【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

メディア・安倍政権・ジャーナリスト

2016-04-06 20:42:47 | 政治・文化・社会評論
メディア・安倍政権・ジャーナリスト
             櫻井 智志



【孫崎享のつぶやき】

鳥越俊太郎「メディアが政治をチェックするのでなく、政治がメディアをチェックする時代になった。安倍さんは批判に耐えられない異常な体質」
2016-04-06 06:553


 鳥越俊太郎はもともと毎日新聞の記者。1988年4月、サンデー毎日編集長。1989年8月に毎日新聞社を退職し、テレビ朝日『ザ・スクープ』の司会に就任。テレビ朝日『スーパーモーニング』のレギュラーアンカー等を経る。『月刊マスコミ市民』2016年 4 月号は、鳥越俊太郎「安倍政権下におけるメディア」を掲載した所、その抜粋。




・安倍政権は、自分への批判に神経を尖らせ、露骨にメディアに介入してきました。官邸ではすべての報道番組を細かくチェックすると同時に、メディアのトップと会食を頻繁に重ねています。
・今の安倍政権はテレビ局の上部にプレッシャーをかけて現場に降ろしていくやり方です。現場では、最初はおかしいと思っても、このまま続けるとまずいと感じるようになり、自粛と萎縮が進んでいます。
・この3月で報道ステーションの古舘さんが降り、ニュース23の岸井さんが降り、クローズアップ現代の国谷さんが降ります。民放もNHKも日本のテレビ局はこれから先、安倍政権を正面から批判する番組はなくなると思います。
 暫くは政権を強く批判したり、間違っていることを厳しく指摘する言論は、放送では封殺に近い形になるのは間違いないと思います。コメンテーターにしても、安倍政権を批判する人は使われません。まずアンカーマンがはずされ、キャスターがはずされ、コメンテーターも淘汰されていくでしょう。
・日本のメディアは宣伝とまではいかなくとも、都合の悪いことは言いませんね。
・一応は権力に是々非々で臨んでいたTBSテレビとテレビ朝日が「是々」の部分だけを言って、「非々」をあまり言わなくなりました。
・NHKは本当に変わりました。安倍さんがまだ一国会議員の時に従軍慰安婦の問題でNHKに介入しましたが、あの時の経験が生きていると思うのです。政治の力で介入すれば、一時は抵抗できても、最終的には権力構造の中で政治が勝つことを学んだのです。僕はそれが突破口だったと思います。
・安倍政権になってからは、あからさまにメディアチェックを始めました。自民党政権といえども、これまではそんな露骨なことはしませんでした。
・政権に都合の悪いことを書かれると支持率が落ちますので、自民党は体験してメディアに欠かせないことを学んだのです。これに対してメディアは何もできません。
・日本のメディア経営者の頭にあるのはジャーナリズムではなくて、いかに会社の経営をうまくやるかです。それぐらい日本のメディアの世界は腐っています。
・日本の新聞は一九〇〇年代の終わり頃から、朝日、毎日、東京などのリベラルグループと産経・読売、日経のライトウィングに二分されました。そうした中で朝日は一応リベラルのリーダーとして位置を保っていましたが、従軍慰安婦問題で狙い打たれ、ガタガタに崩されました。かつての朝日のリベラリズムの気概は、薄くなってきたのでないでしょうか。
・安倍さんの国会答弁を見ていても、自分に対する批判を受け止められないのがよくわかります。同じように、メディアが自分の言動を批判的に報じることに耐えられない、そういう異常な体質なのです。今までの歴代総理でそんな人はいませんでしたね。


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私見

 ①「官邸ではすべての報道番組を細かくチェックすると同時に、メディアのトップと会食を頻繁に重ねています。」
 ②「一応は権力に是々非々で臨んでいたTBSテレビとテレビ朝日が「是々」の部分だけを言って、「非々」をあまり言わなくなりました。」
 ③「朝日は一応リベラルのリーダーとして位置を保っていましたが、従軍慰安婦問題で狙い打たれ、ガタガタに崩されました。かつての朝日のリベラリズムの気概は、薄くなってきたのでないでしょうか。」
  
