【孫崎亨のつぶやき】岸田政権を考える二題

1⃣孫崎享のつぶやき
岸田氏、最重要人事の幹事長に甘利氏を内定。驚きの人事。岸田氏は「丁寧な説明」を旗印に。だがUR口利き疑惑に決して「丁寧な説明」をしていない。かつ疑惑の人間が政党交付金含む多額のカネを握る。５チャンネル「甘利にもひどい」、「国民なめてる人事だな」
2021-10-01 06:207


１：NHKは30日 14時35分「自民党 幹事長に甘利税調会長 岸田新総裁が起用の意向固める」と報じた。驚きの人事である。
・確かに、岸田氏の自民党総裁選出には甘利氏の貢献がある。
　岸田氏の対立候補は河野氏であり、河野氏は麻生派である。その中、甘利氏は早期に反河野を鮮明にし、岸田氏選出に貢献した。従って応分の処遇は十分ありうる。
２：しかし、幹事長は極めて重要ポスト出る。党の資金、人事を握る。首相の動向を左右する重要人事である。
・岸田政権についての一般的見方は次のようなものであろう。
　日経「新政権のご祝儀相場で支持率が高いうちに衆院選へ臨む算段。９月世論調査で次衆院選で投票したい政党は自民党が５２％、岸田氏に票が流れたのはこうした「楽観ムード」。この状況をいつまで維持できるかわからない。政治日程来夏（７月参院選）まで綱渡り」
　つまり、発足当初は比較的高い支持率を得ても、極めて不安定であるとみられている。
こうした中での甘利氏幹事長内定である。
３：ウィキペディアを見てみよう。
「2016年1月28日、週刊文春が報じた金銭授受疑惑の責任を取って内閣府特命担当大臣（経済財政政策）を辞任すると表明した。これ以降、「睡眠障害」を理由に第190回国会を閉会まで欠席」
URをめぐる口利き疑惑：2016年1月、千葉県の建設会社「薩摩興業」が2013年に道路建設をめぐり甘利側に都市再生機構（UR都市機構）に対する口利きを依頼し、見返りに総額1200万円を現金や接待で甘利側に提供したと、週刊文春が報じた。甘利は「社長が大臣室を訪問したのは事実」と認めたが「何をしたかは記憶が曖昧だ」と述べた。同月28日の記者会見で、薩摩興業側から2013年11月に大臣室で50万円、2014年2月には大和市の地元事務所で50万円を2回に渡り受け取ったことを認め、「秘書には政治資金収支報告書に記載するよう指示したが記載されなかった」と述べ、500万円については「秘書に政治資金収支報告書へ記載するよう指示したが実際には200万しか記載せず、300万は秘書Aが無断で私的流用していた」と述べた。この報道の影響で、1月28日に行われた会見で引責辞任を発表した[15]。またこれ以降「睡眠障害」を理由に第190回国会を閉会まで欠席。
・本件において、私は次のツイートを行った。
「報道どおりじゃ「安倍傀儡政権」となる。毎日「幹事長・官房長官に甘利氏、萩生田氏が浮上」。甘利氏は３A（安倍・麻生・甘利）＋S（菅）ーアフガン自衛隊派遣で米国が福田康夫内閣揺さぶった時に成立ー、萩生田氏は安倍氏の最側近。何も変わらない。」
　岸田新総裁、国民の反応を軽視されすぎておいででないでしょうか。菅首相が退陣に追い込まれたのは国民の支持率が低下したからでしょう。「自民党 幹事長に甘利税調会長 岸田新総裁が起用の意向固める」（NHK）。国民が歓迎するでしょうか。歓迎しない重要人事でいいのでしょうか。」
４：どうなるかは、今後報道機関がこの問題をどう扱うかである。
ツイッターを見てみよう。
・望月衣塑子
　岸田政権の下、党役員人事では、総裁選で貢献した甘利明幹事長説が濃厚だ。かつて、自身の100万円の単純収賄疑惑にきちんと答えず、甘利氏は説明責任を果たさないまま、現在にいたる。これは議員辞職に相当する疑惑だ。幹事長に就任したら、自身の疑惑にきちんと説明できる機会を設けるべきだ。
・盛田隆二
　文春「薩摩興業がURに対する口利きの見返りに甘利氏に1200万円提供」報道に対し甘利氏「社長一行が大臣室を訪問したことは事実だが、記憶が曖昧だ。また地元事務所に来られたことも覚えており、何を話されのか記憶を辿っている」この時点で止まっている。甘利幹事長は10/1の記者会見で説明すべきだ
・蓮舫：「変えよう。」「生まれ変わった自民党」「国民に丁寧に説明する」と、穏健な政治を主張された岸田自民党総裁。幹事長に甘利さん、ですか。
・齊藤信宏毎日新聞編集編成局次長
　ここ何週間かの様々な議論がすべて吹っ飛ぶような人事です。すっかりシラケてしまいます。
・日刊ゲンダイ「きは「幹事長」という要石に「疑惑の人物」を選んだこと。経済再生担当相時UR土地売却をめぐり、大臣室で現金受領と報道。「週刊文春」告発。辞任。甘利氏「睡眠障害」と国会４カ月欠席。そんな人物が政党交付金含む額のカネを操ることになるのだから、有権者が呆れるのも無理はない
・右派系５チャンネルのコメントを見てみよう。
　甘利にもひどい、岸田自民オワタ、汚れを、印象良くない、アベノパシリ内閣、何か疑惑失脚してなかった？選挙ヤバくね？国民なめてる人事だな、結局安倍麻生の小飼から抜け出せない、こりゃ駄目だ、U R、国民を馬鹿にしすぎ


