投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2016年 5月13日(金)13時14分8秒
>筆綾丸さん
>「9条 立憲主義のピース又吉」
石川氏は平和でない方のピースという言葉が結構好きらしくて、例の「7月クーデター説」の説明においても「二〇一四年七月一日、日本の防衛法制にとって最も枢要なピースが破壊され、ひとつのクーデターが起こったのである」などと言っていますね。
「日本の防衛法制にとって最も枢要なピース」─「窮極の旅」を読む(その32)
>藤林の追加反対意見への言及は矢内原忠雄を導くためのただのダシ
そうですね。
藤林について調べ始めたら、ダシとしての品質にもいろいろ問題がありますね。
ウィキペディアを見ると、藤林は1970年7月に最高裁判事に就任、76年5月に長官となるも翌年8月に退官ですから長官在任は僅か1年3か月で、戦後18人いる最高裁長官の中でも最短です。
国会図書館サイトで<著者:藤林益三>を検索すると39件ヒットしますが、最高裁判事就任前の著書を見ると、編著が『貸倒れ対策一問一答』(金融財政事情研究会、1967)、単著が『法律あ・ら・かると : 銀行員のケースによる実務への手引』(近代セールス社、1968)の合計二冊だけですね。
また、『松田判事在職四十年記念 会社と訴訟. 上』(有斐閣、1968)という論文集に「 第二会社について」という論文を寄せているほか、次のような若干の雑誌記事があります。
「私立学校退学処分の法律上の性質とその効力の判定(民事々件)-判例研究」
「会社更生法をめぐる諸問題(座談会)」
「地面師の話」
「貸倒れ対策一問一答」
「会社更生法15年の回顧と改正の問題点」
「地面師の話」を始め、いずれも非常に格調高いタイトルの書籍・雑誌記事ばかりなので、正直言って、よくこれで最高裁判事、そして長官になれたな、という感じがしないでもありません。
退官後、再び弁護士に戻ってからの著書である『法律家の知恵─法・信仰・自伝』(東京布井出版、1982)を見ても、分量的には信仰に関する記述が相当ありますが、失礼ながら独創的な見解は特になく、カール・ヒルティの『幸福論』の引用など、キリスト教の通俗道徳的な側面に終始していますね。
不遜な言い方ですが、同じ最高裁判所長官とはいっても、田中耕太郎などとは教養の水準が全く違いますね。
岩元禎と田中耕太郎
「鷗外の序文を代筆した男」(筆綾丸さん)
※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
esoteric な立憲主義 2016/05/13(金) 12:36:01
小太郎さん
遅ればせながら、石川健治氏の寄稿を読んでみました。
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日本の立憲主義を支える結界において、憲法9条が重要なピースをなしてきた、という事実を見逃すべきではないのである。・・・こと戦後日本のそれに関する限り、文字通り抜き差しならないピースをなしているのであり、このピースを外すことで、立憲主義を支える構造物がガラガラと崩壊しないかどうかを、考えることが大切である。
----------
「9条 立憲主義のピース」という標題から、はじめ、ピースは peace のことかと思いましたが、piece のことだったのですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Piece_(%E6%BC%AB%E7%94%BBベストセラー「Piece (漫画)」のテーマは「考えるな、感じろ!」とのことですが、石川氏のピースのテーマは「感じるな、考えろ!」ということですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B9_(%E3%81%8A%E7%AC%91%E3%81%84%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%93)
コンビ名の英語表記は Peace と Piece のダブル・ミーニングとのことですが(英語表記にして渡米するつもり?)、石川氏の「9条 立憲主義のピース」という標題は、お笑いコンビよろしく、Peace と Piece の double meaning だ、という駄洒落かもしれないですね。
全文を読むと、藤林の追加反対意見への言及は矢内原忠雄を導くためのただのダシ、ということがよくわかりました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%90%E7%95%8C
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結界(Siimaabandha)とは、聖なる領域と俗なる領域を分け、秩序を維持するために区域を限ること。
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スィーマーバンダーの本義からすれば、石川氏の説く「憲法諸条文が織りなす公共空間という結界」は聖なる領域だから、立憲主義がゆくりなくも秘教じみてきて、幽霊屋敷に迷い込んだときのようなドキドキ感があります。石川氏のレトリックはいつも刺激的で良いですね。
遅ればせながら、石川健治氏の寄稿を読んでみました。
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日本の立憲主義を支える結界において、憲法9条が重要なピースをなしてきた、という事実を見逃すべきではないのである。・・・こと戦後日本のそれに関する限り、文字通り抜き差しならないピースをなしているのであり、このピースを外すことで、立憲主義を支える構造物がガラガラと崩壊しないかどうかを、考えることが大切である。
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「9条 立憲主義のピース」という標題から、はじめ、ピースは peace のことかと思いましたが、piece のことだったのですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Piece_(%E6%BC%AB%E7%94%BBベストセラー「Piece (漫画)」のテーマは「考えるな、感じろ!」とのことですが、石川氏のピースのテーマは「感じるな、考えろ!」ということですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B9_(%E3%81%8A%E7%AC%91%E3%81%84%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%93)
コンビ名の英語表記は Peace と Piece のダブル・ミーニングとのことですが(英語表記にして渡米するつもり?)、石川氏の「9条 立憲主義のピース」という標題は、お笑いコンビよろしく、Peace と Piece の double meaning だ、という駄洒落かもしれないですね。
全文を読むと、藤林の追加反対意見への言及は矢内原忠雄を導くためのただのダシ、ということがよくわかりました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%90%E7%95%8C
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結界(Siimaabandha)とは、聖なる領域と俗なる領域を分け、秩序を維持するために区域を限ること。
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スィーマーバンダーの本義からすれば、石川氏の説く「憲法諸条文が織りなす公共空間という結界」は聖なる領域だから、立憲主義がゆくりなくも秘教じみてきて、幽霊屋敷に迷い込んだときのようなドキドキ感があります。石川氏のレトリックはいつも刺激的で良いですね。