核兵器の破壊力の不可逆性か北朝鮮と他国との歴史的経緯をふまえた分析考察か
「前説」
もっとも説得的な見解に出会えた。目下、私はこれよりも自らがうなづくことのできる見解を読んでいない。進歩的ないくつかの論調も
「核兵器の破壊力の重大なとりかえしのつかない不可逆性」をメインとしている。孫崎享氏は、北朝鮮と諸外国との歴史的経緯をたどりながら分析し考察している。そこに説得力の源泉がある。(櫻井智志)
【孫崎享のつぶやき】
北朝鮮の核開発にどう臨むか。第2次大戦後北朝鮮は世界で最も核兵器攻撃の恐怖下。対抗措置として核開発考えるのは自然。ではどうするか。北朝鮮の政権国家を軍事的手段で崩壊を求めない国際的枠組みを作ること(キッシンジャーの『核兵器と外交政策』の適用)
2016-09-10 08:133
A事実関係
1:北朝鮮は9日午後1時(日本時間午後1時半)、朝鮮中央テレビで「核弾頭の威力判定のための核爆発実験が成功裏に行われた」との声明を伝え、核実験の実施を発表した。北朝鮮の核実験は今年1月6日以来で、通算5回目となる。核弾頭の実験実施に言及したのは初めてだ。核弾頭を搭載した弾道ミサイルの実戦配備に近づいた可能性が大きく、日本や韓国などにとって脅威は一段と増大した。
韓国気象庁は9日午前9時半頃、北朝鮮北東部・豊渓里プンゲリの核実験場がある咸鏡北道ハムギョンプクト吉州キルジュ郡付近を震源とするマグニチュード(M)5・0の人工的な揺れを観測。日本の気象庁や米地質調査所(USGS)などではM5・3の揺れを観測した。(読売新聞)
2:安保理、非公開で緊急会合…新たな北制裁協議か
国連安全保障理事会は9日午後(日本時間10日午前)、北朝鮮の5回目の核実験を受けた非公開の緊急会合を開始した。非難声明の発表や、新たな制裁決議を含む対応について協議するとみられる。(読売新聞)
B:評価
今国際社会は制裁強化で北朝鮮の核開発を止めようとしている。それで阻止できるか。どうも逆ではないか。
もし、本当に北朝鮮の核開発を真剣に阻止したいと単が得るなら次を読んでみてほしい。(『日米同盟の正体』より)
************************************
キッシンジャーは、核兵器と外交の関係につきさらに次のように述べている。
・ 核保有国間の戦争は中小国家であっても、核兵器の使用につながる
・ 核兵器を有する国はそれを用いずして全面降伏を受け入れることはないであろう、一方でその生存が直接脅かされていると信ずると き以外は、戦争の危険を冒す国もないとみられる
・ 無条件降伏を求めないことを明らかにし、どんな紛争も国家の生存の問題を含まない枠を作ることが米国外交の仕事である
キッシンジャーの言葉を現在の極東にあてはめて考えて見よう。われわれにとっては北朝鮮の核兵器開発がどうなるかが、極めて重大な関心事である。
われわれは通常西側の観点で考える。
では北朝鮮側からはどう見えるだろうか。
ガバン・マコーマックの『北朝鮮をどう考えるのか』(平凡社、二〇〇四年)を参照してみよう。
『========================================================
米国にとり北朝鮮の核は過去一〇年間ほど主要な問題であったが、
北朝鮮にとっては米国の核の脅威は過去五〇年絶えず続いてきた問題であった。
核時代にあって、
北朝鮮の独特な点はどんな国よりも
長く核の脅威に常に向き合い、その影に生きてきた。
朝鮮戦争のときには核による殲滅から紙一重で免れた。
米軍はその後核弾道弾や地雷、ミサイルを持ち込んだ。
一九九一年核弾道弾が韓国から撤収されても、
米軍は北朝鮮を標的とするミサイル演習を続けた。
北朝鮮では核の脅威がなくならなかった。
何十年も核の脅威と向き合ってきた北朝鮮が、
機会があれば『抑止力』を開発しようと考えるのは驚くことではない
===========================================』
北朝鮮がこの恐怖心を持っているさいには、西側はどう対応すべきか。
ここでキッシンジャーの考えが生きてくる。
キッシンジャーは
「核兵器を有する国はそれを用いずして全面降伏を受け入れることはないであろうし、一方でその生存が直接脅かされていると信ずるとき以外は、戦争の危険を冒す国もないと見られる」
と判断した。
同時に、
「無条件降伏を求めるものでないことを明らかにし、どんな紛争も国家の生存の問題を含まない枠を作ることが米国外交の仕事である」
と指摘している。
この指摘が、北朝鮮の核兵器開発に対する西側の基本理念となるべきではないか。
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「前説」