 いずれも鳥越俊太郎氏の見解である。私はTBSNEWS23に注目してきた。岸井アンカーは最終番組まで権威におもねず、権力に屈しない見解を示しつづけた。かわりに朝日新聞社から政治部長など歴任された星浩氏がTBSNEWS23のキャスターとして入った。
 星浩氏は、「人情派キャスター」のTBSの宣伝どおりおだやかで率直な人柄とお見受けした。ウィキペディアで検索して、驚いた。

④「(師資相承の)大先輩と2人1組で、朝日・讀賣・毎日新聞各社の計6人からなる『コラムニストの会』というグループがあって、星はそのメンバーであり、総理大臣や各党の党首や役所の次官などと会食していると大阪のラジオ番組で明かした[7]。(脚注の〔7〕 衆議院解散総選挙はいつ?政局を占う(2009/05/26〜05/30放送) ニュース探偵局 - ABCラジオ。)

 星氏がどの総理の時に一緒に会食していたか、それは定かではない。だが、朝日の筑紫哲也氏や本多勝一氏が総理と会食していたら、あの気骨あるジャーナリストとしての仕事をなしえなかっただろう。

 テレビ朝日の報道ステーションは、久米宏、古館伊知郎と両氏ともに反骨のキャスターぶりだった。古館氏は交代直前は、批判的なとらえかたが多かった。しかし、しだいに市民運動が反原発運動の官邸前抗議など高まるにつれて、丁寧に報道した。今後若手アナウンサーの富川悠太氏がかわるが、私はこのアナウンサーは古館氏を継承するよりも、テレ朝経営陣の意向で動くマリオネットとしてしか動かないと思う。「報道ステーションが変わる」と宣伝しているが、どんなふうに変わるのかが大事であり、反骨精神を変える内容となるだろう。
 TBSnews23も、交代後見ているが、予想通り岸井=膳場の報道精神は、換骨奪胎されている。4月6日、福岡高裁宮崎支部は、川内原発の原発停止を認めず、住民の抗告を退けた。この判決について、news23はどういうふうに番組全体の構成の中で報道しどのように論評するか。それを以て、「新しい」news23の視聴を続けるかどうかを決めたいと私は考えている。

 それらの番組がどう変わろうと、戦後70年たって、日本の現代民主主義は、左翼にとどまらず、国民全体各層におよぷ浸透を見せている。アメリカ軍産複合体と組んだ安倍晋三の両者がどうあろうと、彼らを取り巻く海外と日本の民衆は、それほどやわではない。

