前回の続きで、最終回です。
予定どうりのと云うか、安心の結末と云うか、すべては、落ち着くところに落ち着いて、ヨカッタ、ヨカッタで、目出度し、目出度しでした。
でも、私としては、ハッピーエンドではなく、いろいろ異なる解釈ができるような、そんな終わり方が・・・・・・。
と云う思いもあって、更新が遅れてしまいました。
兎に角、いろいろあって、それなりに楽しめました。何といっても、舞台が、背景が、東京は、荒川区で、三ノ輪橋でヨカッタのです。都電荒川線がヨカッタのです。
都電の走る町に暮らす人々がヨカッタのです。まあ、こちらの勝手な思い込みですが、下町感、取り残され感、寂れ感、うらぶれ感・・・、これらがドラマの味付けとなっています。
それに不器用な宗田行介を演じる、不器用な高橋克典の演技と、不幸な柏木冬子を演じる、不幸女優の木村多江のキャスティングがヨカッタ。
それで、自分で誘っておいて、デートをすっぽかした行介。やっぱり気持ちの整理がつかないのです。何たって、殺した相手の奥さんですから、被害者と加害者です。
赦されたとしても、愛してはいけない、愛し合ってはいけないのです。
それにしても、このスケートリンクは何処?気になる!
楽しみにしていたデート、現れなかった行介。章枝に
『あの人の気持ちは良く分かったから、もう、珈琲屋さんには行きません』
『あなたも女の子なのね』
『もう、いいんですから、からかわないでください』
章枝は病院を抜け出し、都電に乗り三ノ輪橋商店街に向かう。
冬子から話に聞いていた、珈琲屋に集う人々の様子を見て回り、一言コメント。
主人がキャバクラ嬢と「浮気」した花屋。
『懐の深~い妻 久子さん』
クリーニング屋では、
『お弁当屋さんに「恋」をした直道さん。元子さん、こちらも辛抱強くよく耐えたわね』
旦那の直道さんは、浮気では無く、本気の恋なのです。この夫婦は奥さんが悪い!旦那に同情します。元の鞘に収まらない方が、私としては・・・。
それに引き換え、花屋の主人は「若いからだ」を目的とした「浮気」ですが、まあ、もっと、上手く、こっそりと・・・やるべきでした。浮気相手を店で働かしてはいけません。
そして、そして、目的の珈琲屋。
店内には英治。そして、キャバクラを辞めた千果。
病院を抜け出した章枝を追って冬子が来る。章枝は「もう行かない」と行った冬子に、行介と合わせる為の機会をつくったのです。
章枝は、
『思いどおりに生きてきたわ。だから一つも悔いはない。だけど、それでも、もしかしたら別の人生があったんじゃないか、何て思うこともあるの。ひとりは気楽。だけど・・・寂しいわ』
『若い頃の私に云ってやりたくなる事があるの・・・ もうちょっと可愛くなりなさいって』
と云って、冬子に、そして、行介に、語りかけているのです。
そして、居酒屋の女将木綿子のDV騒動に巻き込まれる冬子と行介。この話の展開は、かなり無理があります。壇蜜と云うキャスティングもよくない。
木綿子を心配する行介の言葉に冬子は、
『私は。私のことは・・・。私はどうすればいいのでしょう』
『柏木さん・・・あなたの事はいつも幸せを願っています』
『わたしは、あなたのご主人だったひとを・・・』
『それは・・・わたしのなかでは終わった事です』
『毎日コーヒーを淹れて、それをいろんな人が飲みに来てくれて、おいそうに・・・楽しそうに笑ってくれて、友達がいて、ボクシングもあって、ささやかですが、これが幸せかなって。私はじゅうぶん幸せです』
家に戻り冬子は、行介への思いを手紙に綴るのです。
木綿子のDV騒動で重傷を負い生死を彷徨います。そのさなか、章枝から冬子の手紙を受け取る行介。
『ささやかだけれど、いまが幸せだと聞いて、私はスゴくうれしかった。・・・あなたと、私をつなぐものは、あなたを苦しめている過去でした。それは永遠に消えるものではありません。でも、どうしてか、あなたを思うたびに私には笑みが浮かぶのです。コーヒー豆を挽く音、ベルの音、あたたかな空気、そこには、いつも、あなたがいる。それが、わたしにとっての幸せなのです。だけど、一緒にスケートに行きたかった。正直がっかりしました。あなたの幸せの中に私もいられたらいいなって。あなたをもっと知りたいって・・・。いつのまにか思っている自分がいます・・・』これは、とても、とても、素敵なラブレターです。私も貰ってみたい。
冬子の素直な気持ちを知り、行介も、素直に冬子への思いを解き放つのです。
行介の呼びかけに意識をとりもどす冬子。このとき初めて、柏木さん!ではなく、冬子さん!と呼びかけます。
行介の「冬子さん!」は冬子に届いたのです。意識を取り戻すのです。
そして、ラストシーン。
花びらが散り始めるカットから、別々の方向から歩いて来て、桜の木の下で出会う。二人の関係性を表現しています。別々に暮らし、時々は二人で・・・。
わたしとしては、冬子の生死を明らかにするシーンは入れず、そこは見る人の解釈に任せる。ラストシーンは、冬子の消えてゆく意識のなかを描いた心象風景?として・・・。
ラストシーンで、観る人に、疑問を残しつつ、余韻を残しつつ、ENDマーク。
桜は、古来より、あの世と、この世を、結ぶ華?柳田国男もそんな事を、云っていたような、いなかったような・・・。
まあ、それなりに、ドラマの中に入り込めて、それなりに面白い大人のドラマでした。
本日(5日)4時半から再放送があります。
それでは、また。