【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

それでも理性を貫くマスコミを押し潰す放送弾圧の愚弄

2016-01-09 12:37:25 | 転載

『孫崎享氏、かく語りき。本文より抽出。』

ナチドイツ時代、拘束されたマルティン・ニーメラーの言葉原型は1946年の演説を今一度、考える時にある。
「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。
 私は共産主義者でなかったから。 
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
私は社会民主主義ではなかったから
彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は労働組合員ではなかったから
彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった
私はユダヤ人などではなかったから
そして、彼らが私を攻撃したとき
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」



NHKテレビ「クローズアップ現代」キャスターの国谷裕子氏降板。
集団的自衛権で菅官房長官を問い詰め、
以降激しく糾弾され、
結局降板になった事位、
誰にも解るじゃないか。
何故その追及をびびる。
次は
貴方の番だよ。

                       櫻井 智志



【孫崎享のつぶやき】
NHKクロ現の国谷裕子氏降板。集団的自衛権で菅官房長官を問い詰め、以降激しく糾弾され、結局降板になった事位、誰にも解るじゃないか。何故その追及をびびる。次は貴方の番だよ。
2016-01-09 07:132



A・事実関係1:

NHKの報道番組「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスター(58)が降板することが7日、わかった。出演は3月までで、4月以降は、現在月~木曜の午後7時30分からの放送時間を午後10時に移し、番組名も「クローズアップ現代+(プラス)」にするという。

 国谷さんは1993年からキャスター。現在は1年契約で出演している。NHK関係者によると、クロ現を担当する大型企画開発センターは続投を強く求めたが、上層部は「内容を一新する」という方針を昨年末に決定。(8日朝日新聞)

事実関係2 堀 潤・発言(JUN HORI @8bit_HORIJUN)

菅官房長官出演以降、現場の元同僚や後輩たちからは「政治ネタを扱いにくくなった」と聞いていたクロ現。ついに骨抜きに。

事実関係3私のツイッター

「1 分: ああ朝日、8日素粒子「その声を聴きたくないと誰が言ったか。クロ現の国谷さん降板へ」クロ現で国谷さんを問い詰め、その後NHKにすごい圧力が来たと言われる事件をご存じないか。知っていて逃げるか朝日。こんな対応だから自民党、官邸は言論界に圧力のかけ放題。何故毅然と抗議できない。」

B;評価


・安倍政権になって、報道への圧力のかけ方が異常である。

 ごく最近、古舘伊知郎氏が「報道ステーション」のメインキャスターを3月末で降板することが決定したばかりである。

・安倍政権になってから、安倍政権に好ましくない発言をしたとして、非難をうけ、テレビ出演が問題になったケースは限りない。

・異なる意見を紹介する番組もどんどん減少した。

・本件は朝日新聞が報じた。


 しかし、結局、朝日新聞「素粒子」は「その声を聴きたくないと誰が言ったか。クロ現の国谷さん降板へ」としか言えない。何たる弱腰。
 9日朝日新聞は「言論の危機だ」という社説を書いた。
 どこを扱っているかと言うと香港だ。
 「言論の危機だ」は香港までいかなくても、おひざ元の日本で怒っていることでないか。香港は言及出来て、日本については言及できないのか。

The Huffington Post投稿日: 2014年07月11日 19時43分 JST

を見てみよう。

7月11日発売の週刊誌「フライデー」が、「国谷キャスターは涙した 安倍官邸がNHKを"土下座"させた一部始終」と題して、首相官邸側が放送内容を巡りNHKを叱責したと報じた。これに対し菅義偉官房長官は「ひどい記事だ」と述べ、事実に反しているとの認識を示した。

フライデーが報じたのは、7月3日にNHKで放送された「クローズアップ現代」をめぐる首相官邸とNHKのやりとり。この日の番組では、集団的自衛権を特集。菅官房長官がゲストとして招かれ、番組キャスターや記者からの質問に答えた。しかし、フライデーによると、番組終了後に菅官房長官に同行していた秘書官が「いったいどうなっているんだ」とクレームをつけたという。同誌は「国谷裕子キャスターの質問が鋭かったうえ、国谷さんが菅さんの質問をさえぎって『しかしですね』『本当にそうでしょうか』と食い下がったことが気にくわなかった」とした。

国谷キャスターと菅官房長官は番組中、次のようなやりとりを行っていた。

国谷キャスター:解釈の変更は日本の国のあり方を変えると言うような事だと思うのですが、国際的な状況が変わったというだけで憲法の解釈を本当に変更してもいいのかという声もありますよね。 

菅官房長官:これはですね、逆に42年間、そのままで本当によかったかどうかですよね。今、大きく国際化という中で変わってることは、事実じゃないでしょうか。そういう中で、憲法9条を私たちは大事にする中で、従来の政府見解、そうしたものの基本的論理の枠内で、今回、新たに我が国と密接な関係がある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立そのものが脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が、根底から覆される明白な危険ということを入れて、今回、閣議決定をしたということです。 

(中略) 

国谷キャスター:密接な関係のある他国のために、もし集団的自衛権を行使した場合、第三国を攻撃することになって、第三国から見れば日本からの先制攻撃を受けたということになるかと思うんですね。戦争というのは、自国の論理だけでは説明しきれないし、どんな展開になるかわからないという危険を持ったものですから… 

菅官房長官:いや、こちらから攻撃することはありえないです。 

国谷キャスター:しかし集団的自衛権を行使している中で、防護… 

菅官房長官:ですからそこは、最小限度という、3原則という、しっかりした歯止めがありますから、そこは当たらないと思いますよ。

国谷キャスターは番組の終了間際まで「解釈を変更したことに対する違和感や不安をどのように払しょくするのか」などと質問。菅官房長官が回答を返す途中で、番組は終了してしまった。

その数時間後、再び官邸サイドからNHK上層部に「君たちは現場のコントロールもできないのか」と抗議が入ったという。局上層部は『クロ現』制作部署に対して「誰が中心となってこんな番組作りをしたのか」「誰が国谷に『こんな質問をしろ』と指示をしたのか」という"犯人探し"まで行ったというのだ。

