【孫崎享のつぶやき】
《ファクラー「政府は“国民を犠牲にテロと交渉しなかった”を米国や英国にアピール」。堕落の極致―日本政府》
2015-03-07 07:5710
3月3日神奈川新聞は米有力紙ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラーとの極めて衝撃的なインタビュー記事を掲載した(全文はすでに掲載すみ)
「 私にとって、政府がテロリストとの交渉を拒んだことは、何の驚きもありませんでした。安倍首相は今回の事件を「国民が犠牲になったが、テロリストとは交渉しなかった」と米国や英国にアピールする材料にするつもりだろうと思っていました。」
そしてこれは事実に裏付けされています。
私は次を指摘してきていた。
1月23日麻生財務相は、「テロリストの要求をのめば、それはテロリストの要求に屈するのと同じだ」と語り「予備費から身代金出す可能性に”今テロに屈する予定がないから、手続きまで考えていない”と述べた」(朝日新聞など)。
2月2日ロイターは「菅官房長官「身代金用意せず」、イスラム国との交渉を否定」
の表題の下、「菅官房長官は会見で、身代金を用意していたかについて記者から問われ、“それは全くない。100%ない”と明確に否定した。さらに、イスラム国と交渉する気は“全くなかった”と述べた」と報じた。
日本政府は人質救出に全力を尽くすというポーズをとりながら、その努力を行わなかったのである。
菅官房長官はなぜ、「身代金の用意は100%ない」「イスラム国と交渉する気は全くなかった」と述べたのであろうか。
答えは簡単である。
米国務省サキ報道官は会見で「身代金の支払いはかえって人々を危険にさらすが米国の考えだ」と述べた上「我々の立場は非公式に日本政府に伝えてある」と明らかにしている。(1月23日朝日新聞)。
菅官房長官は日本人向けに述べたのではなく、米国に向け発言したのである。
戦後、日本人の命が政府によってこれだけ軽々しく扱われたことはない。
さらにこの殺害は偶然起こったのではない。
「 2月1日イスラム国は後藤氏を殺害するビデオを公開した。ここで次の発言をしている。
「日本政府は邪悪な有志連合に参加した愚かな同盟国と同じように『イスラム国』の力と権威を理解できなかった。安倍総理よ。勝てない戦争に参加した向こう見ずな決断によって、このナイフは後藤を殺すだけでない。今後もあなたの国民はどこにいても殺される。日本の悪夢は始まる」
昨日、私はファクラーさんと八重洲ブックセンターで対話をした。
ファクラーさんは「孫崎さんのような意見は王手マスコミに出てきませんでしたね」と
控室で指摘していました。
私でなくてもいい。安倍首相の責任と、日本政府が国民を犠牲にしてまで、米国に媚を売っている姿を糾弾すべきである。
ファクラーしは糾弾した。
それを神奈川新聞である。
ここに日本の異常さがある。
ニューヨーク・タイムズ東京支局事務所は、朝日新聞の中にあるのである。
朝日新聞は、米国ではニューヨーク・タイムズ社の中にある。
神奈川新聞はファクラー氏にインタビューする位だから、朝日新聞は彼の見解は当然知っているはずである。それができない。朝日新聞は今や安倍首相の御用新聞になってしまったのである。
=================================
私見
これを読むと、「安倍政権が救出を成功させるために、国民は一丸となって支援すべきだ」といって、全会一致でテロリズム非難決議を行った全野党の「読みは甘かった」ことが後付けでわかる。
普通なら、「国民全体で支援すべき」が常識だろう。しかし、安倍政府は救出など全く考えていなかったし、この救出交渉に真剣に取り組んでいると国民が思い込んでいた時期に、着々と現在の全面的軍事同盟入りの交渉をおこない、国内の弾圧態勢を着々と進めていたことがわかる。
国会議員でこのことを見抜いていた慧眼は、日本共産党の池内さおり議員と、「生活の党」とくんだ山本太郎議員の二人しかいなかった。いまでは、安部晋三氏の言うことはすべて裏側になにかあると逆に考えることのほうが間違いないだろう。