広原盛明氏の的確な評論への小生の共感の後説

2016-04-04 03:22:33 | 社会・政治思想・歴史
広原盛明氏の的確な評論への小生の共感の後説

                        櫻井 智志




【広原盛明のつれづれ日記】
2016-03-31
参院選では「野党共闘」の顔、衆院選では「単独路線」の顔、民進党はいったいどちらの顔が本当なのか、「ジキルとハイド」を演じる二重人格的な党運営は自己破綻をきたして身を亡ぼす、2016年参院選(衆参ダブル選)を迎えて(その18)Add Star
06:34
 前回の拙ブログで、民進党が国民から期待されないのは、野党共闘に対する民進党の「やる気」のなさにあると書いた。しかし参院選だけを見ると、3月25日の野党幹事長・書記局長会談で32の1人区のうち7選挙区で野党統一候補が決まったことが確認され、さらにその後1選挙区が追加されて、野党共闘成立は現在8選挙区(青森、宮城、栃木、長野、徳島・高知、熊本、宮崎、沖縄)になった。他の18選挙区でも候補者一本化に向けた協議が進んでおり、残る6選挙区は調整中といわれる(朝日新聞、2016年3月28日)。
 民進党以外の共産、社民、生活の3党では、参院選の共通政策づくりと衆参同日選も想定した衆院選協力が議題に上っており、安保法制廃止に加えて来年4月の消費増税中止、原発ゼロの日本をめざす、などの共通政策のたたき台が目下検討中だ。だが民進党内では、衆院選は「政権選択選挙」であり、基本政策の異なる野党(とりわけ共産党)と協力することには否定的な声が強く、野党共闘のこれ以上の進展には消極的だとされている。枝野幹事長も「衆院選は参院選とは異なる。衆院選は〝政権選択選挙″だから野党共闘はしない」と繰り返し言明している。
 このように民進党は、次の衆院選は参院選とは異なる「政権選択選挙」だから野党共闘はしないという(屁)理屈で選挙協力を拒んでいるが、私にはこの(屁)理屈がまったく理解できない。だいたい政党支持率10%程度の民進党が40%もの支持率を維持している自民党を破って「政権政党」になる可能性など100%ないと言ってもいいし、また国民の誰もそんなことを思っていない。馬鹿もほどほどにしてほしいが、誰が考えても次の衆院選が民進党の「政権選択選挙」などになりようがないのである。
 それに安保法制廃止が野党共闘の柱であり、そのためには安倍改憲政権を打倒することが政治目標なのだから、当面の目標としては改憲勢力が衆参両院で3分の2議席を占めることを阻止することが野党共闘の中心課題にならなければおかしい。衆参両院の3分の1以上の議席を獲得することが野党共闘の政治目標である以上、この点では参院選も衆院選も性格が全く同じで何ら変わることがないのである。まして、改憲勢力が3分の2議席を持っていない参院選で野党共闘するのだから、改憲勢力がすでに3分の2議席を確保している衆院選ではなおさら野党共闘が必要になる。参院選では野党共闘するが、衆院選では野党共闘しないということになれば、衆院で改憲勢力が3分の2議席を占めている現状を変えることはできないし、「そのままでいい」ということになりかねない。
 私は衆院京都3区の有権者だから、民進党の「タテマエ」と「ホンネ」がよく分かる。民進党京都府連は前原氏(民主党元代表)の強い影響下になり、衆院4月補選に関しても3月の党定期大会で「いずれの選挙でも共産党と共闘しない」との大会決議を採択した。京都の民進党は「野党共闘しない=自公政権と協調する」ことが彼らの「ホンネ」なのであり、前原氏らは「タテマエ」として安倍政権打倒の旗印を掲げてはいるが、その意図は安倍政権の安保政策に反対するからではなく、安倍政権に代わって政権の座に着きたいだけのことなのである。
 民進党全体がそうだとは言わないが、衆院選で民進党があくまで野党共闘を拒否するのは、前原氏に代表されるようなグループが「隠れ自民党」として民進党内で大きな影響力を維持しているからだろう。彼らにとっては日米軍事同盟下で安保政策を強力に推進することこそが使命であって、この点では自民党国防族と何ら変わることがない(むしろそれ以上だ)。前原氏らが民進党を離党しないで党内にとどまっているのは民進党全体を与党化し、「中身は同じだが形の違うボトル」をつくって政権交代を目指すことなのである。
 なかなか進展しない衆院選での野党共闘にしびれを切らしたのか(見切りをつけたのか)、共産党の山下書記局長は3月28日、記者会見で「衆院小選挙区で選挙協力を追求しつつ、候補者擁立をすすめる」方針を発表した。理由は以下の通りである(しんぶん赤旗、2016年3月29日)。
―3月23日の共産、維新、社民、生活の4党の党首会談での合意、「5野党間で速やかに衆院小選挙区での選挙協力のための協議に入るべきである」という合意を踏まえて、3月25日の5野党書記局長・幹事長会談で、私は衆院小選挙区での選挙協力について5野党党首間で確認されたことであり、衆参ダブル選挙の可能性もあるもとで速やかに協議に入るべきだと改めて提起しました。それに対し、民主党の枝野幸男幹事長は「難しい」「協議には入れない」と繰り返し表明しました。枝野氏が「協議に入れない」理由としてあげたのは主に「党内を説得できない」「既に立候補している人を降ろせない」というものでした。一方、同党の玄葉光一郎選対委員長は、民進党として「単独過半数238は立てる」と述べ、既に200人近くを擁立しています。自らは候補者を擁立しながら「立てたら降ろせない」、選挙協力の協議に入ることさえ拒否するというのは、5党首合意を誠実に履行する態度とは言えません。民進党がこうした態度をとるもとで、わが党として総選挙をたたかう独自の準備を急ぐ必要があります。そのことが、結果として、民進党を含む野党間の衆院小選挙区での選挙協力を前に進める力にもなると考えます。以上の理由から、わが党として衆院小選挙区の候補者の擁立を進める方針を確認しました。
 民進党が衆院選での野党共闘を拒否している状況は、安倍政権にとっては衆参同日選挙を実施する「またとない機会」を与えるだろう。たとえ参院選で部分的に野党共闘が実現しても、衆院選で野党各党がバラバラで戦う状況が生まれれば、選挙戦全体としては衆院選に比重がかかり、参院選での野党共闘の影が薄くなるからだ。このことが延いては参院選でも野党統一候補に不利な情勢をもたらし、衆参両院で安倍政権が3分の2議席をとる可能性を広げることにもなりかねない。いずれにしても由々しき事態だと言わなければならない。
 民進党にこの際はっきりと言いたい。岡田氏に「ジキル」を、前原氏に「ハイド」の役を演じさせるような二重人格的な党運営を止めてほしいということだ。岡田氏も枝野氏も衆院補選が行われる北海道5区と京都3区を同一視し、「両補選で勝利して参院選の弾みにしたい」などといったノーテンキなことを言っているが、北海道5区は「ジキル」方式で、京都3区は「ハイド」方式でやるというのでは、民進党はもはや同一政党とは言えないだろう。両補選の選挙結果次第では、参院選あるいは衆参同日選の前に民進党の二重人格的行動の矛盾があらわになり、自己破綻状況が明白になって「身を亡ぼす」前兆になるかもしれないのである。
3月27日の民進党結党大会に来賓として招かれた安保法制に反対する学生グループ(SEALDs)の奥田愛基氏は、「民進党が、民と、国民とともに進むというスローガンがウソじゃなくて、本気で言ってほしいなと思います。僕らはアホじゃない。僕らはバカじゃない。この政治家がウソをついているか、本当のことを言っているか、なんとなくしゃべっているのを聞いたら分かります。だって、それがみんなだまされているんだったら、戦後最低の投票率にならない。僕たちは政治家の人たちに対して、ありがとうと言ってみたいです。単純に応援したり、がんばってくださいと言ってみたいです。そして僕たちもがんばります。よろしくお願いします」と挨拶をした(産経ニュース、2016年月27日)。
 この奥田氏の言葉に込められた真意をどれだけ多くの大会参加者が受け止めたか、私は知らない。しかし、今からでも遅くはない。民進党は衆院での野党共闘に踏み切るべきだと思う。そのためにはまず衆院京都3区補選では民主党京都府連の大会決議を撤回し、本格的な野党共闘体制を再構築しなければならない。でもそうではなくて、これまでの京都の民主党のように民進党がすべてに頬被りして「ジキルとハイド」を演じ続けるのか、いま民進党は野党共闘への「やる気」を通り越して政党自体のアイデンティティ(存在証明)が問われている。(つづく)