さらに、別のNHK関係者からは驚きの証言が飛び出す。

 「放送が終わったあと、国谷さんや番組スタッフは居室(控室)に戻るのですが、この日、国谷さんは居室にもどると人目もはばからずに涙を流したのです」

(フライデー 2014年7月25日号より)

インターネットでは、「事実なら、安倍政権を倒すことになる内容」、「国谷さんとその隣にいた記者は、国の偉い人にそれ聞きたかったということを代弁して聞いてくれた」という意見や、「国谷キャスターは気骨のある人と評判なので、恫喝された程度で涙をみせないはず」と記事は誤りだとする意見などが出ていた。

菅義偉官房長官は11日午前の閣議後の記者会見で、「(記事のような事実は)全くありません。ひどい記事だと思いました。抗議は考えていないが、抗議したほうが効果があるかどうかを含めて考えたい。あまりにもひどすぎる記事」と述べた。

・私達はこうした問題をあまりにも一個人の発言、対応として見逃してきたのではないか。

・今の安倍政権の動きはナチドイツとかなり類似してきた。

ナチドイツ時代、拘束されたマルティン・ニーメラーの言葉原型は1946年の演説を今一度、考える時にある。

「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。

 私は共産主義者でなかったから。 

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった

私は社会民主主義ではなかったから

彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった

私は労働組合員ではなかったから

彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった

私はユダヤ人などではなかったから

そして、彼らが私を攻撃したとき

私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」


それでも理性を貫くマスコミを押し潰す放送弾圧の愚弄

2016-01-09 12:37:25 | 転載

『孫崎享氏、かく語りき。本文より抽出。』

ナチドイツ時代、拘束されたマルティン・ニーメラーの言葉原型は1946年の演説を今一度、考える時にある。
「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。
 私は共産主義者でなかったから。 
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
私は社会民主主義ではなかったから
彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は労働組合員ではなかったから
彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった
私はユダヤ人などではなかったから
そして、彼らが私を攻撃したとき
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」



NHKテレビ「クローズアップ現代」キャスターの国谷裕子氏降板。
集団的自衛権で菅官房長官を問い詰め、
以降激しく糾弾され、
結局降板になった事位、
誰にも解るじゃないか。
何故その追及をびびる。
次は
貴方の番だよ。

                       櫻井 智志



【孫崎享のつぶやき】
NHKクロ現の国谷裕子氏降板。集団的自衛権で菅官房長官を問い詰め、以降激しく糾弾され、結局降板になった事位、誰にも解るじゃないか。何故その追及をびびる。次は貴方の番だよ。
2016-01-09 07:132



A・事実関係1:

NHKの報道番組「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスター(58)が降板することが7日、わかった。出演は3月までで、4月以降は、現在月~木曜の午後7時30分からの放送時間を午後10時に移し、番組名も「クローズアップ現代+(プラス)」にするという。

 国谷さんは1993年からキャスター。現在は1年契約で出演している。NHK関係者によると、クロ現を担当する大型企画開発センターは続投を強く求めたが、上層部は「内容を一新する」という方針を昨年末に決定。(8日朝日新聞)

事実関係2 堀 潤・発言(JUN HORI @8bit_HORIJUN)

菅官房長官出演以降、現場の元同僚や後輩たちからは「政治ネタを扱いにくくなった」と聞いていたクロ現。ついに骨抜きに。

事実関係3私のツイッター

「1 分: ああ朝日、8日素粒子「その声を聴きたくないと誰が言ったか。クロ現の国谷さん降板へ」クロ現で国谷さんを問い詰め、その後NHKにすごい圧力が来たと言われる事件をご存じないか。知っていて逃げるか朝日。こんな対応だから自民党、官邸は言論界に圧力のかけ放題。何故毅然と抗議できない。」

B;評価


・安倍政権になって、報道への圧力のかけ方が異常である。

 ごく最近、古舘伊知郎氏が「報道ステーション」のメインキャスターを3月末で降板することが決定したばかりである。

・安倍政権になってから、安倍政権に好ましくない発言をしたとして、非難をうけ、テレビ出演が問題になったケースは限りない。

・異なる意見を紹介する番組もどんどん減少した。

・本件は朝日新聞が報じた。


 しかし、結局、朝日新聞「素粒子」は「その声を聴きたくないと誰が言ったか。クロ現の国谷さん降板へ」としか言えない。何たる弱腰。
 9日朝日新聞は「言論の危機だ」という社説を書いた。
 どこを扱っているかと言うと香港だ。
 「言論の危機だ」は香港までいかなくても、おひざ元の日本で怒っていることでないか。香港は言及出来て、日本については言及できないのか。

The Huffington Post投稿日: 2014年07月11日 19時43分 JST

を見てみよう。

7月11日発売の週刊誌「フライデー」が、「国谷キャスターは涙した 安倍官邸がNHKを"土下座"させた一部始終」と題して、首相官邸側が放送内容を巡りNHKを叱責したと報じた。これに対し菅義偉官房長官は「ひどい記事だ」と述べ、事実に反しているとの認識を示した。

フライデーが報じたのは、7月3日にNHKで放送された「クローズアップ現代」をめぐる首相官邸とNHKのやりとり。この日の番組では、集団的自衛権を特集。菅官房長官がゲストとして招かれ、番組キャスターや記者からの質問に答えた。しかし、フライデーによると、番組終了後に菅官房長官に同行していた秘書官が「いったいどうなっているんだ」とクレームをつけたという。同誌は「国谷裕子キャスターの質問が鋭かったうえ、国谷さんが菅さんの質問をさえぎって『しかしですね』『本当にそうでしょうか』と食い下がったことが気にくわなかった」とした。

国谷キャスターと菅官房長官は番組中、次のようなやりとりを行っていた。

国谷キャスター:解釈の変更は日本の国のあり方を変えると言うような事だと思うのですが、国際的な状況が変わったというだけで憲法の解釈を本当に変更してもいいのかという声もありますよね。 