《ファクラー「政府は“国民を犠牲にテロと交渉しなかった”を米国や英国にアピール」。堕落の極致―日本政府》
2015-03-07 07:5710
3月3日神奈川新聞は米有力紙ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラーとの極めて衝撃的なインタビュー記事を掲載した(全文はすでに掲載すみ)
「 私にとって、政府がテロリストとの交渉を拒んだことは、何の驚きもありませんでした。安倍首相は今回の事件を「国民が犠牲になったが、テロリストとは交渉しなかった」と米国や英国にアピールする材料にするつもりだろうと思っていました。」
そしてこれは事実に裏付けされています。
私は次を指摘してきていた。
1月23日麻生財務相は、「テロリストの要求をのめば、それはテロリストの要求に屈するのと同じだ」と語り「予備費から身代金出す可能性に”今テロに屈する予定がないから、手続きまで考えていない”と述べた」(朝日新聞など)。
2月2日ロイターは「菅官房長官「身代金用意せず」、イスラム国との交渉を否定」
の表題の下、「菅官房長官は会見で、身代金を用意していたかについて記者から問われ、“それは全くない。100%ない”と明確に否定した。さらに、イスラム国と交渉する気は“全くなかった”と述べた」と報じた。
日本政府は人質救出に全力を尽くすというポーズをとりながら、その努力を行わなかったのである。
菅官房長官はなぜ、「身代金の用意は100%ない」「イスラム国と交渉する気は全くなかった」と述べたのであろうか。
答えは簡単である。
米国務省サキ報道官は会見で「身代金の支払いはかえって人々を危険にさらすが米国の考えだ」と述べた上「我々の立場は非公式に日本政府に伝えてある」と明らかにしている。(1月23日朝日新聞)。
菅官房長官は日本人向けに述べたのではなく、米国に向け発言したのである。
戦後、日本人の命が政府によってこれだけ軽々しく扱われたことはない。
さらにこの殺害は偶然起こったのではない。
「 2月1日イスラム国は後藤氏を殺害するビデオを公開した。ここで次の発言をしている。
「日本政府は邪悪な有志連合に参加した愚かな同盟国と同じように『イスラム国』の力と権威を理解できなかった。安倍総理よ。勝てない戦争に参加した向こう見ずな決断によって、このナイフは後藤を殺すだけでない。今後もあなたの国民はどこにいても殺される。日本の悪夢は始まる」
昨日、私はファクラーさんと八重洲ブックセンターで対話をした。
ファクラーさんは「孫崎さんのような意見は王手マスコミに出てきませんでしたね」と
控室で指摘していました。
私でなくてもいい。安倍首相の責任と、日本政府が国民を犠牲にしてまで、米国に媚を売っている姿を糾弾すべきである。
ファクラーしは糾弾した。
それを神奈川新聞である。
ここに日本の異常さがある。
ニューヨーク・タイムズ東京支局事務所は、朝日新聞の中にあるのである。
朝日新聞は、米国ではニューヨーク・タイムズ社の中にある。
神奈川新聞はファクラー氏にインタビューする位だから、朝日新聞は彼の見解は当然知っているはずである。それができない。朝日新聞は今や安倍首相の御用新聞になってしまったのである。
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私見
これを読むと、「安倍政権が救出を成功させるために、国民は一丸となって支援すべきだ」といって、全会一致でテロリズム非難決議を行った全野党の「読みは甘かった」ことが後付けでわかる。
普通なら、「国民全体で支援すべき」が常識だろう。しかし、安倍政府は救出など全く考えていなかったし、この救出交渉に真剣に取り組んでいると国民が思い込んでいた時期に、着々と現在の全面的軍事同盟入りの交渉をおこない、国内の弾圧態勢を着々と進めていたことがわかる。
国会議員でこのことを見抜いていた慧眼は、日本共産党の池内さおり議員と、「生活の党」とくんだ山本太郎議員の二人しかいなかった。いまでは、安部晋三氏の言うことはすべて裏側になにかあると逆に考えることのほうが間違いないだろう。