小池新知事はどのような都知事か
櫻井 智志
マスコミの押し出しもあって、小池都知事は「なにかやってくれそうだ」という雰囲気が世間に見られる。
たとえば、
①自民党都議会の金権汚職・不正疑惑と「闘って」いるという雰囲気。
②築地魚市場の豊洲への移転に、土壌汚染の安全などを精査してその利権に厳しく目を向けている雰囲気。
③東京オリンピックの経費のあいつぐ膨張に森喜朗委員長と対決しても問題点を是正しようとしている雰囲気。
「雰囲気」は実際にそう行動してているのかも知れない。
しかし、きょう9月8日のニュースは、小池氏が以前に「日本会議」の要職をつとめ、核兵器開発も是とする右翼タカ派の政治家でもあることを想起させる。詳細を知るために、孫崎享氏の評論をご参照してほしい。教育機関である朝鮮学校を公安的な視点で調査した報告書を都のHPから削除されていたものを仰々しく再掲させたり、朝鮮学校生徒の教育援助金カットなど、もともと自民党内でも極右タカ派の議員だった。
さらに、ヘイトスピーチと一部が連動している自民党ネットサポーターズの自民党部局のトップだったこともある。小池百合子さんという新都知事は、一方では積極的に東京都を大改革するという姿勢でマスコミやネットも相連れて都民に期待をもたせるパフォーマンスの中で多面的な要素をもっていて、その多面性をひとつひとつ具体的に見極めることが必要だ。
小池知事は、自民党清和会にいて、小泉純一郎、安倍晋三らと親密であった政治家だ。しかも日本新党から政界に出て、細川護煕、自由党に移って小沢一郎らと次々に政党を渡り歩きどこでも男性トップに重用されてきた。森喜朗が自民党トップにいたころ、森氏の牽制を効かず、総裁選に立候補したり、安倍氏が総裁選に出たとき対立候補の不破茂候補に肩入れして、安倍氏の怒りにふれた。この時不破氏は全国的ブームとなり地方票はトップだった。不破氏が自民党総裁-総理になるという見込みで、小池氏はまたも風見鶏よろしく転身した。
今後、絶妙のパフォーマンスとインターネットの効果的利用で、ポピュリスト政治家として、女性版石原慎太郎路線を歩むと見られる。
だが、反動タカ派の石原慎太郎氏は露骨に本音を出してしまう「正直な」単純さに比べて、小池百合子氏はしたたかな計算計略を講ずる。
選挙中に「候補を辞退した宇都宮健児さんは気の毒ね。」と公言し、宇都宮氏が都庁を訪問すると、前は部長級の対応だったが、知事自らが面会した。「政策」を重視する宇都宮氏は、重ねて自分の存在を認めた小池都知事の手中に籠絡される要素を増した。
ひとつひとつの都政の得点を重ねて、しかも自民党本部や安倍政権と両輪で、「東京都知事ができる」ファシズム政策を実行している。
そのひとつが、朝鮮学校を露骨に抑制する偏狭な民族主義として今回仕掛けられた。何でもないような卑近なところから、安倍・小池の両輪は国家と東京都と都民ファースト・国民主権を自ら掘り崩していく危険がある。
資料転載開始==========
【孫崎享のつぶやき】
「東京都のHPから削除された朝鮮学校調査報告書、小池知事の指示で再掲載 拉致被害者救出の「対北宣伝放送」にメッセージも」マイノリティが存在したらその立場を尊重することが民主主義の成熟度を示し、長期的には社会の安定へ。
2016-09-08 07:482
A:事実関係(産経新聞)
東京都の小池知事が、朝鮮学校が朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の強い影響下にあると結論づけた平成25年の都調査報告書をホームページ(HP)に再掲載するよう指示していたことが7日、分かった。小池知事が拉致被害者救出を呼びかける北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」にメッセージを寄せることも判明。今後は、都が各種学校として昭和43年に認可した朝鮮大学校(小平市)の適否も検証するものとみられ、拉致問題解決に向けた自治体独自の動きを加速化させる。
25年11月に出された「朝鮮学校調査報告書」は、都内で朝鮮学校11校を設置・運営する東京朝鮮学園の教育実態や財務内容を23年12月から25年10月まで調査した結果をまとめたもの。
日本の高校生に該当する高級学校生が使う「現代朝鮮歴史」の教科書に、「敬愛する金日成主席様(さま)」「敬愛する金正日将軍様」などの記述が409ページ中、353回登場することや、高級学校生が総連傘下の政治団体「在日本朝鮮青年同盟(朝青)」に加盟している事実も認定した。
