園芸店の店先にオキナグサを見つける。近年オキナグサの人気が高く、山野のオキナグサが盗掘により絶滅を心配されているという。なんとも悲しい話だ。私は宮沢賢治の童話、うずのしゅげでオキナグサを知った。それ以来、この植物は特別気になる存在になってしまった。岩手の方言、うず(おじいさん)しゅげ(ひげ)、おじいさんのひげ、見た通りを言い表したものだ。オキナグサの地方名は数百あるというが同じように、ひげ、あるいは白髪頭を見立てたものが多い。
風は空を吹き その名残は草をふく おきなぐさ冠毛の質直 松とくるみは宙に立ち ああ黒のしゃっぽのかなしさ おきなぐさの花をのせれば 幾きれかうかぶ光酸の雲 宮沢賢治 春と修羅より
風は空を吹き その名残は草をふく おきなぐさ冠毛の質直 松とくるみは宙に立ち ああ黒のしゃっぽのかなしさ おきなぐさの花をのせれば 幾きれかうかぶ光酸の雲 宮沢賢治 春と修羅より