菅官房長官:これはですね、逆に42年間、そのままで本当によかったかどうかですよね。今、大きく国際化という中で変わってることは、事実じゃないでしょうか。そういう中で、憲法9条を私たちは大事にする中で、従来の政府見解、そうしたものの基本的論理の枠内で、今回、新たに我が国と密接な関係がある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立そのものが脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が、根底から覆される明白な危険ということを入れて、今回、閣議決定をしたということです。 

(中略) 

国谷キャスター:密接な関係のある他国のために、もし集団的自衛権を行使した場合、第三国を攻撃することになって、第三国から見れば日本からの先制攻撃を受けたということになるかと思うんですね。戦争というのは、自国の論理だけでは説明しきれないし、どんな展開になるかわからないという危険を持ったものですから… 

菅官房長官:いや、こちらから攻撃することはありえないです。 

国谷キャスター:しかし集団的自衛権を行使している中で、防護… 

菅官房長官:ですからそこは、最小限度という、3原則という、しっかりした歯止めがありますから、そこは当たらないと思いますよ。

国谷キャスターは番組の終了間際まで「解釈を変更したことに対する違和感や不安をどのように払しょくするのか」などと質問。菅官房長官が回答を返す途中で、番組は終了してしまった。

その数時間後、再び官邸サイドからNHK上層部に「君たちは現場のコントロールもできないのか」と抗議が入ったという。局上層部は『クロ現』制作部署に対して「誰が中心となってこんな番組作りをしたのか」「誰が国谷に『こんな質問をしろ』と指示をしたのか」という"犯人探し"まで行ったというのだ。

さらに、別のNHK関係者からは驚きの証言が飛び出す。

 「放送が終わったあと、国谷さんや番組スタッフは居室(控室)に戻るのですが、この日、国谷さんは居室にもどると人目もはばからずに涙を流したのです」

(フライデー 2014年7月25日号より)

インターネットでは、「事実なら、安倍政権を倒すことになる内容」、「国谷さんとその隣にいた記者は、国の偉い人にそれ聞きたかったということを代弁して聞いてくれた」という意見や、「国谷キャスターは気骨のある人と評判なので、恫喝された程度で涙をみせないはず」と記事は誤りだとする意見などが出ていた。

菅義偉官房長官は11日午前の閣議後の記者会見で、「(記事のような事実は)全くありません。ひどい記事だと思いました。抗議は考えていないが、抗議したほうが効果があるかどうかを含めて考えたい。あまりにもひどすぎる記事」と述べた。

・私達はこうした問題をあまりにも一個人の発言、対応として見逃してきたのではないか。

・今の安倍政権の動きはナチドイツとかなり類似してきた。

ナチドイツ時代、拘束されたマルティン・ニーメラーの言葉原型は1946年の演説を今一度、考える時にある。

「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。

 私は共産主義者でなかったから。 

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった

私は社会民主主義ではなかったから

彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった

私は労働組合員ではなかったから

彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった

私はユダヤ人などではなかったから

そして、彼らが私を攻撃したとき

私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」


橋下徹が安倍政権で果たそうとする戦略とそれを的確に批判する広原盛明

2016-01-08 19:41:09 | 政治・文化・社会評論
橋下徹が安倍政権で果たそうとする戦略とそれを的確に批判する広原盛明


                    櫻井 智志
*写真は以前の広原盛明氏


私は以前、京都市長選に出馬した頃に、広原盛明氏をネットで勝手連として応援し、掲示板で対話をかわしていただいたことがある。
都市工学が専門で「まちづくり」を実践的に推進していた広原氏は、自分は、京都のまちづくり住民運動の事務局長で、市長候補を推薦する立場にいながら、誰もいないので自ら候補となった「義」のひとである。
学生時代に文科系にいながら、一般教養科目で都立大の石田頼房先生の「現代都市論」を受講し、石田教授の恩師京都大学の西山卯三氏の大著『地域空間論』を入手。広岡先生に自著『座標-吉野源三郎・芝田進午・鈴木正』を贈呈した時に、『開発主義神戸の思想と経営』をいただいた。非常に興味深い。
以下の転載は、そういった広原先生との厚誼から選択したわけではない。文章そのものに権力分析の的確な批判が鋭く本質をついている。


=====転載開始======

広原盛明のつれづれ日記

http://d.hatena.ne.jp/hiroharablog/

(なぜかわからぬが広原盛明氏の日記部分が掲載されない。もしも三度目でも掲載されないときは、リンクをもとにご覧いただきたたい。)

2015-12-28
「橋下対決型市政」から「吉村対話型市政」への転換は本物か、協調型手法で公明・自民を取り込む「維新翼賛体制」の可能性も否定できない、橋下引退後の「おおさか維新」はどうなる(最終回)Add Star
07:49

 それでは橋下引退後の大阪市政は今後どう展開するのであろうか。橋下氏の市長引退に際しては各紙から様々な評価が寄せられているが、共通するのは「破壊のエクスタシー」とも称される橋下氏の敵対勢力への激しい攻撃性だ。例えば、読売新聞は次のように解説する。

 ―橋下徹大阪市長は18日の任期満了に伴い、政界を引退した。「大阪から日本を変える」をキャッチフレーズに、地方発の国政政党を率いて新風を巻き起こし、地方分権改革の機運を高める火付け役にもなった。ただ、対立構図をあおって注目を集める独特の手法は、反発と離反も招き、非自民・非民主を目指す第3極の失速につながった。(略)橋下氏の真骨頂は、敵対勢力を激しく批判する劇場型の政治手法だ。舌鋒鋭い発信力は一定に支持を集めたが、反面、根深い対立も生んだ。(略)身内だった維新の党を「偽物」呼ばわりするなど、対話よりも対決姿勢で突き進むやり方に嫌気がさし、たもとを分かった議員も少なくない(2015年12月19日)。

 ところが12月18日に任期満了を迎えた橋下大阪市長の口からは一転して、これまでの言動とは真逆の(信じられないような)発言が相次いでいる。「臨機応変=豹変」を政治信条とする橋下氏のこと、にわかには信じ難いがとにかくその言い分を聞いてみよう。

