【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

相次ぐバス事故の背後に「規制緩和」政策の因果が噴出している

2016-01-21 01:16:50 | 政治・文化・社会評論
あいつぐバス事故には、以下の記事のように労働環境が現代の蟹工船のような熾烈な劣悪さがある。もとをたどれば、小泉政権時の「規制緩和」による過当競争と会社乱造が背景にある。安全管理よりも、効率やコスト優先の資本の論理の優先が見えている。(櫻井智志)




「棺桶で仮眠」と話題…長距離バス運転手の過酷な勤務実態
2016年1月19日【日刊ゲンダイ】



〈まるで走る棺桶〉〈閉所恐怖症には無理〉〈事故したら終わりや〉
 長距離バスに設けられた運転手用の仮眠室がネット上に投稿され、話題を集めている。
 長野県軽井沢町のバス事故をきっかけに、ツアーバス運転手の過酷な勤務実態が指摘され始めている。実際、その労働環境は現代版「蟹工船」のようだ。



「一般的な夜間長距離バスは運転手2人態勢で深夜に出発し、目的地到着は早朝。現地で仮眠を取り、別の客を拾って出発地に戻る運行スケジュールです。到着地では乗客の荷物の搬出入やら車内清掃に時間を取られますし、食事も済ませなければならない。睡眠時間が5時間を切るのは珍しくないし、都合よくパッと寝付けるわけでもない。睡眠不足は常態化しています。しかも、運行中はネットで出回っている棺桶のような仮眠室を2人で共用するのですから、相当ストレスフルな環境です」(旅行業界関係者)


 金銭面も決して恵まれていない。国交省がバス事業者252社を対象に2009年にまとめた調査によると、正社員運転者の平均年収は499.2万円(平均年齢44.5歳)。嘱託再雇用運転者になると、ほぼ半分の269.1万円(52.2歳)にまで激減。08年の男性平均年収532.5万円(44.5歳)と比べるまでもない低賃金だ。

 12年の関越道ツアーバス事故を契機に安全対策が強化され、夜間長距離のワンマン運行の制限や運賃基準が引き上げられた。ところが、軽井沢のバスを運行した「イーエスピー」は法定下限の26万4000円を19万円で受注していたのだ。

 旅行ライターの渡辺輝乃氏はこう言う。

「中国人を中心とする訪日観光客の急増をあてこんだバス業界への新規参入が相次いでいますが、業界が潤っているかというと話は別。中国人は爆買いにはつぎ込みますが、ツアー料金はケチる傾向がある。インバウンドの商談では、バスなどの現地交通費はギリギリまで削られるのが当たり前。契約数は増えても、収益がなかなか上がらないのが現状です。普通免許すら取得しない若者が増えている中で、厳しいバス業界に飛び込んでいくのはごくわずか。高齢化が進むのは当然です」


 12年の厚労省の調査では、平均年齢は全産業平均(男子)の42.5歳を大きく上回る48.5歳。労働時間も全産業の2184時間よりも長い2544時間に上っていた。イー社は大型バス事業から撤退するというが、こんな声が上がっている。

「悪質な会社を退治できないのがバス業界。名前を変えて、また商売をはじめるのは常套手段です」(運輸業界関係者)
 廃棄カツしかり。安かろう悪かろうは、すべてに通じる。







「立憲臨調」と拮抗するだけの野党参院選共闘はなぜもたもたしているか情けない

2016-01-21 00:58:32 | 政治・文化・社会評論
なぜ安倍政権に対抗して、野党の参院選・選挙区一人区での共闘くらいでさえまとまらないのか。


このような野党のていたらくは、立ち上がった国民的うねりに冷や水を浴びせかけることにしかならない。


沖縄県の翁長雄志知事を筆頭に「オール沖縄会議」をまとめあげた複数野党の力量を、「本土」で見せられないとは情けないことだ。


担当者はそれなりに苦闘していると思う。


そんなことを思いながら、以下の記事を転載させていただく。
           (櫻井 智志)

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【日刊ゲンダイ】
安倍政権打倒へ識者200人決起 進まぬ野党共闘に苦言続々
2016年1月20日


憲法学者の樋口陽一氏や小林節氏(左)が中心(C)日刊ゲンダイ
 さあ、野党はどうする――。違憲の安保法成立から4カ月。なかなか進まない野党共闘を尻目に昨年、安保法制反対で先頭に立って声を上げた著名人たちが新しい団体を立ち上げ、19日、永田町の衆院議員会館で記者会見をした。


 団体の名称は「立憲政治を取り戻す国民運動委員会」。代表世話人は憲法学者の樋口陽一東大名誉教授、弁護士の宇都宮健児氏、俳優の宝田明氏、音楽家の三枝成彰氏、音楽評論家の湯川れい子氏。事務局幹事が憲法学者の小林節慶大名誉教授だ。委員会には200人ほどが参加し、シールズの奥田愛基氏のほかママの会のメンバー、ジャーナリストなど老若男女が幅広く加わった。
 声明文では「選挙によって成立した政権が立憲主義を否定した暴走は、有権者が選挙で倒して立憲主義を回復すべき」と訴える。立憲主義の回復とは、分かりやすく言えば「安倍政権の打倒」だ。


 樋口陽一氏は「戦後、日本はわざわざ立憲主義という言葉を掲げなくても民主政治が続いてきた。それを今の安倍政権は正面から攻撃している。立憲主義を取り戻すのは、国民の品性の問題だ」と力を込めた。


 もっとも、この委員会は「政治運動」はせず、参院選の候補者擁立などに関与するわけではないという。あくまで、月1回集まって情勢分析し、情報発信するのが目的。だから意見もそれぞれで、評論家の佐高信氏は「民主党は自由民主党と紛らわしいから、『立憲民主党』という名前にしたらどうか」などと提案した。また、中野晃一上智大教授は野党共闘について「市民がここまでまとまった。プロである政治家が、まとまれないはずはない」と苦言を呈した。


 小林節氏は「ぜひとも我々と反対の意見の人たちと公開討論会を行って、世論の理解を深めたい」とも。参院選を前に、安保法に賛成派VS反対派で激論バトルが繰り広げられれば、有権者の理解も進むと期待しているという。