『はい』
『では、こちらの案件を申し上げます。身内の恥と思って、いままで云えずにおりました』
と云って、機密書類を取り出します。
えっ!機密を暴露するの、文雄も優作も権力に売り渡すの? 何故? どうして? どうなるの?
『何ですか』
『ご覧になれば分かります』
『何だ、これは・・・』
この時、泰治は驚きの表情。やはり、草壁弘子事件の背後関係に、重大な機密が絡んでいるとは、まったく掴んでいなかったのです。
単なる「痴情のもつれ」と承知していたようです。ですから、前にも云いましたが、民間の痴情事件に憲兵が動くのは不自然なのです。
でも、しかし、これは『戦争という時代のうねりに翻弄されながらも、自らの信念と愛を貫く女性の姿を描くラブ・サスペンス』(NHK番組HPより)ドラマですから、まあ・・・、そこは・・・ね。
『このノートは満州から持ち込まれました』
『誰がこれを』
ここで、このシーンは終わります。
何故、聡子は、満州から持ち帰った機密書類を憲兵隊に差し出したのか?
憲兵隊長の泰治にどこまで、どのように話したのか? 優作とは関わり無く、文雄の単独犯行して?
ここは、本当に、何故?どうして?です。
夫の逮捕も覚悟? でも、それでは、タイトル「スパイの妻」は成立しません。
この後、どういう展開で、聡子は「スパイの妻」となるのか。
本日は、ここまでとします。
それでは、また。