栄光の500番代を授かり急客機として活躍したのも束の間、
住み慣れた田端区を離れ、遠く富山に居を改め北は青森から西は岡山までの貨物運用に余生を捧げる唯二の銀罐。
富山機の勲章でもある赤錆汚れに塗れて黙々と貨物運用を熟す。
一縷の望み叶って昼過ぎの早月川を3097レを従え渡ってきてくれた。
装飾ラインを失うも、その栄光の銀を何時まで纏い続けてくれるのだろう。
2017年10月 あいの風とやま鉄道 東滑川~魚津 EF510509 3097レ
富山湾はその地理的特徴から魚種豊富な豊かな海である。
大きな河川だけでも、小川、黒部川、布施川、早月川、上市川、白岩川、常願寺川、神通川、庄川、
小矢部川、上庄川、余川川、阿尾川と流れ込む河川が多く山からのミネラルを多く含み、手伝って湾の深さによって
適度に撹拌される海水は魚の餌のプランクトンを豊富に育てる。
そのせいか、海面の色もミルクブルーをしている。
こういう自然を絡めた写真のお師匠さん32Countさんへのオマージュとして、早月川橋梁のサイドアングルに挑む。
そして必ず地鉄の撮影で見かける風景だが、列車間隔が開いた時間帯に行われる線路点検作業。
すべて徒歩にて線路の状況をアナログ作業で点検するのは、数年前施設の老朽化で起きた列車脱線事故が教訓なのだろう。
総営業キロ数100キロ超えの富山地方鉄道の今を支える地道な仕事。
2017年10月 本線 西魚津~越中中村
今回は、二か所の酒造蔵巡りをした。
その一つが、上のラベル文字の銀盤酒造。
地鉄の長屋駅からほど近い場所にある、明治創業の比較的新しい酒造である。
電関人が、未だ地酒ブームの「ブ」の字も無い80年代に酒の師匠である先輩から
最初に勧められたのが、立山とこの銀盤だった。
新幹線の黒部宇奈月温泉駅からも直ぐにアクセスでき、電関人のような呑兵衛風情が
引きもきらずに訪れるらしい。
名峰立山連峰から流れ出た雪解け水が天然のフィルターを通って伏流水として沸いた水で仕込む
銀盤は、得も言われぬ柔らかさの中にきちっとした米の香りが立つ。
※画像は2点とも銀盤酒造のHPより
話好きの売り子の女性社員さんと酒の話は尽きないが、
撮影の続きもあるので、お土産の生酒と特別純米 剣岳、それに三重県の菓子メーカーとのコラボと言う
大吟醸の酒粕飴をいただいてお暇した。
旧黒部鉄道開業来の駅でこちらも95歳の駅、浦山駅。
雪深い地方を感じさせる急勾配の屋根が特徴で、中島式ホームの交換設備を持つ駅は
近年まで委託有人駅だったが、委託人の病気をきっかけに無人化されて以来特急が通過する駅となる。
惜しむらくは、駅からすぐのところに室町開基の白雪山善巧寺があり
本堂に親鸞聖人750回大遠忌記念として描かれた地元黒部の画伯清河恵美さんの手による
素晴らしい立山連峰モチーフの内陣天井画が拝観できるので、
地鉄としても再度特急停車ができるよう駅施設整備を検討して欲しいものである。
黒部の電源開発とともに草創期の黒部鉄道時代より電化鉄道として100年近くの歴史を誇る地鉄本線。
それだけに沿線には様々の未開拓観光資源もまだまだ多く、今後の活躍に期待したい。
2014年秋 浦山駅にて
「狂電関人」の面目躍如として全国の保存電機を訪ねることも。
未だ黒部峡谷鉄道に乗車したことが無いのだが、同鉄道と言えば電関人にとってはこの蟹目の凸型機なのである。
以前は別な所で保存されていたED8。
北陸新幹線の開通により黒部宇奈月駅最寄りの地鉄新黒部駅前ロータリーに移設された。
今でこそ、その役割は観光が主になっているがやはり黒部川を電源地帯にすべく工事資材を運んだ「日本電力専用線」時代から
活躍してきたこのED型が、箱型電気よりしっくりとくるのである。
ただ、イメージしたより実車はふたまわりほど小柄でセンターキャブはとても狭い。
大正生まれのハフ26、27を従え今にも動き出しそうな展示手法は好感が持てるものの雪多き地方だけに
その車体コンディションが先行き心配でもある。
2017年10月 新黒部駅前にて ED8 昭和9年東洋電機製造