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後説

*写真はかつて広原盛明先生が、住民運動の事務局長をなさっていて、誰も立候補しないので、候補を決める責任者の自覚から京都市長選に立候補し、小生がネットを通して「勝手連」を展開していた前後のお顔です。それから十年以上経ちましたが、広原先生の「持続する志」はいささかも変わらず、西川卯三京都大研究室に学ばれたころのまま、いまも 貢献してくださっています。
 小生は、日本共産党の外から応援団を務めておりますから、敬愛する古在由重氏も石堂清倫氏もその学問への敬意は変わりません。
 そして、現在の日本共産党が厳しい実践にとり組んできた国政選挙の候補者をおろしてでも、日本国を戦争と国際紛争の渦中から救うために、真剣に国政選挙での野党勢力を増やし憲法改悪を阻止し、戦争立法を廃案にするために全党が一丸となってその実践のために奮闘なさっている姿に、感銘と感動をおぼえます。
 今の日本共産党こそ、「救国と平和の護民官」としての実体を堅持しています。
 およばずながら、これからも無党派民主主義の限界は在りますが、国民的な規模で反戦反核の統一と協同の論理にたつ広場を形成して、平和を希求する国民と亡くなっていった過去の死者と、国外の平和主義にたつ民衆との、地球規模・人類史規模の新たな統一の戦線を生成、発展させるために、日本共産党の勇気と展望にまなびたいと考えています。
2016/04/04

