久しぶりに寿司を食べに行くことになった。
都会の江戸前とは違い、江戸前とうたっているところでも田舎寿司になってしまう悲しいエリアです。
長く贔屓にしていた店は、最近少し趣向がかわってしまったのでなんとなく行く気が起こらず、誰も寿司を食べに行こうと言い出さなかったのですが、新しい店を開拓しようと重い腰をあげました。
以前から気になっていた暖簾(のれん)のお店です。
寿司屋はまず暖簾が大事かと思います。暖簾を見て入ってみたいと思うのです。
最初はやはり緊張して扉を開け、カウンターの隅に座ってネタケースを眺めます。
なかなか活きの良さそうなネタが並んでいました。
でも、とりあえずおつまみを一品。
家では絶対に作らない『揚げ出汁豆腐』を注文してみました。
絹豆腐の柔らかい揚げ出汁豆腐でした。
今回は遠慮して寿司の写真は最上部(↑)の一枚だけなので、揚げ出汁豆腐は近寄って撮ってみました。
出汁は残念ながら業務用のような・・・・可もなく不可もない出来栄えです。
と、そこに私に着信が入りましたので外に出て話しているうちに、パパが『鰈の唐揚げ』などを頼んでいました。
おぉ、揚げ物2種ですか。。。。。。ま、いっか。
その鰈、手のひらサイズでたいそう美味しく、すごく喜んでいましたが、小さかったのでパパが独り占めして私は食べていません。
そして私は珍しく白身からスタートしました。
まず、『鯛』を注文。これがなかなか美味しかったので、少し挑戦してみることに。
最近、シャリだけではなくネタの厚みなど切り方にも注目している私です。
次に『マグロ』を注文してみました。
寿司といえば鮪(まぐろ)です。ですが、特に初めての店での鮪は冒険ともいえます。
店主さん、カウンターの下の冷蔵庫からネタを取り出しました。
え?イチゲンさんだよ、私。
ドキドキしている私に程なくして出てきたのが、筋のない『中トロ』でございました。
普通、鮪と聞いて冷凍ではない中トロ出しますか?
シャリはまだ大きめですが、ネタの中トロはなんとも言えず口に馴染んで美味しさの余韻を充分に楽しみました。
冬は貝類が美味しいですから、『赤貝』も頼んでみました。
3個目の寿司はシャリが少し小ぶりになっていました。殻付きの赤貝を取り出して握ってくれたのですが、これはちょっと苦手でした。
気を取り直して、『烏賊』を注文。烏賊は普通でした。
そしていよいよ最後の注文!
散々迷いながらの寿司ですから、店主も気が気じゃないようで・・・
オススメの中に『シマアジ』というのがあり、アジとシマアジは違うという話になりました。
そして、今日のシマアジは是非召し上がってくださいというのでトリは『シマアジ』に決定です。
シャリは小さくなっていました。ネタの切り方がなんとも美味しさを出しています。
普段ならシマアジを注文しないんですよ、私。時々苦手だなと思う時があるからです。
でも、この時のシマアジの美味しかったこと!
久しぶりに納得の寿司でした。
食べてる時に表情に出たのでしょうか、店主が心の中で「勝った!」と思ったのがわかりましたよ(笑)
そして私も「負けた・・・」と思いました。
寿司屋のカウンターは勝負の世界。潔く負けを認めて、店主には尊敬の眼差しを送りました。
さて、寿司屋をもう一軒。写真がないのでここに続きを書きますね。
お出かけの帰りの隣町。お目当のお店が休んでいたので超久しぶりに回転寿司に挑戦することに!
お食事時が過ぎて、いつもは混雑しているそのお店の駐車場に余裕があった。
安い回転寿司店の倍ほどの値段なのだけど、グレードも倍ほど違うのでそこは納得のお店だったと記憶しています。
オヒトリサマなのでカウンターに、しかも花板さんの正面の席に案内されました。
いや、最近の回転寿司ってカウンターのみじゃなくて、家族用のテーブル席のほうが多いんですね。
板さん、すごくお話が好きな人で、退屈せずに魚の話や寿司の話で和ませていただきました。
最初のオススメは『歯鰹』(はがつお)は鰹という字がついてるのに、鰹とは似て異なるものでした。調べてみるとスズキ目サバ科に属する大型肉食魚、味はすごく美味しかった。どこかで食べた記憶があります。
無難にヒラメも食べ、次を少々悩んで『中トロ』を注文しました。
そうしたら板さんがカウンター下の冷蔵庫を開けました。(またかよ・・・)と思ったのも事実です。
「今回でしばらく仕入れできなくなるのですが、(冷凍ではない)トロがあるんです。いかがですか?」と大トロの柵を見せてくれました。
ん〜〜、大トロ苦手なのだけど、せっかくのオススメですからと頷いてしまいました。
表面は炙ってもらって、酢橘を添えて出してくれました。
「もう少し早い時間だと、地元で揚がった太刀魚などもあったのですが残念ながら売り切れてしまい・・・」などと、私のチャレンジ精神を擽るような発言に、また来ないとだめだなと素直に思いました。
最後にこの店でも『シマアジ』を勧められました。季節なのでしょう。
比べる意味もあったのでシマアジの話をしながら『シマアジ』を一切れいただきました。
あぁ、ネタの切り方が上手い!
5カンしか食べない、しかも注文を悩みながら食べる私に辛抱強く挑戦してくださった板さん、ありがとうございました。
常連でもないお客に、好みを探りながら食べさせて、しかも唸らせるというのはかなりの技の持ち主かと思います。
また訪れようと思うのでありました。