「市民と野党共闘」連帯と「C3の定理」
~志位和夫委員長が語る日本共産党の成長と野党共闘~
2016/09/24
櫻井 智志
公開された日本共産党第六回中央員会において志位和夫委員長は、「結語」報告を行った。その報告には、日本社会の前進に影響を与える意義が感じられた。その一部分を抜粋して転載した上で、その意義について小生の考察を後に記した。
==報告抜粋開始==================
(前略)
日本共産党自身が、野党共闘を通じて、政治的に大きく成長している
第一は、討論を通じて、野党と市民の共闘が、今後に生きる大きな財産をつくりだしたことが語られたということです。
他の野党、市民との新しい連帯と信頼の絆が広がっていることについて、参院選1人区はもとより、複数区からも、生き生きと語られました。さらに、二つの点を強調しておきたいと思います。
一つは、日本共産党自身が、野党共闘を通じて、党機関も、党支部も、政治的に大きく成長しているということです。とりわけ参院選1人区の県委員長のみなさんの発言を聞きますと、県委員長のみなさん自身がそうした政治的成長を体現しているということを強く感じます。
1人区での野党共闘を成功させるために、いろいろな障害があっても辛抱強く、苦労しながら、誠実に力をつくすなかで、共闘の相手に前向きな変化が生まれ、市民運動のみなさんとも力を合わせて、野党統一候補を実現する。その後の選挙戦も簡単ではありませんでしたが、たたかいを通じて一歩一歩、情勢を前向きに打開していった。こういう取り組みが語られました。
この取り組みを通じて、わが党自身が多くのものを学び、成長している。本格的な“他流試合”――他の政党との話し合い、さまざまな市民団体との話し合いを行い、共闘の流れをつくりだすことに貢献していく。そういう力量を身につけていったということでは、わが党自身も大きな成長をとげつつあるのです。これは、私は、野党と市民の共闘がわが党にもたらした大きな収穫だと思います。
日本共産党の田辺健一さんが野党統一候補となった香川県からの発言で、「民進党の県連代表から、『どうですか? 1人区で野党共闘となって、選挙たいへんでしょ』と言われた。彼らは、選挙は『勝つ』『負ける』、1人区であれ何人区であれ、そこに焦点をあてて活動する。その水準から考えて私たちはどうかと問われたなと思う」というものがありました。わが党自身も、他党のみなさんが1人区で勝利というところにかける気持ちや決意に学ばされるところがあったという発言でした。
そうしたことも含めて、このたたかいを通じて、わが党も学び、鍛えられ、成長している。これは、今後につながる大きな収穫として確認できるのではないでしょうか。
野党と市民の共闘は、曲折があっても、後戻りすることは決してない
いま一つは、参議院選挙の後も全国各地で、総選挙に向けて、「今後も野党共闘を発展させよう」という話し合いが行われていることです。
それは、選挙の終わった後のご苦労さん会、総括会議、今後の協力についての会議など、いろいろな形で行われています。そして話し合ってみれば、実践を通じて、野党共闘という道に大義があり、たしかな威力がある。それは誰も否定できない。
今後、野党と市民の共闘がどうなるか。私たちの立場は、幹部会報告でのべたように確固としたものですが、曲折もありうるでしょう。ただ、今後、曲折があったとしても、大局でいえば、後戻りすることは決してないと、言い切っていいと思います。そこはぜひ全体の確信にして、今後もこの道を発展させていきたい。
当面、総選挙の選挙協力が問題となりますが、そのための政党間協議は中央段階で責任をもって行います。同時に、それぞれの地域で共通政策の実現のためのたたかいとともに、野党共闘のための意見交換は進めていただきたい。全国で地域から大きな流れをつくりながら、中央でまとめていく作業を今後やっていきたいと思います。
(以下略)
====報告抜粋終了=====
【考察】
これは新たな政治的市民改革の率直で深い洞察である。
このような視点の努力が、野党共闘候補の一人区11議席勝利の礎となった。選挙結果にとどまらず、政党同士の成長と共産党の「寛容さ」と「柔軟な他党受け入れの党風」とを新たに獲得した。
さらに、
《今後、野党と市民の共闘がどうなるか。私たちの立場は、幹部会報告でのべたように確固としたものですが、曲折もありうるでしょう。ただ、今後、曲折があったとしても、大局でいえば、後戻りすることは決してないと、言い切っていいと思います。そこはぜひ全体の確信にして、今後もこの道を発展させていきたい。》
この志位和夫委員長の見解の視点は、重要なことを指摘している。