 ―(12月12日の「おおさか維新の会」代表の退任あいさつ)、「僕が知事に就いたときは時には大阪は破壊的改革が必要だった」とし、「破壊の後には再構築が必要。敵をつくりながら改革をやるところから、対話をしながらやっていくステージに入る」と指摘。「とにかく実行して結果を残し、選挙で評価してもらうのが維新政治の本質」と強調した(日経新聞2015年12月13日)。

 

 ―(12月17日の市議会本会議での市長退任あいさつ)、自身が議会とたびたび対立してきたことを踏まえ、「新市長の下では(互いに)攻撃的な主張は控え、修正や妥協で一致点を探って少しでも大阪を前に進めてほしい」と要望した(読売新聞12月18日)。

私はこの発言の中に、「第1ステージ=橋下市政」から「第2ステージ=吉村市政」に移行する大阪ダブル選後の維新戦略(橋下院政)が明確に出ていると思う。有体に言えば、府市両議会で維新が多数派を形成していないにもかかわらず、橋下氏個人の突破力で強行してきたこれまでの専制政治を(力量不足の)吉村新市長の下では継続できないので、今後は公明・自民を取り込んで議会多数派を形成し、維新主導の「オール与党=翼賛体制」をつくっていくということだ。

戦略転換の目的は、言うまでもなく吉村市長の任期中に「大阪都構想(改訂版)」住民投票を成功させることだ。このためにはまず公明党を翻意させ、与党入りさせなければならない。維新と公明が手を組めば府市両議会で多数派形成が可能になり、後は黙っていても「自民(民主)は付いてくる」という算段だろう。こうなるとこれまでの「オール大阪」体制は跡形もなく消え、代わって「オール与党」体制が出現することになる。地元保守の「大阪自民」が国家保守の「おおさか維新」に吸収されることで、大阪は首相官邸の「直轄地」になる。橋下院政の下で大阪は来夏参院選(あるいは衆参同時選)以降に成立が予想される「自公お改憲政権」のモデル地域となり、そこで様々な先行実験が行われるだろう。

大阪ダブル選後のマスメディアの変わり身は早い。吉村新市長へのなりふり構わないエールが山積み状態となり、それを象徴するのが吉村新市長の登庁記事だ。これらの記事を読めば、吉村新市長の就任を契機に大阪市政がこれまでの「対決型」から「対話型」へ変わるような印象を受ける。吉村市政への移行とともに橋下・松井8年間の失政が全てリセットされ、橋下流政治が肯定・継続される空気が意識的に作り出されてきている。以下は、登庁記事の典型的な見出しである。

―吉村市長は協調型、トップダウンの橋下氏とは対照的、大阪新市政始動、市議会他会派も好意的、橋下氏なお党内に影響力(産経新聞2015年12月19日)

―初登庁、吉村市政 穏やかな船出、都構想 問われる推進力、「話し合い路線」未知数(読売新聞12月21日)

―吉村新市長「改革へ対話」、大阪都構想住民投票 任期中に、初登庁で決意表明(日経新聞12月21日)

吉村市長は当選直後に公明市議団控室を訪れてあいさつし、21日の初登庁の就任あいさつでも最初に公明市議団を訪れた。吉村氏は「(民意を代表する市長と議員の)二元代表制が機能するよう議論したい」と公明の意向を尊重する姿勢を強調し、「(与党の)維新にも、対立ではなく議論を進めてほしいと話した」と明かしたという。これに対して公明市議団団長も「私たちが一歩踏み出さなければならないこともあるかもしれない」と語り、議会と対立する場面が多かった橋下徹市政からの転換を歓迎した(産経新聞12月22日)。

吉村市長は12月25日の市議会本会議での施政方針演説で、「全ての子どもが等しく教育、医療を受けられる無償化都市を目指す」と宣言し、5歳児の幼稚園・保育所の保育料を2016年度から無償化する方針を発表した。17年度以降は対象年齢を拡大し、任期中に3、4歳児も無償とする考えだという(毎日新聞12月26日)。橋下府政時代の私立高校授業料無償化に引き続く大胆な施策を打ち出すことで、「吉村新市政」のイメージアップを図る算段だろう。

 大阪ダブル選での維新圧勝を契機に世論の節目が変わり、大阪府民の意識が大きく変化(リセット)していることに私たちはもっと敏感であるべきだ。朝日新聞社が実施した大阪府民への世論調査(郵送方式)によると、11月の大阪ダブル選で当選した松井知事・吉村大阪市長が「大阪都構想」の実現を再び目指す方針に対して「賛成」は63%に達し、「反対」は29%にとどまった。都構想が住民投票で否決された大阪市でも「賛成」59%が「反対」32%を上回った。橋下氏の評価についても、府知事・市長としての実績を「大いに評価する」28%、「ある程度評価する」50%で「あまり評価しない」13%、「まったく評価しない」7%を大きく上回った(朝日新聞12月24日)。

 「オール大阪」体制を支えてきた革新陣営は、いま橋下氏の引退にともない、8年間に亘って築き上げてきた維新戦略の再構築を求められている。しかし京都の岡目八目子である私には、その後の大阪の情勢がいっこうに伝わって来ない。大阪ダブル選は大阪はもとより全国的関心を集めた首長選挙であるだけに、「内部だけの総括」では済まされない性格を持っている。総括をあいまいにして今後の戦略再構築に関する議論を放置すれば、維新の「第2ステージ」には到底対抗できず、革新陣営の孤立化は避けられない。都構想に反対し、反維新候補のために奮闘した府民・市民の間で総討論の輪を広げ、維新の「第2ステージ」に対抗する新戦略を生み出してほしい。

●今日12月28日は、役所で言えば「御用納め」の日です。拙ブログも今年は一応これで終わりにします。冗長な文章を辛抱強く読んでいただいた読者諸兄に感謝し、コメントをお寄せいただいた諸氏にお礼を申し上げます。来春は1月中旬に再開するつもりですが、コメントに関しては随時掲載するつもりですのでどうか遠慮なくご意見、ご批判をお寄せください。新年が皆様にとって良いお年でありますように。広原 拝

