【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

地上で見た戦争・空から見た爆撃~TBS報道特集2017/08/26~

2017-08-26 20:27:06 | 政治・文化・社会評論
地上で見た戦争・空から見た爆撃
~TBS報道特集2017/08/26~

            櫻井 智志



Ⅰ:
 空から落とされた一発の核兵器。地上のまちは阿鼻叫喚の地獄絵図となった。いつの世も爆撃機に搭乗している兵士にひとは同化して見る。けれど一発の爆弾ひとつで地上は廃土となる。アメリカはイラクに、ソ連はアフガンに。その侵略から破壊と共に「イスラム国」の誕生。原因はあまりにも明白。

 私たち日本の国民は、空から眺めている。モスル避難民の実際の画像を見て、破壊し尽くされた土地でも生活する避難民と子どもの眼。地上から現地を見た勇気あるフォトジャーナリストたち。虐殺されても、空から眺める政府は救出の家族や市民の声など一顧だにしなかった。「イスラム国」は子どもたちに「過激思想」に洗脳したという。

 「イスラム国」が致命的破壊攻撃で壊滅したというニュースとともに、国際的にあちこちでテロ破壊攻撃が広がっていった。国際社会の方向を憎悪でなく友愛において諸国は外交政策を再吟味すべきだ。

 孫崎亨氏は、ICBMを打ち落とせるなどとても速度が異なりあり得ないと述べている。内閣府の核攻撃などの際の避難のCMを見て呆れ、怒りを覚えた。義務教育機関の防災訓練のようなもので爆撃などとても対応できない。国民の意識や心理をコントロールする内閣府等を嗤う。




Ⅱ:
 イージス艦が世界のあちこちで責任者が処罰されるほどの重大問題の事故を発生させている。世界随一の軍部軍隊だけに、事故などは重要機密として閉ざされている。オスプレイの相次ぐ故障とあわせ、アメリカは、変わったのか。

 広島平和文化センター理事長を務めたスティーブン・リーパー氏は、戦争は戦争によって巨大な冨を儲ける軍事産業によってやむことはない、どちらの国家が良い悪いのレベルを超えている、とおっしゃった。兵器を更新し続けることが、戦争の種となる。

 稲田前防衛相の任務期間に、日本の自衛隊は軍事的精度を高めた。小野寺防衛相はスムーズに発言するが、内容はかなり危険な領域に踏みこんでいる。佐藤正久氏など自衛隊の幹部が相次いで国会議員となっている。第2次安倍政権となってから、とても大切な根本問題を低次元のやりとりで次々に国家の骨組みを変えている。一強他弱崩壊の今、ふりかえりの必要なとき。

茨城県知事選ノート2017/08/26 【第一部 日刊ゲンダイの記事転載】 【第二部  私見】

2017-08-26 02:40:23 | 政治・文化・社会評論
茨城県知事選ノート2017/08/26

                 櫻井 智志 

【第一部 日刊ゲンダイの記事転載】

《情勢調査真っ二つ 茨城県知事選は最終盤までデッドヒート》
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/212201/1
2017年8月25日



開票の茨城県知事選が「投票箱のフタを開けるまでわからない」(自民党関係者)という大接戦になっている。

 立候補は、
7選を目指す現職の橋本昌候補(71)、
自公が推薦する経産省出身の新人・大井川和彦候補(53)、
共産党推薦の新人・鶴田真子美候補(52)の3人。
事実上、橋本VS大井川の一騎打ちだが、政党やメディアの情勢調査の結果が真っ二つなのだ。

「自民党、NHK、朝日新聞の調査では大井川氏がややリード、共同通信や読売新聞の調査では橋本氏がやや優勢だったそうです。いずれも数ポイントのわずかの差。最後までどちらが勝つのか全く見当がつきません」(前出の自民党関係者)

 党を挙げて総力戦の自民は必死だ。これを落とせば、安倍内閣の支持率下落を受けた嫌なムードを10・22の衆院補選まで引っ張ることになりかねない。原発再稼働反対に舵を切った現職に勝たせるわけにもいかない。それで、25日は小泉進次郎氏、石破茂氏、岸田文雄氏の3人が選挙期間中2度目の茨城入りとなった。


「ここまでのデッドヒートだと、鶴田氏へ行くはずの『原発再稼働反対』の票が橋本氏へ回るかもしれません。実際、同様の構図だった一昨年の佐賀県知事選では、最終盤になって3番手の票が自公の対抗馬に流れ、自公候補が敗れました」(ジャーナリスト・横田一氏)

 茨城県民の審判は?

