東京新聞転載
神奈川県議選と横浜、川崎、相模原の三政令市議選は三十一日、告示される。本紙の集計では県議選(定数一〇五)に百六十二人、横浜市議選(同八六)に百三十八人、川崎市議選(同六〇)に八十二人、相模原市議選(同四六)に六十六人が立候補する見通し。投開票は知事選、相模原市長選と同じ四月九日。(統一地方選取材班)
◆県議選
立候補予定者は前回より八人多い。現有議席のない維新の積極擁立が主な要因だ。内訳は現職八十九人、元職九人、新人六十四人。党派別では自民五十人、立憲民主三十一人、維新二十八人、共産十三人、公明八人、国民民主四人、神奈川ネット二人、無所属二十六人。
人口減に伴い、愛川町・清川村と厚木市が合区して定数三となり、実質一減。横須賀市の定数も一減った。南足柄市は足柄下と合区(定数一)した。横浜市青葉区と海老名市は一ずつ増え、定数四と二になった。
選挙区数は一減って四十七。全体の定数は変わらない。
◆横浜市議選
事前審査を受けた立候補予定者は百三十八人で、前回より六人増。内訳は現職七十九人、元職九人、新人五十人。党派別では自民三十五人、立民二十二人、維新十六人、公明十五人、共産十六人、国民六人、れいわ一人、社民一人、参政三人、神奈川ネット二人、無所属二十一人。他にも出馬を検討中の人がいる。
定数は神奈川区が一増の六、泉区が一減の三。神奈川区は前回、戦後初の無投票となったが、今回は現職全員と新人三人、元職一人で争う予定。このほか現職のいない維新は元職五人と新人十一人で議席確保を狙う。
◆川崎市議選
立候補予定者は前回より一人増えた。内訳は現職五十一人、元職三人、新人二十八人。党派別では自民二十人、立民十四人、公明、共産、維新が各十一人、国民二人、神奈川ネット一人、諸派二人、無所属十人。女性は二十二人で過去最多となる見込み。
現職二人が引退するなどした宮前区は、定数九に十四人が立候補を予定し、前回に引き続き最激戦区になりそうだ。現職七人と新人六人、元職一人が争う構図となっている。
◆相模原市議選
相模原市議選は、前回より二人多い六十六人が立候補の意思を表明している。現職三十八人、新人二十六人、元職一人、その他に身元を明かさない一人が出馬を検討している。党派別では自民十三人、立民九人、維新五人、公明八人、共産五人、国民二人、社民一人、神奈川ネット一人、諸派五人、無所属など十七人。
緑区(定数一一)では現職八人、新人七人の計十五人が出馬を検討。中央区(同一七)は現職十五人、新人八人の計二十三人が争う見込み。南区(同一八)は現職十五人、元職一人、新人十一人に加え未公表の一人の計二十八人が舌戦を繰り広げる。
◆「チェック機能働かない」 12選挙区で無投票当選か
神奈川県議選 162人が出馬準備 市議選は横浜138人、相模原66人 あす告示
© 東京新聞 提供
三十一日告示の県議選では、十二選挙区(当選者十八人)が無投票となる見通しだ。過去最多だった前回より一つ減ったが、選挙区数は全体の26%、当選者数は17%に上る。県議選は選挙区ごとの定数が少なく、強固な地盤を持つ政党候補の独壇場になりがちだ。神奈川大の大川千寿教授(政治過程論)は「代議制民主主義の根幹は選挙。現職の指定席という状況は好ましくない」と指摘する。
無投票が見込まれるのは横浜市西(定数一)、南、緑(同各二)の各区、相模原市緑区(同二)、平塚市(同三)、鎌倉市(同二)、三浦市、座間市、逗子市・葉山町、綾瀬市、足柄上、南足柄市・足柄下(同各一)。無投票になれば横浜市西区と三浦市は三回連続、平塚市、座間市、綾瀬市、逗子市・葉山町は二回連続。横浜市南区は史上初。
背景として、複数の現職県議は「選挙をまともに戦おうとすると五百万円はかかる」と明かす。各選挙区の定数が限られる中、「勝つ見込みの薄い県議選にお金をつぎ込むより、選挙区ごとの定数が多い政令市議選の方が魅力的なのではないか」(自民県議)。
共産党は従来、「無投票は有権者の参政権を軽視することになる」と、無投票が見込まれる選挙区に積極的に擁立していた。しかし今回、共産の立候補予定者は前回より三人少ない。入れ替わるように、関東で足場を強固にしたい日本維新の会が多くの候補を出す。
大川教授は「無投票は前回より減る見込みだが、それでも多く、深刻に捉えるべきだ」と指摘。「無投票当選では有権者のチェック機能が働かない。有権者と政治家の距離もますます広がる」と懸念し、「選挙期間を長くしたり、一人区をなくすなどの工夫も一つの改善方法だ」との見解を示した。(志村彰太)