======転載終了=======

政権のテレビ放送報道介入に、右翼反動派の人々が連動してきた

2016-01-07 21:55:56 | 政治・文化・社会評論
安倍政権のテレビ放送介入に、右翼反動派の人々が連動してきた

               櫻井 智志

 テレビ局の冷静な報道番組にまで、ネット右翼や一部の自民党支持者が、内容を吟味もせずに、あいついで騒動をかける。このようなひとびとの動きに、社会全体が「物言えば唇寒し」と口をつぐむようになる。
 私もあまりの反動化に、あれこれ意見を表明して、自らの身に害がおよばないように自己規制するか、と思うこともある。
 そんな時に、私を支えるのは、『きけわだつみのこえ』に収められている田辺利宏の「雪の夜」である。


田辺利宏
     雪の夜

人はのぞみを喪っても生きつづけてゆくのだ。
見えない地図のどこかに
あるいはまた遠い歳月のかなたに
ほの紅い蕾を夢想して
凍てつく風の中に手をさのべている。
手は泥にまみれ
頭脳はただ忘却の日をつづけてゆくとも
身内を流れるほのかな血のぬくみをたのみ
冬の草のように生きているのだ。


遠い残雪のような希みよ、光ってあれ。
たとえそれが何の光であろうとも
虚無の人をみちびく力とはなるであろう。
同じ地点に異なる星を仰ぐ者の
寂寥とそして精神の自由のみ
俺が人間であったことを想い出させてくれるのだ。


このようなことを考えていたきょう。そのきっかけは、TBSテレビ報道への理不尽な介入事件を知ったことから始まっている。

「以下資料として」



【真実を探すブログ】転載

================================
2015.01.04 13:08|カテゴリ:政治・選挙| コメント(108)
【賛否両論】TBSが安倍政権をヒトラーに例えて大炎上!サンデーモーニングがヒトラーと群集心理の危険性を指摘!自民党支持者らが発狂中!



s_screenshot04-01-2015 125807oiytr
1月4日に放送されたTBSのサンデーモーニングがネット上で大炎上しています。問題となっているのはサンデーモーニングが戦後70周年と絡める形で、安倍政権とヒトラーの類似性を指摘していた場面です。
サンデーモーニングは第2次世界大戦を振り返りながら、ヒトラーが群衆操作のために経済政策を使っていた点や群衆は反復・断言に弱い事を解説。そして、それが今の安倍政権と似ているという旨の発言をしたようです。
これに対して自民党の支持者らが大激怒し、ツイッターやフェイスブックなどに「印象操作だ!」「キモい」というようなコメントを相次いで投稿しています。

私は全部見ていないのですが、ちょっと見ただけでもかなり興味深い話となっていました。内容には賛否両論があるでしょうが、ヒトラーの手法を詳細に解説して注意を呼び掛けたのは良かったと思います。ただ、安倍首相はヒトラーほどのカリスマ性が無いような気がしますが・・・(苦笑)。
*ヒトラーは第一次世界大戦では最前線で戦い、世界大戦で疲弊したドイツを立てなおして絶大な支持を得ました。安倍首相よりも優秀です。

==================================

朝鮮民族の受難と展望

2016-01-06 19:34:33 | 政治・文化・社会評論
朝鮮民族の受難と展望

         櫻井 智志

 北朝鮮=朝鮮民主主義人民共和国の「水素爆弾核兵器実験」のニュースは、きょう日本のマスコミを席巻した。

 北朝鮮の実像は、マスコミというフィルターを通して知らされるので、私はマスコミを通した様子しか判断できない。ただ明確なことは、北朝鮮の民衆と支配者層とを分けて考えたい。かつて朝鮮半島は、大陸の文化や技術を日本に伝える重要な役割を果たした。朝鮮半島に栄えた国家そのものが高句麗をはじめ、高い文化水準で、仏教、学問、技術、産業、統治機構などを保った。古代日本史を考える上で、朝鮮から日本に渡った民衆や文化人などによって日本勃興の重要な契機ともなった。金達寿氏は、日本の古代国家は、朝鮮民族による政府と述べる見解を著書で示した。

 北朝鮮の民衆は、勤勉で圧政に耐え、海外に逃亡しするなどの受難を背負ってきた。北朝鮮の統治者は、金日成、金正日、金正恩など世襲制の専制主義政治を展開してきた。朝鮮半島は、ソ連、中国とアメリカなどの大国の綱引きによって引き裂かれた。38度線の悲劇は、国家を分断し、米ソの冷戦下では、北朝鮮と南朝鮮=大韓民国とが、冷戦に組み入れられ冷戦代理者同士となった。

 私は朝鮮民主主義国民を支持する。同時に、政府支配者層の統治のしかたに疑問をもつ。

 今回の水素爆弾実験への批判は、ロシア、アメリカなど核保有国すべてに批判されねばならない。核兵器の悲人道性は、北朝鮮と同様に核大国すべてにあてはまる重大な暴挙である。「核拡散防止条約」など言葉の詭弁によって、核兵器を大国が独占して、他国の核開発を否定するシステムは、世界のすべての国家が核兵器を地上から一掃されねばならない。

 まして、隣国北朝鮮の水爆実験を悪用し、日本の軍事国家体制を一気に進める日本支配層の謀略は強く監視されねばならない。

 私は北朝鮮政府と支配層を批判する。韓国の民主化革命をになった金大中大統領や韓国民衆のような持続的理性的な展望によって粘り強く韓国を軍政から議会制民主義国家に変えた取り組みを、しっかりとまなぶべきだ。

 日本の戦前戦後直後に、在日の朝鮮民族は、日本共産党や自覚的民主主義勢力のなかに加入し、最も戦闘的に闘い最も強い弾圧を受けた。朝鮮民族によって、日本の戦後民主化はより前進した。レッドパージによる弾圧によって台頭した極左冒険主義が落ち着いた。一国の変革主体はその国の民族か゜になう、という方針によって、民主勢力に加わって いた朝鮮民族のかなりの人々は、北朝鮮に帰還した。