在日本朝鮮青年同盟(朝青)は規約で「自己のすべての事業を総連の指導の下に進める」などと規定しており、報告書は朝鮮学校が「朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容や学校運営について強い影響を受ける状況にある」と断じた。都は報告書の内容を重視し、その直後に朝鮮学校への補助金支給打ち切りを正式に決定している。
報告書の内容は25年11月から今年2月まで都のHPに掲載されていたが、「掲載当初、月7千あったアクセス数が、100まで減った」(私学行政課)などとして削除。小池知事の指示を受け、今月2日に再掲載された。
また、小池知事は拉致問題解決を促すため、特定失踪者問題調査会(代表・荒木和博拓大教授)が17年から実施している短波放送「しおかぜ」に注目。同会は現在、北朝鮮向けに拉致被害者救出や北朝鮮に関する情報を毎日、数時間ずつ流しており、都知事の立場から拉致問題解決に向けたメッセージを寄せる方向で調整している。知事によるメッセージは石原慎太郎元知事の後、途絶えていた。
小池知事は今後、都として朝鮮学校問題や拉致問題解決に積極的に取り組んでゆく構えで、拉致問題を政権の最重要課題と位置づける安倍晋三政権と歩調を合わせるとみられる。
B:評価:
1:何らかの事情で、少数派を国内に持っている時。少数派の考えを出来るだけ尊重することが、民主主義国家としての成熟度と安定をもたらす。
2:国際的にみれば欧州のイスラム教徒の扱いがその代表である。
この対応においては教育等でイスラム教徒の子女に脱イスラム化を進める動きがある。しかし、それは必ずしも成功していない。フランス、ベルギーでのテロリストの動きを見るとイスラム教徒という少数グループを追い詰めていることがテロにつながっている。
3:行うべきはのは一体化を推進することで、その環境を整えることであり、彼らの価値観を崩壊させることを試みることではないではない。
4:さらに拉致問題と朝鮮学校の問題を絡める動きがあるが、両者が連動する可能性は低い。朝鮮学校で圧力をかければ埒が進展するという問題ではない。
資料転載終了=======================
櫻井 智志
マスコミの押し出しもあって、小池都知事は「なにかやってくれそうだ」という雰囲気が世間に見られる。
たとえば、
①自民党都議会の金権汚職・不正疑惑と「闘って」いるという雰囲気。
②築地魚市場の豊洲への移転に、土壌汚染の安全などを精査してその利権に厳しく目を向けている雰囲気。
③東京オリンピックの経費のあいつぐ膨張に森喜朗委員長と対決しても問題点を是正しようとしている雰囲気。
「雰囲気」は実際にそう行動してているのかも知れない。
しかし、きょう9月8日のニュースは、小池氏が以前に「日本会議」の要職をつとめ、核兵器開発も是とする右翼タカ派の政治家でもあることを想起させる。詳細を知るために、孫崎享氏の評論をご参照してほしい。教育機関である朝鮮学校を公安的な視点で調査した報告書を都のHPから削除されていたものを仰々しく再掲させたり、朝鮮学校生徒の教育援助金カットなど、もともと自民党内でも極右タカ派の議員だった。
さらに、ヘイトスピーチと一部が連動している自民党ネットサポーターズの自民党部局のトップだったこともある。小池百合子さんという新都知事は、一方では積極的に東京都を大改革するという姿勢でマスコミやネットも相連れて都民に期待をもたせるパフォーマンスの中で多面的な要素をもっていて、その多面性をひとつひとつ具体的に見極めることが必要だ。
小池知事は、自民党清和会にいて、小泉純一郎、安倍晋三らと親密であった政治家だ。しかも日本新党から政界に出て、細川護煕、自由党に移って小沢一郎らと次々に政党を渡り歩きどこでも男性トップに重用されてきた。森喜朗が自民党トップにいたころ、森氏の牽制を効かず、総裁選に立候補したり、安倍氏が総裁選に出たとき対立候補の不破茂候補に肩入れして、安倍氏の怒りにふれた。この時不破氏は全国的ブームとなり地方票はトップだった。不破氏が自民党総裁-総理になるという見込みで、小池氏はまたも風見鶏よろしく転身した。
今後、絶妙のパフォーマンスとインターネットの効果的利用で、ポピュリスト政治家として、女性版石原慎太郎路線を歩むと見られる。
だが、反動タカ派の石原慎太郎氏は露骨に本音を出してしまう「正直な」単純さに比べて、小池百合子氏はしたたかな計算計略を講ずる。
