【現代思想とジャーナリスト精神】

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竹中平蔵にまつわる報道と一年前の小生の竹中平蔵論

2016-01-04 19:26:47 | 政治・文化・社会評論
竹中平蔵にまつわる報道と一年前の小生の竹中平蔵論

                  櫻井 智志

 まずはじめに月刊ゲンダイの記事を転載させていただく。

①「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返しのア然
2016年1月4日

二枚舌(C)日刊ゲンダイ


 テレビ朝日系の「朝まで生テレビ!」。「激論!安倍政治~国民の選択と覚悟~」と題した1日放送の番組では、大田区の自民党区議が「建築板金業」と身分を隠し、安倍政権をヨイショするサクラ疑惑が発覚。「今年初のBPO入り番組」とネットで炎上中だが、同じように炎上しているのが、元総務相の竹中平蔵・慶応大教授の仰天発言だ。

 番組では、アベノミクスの「元祖3本の矢」や「新3本の矢」について是非を評価。冒頭、「アベノミクスは理論的には百%正しい」と太鼓判を押した竹中平蔵氏。アベノミクスの“キモ”であるトリクルダウンの効果が出ていない状況に対して、「滴り落ちてくるなんてないですよ。あり得ないですよ」と平然と言い放ったのである。

 トリクルダウンは、富裕層が富めば経済活動が活発になり、その富が貧しい者にも浸透するという経済論だ。2006年9月14日の朝日新聞は〈竹中平蔵・経済財政担当相(当時)が意識したのは(略)80年代の米国の税制改革だった。その背景には、企業や富裕層が豊かになれば、それが雨の滴が落ちるように社会全体に行きわたるとする『トリクルダウン政策』の考え方があった〉と報じているし、13年に出版された「ちょっと待って!竹中先生、アベノミクスは本当に間違ってませんね?」(ワニブックス)でも、竹中氏は〈企業が収益を上げ、日本の経済が上向きになったら、必ず、庶民にも恩恵が来ますよ〉と言い切っている。

 竹中平蔵氏がトリクルダウンの旗振り役を担ってきたのは、誰の目から見ても明らかだ。その張本人が今さら、手のひら返しで「あり得ない」とは二枚舌にもホドがある。埼玉大名誉教授で経済学博士の鎌倉孝夫氏はこう言う。

「国民の多くは『えっ?』と首をかしげたでしょう。ただ、以前から指摘している通り、トリクルダウンは幻想であり、資本は儲かる方向にしか進まない。竹中氏はそれを今になって、ズバリ突いただけ。つまり、安倍政権のブレーンが、これまで国民をゴマカし続けてきたことを認めたのも同然です」

 こんな男が今も政府の産業競争力会議の議員を務めているなんて、安倍政権のマヤカシがよく分かる。



新自由主義経済学者竹中平蔵氏の所論
2015-01-04 10:51:11
 竹中平蔵氏の所論について   櫻井智志

 小泉純一郎氏の政権以来、新自由主義政策のとくに経済のイデオローグとして、当時慶応大学教授だったかと思うが、竹中平蔵氏が登用された。竹中氏の経済政策はまもなく現実において破綻する。安倍晋三氏の政権でまたもや登用されてその発言が政権に重きをおくようだ。
 しかし、孫崎氏はテレビ朝日の金曜深夜番組「朝まで生テレビ」と竹中氏と討論する中で明快に竹中氏の本質を見抜いている。
以下は、直接孫崎氏の評論を転載させていただく。


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孫崎享のつぶやき
集団的自衛権:竹中平蔵氏等「この権利は世界中が持っている」。正確ではない。
2015-01-04 07:402
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 集団的自衛権の論争がつよくなる中で、「この権利は世界中が持っている。日本だけが持たないのはおかしい」との論が今後も今後共展開されよう。
 1月1日「朝ナマ」でも竹中平蔵氏が「自分は専門家でないが、「この権利は世界中が持っている。日本だけが持たないのはおかしい」と発言し、私がそれは違うと解説した。それは次のようなことである。

 国連憲章には次の項目がある。
「第五十一条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」

 この条項にみられるように、「個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」とある。従って、「集団的自衛権は各国に認められている」という判断は正しい。しかし、この認められる集団的自衛権には、「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には」という条件が付されている。つまり、集団的自衛権は、武力攻撃がなされた時に発生する。

 しかし、今日、米国の戦略は「武力攻撃がなされた時」という条件はない。「国際的安全保障環境を改善する」目的のために武力攻撃を行うことが出来る。今日米で行おうとしているのは、「国際的安全保障環境を改善する」目的のための“集団的自衛権”である(この点を明確に述べているのは2005年の「日米同盟未来のための変革」通称ツープラスツーと言われる合意文書でそれ以降日米はこれを継承)。

 これは国連憲章第51条で各国に認められた『集団的自衛権』と異質なものであるという事です。

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私見

 「集団的自衛権」のもとにいつも安倍総理が絵入りのパネルでテレビや国会討論で紹介する論理がある。朝鮮半島から日本人家族が乗り込んだアメリカ軍艦を他国が砲撃している。その船の日本人を救うために、日本はアメリカ軍艦を援護射撃して無事に日本人が帰国するまでアメリカ海軍を援護射撃する。それが「集団的自衛権」であると。
 とんでもない詭弁なのだ。日米軍事同盟の通称ツープラスツーの具体化に過ぎず、国連憲章弟51条が世界各国に認めている集団的自衛権とは、とんでもない異質の軍事同盟強化が、今回の安倍式集団的自衛権説の正体であることを見抜くことが必要だ。そのためにも、曲学阿世のニセ学者たちを批判することは、とても大切な言論の課題であることを教えられた。