 朝鮮半島の分裂した国家の問題。北朝鮮支配層の軍事的専制主義。日本の軍国主義政治勢力の台頭。全世界にわたる核兵器の全面禁止の課題。いくつかの問題が入り組んで錯綜している。ひとつひとつの情報を多角的に吟味して、理性的に対応することが、私たちに求められている。安保法制=戦争法廃止と立憲主義の回復をめざす市民連合の新宿での大規模な市民団体と野党各党の平和アピール行動は、九時のNHK「ニュースウオッチ9」、テレビ朝日の「報道ステーション」、TBSの「NEWS23」のどれも報道しなかった。夕方のニュースできちんと伝えた放送局もあった。きょうの水爆実験は、夕方からすべてのテレビ局は大々的に伝え、いま見ているNHKの「ニュース7」はほぼ全面的な時間を、7:00~7:29PMまで放送し続けている。北朝鮮の核実験そのものはしっかりと伝えるべきだ。しかし、それもバランスをとるのが公正な報道というものだろう。

 今後も、日本の軍国主義を利する事件は、政府によって統制されたマスコミが歪んだフィルターを通して、国民に拡散していくことは、外交問題の解決にとっても、決して意義あることとは言えまい。

竹中平蔵にまつわる報道と一年前の小生の竹中平蔵論

2016-01-04 19:26:47 | 政治・文化・社会評論
竹中平蔵にまつわる報道と一年前の小生の竹中平蔵論

                  櫻井 智志

 まずはじめに月刊ゲンダイの記事を転載させていただく。

①「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返しのア然
2016年1月4日

二枚舌(C)日刊ゲンダイ


 テレビ朝日系の「朝まで生テレビ!」。「激論!安倍政治~国民の選択と覚悟~」と題した1日放送の番組では、大田区の自民党区議が「建築板金業」と身分を隠し、安倍政権をヨイショするサクラ疑惑が発覚。「今年初のBPO入り番組」とネットで炎上中だが、同じように炎上しているのが、元総務相の竹中平蔵・慶応大教授の仰天発言だ。

 番組では、アベノミクスの「元祖3本の矢」や「新3本の矢」について是非を評価。冒頭、「アベノミクスは理論的には百%正しい」と太鼓判を押した竹中平蔵氏。アベノミクスの“キモ”であるトリクルダウンの効果が出ていない状況に対して、「滴り落ちてくるなんてないですよ。あり得ないですよ」と平然と言い放ったのである。

 トリクルダウンは、富裕層が富めば経済活動が活発になり、その富が貧しい者にも浸透するという経済論だ。2006年9月14日の朝日新聞は〈竹中平蔵・経済財政担当相(当時)が意識したのは(略)80年代の米国の税制改革だった。その背景には、企業や富裕層が豊かになれば、それが雨の滴が落ちるように社会全体に行きわたるとする『トリクルダウン政策』の考え方があった〉と報じているし、13年に出版された「ちょっと待って!竹中先生、アベノミクスは本当に間違ってませんね?」(ワニブックス)でも、竹中氏は〈企業が収益を上げ、日本の経済が上向きになったら、必ず、庶民にも恩恵が来ますよ〉と言い切っている。

 竹中平蔵氏がトリクルダウンの旗振り役を担ってきたのは、誰の目から見ても明らかだ。その張本人が今さら、手のひら返しで「あり得ない」とは二枚舌にもホドがある。埼玉大名誉教授で経済学博士の鎌倉孝夫氏はこう言う。

「国民の多くは『えっ?』と首をかしげたでしょう。ただ、以前から指摘している通り、トリクルダウンは幻想であり、資本は儲かる方向にしか進まない。竹中氏はそれを今になって、ズバリ突いただけ。つまり、安倍政権のブレーンが、これまで国民をゴマカし続けてきたことを認めたのも同然です」

 こんな男が今も政府の産業競争力会議の議員を務めているなんて、安倍政権のマヤカシがよく分かる。



新自由主義経済学者竹中平蔵氏の所論
2015-01-04 10:51:11
 竹中平蔵氏の所論について   櫻井智志

 小泉純一郎氏の政権以来、新自由主義政策のとくに経済のイデオローグとして、当時慶応大学教授だったかと思うが、竹中平蔵氏が登用された。竹中氏の経済政策はまもなく現実において破綻する。安倍晋三氏の政権でまたもや登用されてその発言が政権に重きをおくようだ。
 しかし、孫崎氏はテレビ朝日の金曜深夜番組「朝まで生テレビ」と竹中氏と討論する中で明快に竹中氏の本質を見抜いている。
以下は、直接孫崎氏の評論を転載させていただく。


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孫崎享のつぶやき
集団的自衛権:竹中平蔵氏等「この権利は世界中が持っている」。正確ではない。
2015-01-04 07:402
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 集団的自衛権の論争がつよくなる中で、「この権利は世界中が持っている。日本だけが持たないのはおかしい」との論が今後も今後共展開されよう。
 1月1日「朝ナマ」でも竹中平蔵氏が「自分は専門家でないが、「この権利は世界中が持っている。日本だけが持たないのはおかしい」と発言し、私がそれは違うと解説した。それは次のようなことである。

 国連憲章には次の項目がある。
「第五十一条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」

 この条項にみられるように、「個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」とある。従って、「集団的自衛権は各国に認められている」という判断は正しい。しかし、この認められる集団的自衛権には、「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には」という条件が付されている。つまり、集団的自衛権は、武力攻撃がなされた時に発生する。

 しかし、今日、米国の戦略は「武力攻撃がなされた時」という条件はない。「国際的安全保障環境を改善する」目的のために武力攻撃を行うことが出来る。今日米で行おうとしているのは、「国際的安全保障環境を改善する」目的のための“集団的自衛権”である(この点を明確に述べているのは2005年の「日米同盟未来のための変革」通称ツープラスツーと言われる合意文書でそれ以降日米はこれを継承)。

