【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

東京都知事小池百合子氏はどのような政治家をめざしているのか

2016-11-07 22:11:56 | 政治・文化・社会評論

2016/11/07
             櫻井 智志


 東京都知事選における小池百合子氏の選挙活動は凄かった。エネルギッシュな行動半径、都民の肝をつかんだ選挙作戦。小泉純一郎元総理に似た、仮想敵一元化として自民党都連攻撃。「ユリコ・グリーン」なる服装色とツイッターによる都民支持者獲得の深層心理掌握術。
おそらく電通のような広告代理店のプロが選挙参謀役を果たしていたのだろう。


 しかし、小池氏の政治行動の特色は、当選してからも都民の問題でもある東京五輪や築地-豊洲魚市場移転問題への取り組みである。
このように小池百合子氏は、積極的に都政問題に取り組んだ。同時に、衆院補選では「自民党員」として安倍首相とともに選挙運動カーの上にならび、自民党候補を応援しただけでなく、九州福岡までとび、鳩山一族の鳩山二郎氏を圧勝に導いた。


 下記に転載した日刊ゲンダイのように、 小池都知事は安倍総理と対照的に都民からの支持も高い。けれど、小池氏の積極的な行動力は鋭く都政の問題を鋭く指摘したけれども、その問題をどう解決するかはまだいささかも片付いていない。まさに、「小池劇場」はどのような性格のものなのか、どんな解決能力をもっているかさだかではない。
 それよりも、「希望の塾」と名付けた小池政治塾に、数千人を集め、維新の会の橋下徹氏を講師に数度招くなどしていることから、①「小池新党」結党をめざし、来年の東京都議選をめざしていること ②維新の会と提携していくことが予想される様相を呈してきたこと などが見えてきた。


 仮設をお許し願えれば、小池百合子のめざしているものは、安倍総理のあとの日本国首相の座のように思える。現在の安倍自民党に、つかず離れずのスタンスにいることは、国民の支持を多数得るには必須である。「小池新党」で二桁の議席をとれば、維新の会、民進党右派、自民党の一部によって、議会運営に有利な状況となる。
 日本新党、新進党、自由党、自民党と旅してきた小池百合子氏にとり、必ずしもずっと自民党にがんじがらめにされるよりも、

自民党にわずかにでもかすめつつ、維新の会や民進党右派などを糾合して、小池百合子政権を樹立し、総理となる野望をもつ。自民党で防衛相や日本会議議員グループ要職をつとめた氏は、現在の安倍総理以上に、タカ派であり、信念の政治家というよりも、周囲に自らの発言や言動をあわせて変えるカメレオン型政治家である。


 小池総理が誕生した時に、平和政治家となるか軍国主義政治家となるかは、あまり油断するのは禁物である。女性政治家がすべておだやかで平和主義者とは限らない。ドイツのメルケル首相は平和の見識をもつが、イギリスのサッチャー首相はレーガンアメリカ大統領・中曽根康弘日本首相のようにトリオで軍拡と新自由主義をぱらまいた、恐怖のトリオのひとりであった。
 もしも小池氏が信念の政治家として、徹底的に自民党都連と戦っていても、それが逆に小池氏に有利ならば、小池氏は容赦なく、時にはもと都知事石原慎太郎氏を徹底的に追い詰める場面もあり得よう。それは、今年中のこととなろう。-了-
 

====資料================

世論調査で“小池人気”浮き彫りに 安倍内閣には不信感露わ
2016年11月7日
「日刊ゲンダイ」
評価がはっきり分かれた両氏(C)

 毎日新聞と読売新聞が今月初めにそれぞれ実施した世論調査で安倍内閣への不信感と小池百合子東京都知事の人気の高さが浮き彫りになった。7日の両紙で公表された。
 毎日の調査によると、安倍内閣の支持率は9月の前回調査より2ポイント増の48%、不支持率は4ポイント減の31%だったが、自民党が総裁任期を「連続3期9年」に延長したことは「評価しない」が57%で、「評価する」の33%を大きく上回った。
 読売の調査でも支持率は前回より1ポイント増の58%だったが、「安倍内閣のもとで景気はよくなると思うか」に対して過半数の53%が「思わない」と答え、「思う」は31%にとどまった。
 安倍内閣は野党第1党の民進党の不人気の裏返しで支持率を維持しているものの、国民はその政策を評価していない実態が明らかになった形だ。
 一方、小池都知事の支持率は、毎日新聞の調査で70%となり、不支持の7%を圧倒している。読売新聞でも「小池知事の政治塾発足の動きに期待するか」に対して、61%が「期待する」と答え、「期待しない」は30%だった。東京五輪の競技施設の見直しについて、毎日新聞の調査では「既存の施設を利用して経費を抑えるべき」が74%、読売新聞でも78%が見直しに賛成している。
“小池劇場第1幕”は大喝采を浴びているが、今後は豊洲問題や五輪経費削減だけでなく、都民の生活を守るという“本業”でどれだけの手腕を発揮できるかが注目される。
====資料転載終了=============