・最後にこの先の意気込みを教えてください。
中川 この漫画が引き起こした社会的なインパクトは大きい。アイヌ文化に対して注目が集まるようになった。それがこれからいい方向に行くかどうかは、我々の努力にかかっている。連載が終わったら関心が薄れてしまうことがないように、この衝撃をどうやって継続していくかを考えていきたいと思います。
野田 ゴールデンカムイを描くうえで、北海道にいるあちこちのアイヌの方たちに会ってきました。僕にアイヌの方たちからは、ああしてくれこうしてくれというのは、1回だけしかなかったんです。それは、「可哀想なアイヌは描かなくていいから、強いアイヌを描いてくれ」と。それだけだったんです。
「鹿の脳みそも食べた」 人気漫画『ゴールデンカムイ』の作者のこだわりとは〈週刊朝日〉
第22回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催) マンガ大賞に選ばれた『ゴールデンカムイ』(集英社)
==
日米安保について多くの日本人が「米国が日本を守るための条約」だと思わされていたのである。しかし今ははっきりしている。安保条約はずっと、米国がアジアで戦争する際に、日本を米軍基地として使うために存在していたのである。
「日米安保がなくなる日」 田中優子 「金曜日」2023年3月24日
==
戦場にかつて対峙し旗もあらん今揃い進む九十四ヶ国旗
1964年オリンピック 新聞紙上より
==
「私は、これほどまでに衰退しつくした日本農業をどうしたら回復することができるか私なりに考えぬいたすえ到達した結論が、あの昭和初期の代表的な農本主義者、橘孝三郎の『家族的独立小農法』(1934年)と類似していることを見出したとき、われながら全く驚いたのである」
飯沼二郎「思想としての農業問題」 農山漁村文化協会 1981年
==
「(近代日本においては)『思想』の生み出す価値は、実生活上の便宜、習慣、感情に、つまるところ超越しないといってよい。倫理的価値も、美的価値も、いや、価値ばかりではなく、科学的真理さえもがだ」
「『日本の理想を生かすために、一先ずこの国を葬ってください』
・・矢内原のキリスト教徒としての態度は、この一句にあきらかだといってよいだろう。『理想』は『国家』の上にあり、『国家への忠誠』を超越して、『真の愛国』への道をひらく。
・・国家を批判する基準がごうも動かなかったのは、それが外国に投影されていたからではなく、超越的な真理につながっていたからであろう」
加藤周一
==
1937(昭和12)年7月(44歳)には日中戦争が始まり、矢内原は『中央公論』9月号にこれを批判する『国家の理想』を書いた。これはただちに全文削除の処分をうけ、大学内外において連携したファッショ勢力はこの論文を問題にし、矢内原を大学から追放しようとしたが、決め手を欠いた。そのとき、10月1日に藤井武7周年記念講演会で行なった『神の国』の講演を掲載した『通信』が警察の手に入り、
* * * *
今日は、虚偽(いつわり)の世に於て、我々のかくも愛したる日本の国の理想、或いは理想を失ったる日本の葬りの席であります。私は怒ることも怒れません。泣くことも泣けません。どうぞ皆さん、もし私の申したことがおわかりになったならば、日本の理想を生かすために、ひとまずこの国を葬って下さい。
* * * *
という一句が決め手となって、矢内原は(東京)大学を去った(矢内原事件)。
==
ファシズムの怖さは、草の根の人々も時流に乗って牙をむくところ。井上ひさしは、それを「フツー人の戦争責任」と読み解いてきちんと検証することの大切さを訴えていた。
二度と繰り返させないために。
==
「テロとは他者が『われわれ(米国)』に対して行う行為であり、『われわれ(米国)』がどんなに残虐なことを他者に行っても『防衛』や『テロ防止』と呼ばれる」
Nチョムスキー
==
「世界にも類例のない大がかりで、陰うつな、社会的虚構であった」
「信じるふりをする」
「個人が属する小集団を支配する『家族的意識』が、『思想』に優先する」
加藤周一
==
2020年現在で露光装置の世界シェアは、ASMLが63%、日本のキヤノンが30%、ニコンが7%をそれぞれ占めています。オランダと日本の企業が100%を掌握している市場なのです。中国では上海微電子装備集団(SMEE)が露光装置を生産しているものの、90ナノメートル級の装置だそうです。
「核爆弾級の制裁」に直面した中国半導体(下)
CHOSUNONLINE.COM