 これは国連憲章第51条で各国に認められた『集団的自衛権』と異質なものであるという事です。

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私見

 「集団的自衛権」のもとにいつも安倍総理が絵入りのパネルでテレビや国会討論で紹介する論理がある。朝鮮半島から日本人家族が乗り込んだアメリカ軍艦を他国が砲撃している。その船の日本人を救うために、日本はアメリカ軍艦を援護射撃して無事に日本人が帰国するまでアメリカ海軍を援護射撃する。それが「集団的自衛権」であると。
 とんでもない詭弁なのだ。日米軍事同盟の通称ツープラスツーの具体化に過ぎず、国連憲章弟51条が世界各国に認めている集団的自衛権とは、とんでもない異質の軍事同盟強化が、今回の安倍式集団的自衛権説の正体であることを見抜くことが必要だ。そのためにも、曲学阿世のニセ学者たちを批判することは、とても大切な言論の課題であることを教えられた。
 

「衆参ダブル選挙のリアリズム」                 櫻井 智志

2016-01-03 23:45:06 | 政治・文化・社会評論
【日刊ゲンダイ】2016年 壊れるのは政権か国民生活か
安倍政権が夢見る「衆参ダブル選で憲法改正」のおめでたさ
2016年1月3日

14年総選挙のようには甘くない(C)日刊ゲンダイ



 安倍首相の周辺は衆参ダブル選挙を実施して両院で3分の2の勢力を獲得し、一気呵成に憲法改正に突き進む、というシナリオを描いている。彼らの頭の中には、1980年と86年の衆参同日選で自民党が圧勝した過去の記憶があるようだが、現実はそう甘くない。

 政治評論家の野上忠興氏がこう話す。

「そもそもダブル選の話が浮上するのは、参院選が不安なことの裏返しでしょう。それに、ダブルなら圧勝というのはもはや“神話”ですよ。投票率は70%超、中選挙区制で自民党の派閥に活気があり、高度経済成長だったあの時代とは違う。頼みの業界団体も、農業関係や小売業者などは、TPPや軽減税率で自民党に対し冷ややかです。ダブルで関心が高まって投票率が上がる効果はあると思いますが、前回(14年)の衆院選が52%だったことを考えると、アップしても60%台でしょう」

 ダブル選の空気が高まれば、嫌でも「改憲」がクローズアップされる。そうなれば、10万人が集結した、あの時の国会包囲網が再来するだろう。憲法9条を亡きものにし、名実ともに戦争国家に突き進む安倍に国民の怒りが爆発するのは間違いない。

「いつものように安倍さんは『経済』で覆い隠そうとするでしょうが、ここまで露骨に憲法改正の野望が見えてしまうと、さすがに国民は騙されません。表向きは環境権や緊急事態条項の創設と言っていますが、本丸は9条の改正。国家統制の国づくりです。世論はそれを見抜いていますから、ダブル選で投票率が上昇しても、簡単には自民に一票を入れない。むしろ、これまで棄権していた有権者の多くが『経済で憲法改正の狙いをごまかすのはズルい』と、反自民で投票すると思います」(野上忠興氏=前出)

 衆参ダブルがやれるもんなら、やってみろ、だ。

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私見
   「衆参ダブル選挙のリアリズム」
                櫻井 智志

 私はダブル選挙についての意見は、上記の論説とは異なる。それは以下に述べる二つの理由に基づいている。

 安倍政権が国民に浸透させている、
①「強者には絶対にかなわないという挫折感と虚無感、倒錯した強者依存による安倍政権支持率の安定」、
②「強権政治を批判するマスコミや言論を徹底してたたきつぶす恐怖政治に脅えて擦り寄っていくマスコミの不様さ」。

 これらが今後どのような政治情勢や国民の社会心理となって展開されるかを考えると、安易な楽観はできないと思う。

最低、次の四つを挙げておく。
①一月の大津市長選、岩国市長選、宜野湾市長選、二月の京都市長選。これらの地方自治体の首長選挙での投票率と当選者、選挙闘争の展開の様相。これらがどうかによって、次の沖縄県知事選や参院選への政治の構図が構築されていく。

②SEALDsと立憲主義の学者たちが立ち上げた「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」は、参院選に向けて統一候補擁立の受け皿をめざして活動を開始した。この市民運動が、野党や市民たちからどれだけ支持されて発展していくか。その展開は、日ごとに市民への締め付けや抑圧が深まっていく中で、重要な意義をもつ。

③日本共産党の思い切った選挙政策は、自らの候補者を降ろして、無所属統一候補擁立となってすでに熊本選挙区では無党派候補の統一候補擁立に固まった。柔軟で、実態を見据えた日本共産党のすぐれた政策と戦略に、むしろ野党や国民の中に偏見や警戒心がある。それでも民主党候補を擁立しても一人区での自公候補への対抗候補をしぼって闘おうという共産党の選挙への方針は、意義あるものであり、実現すれば参院選は安倍政権の思うとおりにはならない。

④しかし、謀略と仕掛けに卓越した影の参謀格集団をもつ自公(おおさか維新の会もありうる)与党の次の手は当然考えているだろう。影の参謀格の実態は現在私が推測する範囲で、内閣調査室初代室長だった佐々淳行氏。小泉内閣の参謀格だった飯島勲氏。小泉政権の時に情報戦略をにない、国民の心理的コントロールを推進し、安倍内閣でもたえず安倍総理のそばにつきそう黒子役の世耕弘成参議院議員。内閣補佐官でもある。彼ら三人は第2次安倍政権発足の時に官邸入りして、あまり表には出ない。この影の参謀格集団は、そうとうな政治的能力をもつ。野党にはこれに対抗しうるほどの知恵者はあまりいない。しいてあければ、沖縄県知事翁長雄志氏とそれを支える人々である。

 これから一月、二月と連続する市長選の趨勢に注目したい。また、これらの市長選を全国的支援しないと、野党の芽は、潰される。

衆参ダブル選挙と大津・宜野湾・岩国・京都市長選の意義

2016-01-03 18:30:07 | 政治・文化・社会評論
衆参ダブル選挙と大津・宜野湾・岩国・京都市長選の意義
                  櫻井 智志