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2⃣孫崎亨のつぶやき
人事から見える岸田政権の性格：強い総裁選の影響。いち早く岸田氏支持表明した甘利氏が幹事長。若手が河野支援と見られその中心にいた福田氏が岸田氏支援で流れを変え総務会長、麻生財務相の公認には義弟の鈴木氏。河野氏を干し、世論への配慮は驚くべくほど低い。
2021-10-02 08:125





１：一般に新しい政権が発足する際、党役員人事、内閣閣僚人事が行われる。その時の人事の主要配慮は次の要素がある。
① 各ポストに、異質、過去の業績等から最適の人を配置する、
② 党内派閥への配慮を優先する
③ 直近の総裁選びの選挙の論功・敵対関係等を反映する
④ 今後の政権運営、とくに選挙対策上世論を意識するがある。
２：これまで報じられた主要ポストを見てみたい。
・自民党は１日午後、臨時総務会で新たな党役員人事を決定した。二階幹事長の後任には、甘利明氏（７２）、総務会長には、福田達夫衆院議員（５４）、政調会長に高市早苗・前総務相（６０）、選挙対策委員長に遠藤利明・元五輪相（７１）をそれぞれ充てた。
官房長官は松野博一、財務相に麻生派の鈴木俊一元総務会長（６８）を起用する意向を固めた。旧竹下派の茂木敏充外相（６５）は再任し、麻生派中堅の山際大志郎元経済産業副大臣（５３）を初入閣させる。鈴木氏は故鈴木善幸元首相の長男で、麻生太郎副総理兼財務相（８１）の義弟。山際氏は衆院当選５回で甘利明幹事長（７２）に近い。
３：選挙との関係でいえば、今回の人事は選挙の影響を強く受けている。
　先ず、対抗馬であった河野氏については、「日経：河野氏、新たに就く広報本部長は重要閣僚を歴任した河野氏には格下げだ。背景に「河野氏はいったん冷や飯を食うべきだ」と主張する麻生氏の存在がある。」
　今回の選挙では、河野氏は麻生派に属する。この派の対応が注目されたが、甘利氏は早々に河野氏を批判し、岸田氏の支持を表明した。
　今回の選挙の注目点は若手の動向である。そもそも菅首相の退陣は、急速な支持率低下で若手が菅首相では選挙で戦えないとの機運が盛り上がったことにある。「細田派（安倍派）」「麻生派」が多数を占めていても、その造反があって、彼らが河野氏を支援する空気が出た。その先鋒に立ったのが小泉新次郎の動きである。
　今一つの動きが福田達夫衆院議員を巡る動きである。
「福田達夫・新総務会長、福田氏は総裁選で、派閥横断の若手議員約90人「党風一新の会」結成し代表世話人。自主投票を訴え河野支持と見られた。福田氏は総裁選数日前に岸田氏を支持すると伝えた。これにより、当初は河野氏支持に傾いていた若手議員が一気に岸田氏支持に雪崩を打った。（週刊ポスト）」
　政調会長に高市早苗・前総務相（６０）、は決選投票で。岸田氏を支援した。
　こうしてみると、人事は選挙の影響が強く出ている。
４；内閣人事で、安倍氏、麻生氏の影響が今後出てくるとみられるが、現時点で顕著に出ているのが財務大臣に鈴木俊一がつくのが決定したが、彼は麻生氏の義弟である。
　官房長官に松野博一氏が就いた。
　ウィキペディアを見てみよう。
「所属団体・
ボーイスカウト振興国会議員連盟（理事・事務総長代理）、日本会議国会議員懇談会
神道政治連盟国会議員懇談会、創生「日本」
　第二次世界大戦における日本軍による従軍慰安婦の強制連行について、「日本政府が発見した資料の中には証拠がなかった」と2016年に否定した。
村山談話および河野談話の「見直し」に「賛成」と2014年に回答した。
内閣総理大臣の靖国神社参拝に「賛成」と2014年に回答した
アメリカ合衆国の議会が「日本政府による慰安婦への謝罪を求める決議」を2007年に審議する直前、松野を含む日本の保守派の国会議員など39名が、「日本軍が慰安婦へ売春を強要したという証拠はない」「慰安婦は『性的奴隷』ではない」という主張を、アメリカの新聞紙での意見広告という形で行った。松野の他には櫻井よしこ、安倍晋三、岸信夫、稲田朋美、高市早苗などが参加した。
５：今回の総裁選挙は世論の強い影響を受け菅首相の退陣を招いて実施された。そして衆議院選挙が予定される。通常以上に配慮が必要であるが、動きは全く逆である。
岸田氏、最重要人事の幹事長に甘利氏を内定。驚きの人事。岸田氏は「丁寧な説明」を旗印に。だがUR口利き疑惑に決して「丁寧な説明」をしていない。かつ疑惑の人間が政党交付金含む多額のカネを握る。５チャンネル「甘利にもひどい」、「国民なめてる人事だな」