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近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

『人新世の資本論』④ 格差と貧困!非正規雇用の拡大はグローバル・サウス問題

2022年01月17日 | 世間話し

前回の続きです。

ぼけ対策、ぼけ予防で『人新世の資本論』を読んで、綴っています。

今回は第一章の小見出し、

5.「グローバル・サウスで繰り返される人災」から、はじまり、はじまり。

先ずは、「グローバル・サウス」の説明から、

『グローバル化によって被害を受ける領域並びにその住民を指す。・・・以前は南北問題と呼ばれたが、現在、新興国の台頭や、先進国への移民増大によって、南北格差は地理的位置関係が無くなりつつある』

まあ、そう言う事なんだそうです。

ですが、私としては、グローバル化と云いつつ、「サウス」を使うのは、ちょっと、ちょっと、矛盾を感じるのです。

グローバル化で「新興国の台頭、移民増大で地理的位置関係が無くなりつつある」ならば、「サウス」要らないと考えます。

貿易ルールの統一、労働市場の世界的平準化等々により、市場原理主義、競争原理主義、新自由主義で、世界は「もろだし資本主義」で「金儲け正義」となり果て、世界は、格差と貧困、1%と99%、富の偏在の時代となったのです。

まあ、本書でも、追々語られる筈ですが、一応、一言だけ云わせて貰いました。兎に角、グローバル化ですので、今や、東西南北は無くなったのです。

それで、小見出しのタイトルは「グローバル・サウスで繰り返される人災」ですので、繰り返される人災として、メキシコ湾の原油流出事故とか、多国籍アグリビジネスによる熱帯雨林での火災とか、商船三井のモーリシャス沖重油流出事故とか、挙げられています。

はい、次ぎに進みます。

小見出し「6.犠牲に基づく帝国的生活様式」です。

この「帝国主義的生活様式」と云う言葉は、2名のドイツの社会学者、ウルリッヒ・ブラント、マルクス・ヴィセンが、グローバル・サウスからの資源・エネルギの収奪に基づいた、先進国のライフスタイルをそう呼んだそうです。

と云うことは、ふたりは「南北問題」と表現していた時代の学者?

そして、『問題は、グローバル・サウスの人々の生活条件の悪化は、資本主義の前提条件、南北の支配従属関係は、例外的事態ではなく、平常運転なのである』

これは、もっと、ストレートに「資本主義はグローバル・サウスの犠牲を必要としている」と、表現すべきでは?

やはり、グローバルでも、未だ未だ南北問題が主?サウスの生活条件の悪化例として、バングラデシュでの、ファースト・ファションの縫製工場崩壊で、千人以上の死者が発生した事故とか、採り上げられて居ます。

ここで、サウスの犠牲について一言。最近、巷では「フェアトレード」なんて事が云われるようになりました。

自分たちが買う商品が、何処で、どのような環境で、どのような人達によって、どのような労働条件で、どのような取引条件で、造られ、流通し、販売されているのか、そこに不正は無いのか、何て事が問われ始めています。

悪いことではありませんが、資本主義は「フェアトレード」では成立しません。これは資本主義の問題を、単なる道徳やモラルの問題にすり替え、自己満足、自己肯定感を得る為だけの行為です。

それで、先進国の「貧困・格差拡大」、特に日本における「非正規と正規」の賃金格差は、これこそ「グローバル・サウス」の、身近な典型だと考えます。

現在、低賃金で、いつでも、何処でも、解雇自由の、非正規労働者を必要としているのは、例外的事態ではなく、必要条件なのです。

先日、日本郵政で、正規と非正規の格差解消策として示されたのが、正規の条件を、非正規に合わせて、格差を解消する策でした。

そんな時代が、いつか来ると思っていたのですが、早くも現実となりました。

格差と貧困は、世界的な問題で、資本主義の問題です。  

周辺からの収奪によって発展してき資本主義は、グローバル化で周辺部は開発し尽くし、サウスだけではなく、ノースの労働者に向かっているのです。

最近、巷では、チラホラと資本主義の限界が語られ始めています。

あの岸田首相もそれなりに、「新しい資本主義」なんて云い始めました。古い資本主義と何処が異なるのかは、良くわかりません。

そのひとつとして税制面の優遇で、賃上げ誘導を狙っているようですが、安倍チャンと変わりません。そんなことで可能ならば、とっくの昔にやっているのです。

現在、資本主義にそんな余裕はありません。「格差と貧困・非正規雇用」は必要条件なのです。

と、云う事で、今回は此処までとします。

 

それでは、また。

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