野党共闘の前に、世論は民主党の岡田代表は多面的な党内をまとめきれないとみなしていた。志位委員長は中期的な長い目で見守ろう、他党のひとびとへの対応の共産党自身の態度に聴く耳をもつ柔軟さを身に着けよう、という意味の言葉を述べた。結果は、見事な野党共闘と岡田克也氏への信頼が共産党の内外にも高まった。
いま民進党は、代表にはじめて女性政治家蓮舫氏が抜群の民進党内の支持を集め選ばれた。直後に幹事長に野田元総理が就任したことで、世間には失望感が流れた。私も野田氏を「自民党野田派」と認識して書いてきた。紆余曲折はあろう。それでも、民進党を野党共闘に含むか含まないかは、大きな相違がある。参院選時にもまして、民進党には衆院選での「市民と野党共闘」への異論や懸念が根強くわだかまるそうだ。
私は「野党共闘と市民」とは言わない。市民を最初にもってくる。今回も市民連合や総がかり行動実行委員会など全国の市民の共闘への要望が果たしている役割は大きい。言葉尻でなく、市民が今日ほど節度と分別をふまえた積極的行動は、日本型市民革命の精神でしかも行動は実務を疎かにはしていない。この「市民と野党共闘」連帯は、「21世紀の日本社会における国民的統一戦線」の主体たりうるすぐれた政治家、政党、市民、市民連合の実態をになっている。
志位和夫氏の発言引用抜き書き箇所《 》を、かりに「志位さんの定理=C3の定理」と定義づけして、考察を進める。
今後、【「市民と野党共闘」連帯】の外延的論理に対置してその本質的内容が【C3の定理】という内包的論理によって、構造的に一体化されて、「共闘」と「共闘への基本的態度」とが充実して満たされていくなら、その意義は非常に大きい。国政選挙闘争にとどまらない。日本的政治風土そのものが根本的向上へと深化発展していくことだろう。その大きな意義には、はかり知れないものがある。
国民や在日本外国人を囲む暮らしと生活をめぐる情勢は、ますます悪化している。権力をもつ政権や裁判所も、マスコミや文化のメディアも、国民を「教化」する学校教育も社会教育も、福祉や医療も日本の「新貧困化」はとどまるところを知らない。その困難な現実を打開していくこと、それにとり組むすべての市民や政党を、私たちは支持し、ともに歩むように務めたい。ささやかであるが、蟷螂の斧として「ことば」を心から紡いで、人生の最後までまゆの糸のように発していこう。そう静かに反芻している。正しいことは声低く。そして持続しつづけていきたい。
~志位和夫委員長が語る日本共産党の成長と野党共闘~
2016/09/24
櫻井 智志
公開された日本共産党第六回中央員会において志位和夫委員長は、「結語」報告を行った。その報告には、日本社会の前進に影響を与える意義が感じられた。その一部分を抜粋して転載した上で、その意義について小生の考察を後に記した。
==報告抜粋開始==================
(前略)
日本共産党自身が、野党共闘を通じて、政治的に大きく成長している
第一は、討論を通じて、野党と市民の共闘が、今後に生きる大きな財産をつくりだしたことが語られたということです。
他の野党、市民との新しい連帯と信頼の絆が広がっていることについて、参院選1人区はもとより、複数区からも、生き生きと語られました。さらに、二つの点を強調しておきたいと思います。
一つは、日本共産党自身が、野党共闘を通じて、党機関も、党支部も、政治的に大きく成長しているということです。とりわけ参院選1人区の県委員長のみなさんの発言を聞きますと、県委員長のみなさん自身がそうした政治的成長を体現しているということを強く感じます。
1人区での野党共闘を成功させるために、いろいろな障害があっても辛抱強く、苦労しながら、誠実に力をつくすなかで、共闘の相手に前向きな変化が生まれ、市民運動のみなさんとも力を合わせて、野党統一候補を実現する。その後の選挙戦も簡単ではありませんでしたが、たたかいを通じて一歩一歩、情勢を前向きに打開していった。こういう取り組みが語られました。
この取り組みを通じて、わが党自身が多くのものを学び、成長している。本格的な“他流試合”――他の政党との話し合い、さまざまな市民団体との話し合いを行い、共闘の流れをつくりだすことに貢献していく。そういう力量を身につけていったということでは、わが党自身も大きな成長をとげつつあるのです。これは、私は、野党と市民の共闘がわが党にもたらした大きな収穫だと思います。
日本共産党の田辺健一さんが野党統一候補となった香川県からの発言で、「民進党の県連代表から、『どうですか? 1人区で野党共闘となって、選挙たいへんでしょ』と言われた。彼らは、選挙は『勝つ』『負ける』、1人区であれ何人区であれ、そこに焦点をあてて活動する。その水準から考えて私たちはどうかと問われたなと思う」というものがありました。わが党自身も、他党のみなさんが1人区で勝利というところにかける気持ちや決意に学ばされるところがあったという発言でした。