==
難民としての保護をおろそかにしたまま、新たな制度を継ぎ足しても、ゆがみを広げるだけだ。
今回の法案は、2021年に成立を断念した法案の大枠を維持している。
旧法案には、UNHCRが重大な懸念を表明したほか、国連人権理事会の特別報告者らが共同で、
人権保障の水準を満たしていないと指摘していた。
それに応える修正はなされていない。日本の入管制度は人権諸条約に違反しないとうそぶく
当局の独善をさらに勢いづかせてはならない。
法案は廃案にすべきだ。
〈社説〉入管法改定案 命の危険にさらすのか|信濃毎日新聞 2023/03/10
==
https://www.youtube.com/watch?v=6vuM0ldRzA8
【酒井隆史にきいた】なぜ私たちはどうでもいい仕事から抜け出せないのか
==
防衛費をGDPの1%枠(5兆円)から、米国主導のNATO(北太西洋条約機構)に倣って、2%(11兆円)に増額する方針を打ち出したのです。
そして、日本の先制攻撃ととらえられかねない「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有を公言しています。専守防衛の国是を否定するかのような安保政策の大転換なのですが、
与野党の国会論議も深まらず、財源確保のための増税についての議論も曖昧なままです。
ましてや野党は、防衛費増額に全党反対どころか、日本維新の会、立憲民主党、国民民主党の3党は、防衛費増額については条件付きで迎合している有様です。
財源の増税についての異論がある程度なのです。
原発にミサイル撃墜なら日本国民は全員死亡。自民党が推し進める「軍拡」のお先真っ暗 -
==
「スクープ報道」と「後追い報道」の双方がうまく機能した
ETV特集班が先行して取材した「スクープ報道」のドキュメンタリー。NHKはそれをニュースで小出しにすることで、他社の追随を許さず、指導監督機関である東京都や国に反応をぶつけながら、問題の改善へと報道の流れをつくっていった。民放でもテレビ朝日、TBSなど一部のテレビ局は、堅実に「後追い報道」をしながら比較的短い放送時間で視聴者が理解するのが難しい精神医療の問題を伝えようとしている。
「スクープ報道」と「後追い報道」の双方がうまく機能して、滝山病院という精神医療の闇の実態が国民の目にさらされて、少しでも改善の方向に向かっていくことを願う。
このドキュメンタリーで伝わる、亡くなった患者の救いを求める切実な訴えと患者救出に命がけで取り組む弁護士。対照的に患者を暴力で威圧する看護スタッフの下衆な言葉づかいや“院長”の話し声。人間という存在の尊厳とは何か。人生の幸福とは何か。最後まで考えさせられる。それは映像メディアだからこそ伝えられるリアリティーだろう。
「ここね、人が人を殺すとこなんです…」
相次ぐ患者の“死亡退院”をスクープしたのはNHKだった(文春オンライン)
==
孫崎 享@magosaki_ukeru 3月5日
「1945年1月時点収容所は6月には閉じるだろう、遅くても8月、と分かっているのが興味深い」の指摘〇。
日本では当時本土決戦が主流。原爆投下(広島8月6日長崎8月9日)ソ連対日参戦8月9日、がなければ日本は戦争を続けていたろう。
ルーズベルトはスターリンに参戦要請。その際千島確保を容認と伝える
引用ツイートRei Magosaki / 孫崎玲@rm4p 3月4日
大学のアーカイヴに4通のCA日系収容所からの手紙が残されているので翻訳している。1945年1月時点で収容所は6月には閉じるだろう、遅くても8月、と分かっているのが興味深い。まさか原爆とは思っていない
==
少なくともここ2000年ほどのあいだ、リベラルアーツには今日的な分類で言う理系学問が含まれていた。ハーバード大学やイェール大学や国際基督教大学が”Arts and Sciences”と呼ぶものは、「文系」と「理系」を別々に並べたわけではなく、人が教養をもつ自由な市民となるために必要なすべての学びを総称したものである。
「ボナエ・リレラエ」森本あんり 「世界」2023年2月号
==
日本は憲法を順守している限り、単独では戦争に巻き込まれる心配はありませんでした。しかし米国との同盟関係がくびきになり、同盟国の戦争にいや応なく引きずり込まれます、、、台湾有事についても、中国と敵対する構図がはっきりしてきたと感じます。米国からミサイルを爆買いすることになり、日本の防衛関係者はその性能を