もっとも説得的な見解に出会えた。目下、私はこれよりも自らがうなづくことのできる見解を読んでいない。進歩的ないくつかの論調も
「核兵器の破壊力の重大なとりかえしのつかない不可逆性」をメインとしている。孫崎享氏は、北朝鮮と諸外国との歴史的経緯をたどりながら分析し考察している。そこに説得力の源泉がある。(櫻井智志)
【孫崎享のつぶやき】
北朝鮮の核開発にどう臨むか。第2次大戦後北朝鮮は世界で最も核兵器攻撃の恐怖下。対抗措置として核開発考えるのは自然。ではどうするか。北朝鮮の政権国家を軍事的手段で崩壊を求めない国際的枠組みを作ること(キッシンジャーの『核兵器と外交政策』の適用)
2016-09-10 08:133
A事実関係
1:北朝鮮は9日午後1時(日本時間午後1時半)、朝鮮中央テレビで「核弾頭の威力判定のための核爆発実験が成功裏に行われた」との声明を伝え、核実験の実施を発表した。北朝鮮の核実験は今年1月6日以来で、通算5回目となる。核弾頭の実験実施に言及したのは初めてだ。核弾頭を搭載した弾道ミサイルの実戦配備に近づいた可能性が大きく、日本や韓国などにとって脅威は一段と増大した。
韓国気象庁は9日午前9時半頃、北朝鮮北東部・豊渓里プンゲリの核実験場がある咸鏡北道ハムギョンプクト吉州キルジュ郡付近を震源とするマグニチュード(M)5・0の人工的な揺れを観測。日本の気象庁や米地質調査所(USGS)などではM5・3の揺れを観測した。(読売新聞)
2:安保理、非公開で緊急会合…新たな北制裁協議か
国連安全保障理事会は9日午後(日本時間10日午前)、北朝鮮の5回目の核実験を受けた非公開の緊急会合を開始した。非難声明の発表や、新たな制裁決議を含む対応について協議するとみられる。(読売新聞)
B:評価
今国際社会は制裁強化で北朝鮮の核開発を止めようとしている。それで阻止できるか。どうも逆ではないか。
もし、本当に北朝鮮の核開発を真剣に阻止したいと単が得るなら次を読んでみてほしい。(『日米同盟の正体』より)
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キッシンジャーは、核兵器と外交の関係につきさらに次のように述べている。
・ 核保有国間の戦争は中小国家であっても、核兵器の使用につながる
・ 核兵器を有する国はそれを用いずして全面降伏を受け入れることはないであろう、一方でその生存が直接脅かされていると信ずると き以外は、戦争の危険を冒す国もないとみられる
・ 無条件降伏を求めないことを明らかにし、どんな紛争も国家の生存の問題を含まない枠を作ることが米国外交の仕事である
キッシンジャーの言葉を現在の極東にあてはめて考えて見よう。われわれにとっては北朝鮮の核兵器開発がどうなるかが、極めて重大な関心事である。
われわれは通常西側の観点で考える。
では北朝鮮側からはどう見えるだろうか。
ガバン・マコーマックの『北朝鮮をどう考えるのか』(平凡社、二〇〇四年)を参照してみよう。
『========================================================
米国にとり北朝鮮の核は過去一〇年間ほど主要な問題であったが、
北朝鮮にとっては米国の核の脅威は過去五〇年絶えず続いてきた問題であった。
核時代にあって、
北朝鮮の独特な点はどんな国よりも
長く核の脅威に常に向き合い、その影に生きてきた。
朝鮮戦争のときには核による殲滅から紙一重で免れた。
米軍はその後核弾道弾や地雷、ミサイルを持ち込んだ。
一九九一年核弾道弾が韓国から撤収されても、
米軍は北朝鮮を標的とするミサイル演習を続けた。
北朝鮮では核の脅威がなくならなかった。
何十年も核の脅威と向き合ってきた北朝鮮が、
機会があれば『抑止力』を開発しようと考えるのは驚くことではない
===========================================』
北朝鮮がこの恐怖心を持っているさいには、西側はどう対応すべきか。
ここでキッシンジャーの考えが生きてくる。
キッシンジャーは
「核兵器を有する国はそれを用いずして全面降伏を受け入れることはないであろうし、一方でその生存が直接脅かされていると信ずるとき以外は、戦争の危険を冒す国もないと見られる」
と判断した。
同時に、
「無条件降伏を求めるものでないことを明らかにし、どんな紛争も国家の生存の問題を含まない枠を作ることが米国外交の仕事である」
と指摘している。
この指摘が、北朝鮮の核兵器開発に対する西側の基本理念となるべきではないか。
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