【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

横井久美子さんの最新著作を読む

2016-04-16 17:13:26 | 政治・文化・社会評論
横井久美子さんの最新作『ネパール 村人総出でつくった 音楽ホール ~幸せを呼ぶ秘境の地 サチコール村~』を読む


               櫻井 智志



 エベレスト近隣の標高一四〇〇メートルのネパールの山奥にあるサチコール村。そこには、弱肉強食の生存競争を当たり前のものとしてうけとめている日本人の価値観とは全く逆の世界がある。サチコール村の人々は、自然と共存し、豊かであたたかい心を暮らしの根本として堅持して暮らし続けている。



 本書は事実を叙述して、淡々と横井さんの生活経験を伝えてくれる。サチコール村でコンサートをしてほしい。二〇一一年にコンサートの要請を受けた。横井さんがサチコール村でコンサートを開催して、三年間を経てサンギートホールを完成させた。二〇一五年四月に、ネパールはマグニチュード7.8の巨大地震におそわれる。横井さんは二か月後、救援金をたずさえ、カトマンズを訪れる。二〇〇八年に、ネパールは共和制となり、二〇一五年には新憲法が公布された。





 世界は、環境破壊や核、テロや戦闘行為で混沌としている。電気も水もガスもないサチコール村を通して横井久美子さんが見つめたものは、人間と人間との関係、人間と自然との関係の原点である。





 サチコール村で高熱の疾病で不安な体験も背負いながら、横井さんの人間らしさが、ネパール国民との心の絆を開拓していった。心と心をかよわせ音楽や交流をとおして、世界から信頼される営みを続ける存在があるのだということを、この本は教えてくれる。横井久美子さんは音楽家である。同時に、ネパール国サチコール村、そしてアイルランドやベトナム等、国際連帯活動の「文化大使」として、一級の実践家であることに深く思い至った。

横井久美子さんの最新著作を読む

2016-04-16 17:13:26 | 政治・文化・社会評論
横井久美子さんの最新作『ネパール 村人総出でつくった 音楽ホール ~幸せを呼ぶ秘境の地 サチコール村~』を読む


               櫻井 智志



 エベレスト近隣の標高一四〇〇メートルのネパールの山奥にあるサチコール村。そこには、弱肉強食の生存競争を当たり前のものとしてうけとめている日本人の価値観とは全く逆の世界がある。サチコール村の人々は、自然と共存し、豊かであたたかい心を暮らしの根本として堅持して暮らし続けている。



 本書は事実を叙述して、淡々と横井さんの生活経験を伝えてくれる。サチコール村でコンサートをしてほしい。二〇一一年にコンサートの要請を受けた。横井さんがサチコール村でコンサートを開催して、三年間を経てサンギートホールを完成させた。二〇一五年四月に、ネパールはマグニチュード7.8の巨大地震におそわれる。横井さんは二か月後、救援金をたずさえ、カトマンズを訪れる。二〇〇八年に、ネパールは共和制となり、二〇一五年には新憲法が公布された。





 世界は、環境破壊や核、テロや戦闘行為で混沌としている。電気も水もガスもないサチコール村を通して横井久美子さんが見つめたものは、人間と人間との関係、人間と自然との関係の原点である。





 サチコール村で高熱の疾病で不安な体験も背負いながら、横井さんの人間らしさが、ネパール国民との心の絆を開拓していった。心と心をかよわせ音楽や交流をとおして、世界から信頼される営みを続ける存在があるのだということを、この本は教えてくれる。横井久美子さんは音楽家である。同時に、ネパール国サチコール村、そしてアイルランドやベトナム等、国際連帯活動の「文化大使」として、一級の実践家であることに深く思い至った。
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