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【第二部  私見】

《茨城県知事選候補者は2人ではない、市民運動家鶴田まこみさんが軽んじられている》

櫻井智志


Ⅰ:
「共産党推薦の新人・鶴田真子美候補」は間違いではないがかなり不足している。これがセンセーショナルだけれど、「リテラ」に比べて大ざっぱな「日刊ゲンダイ」。正しくはこうである。
*茨城発の市民と野党の共闘実現
*私たちは無党派の鶴田候補を推薦します
①茨城一新会(小沢一郎後援会)②新社会党③つくば・市民ネットワーク④とりで生活者ネットワーク⑤日本共産党⑥緑の党グリーンズジャパン

Ⅱ:
つまり市民と野党の広範なかつてない大きな連合である。これを「共産党推薦」として拡散してから、NPOの市民運動十年超の鶴田まこみさんの市民選挙にかける願いも県民への浸透度も新聞予想にあるが各社ともに「浸透していない」と報道でも下がった。「共産党推薦」が悪いのではない。画期的な「市民+野党」共闘の、民進党や社民党も個別に応援しているから、4野党以上の空前の広がりが合わない。
新社会党、緑の党グリーンジャパン、自由党小沢一郎後援会の政党関係者の顔をつぶしている。
しかも市民政治団体の「つくば・市民ネットワーク」、「とりで生活者ネットワーク」の名前も塗りつぶしている。



Ⅲ:
このことに気づかず、小池晃書記局長は共産党No.2であるが、このひとは志位和夫委員長とは大きく異なる野党共闘観。
とても茨城で生まれた市民選挙の可能性をつぶした。いけまき選挙(北海道5区補選で共闘候補が自民二世を追い詰めたが、熊本大震災に貢献した自衛隊員の住宅地だけ極端に自民票が多く、僅差で落選。地震前は世論調査でも当選間違いなしだった)のさらに発展形態となり得た選挙を大きく変形させた。なにかあると共産党の顔として出てくるが、前任者の山下芳生氏や志位和夫委員長のような人格的控えめな謙虚さはない。

民進党が野党共闘で分裂したか。共産党側の謙虚な対応があったかどうかが問われている。市民選挙で「推薦共産党」としてしまう無神経さが、何回か野党共闘した前原誠司氏をして、共産党と同席せずと態度をかたくなにさせている。この問題に真剣に対応しないならば、共産党支持者は減らないが、今回のように民進党や社民党のような政党さえ共闘に加わらない事態は、実は深刻なことである。


Ⅳ:
低迷する日本共産党の党勢を拡大させたのは、福島原発で起きた大きな反原発運動。これは市民の自然発生的な動きだった。国会前の山本太郎氏や三宅洋平氏らと一緒に個人でいちはやく正義感で抗議行動を続けていた吉良佳子さん。この波に共闘するところから、地道な組織的活動をずっとおこなってきた日本共産党の内部的努力と流れに乗った政策的実践が、飛躍的な議会での勝利の連続へと発展していった。

私は今も日本共産党を支持している。けれど、疑問ははっきり表現することとした。
市民選挙の新たな芽を大切に育むことをきょうまで期待してきたが、現在の日本共産党は民進党代表選で前原氏が当選したときに、課題となることがすでに茨城県知事選で矛盾として噴出しているのに、少しも事態の深刻さに対応しないまま投票日を迎える。
茨城県の共産党員がすぐれた実践をおこなっているのに、それを生かし切れていない。

なぜ小池晃氏を批判しているか。それは都知事選にさかのぼる。政策協定もなにも結ばず、当時の民主党にふりまわされ、民主党共産党の幹部同士のやりとりだけで決めて、下から積み上げてきた宇都宮けんじ氏に、過去の二回の都知事選であれだけ候補に立ててきた宇都宮氏の顔をつぶして泥を塗った。その都知事選の候補出馬時のまともな総括さえなしていない。どこに党内民主主義があるのか。そして同じことを茨城県の知事選でも、他の政党団体の立場と実践をきちんと尊重していない。「共産党は闘っているぞ」のポーズはとるが、「市民+野党」の発展に見られる広範な統一行動選挙を実質つぶしている。選挙後に書いたのでは意味がない。


Ⅴ:
あえて厳しい提言を呈す次第である。
橋本、大井川の競り合いにうもれて鶴田候補惨敗となってからでは、間に合わない。橋本、大井川の激闘のはざまで、鶴田当選を勝ち取るチャンスは可能性ゼロではない。
私の「統一戦線論」志向は、学生時代からのものである。原田勝正教授に「ディミトロフの反ファシズム統一戦線」を学んでから40年以上問題意識だった。65才のいま、「鶴田まこみ@いのち輝くいばらきの会」の可能性に、まっとうな対応を尽くさず、なぜ両候補のあいまに埋もれて「鶴田候補は浸透していない」などと選挙戦初期から新聞予想に載るのか。そのことをジャーナリズムをもとに考えてきた結果、見えてきたのが記してきた事柄である。

<了>