「 何故、日本牛耳るジャパンハンドラー達は安倍首相のような右翼的人物を歓迎したか、育てたか」

2016-04-03 16:13:21 | 転載と私見
「前説」 櫻井 智志

安倍晋三や麻生太郎らの政権が、どんなに日本国民が反対しても一向に介さないのは、安倍氏らの個人的資質に原因があるわけではない。アメリカ軍産複合体の利益を代表する「ジャパンハンドラー」が、政治家、官僚、マスコミ人脈を駆使して日本をコントロールしているからだ。孫崎享氏が明確に叙述している。きょうの「つぶやき」は、必読の評論と考えた。



【孫崎享のつぶやき】
何故、日本牛耳るジャパンハンドラー達は安倍首相のような右翼的人物を歓迎したか、育てたか
2016-04-03 08:167


今日でも、米国の軍産複合体の利益を代表するジャパンハンドラー達(具体的に動く人物としてアーミテージ、マイケル・グリーン、ジェラルド・カーティス、時々の国防次官補等)が、政治家、官僚(検事を含む)マスコミ人脈を駆逐し、強い影響力を持っている。小沢氏、鳩山氏追い落としで彼らが暗躍したことでも明白である。

彼らの支援がなければ、安倍氏や麻生氏らの台頭はない。

しかし右翼的人物は靖国神社へいったり、歴史を見直したり、必ずしも米国の過去の政策と一致しない行動をとる、

この矛盾に多くの人は戸惑ってきた。

何となく、そのからくりが解ってきた。

まず、ジャパンハンドラー達は次の目標を持っている。

自衛隊を米軍が使う、

日本を、政治、軍事を含め、中国に対する敵対勢力として利用する。

この①、②は通常の日本人の感覚であれば、反対する。日本の国益には合致しない。戦後日中関係改善に田中角栄をはじめ、日本政治家のほとんどが前向きに対処してきたことを見ればいい。

それを突破するには、日本社会に非論理的集団が感情に訴えて勢力を張らせるしかない。その道具は嫌中、嫌韓である。

嫌中、嫌韓を煽ることによって、① 自衛隊を米軍が使う、② 日本を、政治、軍事を含め、中国に対する敵対勢力として利用する政策を実現させることに方針を固めたと思う。

そして、これらの勢力が過度に走る時には厳しく咎めることでストップさせる。

この論理の成立は2002年頃とみられる。

北朝鮮の核兵器にどう対峙したらいいか、と考えている中で、中国、北朝鮮に対峙する中で日本を利用する必要が生じ、2003年1月3日ワシントン・ポスト紙で、保守派で最も影響力のある論客と言われるチャールズ・クラウトハマーが北朝鮮の核兵器開発を止める手段を「日本カード(Japan Card)」という標題で論じて、「我々は中国に行って、北朝鮮に圧力をかけられないなら、我々は日本が独自の核抑止を持とうとする試みを支持するというべきだ。我々の悪夢が核兵器化した北朝鮮なら、中国の悪夢は核兵器化した日本だ。共に悪夢の中にいる時が来た」と書いている所に現れている。あわせ、【ワシントン 有元隆志】北朝鮮が核や弾道ミサイルの開発をやめず、国際社会も手をこまぬくようだと、核武装も含め日本の軍事力増強は避けられない-。13日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルがこんな社説を掲げた。

さらに「われわれは現状維持を望むが、北朝鮮の挑発的な行為は不安定な状況をつくりだしている」と指摘。「日本は米の核の傘の下にいる利益を理解している」と分析しながらも、「国家主義的な感情が高まれば、(核保有の)抑制は難しいこともありうる」との見方を示した」の中の、「国家主義的な感情が高まれば、(核保有の)抑制は難しいこともありうる」との表現で、日本国内の、「国家主義的な感情」の利用価値に気付いている。

安倍首相や麻生氏らの「国家主義的な感情」発言は、ジャパンハンドラー達の意に反して行っているのではない。彼らの支援の下に行っている。この「国家主義的な感情」で理性的言論や理性的勢力(たとえば福田康夫元首相)を封じ込めていった。「中国のエージェント」「売国奴」等のレッテルが、いとも簡単に使われるようになった。

