【現代思想とジャーナリスト精神】

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2014年10月26日の福島県知事選挙、井戸川克隆候補・熊坂義裕候補への切望

2014-10-04 13:20:19 | 社会・政治思想・歴史
2014年10月26日の福島県知事選挙、井戸川克隆候補・熊坂義裕候補への切望

櫻井智志


 10月26日に投開票される福島県知事選は、原子力発電所の事故対応および再稼働と安倍総理が財界とタッグをくんで世界中におこなおうとしている原発セールスをめぐる国民的評価が問われてる。国政選挙以上の重要な意義をもつ知事選挙である。

 以前私は以下に箇条書きで列挙した特徴をあげたことがある。再度記す。

①「オール福島」を政策の要点にあげた日本共産党に対して、自民党は奇策をもって候補者の擁立を進めた。自民党福島県連が擁立して出馬を声明した候補者を撤退させた。そして、民主・社民・連合が擁立した候補に相乗りして、与党の公明党も加わり、なんと自公社民の逆「オール福島」を実現させた。
②反原発運動の側から、医師で宮古市長を三期務めた熊坂義裕氏と元双葉町長井戸川克隆氏が立候補した。それぞれの候補に対して、日本共産党の議員や市民運動家から支持が寄せられた。熊坂氏には「新党改革」が支持を表明している。
③そんな中、日本共産党と「みんなで新しい県政をつくる会」は、熊坂義博氏を支持することを公表した。
④現在、保守中道の逆「オール福島」候補に、反原発運動からは二人が立候補している。


 このような情勢下で井戸川氏と熊坂氏と思われる反原発運動候補の一本化を求める市民運動が起こっている。二人に分散するよりは、一人に一本化したほうが得票は増えるだろう。私も一本化に反対ではない。

 ただ、十分に考慮する背景がある。自民党県連が擁立した独自候補を無理矢理におろさせ、自民党執行部本部は、民主・社民の擁立した候補に公明ともども相乗りして、オール福島の形式を整えた。労働者には連合を通じて支持を動員化させている。しかし、自民党と民主・社民では原発再稼働と原発廃炉と、全く正反対の運動を今までに進めてきており、選挙さえ通過させれば、安倍首相は、いつものとおりに「言ったことは言わない」ものとして、しらじらしく原発政策の無茶ぶりを進めていくだろう。直接対応する経産相には、自公内閣のなかの自民党閣僚のほとんどが加盟している極右組織「日本会議」に参加していない小渕優子氏をあてがった。小渕経産相は、比較的リベラルな政治家で選挙区でも福田、中曽根の両代議士以上の人望がある。しかし就任にあたって「私には原発に個人的な考えがあるが、内閣の一員として仕事に取り組みたい」と公式発言している。
 原発政策そのものに原発廃炉と原発再稼働と根本の政策が相対する陣営が同居している自民党は、福島県民の政治投票意識を低め、無気力無関心のまま投票率が低いなかでの企業組織、連合、創価学会などの組織票の絶対的固定票で乗り切り当選する戦略である。つまり、福島全県的に反原発運動のもりあがりがなければ、候補者統一しても、選挙はあきらめの県民の低投票率のもとで必然的に投票率は低く、固定的組織票の自社公民の相乗り候補が当選するのは目に見えている。

 それならば、私は、熊坂氏と井戸川氏の候補一本化を必ずしも無理矢理進める以上に重要な取り組むべき事業があると考える。
 熊坂氏と井戸川氏の候補一本化が成立すればそれに異論はないけれど、二人の候補出馬の現在10月4日現在において、あるプランをもっている。
 それは、選挙運動に連動して反原発運動を活性化させることだ。選挙の当落にいたるゴールを、反原発運動で充実した市民運動で大いに活性化して全県的なもりあがりによって、選挙にむすびつけることだ。
 反原発運動において両者の公開討論会、座談会で「福島から原発を考える」をシリーズで開くこと。
福島から全国に反原発を発信し続けることだ。単なるスローガンや政治的アジテーションだけではなく、専門家もアドバイザーに招き、福島原発の現状、福島原発事故の原因、政府と東電の対応、チェルノブイリやスリーマイル島からの講師も招き、選挙をバネに反原発運動そのものの水準を高めていく。そこには原発問題にとどまらず、被災者県民の生活の救済や再建の具体策、福島原発労働者の超ブラック企業労働の労働権からの指摘と対策、甲状がんの危険と子どもたちの健康対策、除染と地域づくり、地域経済再建の具体政策構築など。これらを反原発運動の側にいる熊坂氏と井戸川氏の勇気と英知をフルに発揮していただく。

 「オール福島」を福島県民の投票の数としか考えられない自公民社候補者陣営に対して、敵前で候補一本化でうろうろしていては、相手のほくそ笑みや高笑いのものだねになろう。
 福島県民の生活と健康と地域再建などすべての福島再建策に係わる社会運動、専門学者、住民運動、反原発運動などの「オール」福島社会運動と考えることだ。
 なんとか波風立たず県民の動きも乏しいまま、低投票率当選をねらっている候補は、井戸川氏と熊坂氏とがたえず対話し討論し福島県民救済に立ち上がったうねりの前には、なすすべはひとつ。強権的に、九条の会に公的施設を貸さないような無謀な弾圧政治くらいしか思いつくまい。。
 そのようなかつてなかった知事選運動=反原発運動を中核にしたオール地域再建運動がなされるならば、絶望と失意と困難のなかで投票どころではない福島県民のひとびとに希望と展望とをもたらしてくれるだろう。
 間違っても、熊坂陣営と井戸川陣営とが非難しあうことがあってはならない。反原発運動としてもりあげる選挙運動を、井戸川克隆氏、熊坂義裕氏と両者の選挙陣営に望む。

 候補を一本化することに賛成であるが、その背景に井戸川氏と熊坂氏の反原発オール福島運動の活性化を期待する。もしも一本化したとしても、そこに反原発運動があり、両者がそれをリードしていただくことを望む。

 私たちの望むものは、原発を再稼働して世界中に原発を売り歩く死の商人路線ではない。私たちののぞむものは、私たちと未来の私たちが生きて生き延び続けて、なんとしても福島原発事故の傷跡を科学的に解決したり減少させたりして、ノーモアヒロシマ・ノーモアナガサキを全世界に発信した運動を、ノーモアフクシマを福島県知事選で実現するための希望を創生させることだ。