選挙中に「候補を辞退した宇都宮健児さんは気の毒ね。」と公言し、宇都宮氏が都庁を訪問すると、前は部長級の対応だったが、知事自らが面会した。「政策」を重視する宇都宮氏は、重ねて自分の存在を認めた小池都知事の手中に籠絡される要素を増した。
ひとつひとつの都政の得点を重ねて、しかも自民党本部や安倍政権と両輪で、「東京都知事ができる」ファシズム政策を実行している。
そのひとつが、朝鮮学校を露骨に抑制する偏狭な民族主義として今回仕掛けられた。何でもないような卑近なところから、安倍・小池の両輪は国家と東京都と都民ファースト・国民主権を自ら掘り崩していく危険がある。
資料転載開始==========
【孫崎享のつぶやき】
「東京都のHPから削除された朝鮮学校調査報告書、小池知事の指示で再掲載 拉致被害者救出の「対北宣伝放送」にメッセージも」マイノリティが存在したらその立場を尊重することが民主主義の成熟度を示し、長期的には社会の安定へ。
2016-09-08 07:482
A:事実関係(産経新聞)
東京都の小池知事が、朝鮮学校が朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の強い影響下にあると結論づけた平成25年の都調査報告書をホームページ(HP)に再掲載するよう指示していたことが7日、分かった。小池知事が拉致被害者救出を呼びかける北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」にメッセージを寄せることも判明。今後は、都が各種学校として昭和43年に認可した朝鮮大学校(小平市)の適否も検証するものとみられ、拉致問題解決に向けた自治体独自の動きを加速化させる。
25年11月に出された「朝鮮学校調査報告書」は、都内で朝鮮学校11校を設置・運営する東京朝鮮学園の教育実態や財務内容を23年12月から25年10月まで調査した結果をまとめたもの。
日本の高校生に該当する高級学校生が使う「現代朝鮮歴史」の教科書に、「敬愛する金日成主席様(さま)」「敬愛する金正日将軍様」などの記述が409ページ中、353回登場することや、高級学校生が総連傘下の政治団体「在日本朝鮮青年同盟(朝青)」に加盟している事実も認定した。
在日本朝鮮青年同盟(朝青)は規約で「自己のすべての事業を総連の指導の下に進める」などと規定しており、報告書は朝鮮学校が「朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容や学校運営について強い影響を受ける状況にある」と断じた。都は報告書の内容を重視し、その直後に朝鮮学校への補助金支給打ち切りを正式に決定している。
報告書の内容は25年11月から今年2月まで都のHPに掲載されていたが、「掲載当初、月7千あったアクセス数が、100まで減った」(私学行政課)などとして削除。小池知事の指示を受け、今月2日に再掲載された。
また、小池知事は拉致問題解決を促すため、特定失踪者問題調査会(代表・荒木和博拓大教授)が17年から実施している短波放送「しおかぜ」に注目。同会は現在、北朝鮮向けに拉致被害者救出や北朝鮮に関する情報を毎日、数時間ずつ流しており、都知事の立場から拉致問題解決に向けたメッセージを寄せる方向で調整している。知事によるメッセージは石原慎太郎元知事の後、途絶えていた。
小池知事は今後、都として朝鮮学校問題や拉致問題解決に積極的に取り組んでゆく構えで、拉致問題を政権の最重要課題と位置づける安倍晋三政権と歩調を合わせるとみられる。
B:評価:
1:何らかの事情で、少数派を国内に持っている時。少数派の考えを出来るだけ尊重することが、民主主義国家としての成熟度と安定をもたらす。
2:国際的にみれば欧州のイスラム教徒の扱いがその代表である。
この対応においては教育等でイスラム教徒の子女に脱イスラム化を進める動きがある。しかし、それは必ずしも成功していない。フランス、ベルギーでのテロリストの動きを見るとイスラム教徒という少数グループを追い詰めていることがテロにつながっている。
3:行うべきはのは一体化を推進することで、その環境を整えることであり、彼らの価値観を崩壊させることを試みることではないではない。
4:さらに拉致問題と朝鮮学校の問題を絡める動きがあるが、両者が連動する可能性は低い。朝鮮学校で圧力をかければ埒が進展するという問題ではない。
資料転載終了=======================