米国ジャパンハンドラー達の意に反して、自民党の中に、「日本会議」のような勢力が影響力を増すことはありえない。米国の支援の下にそだってきたとみるべきだ。

何が真実なのか、「沖縄・外交」報道の真実を慎重に見極めたい

2016-04-03 13:31:11 | 政治・文化・社会評論
なにが真実なのか、報道の真実を慎重に見極めたい
                   櫻井智志


 私は、「①東京新聞の記事」をもとにこう書いた。
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「前説」
私はオバマを見誤っていた。
もともとリベラルな政治家が、アメリカ国内の支配層の政治力学で意にそまぬ政策も選択せざるを得ないと。
しかし、以下の記事を自宅で新聞で読み、幻滅と沖縄県民と日本への露骨な差別と偏見のオパマの認識を観じて、激しく憤りに変わった・・・
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 だが、後から「②琉球新報の社説」を読み、以下の一節に考えさせられた。

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②琉球新報の社説の一部分。詳細は後に掲載してある。

 『今回の会談でも「日米首脳は沖縄の負担軽減を進めることは合意した」のだそうだ。現下の沖縄で普天間の運用停止ほど強く求められている課題はない。それを放棄しておいて「負担軽減」とは、空々しいにも程がある。
 オバマ米大統領は辺野古移設をめぐる県と政府の訴訟について、なぜ和解に応じたのか尋ねた。それを日本政府は「移設計画の遅れに懸念を表明した」と表現する。

 だが、そう「翻訳」していいのか。これはむしろ、「辺野古移設計画の現実性に疑念を示した」ということではないか。

 オバマ氏が「(辺野古移設に)大きな支障がないようにしてほしい」と求めたことにもなっているが、本当だろうか。
 ジョセフ・ナイ元国防次官補や戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ハムレ所長など米側の「知日派」の中に、沖縄への基地集中に疑念を持つ人がいるのは周知の事実だ。だが日本政府の方が県外移設に抵抗しているのである。

 だから米大統領の辺野古移設要求という圧力を捏造(ねつぞう)し、県外移設論をつぶそうとしているのではないか。今回も「辺野古が唯一の解決策」と強調したのは日本側だけで、米側は「唯一」などとは一言も言っていない点に注意すべきだ。日本政府の印象操作に振り回されないようにしたい。』
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良心的な二つの新聞社ではあるが、どちらかが真実の度合いがうすいと感じた。二つの記事を並べるので、読者諸氏の判断を仰ぎたい。

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①【東京新聞】転載
米大統領「辺野古なぜ和解」 首脳会談で遅れ懸念
2016年4月1日 夕刊

 【ワシントン=金杉貴雄】安倍晋三首相は三十一日午後(日本時間一日午前)、オバマ米大統領とワシントンで日米首脳会談を行った。オバマ氏は米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う同県名護市辺野古(へのこ)への新基地建設問題に関し、日本政府が新基地建設に反対する沖縄県と訴訟で和解し、工事を一時中断したことに懸念を表明した。米側の意向を受け、安倍政権が県との交渉で強硬姿勢を強める可能性もある。


 オバマ氏は「辺野古移設が唯一の解決策と言いながら、なぜ和解に応じたのか分かりづらい。移設計画はどの程度遅れるのか、その間は普天間飛行場をどのような形で使用できるのか」とただした。


 首相は政府と県が訴訟合戦になり、今後も他の訴訟が起きることが予想されたと説明。「政府の立場は不変だが、一歩引いて冷静に精査する。『急がば回れ』の考えだ」と説明した。


 オバマ氏は「首相が戦略的な判断として対応しているのはよく理解している。信頼しているので、ぜひ大きな支障のないようにしてもらいたい」と述べた。


 首相は五月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)について、世界経済とテロ対策が最大のテーマになると強調。「世界経済の持続的な成長に寄与すべく明確なメッセージを出したい」と述べた。環太平洋連携協定(TPP)については、首相が承認案と関連法案を国会に提出したことを説明。「日米でアジア太平洋のルールづくりを主導したい」と呼び掛け、米国の早期批准に期待を示した。オバマ氏は最優先の議会案件として取り組んでいると強調した。

