学問空間

「『増鏡』を読む会」、第9回は2月22日(土)、テーマは「上西門院とその周辺」です。

なだいなだ氏の国際情勢認識、そして「超遺憾」の謎

2018-07-29 | 松沢裕作『生きづらい明治社会』
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2018年 7月29日(日)09時01分43秒

前回投稿で『神、この人間的なもの─宗教をめぐる精神科医の対話─』(岩波新書、2002)のp183以下を引用しましたが、「ぼくたちは、一週間後に、二人が昔働いていた海辺の病院で会うことにした」(p148)、「思い出を語るとき、ぼくたちの視線はどうしても遠くを漂った。剣崎の灯台、オープンシーをはさんで洲崎、そこをひっきりなしにコンテナ船が行き来する」(p178)という記述があるので、著者の経歴に照らすと、対談場所に設定されているのは国立療養所久里浜病院(現・国立病院機構久里浜医療センター)ですね。

なだいなだ(1929-2013)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AA%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%A0

そして、前回投稿で引用した部分の直前には、

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 ぼくは東京湾の入り口に向けて、米軍の航空母艦が進んでいく姿を見た。一隻で何百万の命を奪う武器を積んだ船だ。この船だけで、地球を破壊できるくらいの原爆を持っているのだろう。
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とありますが、まあ、これは著者の単なる無知ですね。
冷戦終結後、1991年9月のブッシュ(父)大統領による一方的核削減措置演説に基づき、米軍は海軍の戦術核兵器を撤去しており、空母には核兵器は積まれていません。
これは、例えば原水禁のような団体のホームページにも出ている周知の事実ですが、著者はあまり国際情勢には興味がないのでしょうね。
ちなみに原水禁サイトの関係個所には、コリン・パウエル統合参謀本部議長の回想として、

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ここはレーガン時代の強硬派の牙城となっており、ポール・ウルフォウィッツ以下、全員が猛反対した。そういう経緯を承知していたにもかかわらず、私は機上でチェイニー長官にこの提案を突きつけたのである。すでに超遺憾の特別補佐役を務めるデービッド・アディントンが数々の問題点を指摘し、賛同できないとこき下ろした文書である。チェイニー長官は困ったようにぶつぶつ言いながら、読み始めた。

http://www.gensuikin.org/nw/n_artlry.htm

とありますが、「超遺憾」は謎ですね。
ま、おそらくこれは「長官」の誤変換なのでしょうが。
コメント
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