神奈川県内で自民党衆議院議員の新たに造ったポスターが貼られています。
おそらく40%の確立で衆参ダブル選挙で一挙に圧勝を狙っています。
三重志摩サミットやスポーツで盛り上げて、流れの風向きを見て、安倍政権は橋下徹氏とおおさか維新の会をもりあげて自公お維新3党で国会衆参で3分の2以上を獲得し、一気に憲法改悪になだれこむでしょう。
大手の新聞・テレビなどのマスコミを、「NEWS23」「報道ステーション」「クローズアップ現代」などの公正派をおしつぶし、一気に安倍批判をおさえこみ、安倍政権賛歌の体制派マスコミを総動員。風を追い風にしてから、衆参圧勝体制をつくり、衆参選挙にもちこみます。



その点で
一月の大津市長選、宜野湾市長選、岩国市長選、
二月の京都市長選は、
民意を知る上で、参考になるとして政権与党は水面下で全面的攻勢で必勝態勢でとり組むでしょう。たかが市長選、されど国政選挙前の重要な予備選挙として位置づけられます

新・暗夜行路 ~闇夜のなかをたいまつを掲げ、魑魅魍魎の世界に灯火をともそう

2016-01-03 03:38:12 | 政治・文化・社会評論
新・暗夜行路
闇夜のなかをたいまつを掲げ、魑魅魍魎の世界に灯火をともそう
                櫻井 智志


―小林多喜二が師と仰いだ志賀直哉は、多喜二特高により虐殺されるという報を受けて、驚き悲しんだという。
志賀直哉の小説のタイトルには仰々しさもすこし感じるが、
「暗夜行路」とは、闇夜の世の中にも歩き続けるのぞみへの信頼と前進を続ける不退転のメッセージを感じる。―





きのう1月2日は、六時起きして、家族で帰省。夜に帰宅しました。いま2時半になろうとする深夜。
全国で、戦争国家にしようとする政治勢力と戦争国家になることを阻んで平和な社会に再建しようとする国民との大きな政治的決戦となる参院選と、自民党は衆議院議員のポスターもはり、まちで見かけるようになりました。
都市部ばかりでなく、全国の僻地や過疎地で中高年のかたがたが地道にそして真剣にこの戦争体制完成前夜の2016年の新春を懸命に取り組んでいる姿。
私たちは歴史的な過渡期の1年間を、どのような政治選挙結果となろうと、選挙闘争を政治的実践として取り組むことをまずは最初の課題として目の前にもっています。
基地とアメリカ軍のまち岩国市長選挙も一月にあるのですね。
このフェイスブックをお借りしているページ「国民的統一戦線への探求」は、どのくらい読まれているのかわかりませんが、拡張するばかりで膨張する軍国主義に対して、ひとりひとりが自らの言葉と思考を培うことを重視しています。多くの市民が結集することは、多くの投票を得て当選者をたくさん出すことは、政治的な影響力にかなりの相違をおよぼします。
それを前提としつつも、情報や報道に右往左往されることのないみずからが考え表現している若者たちのSEALDsのように、
自分らしさの基盤に立った社会的実践ならば、たえずみずみずしく枯れることのない政治的人間的主体としての公民が形成されていくことでしょう。
1537人の仲間たちがここで情報を共有しつつ、さらにそれぞれの足場からいまなにを見抜いてなにを伝え会うか、そんな力量を形成するためのひとつのきっかけになればと願ってこうして書いています。
まもなく3時です。マスコミやインターネットを使った圧倒的情報戦略に抗して、1537人のひとりひとりがそれぞれ1537人に伝えたならば、幾何級数的につまりねずみ算方式で、広がっていくかも知れません。
まず自らが、「統一戦線」とは「政党」とどこが同じでどこが違うのをふまえつつ、いま、国民的な規模で、全国の個人、団体、集団、政党などいろんなかたちの人々のなかで、ひとりひとりが方向性として「戦争体制をはばみ、立憲主義のくにのかたちを考え、世界上のどの民族も国民も市民も戦争で威嚇すべきではなく理性を失わずに相手の尊さを大切にして、新しい世界を築きあげていく」ことをふりかえりましょう。
元旦にあったテレビドラマ『相棒』のなかで杉下右京を演ずる俳優が、「戦争は政治の最後」ということばをなにげにセリフとして話していました。
政治的充実と交渉、粘り強い対話と応答。
それらをまともになにもしない政府ほど、いきなり野蛮でひとを集団的国家の方針として殺戮していく、それが戦争です。
愚かしく人間の理性を信じて交渉できない野蛮主義者たちが、政府の指示もないところで、外国軍隊と共同でなにやらはねあがってしでかし、時々原因が公表されない不明な死亡や事故、火災などが起きています。
私の伯父は、戦争で出兵となり、満州の前線にかり出されました。生きて帰国できましたが、下士官に近い立場で小分隊の隊長のようでした。帰国して、戦争加担ということで戦後の日本で就職さえ白い目で見られ、つらい日々を送って、刑務所の官吏として就職しました。人望と戦場で知り合って日本に一緒に帰国して結婚した妻(私からは叔母)の必死の援助のおかげで、全国の主要都市の刑務所長として生涯の後半を過ごしました。戦争への怒りを忘れず、子どもはいませんでしたが、おいやめいを我が子のように慈しんでくれました。
戦争を起こすような政治家は下の下です。
自民党タカ派といわれた福田赳夫氏は、戦前に大蔵省・現在財務省の官僚でしたが、対談集の中で岩波書店の安江良介氏の質問に答え、自分が軍事予算の増額要求を強硬に求める軍拡派に対して、軍縮財政を主張する経済官僚で、最後は青年将校らのクーデターで隣室で閣僚が殺戮される特に辛うじて官邸から退出したことを証言しています。
息子の福田康夫氏も総理となりました。あいつぐ米軍からの要求にくっせず、鈴木善幸総理と同様、自らが辞職することで暗黙の抗議を示しました。記者団に対して、「私はあなたたちと違う」と激高して発言した裏側に、アメリカ軍産複合体のいわば「奴隷化」要求をつっばねた自負とそのことは表に出せないことを腹に収めていたために、背景を知らず総理を批判し続けるマスコミに、ある意味での無責任さへの怒りが出たと思われます。
以上の事実は福田赳夫については安江良介氏の著書、福田康夫については、私が読んでいる「日刊ゲンダイ」「創」か孫崎享氏の評論かそのあたりです。