【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

核兵器の破壊力の不可逆性か北朝鮮と他国との歴史的経緯をふまえた分析考察か

2016-09-10 14:52:32 | 転載と私見
核兵器の破壊力の不可逆性か北朝鮮と他国との歴史的経緯をふまえた分析考察か



「前説」
 もっとも説得的な見解に出会えた。目下、私はこれよりも自らがうなづくことのできる見解を読んでいない。進歩的ないくつかの論調も
「核兵器の破壊力の重大なとりかえしのつかない不可逆性」をメインとしている。孫崎享氏は、北朝鮮と諸外国との歴史的経緯をたどりながら分析し考察している。そこに説得力の源泉がある。(櫻井智志)

【孫崎享のつぶやき】

北朝鮮の核開発にどう臨むか。第2次大戦後北朝鮮は世界で最も核兵器攻撃の恐怖下。対抗措置として核開発考えるのは自然。ではどうするか。北朝鮮の政権国家を軍事的手段で崩壊を求めない国際的枠組みを作ること(キッシンジャーの『核兵器と外交政策』の適用)

2016-09-10 08:133


A事実関係

1:北朝鮮は9日午後1時(日本時間午後1時半)、朝鮮中央テレビで「核弾頭の威力判定のための核爆発実験が成功裏に行われた」との声明を伝え、核実験の実施を発表した。北朝鮮の核実験は今年1月6日以来で、通算5回目となる。核弾頭の実験実施に言及したのは初めてだ。核弾頭を搭載した弾道ミサイルの実戦配備に近づいた可能性が大きく、日本や韓国などにとって脅威は一段と増大した。


韓国気象庁は9日午前9時半頃、北朝鮮北東部・豊渓里プンゲリの核実験場がある咸鏡北道ハムギョンプクト吉州キルジュ郡付近を震源とするマグニチュード(M)5・0の人工的な揺れを観測。日本の気象庁や米地質調査所(USGS)などではM5・3の揺れを観測した。(読売新聞)



2:安保理、非公開で緊急会合…新たな北制裁協議か

 国連安全保障理事会は9日午後(日本時間10日午前)、北朝鮮の5回目の核実験を受けた非公開の緊急会合を開始した。非難声明の発表や、新たな制裁決議を含む対応について協議するとみられる。(読売新聞)



B:評価

 今国際社会は制裁強化で北朝鮮の核開発を止めようとしている。それで阻止できるか。どうも逆ではないか。
 もし、本当に北朝鮮の核開発を真剣に阻止したいと単が得るなら次を読んでみてほしい。(『日米同盟の正体』より)

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 キッシンジャーは、核兵器と外交の関係につきさらに次のように述べている。


  ・ 核保有国間の戦争は中小国家であっても、核兵器の使用につながる
  ・ 核兵器を有する国はそれを用いずして全面降伏を受け入れることはないであろう、一方でその生存が直接脅かされていると信ずると    き以外は、戦争の危険を冒す国もないとみられる
  ・ 無条件降伏を求めないことを明らかにし、どんな紛争も国家の生存の問題を含まない枠を作ることが米国外交の仕事である


 キッシンジャーの言葉を現在の極東にあてはめて考えて見よう。われわれにとっては北朝鮮の核兵器開発がどうなるかが、極めて重大な関心事である。

 われわれは通常西側の観点で考える。

では北朝鮮側からはどう見えるだろうか。
ガバン・マコーマックの『北朝鮮をどう考えるのか』(平凡社、二〇〇四年)を参照してみよう。

『========================================================

 米国にとり北朝鮮の核は過去一〇年間ほど主要な問題であったが、
北朝鮮にとっては米国の核の脅威は過去五〇年絶えず続いてきた問題であった。

核時代にあって、
北朝鮮の独特な点はどんな国よりも
長く核の脅威に常に向き合い、その影に生きてきた。

 朝鮮戦争のときには核による殲滅から紙一重で免れた。

米軍はその後核弾道弾や地雷、ミサイルを持ち込んだ。

一九九一年核弾道弾が韓国から撤収されても、
米軍は北朝鮮を標的とするミサイル演習を続けた。

北朝鮮では核の脅威がなくならなかった。

何十年も核の脅威と向き合ってきた北朝鮮が、
機会があれば『抑止力』を開発しようと考えるのは驚くことではない

===========================================』


 北朝鮮がこの恐怖心を持っているさいには、西側はどう対応すべきか。

 ここでキッシンジャーの考えが生きてくる。
キッシンジャーは
「核兵器を有する国はそれを用いずして全面降伏を受け入れることはないであろうし、一方でその生存が直接脅かされていると信ずるとき以外は、戦争の危険を冒す国もないと見られる」
と判断した。

同時に、
「無条件降伏を求めるものでないことを明らかにし、どんな紛争も国家の生存の問題を含まない枠を作ることが米国外交の仕事である」
と指摘している。
この指摘が、北朝鮮の核兵器開発に対する西側の基本理念となるべきではないか。 

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心にきこえるイムジン河

2016-09-10 13:04:00 | 政治・文化・社会評論
イムジン河
                櫻井 智志



 志位和夫論評(【北朝鮮の核実験を糾弾する】2016年9月9日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫 )
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2016/09/post-725.html
は明確な見解であり、日本共産党の社会的・政治的見解をも明確に世間に表明したものとして、重要な見解である。北朝鮮の核兵器実験をもとに、国内のリベラルな民主勢力就中日本共産党への反共攻撃の前にきちんとした説得の根拠となろう。



 ただ、話題は別のことだが、朝鮮戦争もいまだ終わらぬ一時停止中の朝鮮民族にとり、たとえば日本国内でも小池東京都知事は、半島から強制連行して過重労働や差別迫害された朝鮮民族で、日本に定住する「在日」に対して、あまりに人権侵害の教育費削除や減額という在日朝鮮民族の子弟には無縁なことで、教育の論理を無視した政治的介入をすすめている。



 私はいままでに、金芝河の詩集を翻訳した萩原遼が、北朝鮮の実態を告発する文章も読んだ。それにもかかわらず、国民の多くが核兵器開発でヒロシマやナガサキの被曝の悲惨さをわきまえぬ北朝鮮を批判的に見ている。それにもかかわらず、北朝鮮の一連の愚行・暴挙を北の支配層と人民はなぜ阻止しえぬのか、その構造は何なのか。批判意識とともに疑問をもち続けている。



 北朝鮮絶賛論でもなく、北朝鮮罵倒論でもなく、北朝鮮の国家の構造を解き明かし、世界中のマスコミのバイアスをかけなくとも、やはりそうとうに酷いのか。なぜそうなっているのに、改善しえないか。わずかなことで側近の重要幹部を殺戮すると伝えられてきたあいつぐ法秩序とは無縁な圧政。それらをきちんと把握したい。



 ベトナムは、北の労働党と南の解放戦線がともに分業して闘い、ついには南ベトナムのゴ・ジンジェム政権を倒し、北はハノイを解放しアメリカ帝国主義を倒し、1972年4月、民族統一への重要なベトナム戦争勝利を勝ち取った。


 朝鮮は、歴史的に日本以上にすぐれた文明文化をもち、それが近世以降悲劇的な歴史のなかで耐えに耐えて、日本の元号でいえば、明治・大正・昭和の前半をしのびながら、ついには戦争勝利しながら、大国のエゴで朝鮮戦争になってしまい、戦争も終戦ではなく休戦でしかない。
「イムジン河」が哀しくいまも私には心にきこえる。
https://www.youtube.com/watch?v=B28Mjsd2dLE