そうしたことも含めて、このたたかいを通じて、わが党も学び、鍛えられ、成長している。これは、今後につながる大きな収穫として確認できるのではないでしょうか。
野党と市民の共闘は、曲折があっても、後戻りすることは決してない
いま一つは、参議院選挙の後も全国各地で、総選挙に向けて、「今後も野党共闘を発展させよう」という話し合いが行われていることです。
それは、選挙の終わった後のご苦労さん会、総括会議、今後の協力についての会議など、いろいろな形で行われています。そして話し合ってみれば、実践を通じて、野党共闘という道に大義があり、たしかな威力がある。それは誰も否定できない。
今後、野党と市民の共闘がどうなるか。私たちの立場は、幹部会報告でのべたように確固としたものですが、曲折もありうるでしょう。ただ、今後、曲折があったとしても、大局でいえば、後戻りすることは決してないと、言い切っていいと思います。そこはぜひ全体の確信にして、今後もこの道を発展させていきたい。
当面、総選挙の選挙協力が問題となりますが、そのための政党間協議は中央段階で責任をもって行います。同時に、それぞれの地域で共通政策の実現のためのたたかいとともに、野党共闘のための意見交換は進めていただきたい。全国で地域から大きな流れをつくりながら、中央でまとめていく作業を今後やっていきたいと思います。
(以下略)
====報告抜粋終了=====
【考察】
これは新たな政治的市民改革の率直で深い洞察である。
このような視点の努力が、野党共闘候補の一人区11議席勝利の礎となった。選挙結果にとどまらず、政党同士の成長と共産党の「寛容さ」と「柔軟な他党受け入れの党風」とを新たに獲得した。
さらに、
《今後、野党と市民の共闘がどうなるか。私たちの立場は、幹部会報告でのべたように確固としたものですが、曲折もありうるでしょう。ただ、今後、曲折があったとしても、大局でいえば、後戻りすることは決してないと、言い切っていいと思います。そこはぜひ全体の確信にして、今後もこの道を発展させていきたい。》
この志位和夫委員長の見解の視点は、重要なことを指摘している。
野党共闘の前に、世論は民主党の岡田代表は多面的な党内をまとめきれないとみなしていた。志位委員長は中期的な長い目で見守ろう、他党のひとびとへの対応の共産党自身の態度に聴く耳をもつ柔軟さを身に着けよう、という意味の言葉を述べた。結果は、見事な野党共闘と岡田克也氏への信頼が共産党の内外にも高まった。
いま民進党は、代表にはじめて女性政治家蓮舫氏が抜群の民進党内の支持を集め選ばれた。直後に幹事長に野田元総理が就任したことで、世間には失望感が流れた。私も野田氏を「自民党野田派」と認識して書いてきた。紆余曲折はあろう。それでも、民進党を野党共闘に含むか含まないかは、大きな相違がある。参院選時にもまして、民進党には衆院選での「市民と野党共闘」への異論や懸念が根強くわだかまるそうだ。
私は「野党共闘と市民」とは言わない。市民を最初にもってくる。今回も市民連合や総がかり行動実行委員会など全国の市民の共闘への要望が果たしている役割は大きい。言葉尻でなく、市民が今日ほど節度と分別をふまえた積極的行動は、日本型市民革命の精神でしかも行動は実務を疎かにはしていない。この「市民と野党共闘」連帯は、「21世紀の日本社会における国民的統一戦線」の主体たりうるすぐれた政治家、政党、市民、市民連合の実態をになっている。
志位和夫氏の発言引用抜き書き箇所《 》を、かりに「志位さんの定理=C3の定理」と定義づけして、考察を進める。
今後、【「市民と野党共闘」連帯】の外延的論理に対置してその本質的内容が【C3の定理】という内包的論理によって、構造的に一体化されて、「共闘」と「共闘への基本的態度」とが充実して満たされていくなら、その意義は非常に大きい。国政選挙闘争にとどまらない。日本的政治風土そのものが根本的向上へと深化発展していくことだろう。その大きな意義には、はかり知れないものがある。
国民や在日本外国人を囲む暮らしと生活をめぐる情勢は、ますます悪化している。権力をもつ政権や裁判所も、マスコミや文化のメディアも、国民を「教化」する学校教育も社会教育も、福祉や医療も日本の「新貧困化」はとどまるところを知らない。その困難な現実を打開していくこと、それにとり組むすべての市民や政党を、私たちは支持し、ともに歩むように務めたい。ささやかであるが、蟷螂の斧として「ことば」を心から紡いで、人生の最後までまゆの糸のように発していこう。そう静かに反芻している。正しいことは声低く。そして持続しつづけていきたい。