【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

アメリカと日本におけるフェイスブック~竹田茂夫氏の所論にふれて~

2016-11-24 18:23:46 | 政治・文化・社会評論
アメリカと日本におけるフェイスブック~竹田茂夫氏の所論にふれて~

                 櫻井 智志

 以下のフェィスブックに関する記事は、アメリカ大統領選のトランプ戦略における分析の中でのアメリカ・フェイスブック社について触れている。日本でのフェイスブックとは異なる磁場での論述である。

 しかし、インターネットによる条件反射的反応と熟成した思考の練達においては、さまざまなインターネットメディアの会社各社と総体とが批判的分析の対象となる。

 さらに、私たちインターネット情報受け手の市民における受信-送信の思考と主体のありかたが鋭く問われてもいる。


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模倣と権力    
         竹田茂夫(法政大学教授)

 選挙前から、トランプ時期米大統領とヒトラーが比較されてきた。

 だが、人物像や時代状況の類似性より深刻なのは、憎悪と排除で扇動する政界の異端者が権力を握り維持するメカニズムだ。ナチスは儀式化されたナチス党大会やラジオ・映画などで情緒に訴える単純な標語を繰り返した。虚偽・歪曲・「半」事実の混在した大量宣伝にさらされ続けた民衆の間で、事実の軽視と理性の軽蔑が伝染していった。

 今回の米大統領選では、フェイスブック(FB)が偽ニュースの経路になり、選挙結果を左右したと非難されている。
 FBは世界で十八億人が利用し、米国の選挙民の四割以上がニュースを視聴する巨大メディアだが、その運営原理は友人・知人から成る想像上の親密圏に利用者が好むニュースを流して、クリック回数と広告収入を増やすというものだ。報道の公共性や客観性より、消費者選択と利潤原理が優先される。

 だが、親密圏では気に入らない情報は遮断され、仲間内の偏見は強化される。ここに意図的な偽ニュースが流されると、FB上で一挙に情報カスケード(情報拡散の奔流)が生じうる。こうした情報の事実性は、トランプ氏自身も支持者も問題としない。

 どう付和雷同と権力追従に抗うのか。市民社会の理念と現実は歴史的な曲がり角に差しかかっている。

(*「東京新聞」本音のコラム 2016/11/24 視写)
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