ウクライナでモニタリングしている感覚かもしれません。ウクライナは、明後日の日本であると受け止めるべきです。
ウクライナは明後日の日本 島田雅彦さんが語る侵攻1年と文学の役割
聞き手・丹内敦子 2023年2月28日 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASR2W7379R2QUHBI021.html
==
心折れる現実、マフィア化したこの国家、出口の見えないこの戦争から逃れ、自らの生存に最適な異世界をどのように立ち上げるか、といったところに知性が発揮される。
現実の主権国家も『想像の共同体』に過ぎないのだから、独裁制ではない別の理想の国家や共同体、『プーチンのいないロシア』や『日米安保条約が破棄された日本』
を想像する自由はある。政治家よりもまともな国家や共同体を作るのが小説家の仕事だ。
2023年3月8日付 朝日新聞
(ウクライナ侵攻1年)有事の前例「明後日の日本」小説家・法政大教授、島田雅彦さん
==
「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」
3・11と「日本デジタル化計画」
2020年12月25日。国会閉会後のクリスマスに、ひっそりと閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」をご存知だろうか?
2018年1月に政府の「eガバメント閣僚会議」で策定され、2019年に成立した「デジタルファースト法」(行政手続きを原則としてデジタル化する法律)に後押しされて完成した計画だ。
青写真は約10年前。2011年3月に東北を襲った、東日本大震災にまで遡る。
この時、アメリカのシンクタンクによって書かれた日本復興シナリオの中で、医療を始めとする重要な個人情報のデジタル化と、それらのデータを共有する「企業主導でのデジタルネットワーク構想」が提案された。
「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」という言葉がある、、、
戦争や災害などが起きた際、その混沌に便乗し、政府やグローバル企業、銀行や投資家などの利権につながるルール変更を一気に導入する、新自由主義的手法のことだ、、、
2020年には、パンデミックを理由に様々な国で実行されている。通常ならば憲法や法の規制が邪魔をして少しずつしか進まない「市場化」が、緊急事態下では驚くほどスピーディーに進む、、、
震災から5ヶ月後の2011年8月。
世界最大の米系コンサルティング会社アクセンチュア日本法人が、被災地である福島県会津若松市に、地域創生を掲げたイノベーションセンターを設立する、、、
大規模な津波と人類史上最悪の原発事故が起きた福島の被災地で、同社が描く「地方創生」は、通常とは全く異なる未来に続いていた。
会津若松市をデジタル技術の実証実験地とし、ここで作ったモデルを日本全国に拡げていくのだ。
「デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える」
堤未果 NHK出版新書655 2021 P17
==
そのとき、思ってもみないことが起きた。
(アントン・)ヘーシンクの勝ちが決まった直後、オランダ人たちが母国の英雄を称えようと畳の上に駆け上がろうとした。すると、へーシンクはとっさに手を上げて制止し、神永(昭夫)の方を向くと、きちんと礼をしたのである。相手を重んずる作法通りの所作に、見ていた日本人は立ち上がって賞賛の拍手を送った。そして、この一件を日本人は決して忘れなかった。ヘーシンクは、大柄なオランダ人で、日本人の目の前で腕力のみならず技の粋も見せつけて(東京オリンピックで)優勝した。以後、彼は日本人からいつまでもヒーローとして愛され続けることになる。
自信過剰、狂信、強烈な劣等感、ときに病的なほど強くなる一等国へのこだわり。こうした態度は、これから見ていくように、どれも日本近代史で重要な役割を果たしてきた。
だが一つだけ、どれよりも日本のためになった資質がある。それは、敗北を克服しようとする気概であった。
「近代日本の誕生」 イアン・ブルマ 2006年
==
普通の国民が、なぜ、日本の植民地支配を心から支持し、満洲での出来事を我がことのように身近に考えられたのか。なぜ、兵士たちは南京での虐殺や捕虜への虐待などを辞さなかったのか。なぜ、政府は勝算のない戦争に踏み切ったのか。
解説 加藤陽子 より抜粋 「近代日本の誕生」イアン・ブルマ所載