◆対沖縄 強硬姿勢加速も
 <解説> 日米首脳会談でオバマ米大統領が米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設に反対する沖縄県と和解したことについて「なぜ和解に応じたのか分かりづらい」と異例に強い調子で日本政府に苦言を呈したのは、計画通り新基地が建設できるのかどうか、日本政府の説明に疑念が生じたためだ。

 日本政府は今回の和解について、この一カ月にわたって「新基地建設の考えは変わらない」「急がば回れだ」とあらゆるレベルで米側に説明してきた。

 しかし、今回の和解で政府は県と協議を行うのと並行し、知事の埋め立て承認取り消しの是正を指示するなど法的手続きをやり直さなければならない。最高裁で決着するまで約一年は工事は中断したままだ。

 普天間返還を合意してから今年で二十年。現在の日米合意通りでも少なくともあと六年以上かかる。今回の和解で、さらに時間がかかるのは確実。しかも、県側が法的な対抗措置を講じ続ける可能性がある。


 政府は参院選を意識し、県との対話姿勢を示すため和解に応じた。しかし、オバマ氏の発言を契機として安倍政権は外交・安保を理由に沖縄に対し強気の姿勢を鮮明にしかねない。 (ワシントン・金杉貴雄)

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②【琉球新報】転載

<社説>日米首脳会談 外交の名に値しない
2016年4月2日 06:02

 一体何をしに行ったのか。言うべきを言わず、伝えるべきを伝えないのでは外交の名に値しない。
 日米首脳会談で安倍晋三首相は米軍普天間飛行場の5年内運用停止について全く言及しなかった。沖縄の基地負担軽減について首相は常々「できることは全て行う」と述べている。だが「行う」どころか口に出しさえしないのだから、空約束も甚だしい。

 もう一度確認したい。2013年、当時の仲井真弘多知事に対し、安倍首相が5年内運用停止について「努力を十二分に行う」と述べたのは、仲井真氏が辺野古埋め立てを承認する前のことだ。その際、何かが条件という話は一切示されていない。

 政府は当初「全国の協力が必要」としていたが、15年夏には「地元(沖縄)の協力が必要」にすり替わり、最近では「辺野古移設への理解と協力が前提」と述べ始めた。

 自らが約束を果たさない責任を沖縄側の「協力」のせいにすり替えている。無責任極まりない。

 今回の会談でも「日米首脳は沖縄の負担軽減を進めることは合意した」のだそうだ。現下の沖縄で普天間の運用停止ほど強く求められている課題はない。それを放棄しておいて「負担軽減」とは、空々しいにも程がある。
 オバマ米大統領は辺野古移設をめぐる県と政府の訴訟について、なぜ和解に応じたのか尋ねた。それを日本政府は「移設計画の遅れに懸念を表明した」と表現する。

 だが、そう「翻訳」していいのか。これはむしろ、「辺野古移設計画の現実性に疑念を示した」ということではないか。

 オバマ氏が「(辺野古移設に)大きな支障がないようにしてほしい」と求めたことにもなっているが、本当だろうか。
 ジョセフ・ナイ元国防次官補や戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ハムレ所長など米側の「知日派」の中に、沖縄への基地集中に疑念を持つ人がいるのは周知の事実だ。だが日本政府の方が県外移設に抵抗しているのである。

 だから米大統領の辺野古移設要求という圧力を捏造(ねつぞう)し、県外移設論をつぶそうとしているのではないか。今回も「辺野古が唯一の解決策」と強調したのは日本側だけで、米側は「唯一」などとは一言も言っていない点に注意すべきだ。日本政府の印象操作に振り回されないようにしたい。

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私見

「日本政府の印象操作 」、この言葉に強く喚起されることがある。二者択一というよりも、多角的多元的な価値観に基づく解釈の必要性を感じた。とくにアメリカと日本の政府の虚言や非人間的政策に奔放されてきた沖縄県民の実態を最もよく知っている「琉球新報」「沖縄タイムス」の表現には、沖縄県民に即した詳細な事情を伝え続けてきた経緯もある。 (了)