神奈川県議選と横浜、川崎、相模原の三政令市議選は三十一日、告示される。本紙の集計では県議選(定数一〇五)に百六十二人、横浜市議選(同八六)に百三十八人、川崎市議選(同六〇)に八十二人、相模原市議選(同四六)に六十六人が立候補する見通し。投開票は知事選、相模原市長選と同じ四月九日。(統一地方選取材班)
◆県議選
立候補予定者は前回より八人多い。現有議席のない維新の積極擁立が主な要因だ。内訳は現職八十九人、元職九人、新人六十四人。党派別では自民五十人、立憲民主三十一人、維新二十八人、共産十三人、公明八人、国民民主四人、神奈川ネット二人、無所属二十六人。
人口減に伴い、愛川町・清川村と厚木市が合区して定数三となり、実質一減。横須賀市の定数も一減った。南足柄市は足柄下と合区(定数一)した。横浜市青葉区と海老名市は一ずつ増え、定数四と二になった。
選挙区数は一減って四十七。全体の定数は変わらない。
◆横浜市議選
事前審査を受けた立候補予定者は百三十八人で、前回より六人増。内訳は現職七十九人、元職九人、新人五十人。党派別では自民三十五人、立民二十二人、維新十六人、公明十五人、共産十六人、国民六人、れいわ一人、社民一人、参政三人、神奈川ネット二人、無所属二十一人。他にも出馬を検討中の人がいる。
定数は神奈川区が一増の六、泉区が一減の三。神奈川区は前回、戦後初の無投票となったが、今回は現職全員と新人三人、元職一人で争う予定。このほか現職のいない維新は元職五人と新人十一人で議席確保を狙う。
◆川崎市議選
立候補予定者は前回より一人増えた。内訳は現職五十一人、元職三人、新人二十八人。党派別では自民二十人、立民十四人、公明、共産、維新が各十一人、国民二人、神奈川ネット一人、諸派二人、無所属十人。女性は二十二人で過去最多となる見込み。
現職二人が引退するなどした宮前区は、定数九に十四人が立候補を予定し、前回に引き続き最激戦区になりそうだ。現職七人と新人六人、元職一人が争う構図となっている。
◆相模原市議選
相模原市議選は、前回より二人多い六十六人が立候補の意思を表明している。現職三十八人、新人二十六人、元職一人、その他に身元を明かさない一人が出馬を検討している。党派別では自民十三人、立民九人、維新五人、公明八人、共産五人、国民二人、社民一人、神奈川ネット一人、諸派五人、無所属など十七人。
緑区(定数一一)では現職八人、新人七人の計十五人が出馬を検討。中央区(同一七)は現職十五人、新人八人の計二十三人が争う見込み。南区(同一八)は現職十五人、元職一人、新人十一人に加え未公表の一人の計二十八人が舌戦を繰り広げる。
◆「チェック機能働かない」 12選挙区で無投票当選か
神奈川県議選 162人が出馬準備 市議選は横浜138人、相模原66人 あす告示
© 東京新聞 提供
三十一日告示の県議選では、十二選挙区(当選者十八人)が無投票となる見通しだ。過去最多だった前回より一つ減ったが、選挙区数は全体の26%、当選者数は17%に上る。県議選は選挙区ごとの定数が少なく、強固な地盤を持つ政党候補の独壇場になりがちだ。神奈川大の大川千寿教授(政治過程論)は「代議制民主主義の根幹は選挙。現職の指定席という状況は好ましくない」と指摘する。
無投票が見込まれるのは横浜市西(定数一)、南、緑(同各二)の各区、相模原市緑区(同二)、平塚市(同三)、鎌倉市(同二)、三浦市、座間市、逗子市・葉山町、綾瀬市、足柄上、南足柄市・足柄下(同各一)。無投票になれば横浜市西区と三浦市は三回連続、平塚市、座間市、綾瀬市、逗子市・葉山町は二回連続。横浜市南区は史上初。
背景として、複数の現職県議は「選挙をまともに戦おうとすると五百万円はかかる」と明かす。各選挙区の定数が限られる中、「勝つ見込みの薄い県議選にお金をつぎ込むより、選挙区ごとの定数が多い政令市議選の方が魅力的なのではないか」(自民県議)。
共産党は従来、「無投票は有権者の参政権を軽視することになる」と、無投票が見込まれる選挙区に積極的に擁立していた。しかし今回、共産の立候補予定者は前回より三人少ない。入れ替わるように、関東で足場を強固にしたい日本維新の会が多くの候補を出す。
大川教授は「無投票は前回より減る見込みだが、それでも多く、深刻に捉えるべきだ」と指摘。「無投票当選では有権者のチェック機能が働かない。有権者と政治家の距離もますます広がる」と懸念し、「選挙期間を長くしたり、一人区をなくすなどの工夫も一つの改善方法だ」との見解を示した。(志村彰太)