==
中川 この漫画が引き起こした社会的なインパクトは大きい。アイヌ文化に対して注目が集まるようになった。それがこれからいい方向に行くかどうかは、我々の努力にかかっている。連載が終わったら関心が薄れてしまうことがないように、この衝撃をどうやって継続していくかを考えていきたいと思います。
野田 ゴールデンカムイを描くうえで、北海道にいるあちこちのアイヌの方たちに会ってきました。僕にアイヌの方たちからは、ああしてくれこうしてくれというのは、1回だけしかなかったんです。それは、「可哀想なアイヌは描かなくていいから、強いアイヌを描いてくれ」と。それだけだったんです。
「鹿の脳みそも食べた」 人気漫画『ゴールデンカムイ』の作者のこだわりとは〈週刊朝日〉
第22回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催) マンガ大賞に選ばれた『ゴールデンカムイ』(集英社)
==
日米安保について多くの日本人が「米国が日本を守るための条約」だと思わされていたのである。しかし今ははっきりしている。安保条約はずっと、米国がアジアで戦争する際に、日本を米軍基地として使うために存在していたのである。
「日米安保がなくなる日」 田中優子 「金曜日」2023年3月24日
==
戦場にかつて対峙し旗もあらん今揃い進む九十四ヶ国旗
1964年オリンピック 新聞紙上より
==
「私は、これほどまでに衰退しつくした日本農業をどうしたら回復することができるか私なりに考えぬいたすえ到達した結論が、あの昭和初期の代表的な農本主義者、橘孝三郎の『家族的独立小農法』(1934年)と類似していることを見出したとき、われながら全く驚いたのである」
飯沼二郎「思想としての農業問題」 農山漁村文化協会 1981年
==
「(近代日本においては)『思想』の生み出す価値は、実生活上の便宜、習慣、感情に、つまるところ超越しないといってよい。倫理的価値も、美的価値も、いや、価値ばかりではなく、科学的真理さえもがだ」
「『日本の理想を生かすために、一先ずこの国を葬ってください』
・・矢内原のキリスト教徒としての態度は、この一句にあきらかだといってよいだろう。『理想』は『国家』の上にあり、『国家への忠誠』を超越して、『真の愛国』への道をひらく。
・・国家を批判する基準がごうも動かなかったのは、それが外国に投影されていたからではなく、超越的な真理につながっていたからであろう」
加藤周一
==
1937(昭和12)年7月(44歳)には日中戦争が始まり、矢内原は『中央公論』9月号にこれを批判する『国家の理想』を書いた。これはただちに全文削除の処分をうけ、大学内外において連携したファッショ勢力はこの論文を問題にし、矢内原を大学から追放しようとしたが、決め手を欠いた。そのとき、10月1日に藤井武7周年記念講演会で行なった『神の国』の講演を掲載した『通信』が警察の手に入り、
* * * *
今日は、虚偽(いつわり)の世に於て、我々のかくも愛したる日本の国の理想、或いは理想を失ったる日本の葬りの席であります。私は怒ることも怒れません。泣くことも泣けません。どうぞ皆さん、もし私の申したことがおわかりになったならば、日本の理想を生かすために、ひとまずこの国を葬って下さい。
* * * *
という一句が決め手となって、矢内原は(東京)大学を去った(矢内原事件)。
==
ファシズムの怖さは、草の根の人々も時流に乗って牙をむくところ。井上ひさしは、それを「フツー人の戦争責任」と読み解いてきちんと検証することの大切さを訴えていた。
二度と繰り返させないために。
==
「テロとは他者が『われわれ(米国)』に対して行う行為であり、『われわれ(米国)』がどんなに残虐なことを他者に行っても『防衛』や『テロ防止』と呼ばれる」
Nチョムスキー
==
「世界にも類例のない大がかりで、陰うつな、社会的虚構であった」
「信じるふりをする」
「個人が属する小集団を支配する『家族的意識』が、『思想』に優先する」
加藤周一
==
2020年現在で露光装置の世界シェアは、ASMLが63%、日本のキヤノンが30%、ニコンが7%をそれぞれ占めています。オランダと日本の企業が100%を掌握している市場なのです。中国では上海微電子装備集団(SMEE)が露光装置を生産しているものの、90ナノメートル級の装置だそうです。
「核爆弾級の制裁」に直面した中国半導体(下)
CHOSUNONLINE.COM
==
難民としての保護をおろそかにしたまま、新たな制度を継ぎ足しても、ゆがみを広げるだけだ。
今回の法案は、2021年に成立を断念した法案の大枠を維持している。
旧法案には、UNHCRが重大な懸念を表明したほか、国連人権理事会の特別報告者らが共同で、
人権保障の水準を満たしていないと指摘していた。
それに応える修正はなされていない。日本の入管制度は人権諸条約に違反しないとうそぶく
当局の独善をさらに勢いづかせてはならない。
法案は廃案にすべきだ。
〈社説〉入管法改定案 命の危険にさらすのか|信濃毎日新聞 2023/03/10
==
https://www.youtube.com/watch?v=6vuM0ldRzA8
【酒井隆史にきいた】なぜ私たちはどうでもいい仕事から抜け出せないのか
==
防衛費をGDPの1%枠(5兆円)から、米国主導のNATO(北太西洋条約機構)に倣って、2%(11兆円)に増額する方針を打ち出したのです。
そして、日本の先制攻撃ととらえられかねない「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有を公言しています。専守防衛の国是を否定するかのような安保政策の大転換なのですが、
与野党の国会論議も深まらず、財源確保のための増税についての議論も曖昧なままです。
ましてや野党は、防衛費増額に全党反対どころか、日本維新の会、立憲民主党、国民民主党の3党は、防衛費増額については条件付きで迎合している有様です。
財源の増税についての異論がある程度なのです。
原発にミサイル撃墜なら日本国民は全員死亡。自民党が推し進める「軍拡」のお先真っ暗 -
==
「スクープ報道」と「後追い報道」の双方がうまく機能した
ETV特集班が先行して取材した「スクープ報道」のドキュメンタリー。NHKはそれをニュースで小出しにすることで、他社の追随を許さず、指導監督機関である東京都や国に反応をぶつけながら、問題の改善へと報道の流れをつくっていった。民放でもテレビ朝日、TBSなど一部のテレビ局は、堅実に「後追い報道」をしながら比較的短い放送時間で視聴者が理解するのが難しい精神医療の問題を伝えようとしている。
「スクープ報道」と「後追い報道」の双方がうまく機能して、滝山病院という精神医療の闇の実態が国民の目にさらされて、少しでも改善の方向に向かっていくことを願う。
このドキュメンタリーで伝わる、亡くなった患者の救いを求める切実な訴えと患者救出に命がけで取り組む弁護士。対照的に患者を暴力で威圧する看護スタッフの下衆な言葉づかいや“院長”の話し声。人間という存在の尊厳とは何か。人生の幸福とは何か。最後まで考えさせられる。それは映像メディアだからこそ伝えられるリアリティーだろう。
「ここね、人が人を殺すとこなんです…」
相次ぐ患者の“死亡退院”をスクープしたのはNHKだった(文春オンライン)
==
孫崎 享@magosaki_ukeru 3月5日
「1945年1月時点収容所は6月には閉じるだろう、遅くても8月、と分かっているのが興味深い」の指摘〇。
日本では当時本土決戦が主流。原爆投下(広島8月6日長崎8月9日)ソ連対日参戦8月9日、がなければ日本は戦争を続けていたろう。
ルーズベルトはスターリンに参戦要請。その際千島確保を容認と伝える
引用ツイートRei Magosaki / 孫崎玲@rm4p 3月4日
大学のアーカイヴに4通のCA日系収容所からの手紙が残されているので翻訳している。1945年1月時点で収容所は6月には閉じるだろう、遅くても8月、と分かっているのが興味深い。まさか原爆とは思っていない
==
少なくともここ2000年ほどのあいだ、リベラルアーツには今日的な分類で言う理系学問が含まれていた。ハーバード大学やイェール大学や国際基督教大学が”Arts and Sciences”と呼ぶものは、「文系」と「理系」を別々に並べたわけではなく、人が教養をもつ自由な市民となるために必要なすべての学びを総称したものである。
「ボナエ・リレラエ」森本あんり 「世界」2023年2月号
==
日本は憲法を順守している限り、単独では戦争に巻き込まれる心配はありませんでした。しかし米国との同盟関係がくびきになり、同盟国の戦争にいや応なく引きずり込まれます、、、台湾有事についても、中国と敵対する構図がはっきりしてきたと感じます。米国からミサイルを爆買いすることになり、日本の防衛関係者はその性能を
ウクライナでモニタリングしている感覚かもしれません。ウクライナは、明後日の日本であると受け止めるべきです。
ウクライナは明後日の日本 島田雅彦さんが語る侵攻1年と文学の役割
聞き手・丹内敦子 2023年2月28日 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASR2W7379R2QUHBI021.html
==
心折れる現実、マフィア化したこの国家、出口の見えないこの戦争から逃れ、自らの生存に最適な異世界をどのように立ち上げるか、といったところに知性が発揮される。
現実の主権国家も『想像の共同体』に過ぎないのだから、独裁制ではない別の理想の国家や共同体、『プーチンのいないロシア』や『日米安保条約が破棄された日本』
を想像する自由はある。政治家よりもまともな国家や共同体を作るのが小説家の仕事だ。
2023年3月8日付 朝日新聞
(ウクライナ侵攻1年)有事の前例「明後日の日本」小説家・法政大教授、島田雅彦さん
==
「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」
3・11と「日本デジタル化計画」
2020年12月25日。国会閉会後のクリスマスに、ひっそりと閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」をご存知だろうか?
2018年1月に政府の「eガバメント閣僚会議」で策定され、2019年に成立した「デジタルファースト法」(行政手続きを原則としてデジタル化する法律)に後押しされて完成した計画だ。
青写真は約10年前。2011年3月に東北を襲った、東日本大震災にまで遡る。
この時、アメリカのシンクタンクによって書かれた日本復興シナリオの中で、医療を始めとする重要な個人情報のデジタル化と、それらのデータを共有する「企業主導でのデジタルネットワーク構想」が提案された。
「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」という言葉がある、、、
戦争や災害などが起きた際、その混沌に便乗し、政府やグローバル企業、銀行や投資家などの利権につながるルール変更を一気に導入する、新自由主義的手法のことだ、、、
2020年には、パンデミックを理由に様々な国で実行されている。通常ならば憲法や法の規制が邪魔をして少しずつしか進まない「市場化」が、緊急事態下では驚くほどスピーディーに進む、、、
震災から5ヶ月後の2011年8月。
世界最大の米系コンサルティング会社アクセンチュア日本法人が、被災地である福島県会津若松市に、地域創生を掲げたイノベーションセンターを設立する、、、
大規模な津波と人類史上最悪の原発事故が起きた福島の被災地で、同社が描く「地方創生」は、通常とは全く異なる未来に続いていた。
会津若松市をデジタル技術の実証実験地とし、ここで作ったモデルを日本全国に拡げていくのだ。
「デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える」
堤未果 NHK出版新書655 2021 P17
==
そのとき、思ってもみないことが起きた。
(アントン・)ヘーシンクの勝ちが決まった直後、オランダ人たちが母国の英雄を称えようと畳の上に駆け上がろうとした。すると、へーシンクはとっさに手を上げて制止し、神永(昭夫)の方を向くと、きちんと礼をしたのである。相手を重んずる作法通りの所作に、見ていた日本人は立ち上がって賞賛の拍手を送った。そして、この一件を日本人は決して忘れなかった。ヘーシンクは、大柄なオランダ人で、日本人の目の前で腕力のみならず技の粋も見せつけて(東京オリンピックで)優勝した。以後、彼は日本人からいつまでもヒーローとして愛され続けることになる。
自信過剰、狂信、強烈な劣等感、ときに病的なほど強くなる一等国へのこだわり。こうした態度は、これから見ていくように、どれも日本近代史で重要な役割を果たしてきた。
だが一つだけ、どれよりも日本のためになった資質がある。それは、敗北を克服しようとする気概であった。
「近代日本の誕生」 イアン・ブルマ 2006年
==
普通の国民が、なぜ、日本の植民地支配を心から支持し、満洲での出来事を我がことのように身近に考えられたのか。なぜ、兵士たちは南京での虐殺や捕虜への虐待などを辞さなかったのか。なぜ、政府は勝算のない戦争に踏み切ったのか。
解説 加藤陽子 より抜粋 「近代日本の誕生」イアン・ブルマ所載
==